モチベーションは幻想?行動が先という考え方
前回のテーマは「モチベーションは幻想じゃないか」というものでした。
多くの人は、やる気が先にあって、行動が伴い、成果が出ると思いがちです。
でも最近の研究では、順番が逆かもしれないと語られます。
成果が出て「私ってできるじゃん」という「できた体験」が生まれ、それが行動につながり、気づいたら「楽しい」「得意かも」になっているという流れです。
やる気が幻想だとしたら、じゃあまずやらなきゃいけないわけで。やる気に頼らずに、行動を作る仕組みや、それを習慣化させるにはどうしたらいいんだろう。
この「最初の一歩」をどう踏み出すかが、みやちゃんにとって永遠のテーマだと話されます。
報酬は「同じ脳」から生まれる〜内発と外発の話
苦手意識があること、特に興味がないことを行動に移す。そこに関わるのが「報酬」だとみやちゃんは言います。
人の脳には欲求を満たす分野があり、ドーパミン ── 脳内の神経伝達物質。快感や意欲、報酬への期待に関わり、行動を起こす動機づけに影響すると言われています。などがよく知られています。
「好きだ、やりたい」も、「食べたい」も、「疲れた、眠い」も、根本的には同じ脳の部分が活性化して行動を起こしているのではないか、という研究が語られます。
これまでは、内側から湧く楽しさ(内発的動機)と、お金などの報酬(外発的動機)は別物とされてきました。
ところが最近の研究では「もう同じです」とされ、食欲や睡眠欲のような基礎的な欲求すらも、司る脳の分野は同じだと語られます。
ってことはですよ、内発的なモチベーションがなくても、そこに外発的なものを入れてしまえば、とりあえずやるにはつながる。
「自分へのご褒美」がしっくりこない理由
外発的な報酬とは、わかりやすく言えばお金です。逆に、しなかったら罰を受けるというネガティブな形もあります。
ここでつんさんが、よく言われる「自分へのご褒美」に腑に落ちなさを感じていると打ち明けます。
「これ頑張ったらあれ買おう」とか聞くのよね。けどなんか俺それをご褒美と思えなくて。自分のお金で買って、別に頑張らなくても買えるしなって。
つんさんは、頑張る前にすぐ美味しいものを食べに行ってしまうと言います。牛丼もアンパンも好きで、ご褒美として置いておけないそうです。
だから俺のご褒美のハードルが低すぎるのかもしれない。
「お金を払う」を罰に使う〜ジムに行く仕組み
みやちゃんは、痩せたい人がランニングに行こうとする例を挙げます。
自分でランニングに行くだけでは報酬をつけにくく、「行けたら牛丼」ではカロリーを取ってしまい、痩せないというジレンマが起きます。
だから多くの人はジムやパーソナルトレーナーを選びます。ここでお金が「罰」として機能すると語られます。
お金は報酬としてもらえないけど、お金を払うのでコストとして、まあ罰になる。そうすると金払ってるから行かなきゃ、元取らなきゃって。
入り方はネガティブで、いいモチベーションとは言えません。それでも「まずやる」には機能するとみやちゃんは言います。
ただし持続するかは別の話です。毎月の支払いが当たり前になると、損だと感じなくなり、「来月行けばいいか」となってしまいます。
同じ金額の会費を払っているからといって、同じだけの損を感じるとは限らないっていうことなんかな。
中だるみを越える鍵は「スタートダッシュ」
外発的なモチベーションは、まず行動を起こすには効率的で効果があります。けれど持続せず、当たり前になるとどこかで中だるみします。
そこで強いのが内発的なモチベーションです。「楽しい」「もっとできるかも」という気持ちが出てくれば、コストの有無にかかわらず続いていきます。
最初の足がかりに報酬や罰やコストを使ってとりあえずやる。短期的にガガッと習慣化して、そこで成果を出せれば、あとは意欲ややる気がついてくるっていうのが理想です。
つんさんは、月曜から木曜まで続けている朝のYouTubeライブの経験を重ねます。最初は嫌で、人前で喋るのが怖かったそうです。
でも始めた時に見てくれる人がいて、コメントをもらえたことが嬉しくなったと言います。
最初のフィードバックとして、悪くないじゃないかと思えるようなフィードバックを、初めから設計しておいた方がいいってことよね。
