限定公開にしてよかった、1万5000人に届いた音源
今回は歴史の話ではなく、COTENからの告知の回として収録されています。深井さんは、興味がない場合はスキップしてよいと最初に断っています。
テーマは、この2〜3年ずっと続けてきたジェンダーインクルーシブの研究と取り組みの現状、背景、今後の展望です。
いつものメンバーとは異なり、社内で一緒にこの取り組みを進めているノブさんがマレーシアから、そして以前番外編にも出演した篠田真貴子さんが聞き手として参加しています。
もう興味津々。ワクワクしてます。よろしくお願いします。
これまでの経緯として、ジェンダーインクルーシブに関する膨大な研究が行われ、A4で1600ページ分もの報告書がまとまったと説明されます。
それを300ページ分ほどにまとめ直し、サマリーを音声コンテンツにして、招待制の限定公開という形で届けてきました。
最初に公開したのは、これまでコテンクルーだった人たちです。研究を支えてくれたお礼として聞けるようにし、さらに関心のある人を3人まで招待できる仕組みにしたと言います。
加えて、長年ジェンダーギャップを埋める活動をしてきた人たちには、ほぼ無制限で招待できる形で渡してきました。そこから招待が広がっていきます。
1万5000人に迫る形ぐらいですね。
一方で、YouTubeなど他メディアで概要を公開しただけでも大炎上したと振り返ります。
絶対あの音源自体聞いていない人がコメントしてるだろうなみたいなのが多くなったので。
音源を聞かずにコメントされる状況が続いたため、限定公開にした判断は正しかったと深井さんは強調します。
音源はどうすれば聞けるのか
篠田さんは、まだ聞いていない人はどうすればよいかを尋ねます。
深井さんの答えは、単に勉強したいだけの人にはハードルを設けるが、一緒に問題を解決する意志がある人には対応する、というものです。
自分が勉強したいですっていう人はもうぜひ自分で勉強してくださいって思ってるんですよ。
この問題を一緒に解決していく方向にアクションするつもりですという方に関しては、招待券がなくても問い合わせしていただければ、基本的にはお渡ししてます。
個人で聞く分には無料ですが、その背景には人文知へのリスペクトがあると言います。
優れた人たちが支えている以上、彼らにきちんと対価が払える状態を作るのも自分たちの責務だと深井さんは話します。だからボランティアではないという前提を大切にしています。
ものすごく広めること自体は必要だが、やっぱりやる気があって変える覚悟を持ってる人だけに広めていきたい。
なぜ「日本の理解は素朴すぎる」のか
篠田さんは、この取り組みが日本を変えるためのものであることを確認します。深井さんは、講演を重ねる中で表現がブラッシュアップされてきたと前置きします。
その表現とは、社会科学をベースとしたジェンダーギャップの状況理解が、日本社会ではあまりにもできていない、というものです。
素朴?理解が素朴すぎる。
深井さんはこれを「素朴」という言葉で受け止め、誰かを非難するためではなく、みんなで認識したいファクトだと説明します。
共感や寄り添い以前の段階、つまり欧米が持つような科学的理解が、経営者にも行政にも国政にも進んでいないという見方です。
深井さんはこれを薬づくりや建築にたとえます。薬学の論文を無視して感覚で成分を決める人や、建築工学を無視して感覚で柱を除去する人はいません。
わかりやすい。ほんとそうですよね。
DEIやジェンダーギャップの領域では、平気でそれが行われているというのが深井さんの指摘です。研究や構造から導ける結論を、感覚で否定してしまう経営者や政治家が多いと言います。
アファーマティブアクションをしないことも一つの決断であり、その結果として女性の力を生かせない社会が続くと深井さんは述べます。
わずか数ヶ月で40社、企業として買う意味
篠田さんは、この音源が企業単位で購入される設計になっている点に注目します。企業として買って使ってほしいという意思が明確だと指摘します。
深井さんによれば、リリースは去年の11月で、すでに40社ほどが購入しています。
プライム上場企業でも3社以上の会社様が全社側に配るという形で購入してくださってますね。
