そもそも「縄の運び」とは何を指すのか
この回のテーマは、縄の運びは筋肉を捉えるべしという一点です。
「縄の運び」とは、受け手さんの体に縄をかけていくことを指します。縛楽式ではこの動作をそう呼んでいるそうです。
運びと言われるとピンとこないかもしれませんが、要は縄を体のどこにかけていくかということです。肩、胸、腹、腰、脚など、かける部位はさまざまあります。
まず、共通点として重要なのが、筋肉というものをちゃんと捉えにいくっていうのがすごく大事ですという話を普段してまして。
筋肉は「鎧」である、という前提
なぜ筋肉を捉えるのか。その理由として挙げられるのが、筋肉が持つ2つの役割です。
筋肉は一義的には体を動かすためのバンドのような役割を果たしています。ただし同時に、体を守るための鎧でもある、とたかせさんは説明します。
だからこそ、鎧のないところ、つまり筋肉のないところに縄をかけることは、大きなリスクを抱えることになります。基本的に縄は筋肉にかけていく必要がある、というのがここでの結論です。
体を動かすための一義的な役割
体を保護する役割。縄はこの鎧の上にかける
見た目が同じでも、体の状態は同じとは限らない
筋肉にかけるうえで大事になるのが、人間の体のどこにどう筋肉がついているかを理解することです。それが分かっていないと、その場面での最適解を導き出しづらくなります。
緊縛の技術を教わるとき、標準体型の人をベースに「ここに縄をかけます」と教わることが多いといいます。しかし、そこには落とし穴があると指摘されます。
どうしたってやっぱ人間には個体差というものがあって、見た目に同じでも状態として同じとは限らないわけですね。
そのため、その人の筋肉がどういう状態になっているかを捉えながら縄をかけないと、大きなリスクにつながり、受け手さんに与える体感も大きく変わってしまうと話されています。
縄は「線」ではなく「面」で捉える
筋肉の位置を把握して縄をかけるのが第一歩です。その上で、もう一つ重要な視点が示されます。
緊縛では縄を二本取り ── 縄を二つ折りにして2本まとめた状態で使う扱い方。線ではなく幅のある面として体にかかるで使います。つまり縄は、線的なものではなく面的なものとして扱うのが基本です。
面であるということは、当然筋肉も面で捉える必要があると。
縄の「流れ」と筋肉の「流れ」はぶつかり合う
縄の運びには「流れ」、つまり力のかかる方向があります。この方向と筋肉の流れが、互いに影響し合ってしまうといいます。
筋肉には起始停止 ── 筋肉が骨などに付着する始まりの点(起始)と終わりの点(停止)のこと。筋肉はこの起始から停止へと一定の方向で走っているがあり、始まりから終わりへ向かって流れる作りになっています。
その筋肉の流れっていうものをちゃんと捉えて縄をかけるかどうかによっても、そのテンションのかかり方がだいぶ変わってくると。
どの部位にどんな筋肉があるかだけでなく、その筋肉がどこからどこへ流れているかまでリアルにイメージできると、緊縛の精度は大きく上がると考えられます。
筋肉を調べるための具体的な手段
たかせさん自身も、筋肉の位置や名称を検索して調べることがあるといいます。加えて紹介されたのが、人体解剖図のアプリです。
「アトラス」という解剖図アプリを使い、気になる部分の筋肉がどうなっているかを見ることもあるそうです。数千円ほどする有料アプリだと説明されています。
筋肉は多層構造になっていて、インナーマッスルとアウターマッスル、つまり内側と外側の筋肉があり、それぞれ働きが違います。ただし、すべてを覚えるのは現実的ではないとも話されています。
最低限おさえるべき筋肉は、意外と限られている
一方で、緊縛で意識すべき筋肉は意外と限定的だといいます。すべてを網羅する必要はありません。
いうて多分10とか20はないと思うんですけど、ぐらいの数さえ理解できればとりあえずは十分だったりするので。
まずは、自分が普段行っている縄筋を踏まえて、縄をかけている場所にどんな筋肉があり、どこから始まってどこで終わるのか、その流れも含めて調べてみることが勧められます。
調べていくうちに筋肉の付き方がイメージできるようになり、応用が利くようになります。受け手さんからアラートが上がったときも、原因を推測しやすくなるといいます。
ある程度推測できれば、どこを直せば状態が解消するかも分かるようになってきます。どこに原因があるのかを推測できると、直し方も見えてくるという流れです。
さらに深めるなら、筋肉だけでなく神経や血管、骨格や関節の作りまで踏み込むことになります。ただし初手としては、まず筋肉を把握し、縄を運ぶときに筋肉を捉えに行く意識を持つことが第一歩だとまとめられました。
まとめ
縄をどこにかけるかを考えるとき、まず土台になるのが「筋肉を捉える」という意識です。筋肉を鎧と捉え、面と流れで見ていくことで、安全性も体感の質も変わってくるという回でした。
- 縄は筋肉のない場所を避け、鎧である筋肉の上にかける
- 見た目が同じでも体の状態は違うため、個体差を踏まえて縄をかける
- 縄は線ではなく面として扱い、筋肉も面で捉える
- 筋肉には起始停止の流れがあり、その方向でテンションのかかり方が変わる
- 意識すべき筋肉は限られており、まず自分の縄筋の筋肉から調べるとよい