好きだと思う人たちと始める、あるいはそういう人たちに向けて始めることが、一つの設計になるのではとつんさんは話します。
みやちゃんは、日にちと時間を決めて夫に子どもを見てもらう仕組みを例に出します。時間を作ってもらうことで、直前に「行かない」と言いにくくなるそうです。
ご褒美が難しい時はコストをうまく使って、自分をちょっとプレッシャーをかける。頑張らざるを得ない仕組みを作る。それが一番成功しやすいんだろうなと思います。
コーチングに来るのは「すでに十分頑張っている人」
コーチングの現場でも、こうした話題は出てくるとつんさんは言います。
コーチングを受けに来る人は、モチベーションについても相当勉強している人が多く、むしろやる気の高い人たちです。
その人がアカンと思った時って、もう相当アカン時なのよ。
よく聞いてみると、そのことに「意義」を感じられなくなった時に続かなくなるといいます。客観的にはうまくいっているのに、それを喜べないのです。
無理してモチベーションを湧かすために頑張ること自体が、その人の人生の幸せに寄与してない、そういうケースもあるかなと思う。
みやちゃんは、そういう人は何をしたいのかが明確になっていない場合が多いと指摘します。
お尻を叩くよりも、自己決定理論 ── 人が自ら選び取った行動ほど意欲が続きやすいとする、モチベーション研究の理論です。「なぜやるのか」を自分の内側から納得することの重要性を扱います。のような理論に立ち返り、「なぜやりたいのか」「どれくらい重要なのか」を言語化する方がいいと語ります。
そのために来ているのだから、コーチングとしては成功する可能性が高いと話されます。
そう聞くと、おそらくコーチングってモチベーションの先にある、次にあるものなのかもしれないね。
使うエンジンの切り替えと「成長の麻薬」
みやちゃんは、モチベーションと成果はサイクルになっていると説明します。どちらかがなくなると、どこかでサイクルが止まってしまうのです。
コーチングに来る人は、できた体験のハードルがどんどん上がっていきます。すでにできているのに、さらにできなきゃいけないと感じ、行き詰まるのです。
もうすでにめちゃくちゃできてるのに、これ以上何をするんだみたいな。でもそうしないとやる気は後からついてこないから、どこかでストップしてしまう。
つんさんは、50歳ぐらいになると使うエンジンが変わるのかもしれないと話します。フローからストックへの切り替えとともに、モチベーションの卒業もやってくるのではないかと言います。
みやちゃんは、極めている人ほど自分では「まだできない」と思いがちだと指摘します。だからこそ第三者であるコーチが「相当できてますよ」と伝える意味があると言います。
なぜこれ以上成長を求めはりますか?って聞いたら、みんな答えに詰まるケースが多いよね。
ここでつんさんは「成長が麻薬的になっているケースがある」と語ります。成長せねばならない、そのために考える、という順番が当たり前になっているのです。
成長イコール善だという文化の中でやってこられたので、そこに疑いを持つことはなかった。
拡大を続けてきた経営者に「なぜしているのか」を問うと、答えが出なかったといいます。心の中に聞いてみると「そうしないといけないと無根拠に思っていました」という答えだったそうです。
その人は「今それいります?」と問い直した結果、「もう十分です」となり、家族との時間や自分の健康に時間を割くようになったと語られます。
まとめ
モチベーションは行動から生まれ、最初は仕組みや外発的な力で生活に組み込むことができます。けれど、いつまでもモチベーションに頼る必要はなく、「そもそも今の自分に成長は必要か」と立ち止まることも大切だと語られた回でした。
- やる気が先ではなく、成果や「できた体験」が行動と意欲を後押しする
- 外発的な報酬や「お金を払うコスト」は、まず始めるための足がかりとして機能する
- 外発的な動機は持続しにくく、中だるみを越える鍵はスタートダッシュと内発的な楽しさ
- コーチングに来る人はすでに十分頑張っており、必要なのは意義の言語化であることが多い
- 成長を善とする思い込みは「成長中毒」になりうる。モチベーションは人生の道具にすぎない