多くの経営者が感覚でジェンダーインクルーシブに向き合っているように見える一方で、数ヶ月で40社を超える会社が一歩踏み出している、という対比が浮かび上がります。
このプロジェクトの中心的な価値は、構造を理解してもらうことにあります。構造と状況を理解しないと戦略は作れない、というのが深井さんの考えです。
いまだにやっぱり同年代の経営者と話してても、「そんなこと言っても主婦になりたいっていう女性もいるじゃん」みたいなこと平気で言われるんで。
深井さんは、そうした発言が中世の魔女狩りの言説と大きく変わらないと述べます。他の場面では論理的な人でも、この問題では感覚が優先されがちだと言います。
その理解のために、最低でも27時間分の情報インプットが必要だと繰り返し語られます。
一社では変わらない。労働市場という単位
音源を聞いた次に何をするのか。深井さんは、まず前提の転換が必要だと言います。
これまでDEIに取り組んできた人たちは大きな成果を出してきましたが、日本社会がまだ変わっていないという実感を持っているはずだと指摘します。
その原因は、ジェンダーギャップが会社の問題ではないことにあると深井さんは説明します。
超抽象的に言うと、一社で解決できないから企業連合体を作りましょうって言ってるんですけれども。
これは労働市場の人材プールの問題だと深井さんは言います。労働市場は会社ごとではなく、日本市場や地域という単位で存在します。
その労働市場から人材を調達している以上、労働市場が変わらなければ企業も変われません。これが構造理解の効用の一つだとされます。
何がクリティカルかを構造から理解し、連合体として共同で打っていく。そのために、各業界のリーディングカンパニーになってもよいという7社が集まり、1年間議論を重ねてきました。
Co-Labとは何か、生産体制が倫理を決める
篠田さんは、この集まりの名前を確認します。COTENはこれを「Co-Lab」と呼んでいます。
コラボレーションとラボラトリー、つまり協働と研究所という2つの意味がかけられていると説明されます。
篠田さんは、各社が自社の取り組みを良くするための場だと思っていたが、目的はそこではないのかと問い直します。
深井さんは、各社の改善もあるものの、業態によって状況が違うことが前提だと答えます。研究の結果、倫理は生産体制に引っ張られるとわかったと言います。
我々が研究調査した結果、やっぱ生産体制に引っ張られるんですよ、倫理って。
生産体制が違えば倫理の変わり方も違います。だから各業界でできることを進めつつ、横で連携して同時にできることも探る、という形を目指しています。
ノブさんは、実際にやってみて、各社が抱える課題を解決するプロセス自体も連合体には必要だと感じたと補足します。
一方で、内側からだけでは変えられないこともあると言います。担当者がCo-Labに入っていても、社内に理解者が多いとは限らないからです。
そこで企業連合としてのCo-Labが、良い意味での外からのプレッシャーになると話します。他社や他業界の存在が、会社に対して健全な圧力として働くのです。
一会社も参加しているリーディングカンパニーになっていくっていう会社も変わっていくし、その結果連合としても強化されるっていう、二つの面がぐるぐる回りながらなる姿がちょっとずつ見えてきてる。
わからないと言える場、理解速度の男女差
篠田さんは、リーディングカンパニーを志す人たちが集まり、コンテンツに触れて何が起きたのかを知りたいと尋ねます。
深井さんが印象的だったのは、男性と女性で理解のスピードが大きく違ったことです。男性は2回ほど聞かないと理解しづらい傾向があったと言います。
深井さんは、この差を悪いことにしてはいけないと強調します。距離が遠いのは当たり前で、むしろ問題は別のところにあると考えています。
「わかってます」みたいな態度を取る方が罪だなと思ってます。なんでわかんないからわかりませんという態度を取ってもらうことの方がほんと大事だなと思っていて。
深井さん自身も中核の当事者ではない男性属性であり、わかっていないことは多いと認めます。大事なのは、指摘されたときに修正するスピードだと言います。
女性は自分の経験を構造的に理解させられる感覚を持ち、男性は経験していないことを構造的に語られる感覚を持つ、という違いが生まれます。
そのため、常識の否定をきちんと行う必要があり、理解にはコストがかかると説明されます。
ノブさんは、理解のプロセスをハイプサイクルのようだと表現します。一度わかったつもりになった後に、かえってわからなくなる段階が訪れるのです。
そこでチームで感情を共有し、わかっていない部分に気づき、また理解し直すことを繰り返します。構造理解だけでなく、感情の共有というプロセスも欠かせなかったと言います。
男性側の恐怖心が明かされた哲学対話
ノブさんは、男性側の目線でも面白い発見があったと語ります。COTENは哲学対話という方法を対話に取り入れています。
その中で、男性から「自分の思っていることを言ったら袋叩きにされるのではないか」という恐怖心が打ち明けられる場面があったと言います。
本当は議論したいのに言えなかった、という思いが共有されたのです。それは社会規範による面もあると考えられます。
本当はこういうふうなことを思ってしまっている。それを打ち明けると、おそらく袋叩きにされて潰されてしまうんじゃないかみたいなことの恐怖心を、実は男性側も持っている人はいる。
女性側のメンバーは、そうした感じ方があることを発見だと受け止めました。互いの立場を共有することで、対話の架け橋が生まれたと言います。
篠田さんは、真ん中にこのコンテンツがあったからこそ橋がかかったと整理します。ただ聞いて話すだけでは難しく、ファシリテーションが必要だったと言います。
規範の問題なんで、根深い。本当に心理的安全性をある程度確保した状態で、インプットもして議論もしてみたいなことをしないと、社会規範自体はすごく強固なんで。
ノブさんは、担当レベルの努力だけでは限界があり、経営者のコミットがないと会社を動かすコストが大きすぎると指摘します。
経営者に重要だと理解してもらうには27時間の説明が必要になり、理解が先か重要視が先かというジレンマが生じると言います。
「わかっていないことがわからない」という壁
篠田さんは、経営者も担当者も、自分がわかっていないことをわかっていない状況にいると整理します。自己判断では認知できないからです。
これは女性にも当てはまると篠田さんは自らの経験を語ります。当事者であるがゆえに、自分の視界と経験のことはわかっても、それ以上をうまく説明できなかったと言います。
目の前の身近な男性に自分の苛立ちを冷静に伝えてるつもりでも伝わんないし、伝わんないってことに苛立つしみたいな。変なこう循環を起こしてた。
深井さんも、キャリアを築いてきた女性でも構造理解に至っていないことは多いと応じます。構造で理解すると、自分の経験を整理でき、経験していない構造も理解できるようになります。
そのうえで深井さんは、COTENは本来、社会を構造理解すること自体に取り組んでいると説明します。ジェンダーは今ホットな領域として先に始めただけで、この後には戦争やポスト資本主義の調査も控えていると言います。
篠田さんは、構造理解の効果を、ほうれん草を食べたポパイが力を出す様子にたとえます。
もうやれることが増えて、判断ができて、もうマップが見えるようになるみたいな感じ。どこに行って、どれぐらい時間がかかって、そのために何をすべきかみたいな。
日本がこけるとしたらジェンダーギャップ
深井さんは、この後の世界を予測します。生成AIによって言語の壁が越えられ、労働市場がよりグローバル化するというシナリオです。
そのとき、ジェンダーギャップによって、日本は欧米の人材を獲得するより流出させる方が強くなると言います。
一方で、安心や安全、治安の良さでは日本はG20の中で断トツだと深井さんは述べます。世界的に注目が集まっており、海外からさまざまな話が来ているとも言います。
篠田さんは、そこまでジェンダーギャップがクリティカルだという話は聞いたことがないと驚きます。
深井さんは、ヨーロッパやアメリカの人が日本で働けない理由の上位が、これまでは言語の壁、次いで長時間労働とジェンダーギャップだと考えています。言語の壁が越えられれば、後者2つが前面に出てきます。
さらに深井さんは、長時間労働とジェンダーギャップは連関していると説明します。長時間労働は家事育児を誰かに偏らせ、それがジェンダーギャップとして立ち現れるからです。
治安、安心安全、安定した社会。G20の中でも断トツのパフォーマンスと語られる
長時間労働とジェンダーギャップ。言語の壁が消えると流出リスクの主因になる
波が来ている今こそ、精緻な現状理解とともに世界の人材を集められる瞬間だと深井さんは訴えます。
Co-LabとコンソーシアムでつくるゴールとFEの二層構造
40社を超えて構造理解を進めつつ、深井さんは次の体制を描きます。上場企業の3〜5%が一つのグランドプランを共有し、役割分担して連携すれば、労働市場は現実的に変わると考えています。
これは歴史の知見でも社会科学の知見でも裏づけられると言います。上場企業の5%はおよそ200社にあたります。
そこで、月額の参加費をもらいながら、状況理解と情報のアップデートを提供し、世界の中でもリアルタイムに状況を理解できている200社分をつくることを目指します。
この横の連携の仕組みを「コンソーシアム」と呼びます。Co-Lab、クルー、コンソーシアムと概念が分かれているため、深井さんは整理します。
本当にコミットしている10〜15社、多くても20社ほど。経営者がコミットし、意思決定して行動する層
ある程度コミットはしているが、まだ経営者に伝わりきっていない会社も含む約200社。労働市場の変容に向けたアクションを一緒に行う層
なお、音源は行政機関や国家機関、NPOは全員無料で聞けると案内されます。ただし問い合わせは少ないと言います。
その背景には、深井さんが行政には期待していないと語ってきたことがありました。ノブさんは、それでも連絡してくる行政の方への対応に戸惑うと打ち明けます。
まず第一に税金絶対使いたくない、僕たちは。行政と関わったらもうコミュニケーションコストが増大しすぎて、早い動きできなくなってしまいますんで。
ただし深井さんは、それでも頑張ろうとする担当者との連携は歓迎すると付け加えます。お金は受け取れないが、一緒にできることはあると言います。
成功しそうかで動く人を集めても変わらない
篠田さんは、深井さんが繰り返す「コミット」の意味を尋ねます。それは意志の強さだけを指すのではないと深井さんは答えます。
歴史を学ぶと、外圧で動く人をいくら集めても物事は変わらないという冷静な判断があると言います。上司に言われて仕方なくやる人を何千人集めても、社会規範は変わりません。
理由は何でもよいと深井さんは言います。娘の人権を考えてやりたいという人もいれば、自社だけでは解決できないと構造的に理解した人もいます。共通するのは、成否に関係なくやると決めていることです。
篠田さんは、日本の大企業には人事異動があり、担当者が2年で異動すると予算も権限も失う点を問います。それでもコミットできるのかという問いです。
深井さんの回答は変わりません。異動に関係なく集まる人こそが、次のフェーズに移行させる力になると言います。
そんなの関係なく集まっちゃう、それぐらいなんか変えたいっていう人たちが集まる。その人たちが何か現象を起こす。これが周りを変えるんですよね。
社会はアクションではなく認知で変わる
深井さんは、社会を変えるのはアクションではなく認知だと断言します。歴史を学んだ結果としての見方です。
認知が変わった人を集めることが強い、と深井さんは言います。構造を理解しているから、そこから打つ戦略がクリティカルになり、人を説得できるようになるからです。
さらに、熱量の高い人が集まると、成否の計算を超えてアクシデンタルに何かを起こす可能性が高いと述べます。
その第一波を見て認知が転換され、第二波が起こる。第二波はアクションそのものではなく、第一波を見た認知の転換から生まれると深井さんは説明します。
状況理解を済ませた人だけが集まると、議論のレベルが変わります。「主婦を選んでやっているじゃないか」と言う人が極めて少ないコミュニティが生まれるからです。
すでに40社が構造理解のために投資していること自体が、深井さんにとっては認知転換の一つです。これまで、イベントや制度や研修にはお金が払われても、構造理解に払う人は少なかったと言います。
40社という事例が、次の100社、200社へと広がる可能性がある。これが認知の転換によるなし崩し的な変化だと深井さんは話します。
一人の人間で全然世界って変わりますんで。世界史見てたら。一社も担当者一人でも全然変えれますし。その代わりバグってないとダメです。
ノブさんは、コンソーシアムも当初は招待制のような形で、自分と周りの認知を変えたい人が集まる場にしたいと語ります。最終的には、自ら社会変革をやっていく会社がそこから増えてほしいと言います。
日本企業もやってきた「認知の転換」
篠田さんは、認知の転換の具体例として、日本企業のキャリア採用の広がりを挙げます。かつては珍しかった大企業間の転職が、今では戦略として位置づけられ、発表されるようになりました。
コロナ前まではそうした議論はほとんどなく、「若手が辞めたらどうするのか」という質問が経営者や人事から多く寄せられていたと言います。
離職率が急に変わったわけではないものの、人は辞めるという前提を受け入れ、人事戦略に組み込むという認知の転換が起きたのです。
篠田さんは、認知の変化が構造の変化を起こすという話を聞いて、それを日本企業がやったことがないわけではないと気づいたと述べます。
今伺っていて、いやそれめっちゃむずいじゃんってもし思った方がいたとしたら、いや、やってますよっていうのだけ。
深井さんは、日本のポテンシャルの高さにも触れます。ポスト資本主義の研究を通じて、日本のビジネスパーソンがこれから価値を出せるフェーズにいると感じていると言います。
一方で、日本は状況理解、とくに社会科学が歴史的に苦手だと深井さんは指摘します。自然科学者は多く輩出しても、世界的な社会科学者はあまり出ていないと言います。
これも苦言ではなく弱みとして受け取ってほしい、と深井さんは繰り返します。弱みだと認識することが、認知転換の第一歩になるからです。
ノブさんは、マレーシアから見ると、日本では当たり前のことが海外では当たり前ではないと語ります。内側からは見えないものを、外からの視点や構造理解が見えるようにしてくれると言います。
目指す未来と、構造理解が個人を助ける理由
篠田さんは、Co-Labもコンソーシアムも進めた先で、どうなれば「やってよかった」と思えるのかを尋ねます。
深井さんの描く最終的な状態は、働きたいときに働きたい形で働くことを選べる労働市場です。出産や子育て、介護といったライフイベントがあっても、働き方を選べる状態を意味します。
深井さんは経営者に対して、リソースが調達できずに死ぬという歴史の教訓を伝えていると言います。女性の意思決定力が使えないことは、電力が供給できず何度も停電することと同等だという例えです。
競争環境では、リソース包摂力で勝敗が決まると深井さんは説明します。技術、資金、エネルギー、人的リソースのうち、これからは人的リソースだけで差がつく時代になると言います。
言語の壁が消える
生成AIなどの技術でホワイトカラーの労働市場がグローバル化する
雇用流動性が上がる
日本にいながら海外の仕事に就ける状態が広がる
人材が流出する
ジェンダーギャップや長時間労働があると、優秀な若手が海外へ向かう
深井さんは、現在ケア労働と仕事が完全にコンフリクトしていると指摘します。最もキャリアを築くのは、子育ても介護も病気の経験もない人たちです。
ケアをしたこともないし、されたこともないってことか。
しかし生成AIや量子コンピューターのような新しい技術がある前提では、その壁を超える働き方が築けると深井さんは考えています。ホログラムや非同期コミュニケーションの最適化が例に挙げられます。
新しい技術に合わせた規範を、日本がいち早く作るべきだというのが深井さんの提言です。安心安全という日本ならではの価値も同時に出せると言います。
ノブさんは、マレーシアでは女性が半分ほど役員や上司にいるのが普通だと現場感を語ります。優秀な人材が日本に興味を持ちつつも、長時間労働や忖度のイメージから、実際に来ても1年ほどで帰ってしまう例があると言います。
最近は母子留学もそうですし、かなりマレーシアの方に日本人の女性の方が働きに来られてるケースがすごく増えてきてたりするんですよね。
篠田さんは、この話が誰かの犠牲ではなく、働く人にとって選択肢が増えるルートとして整理されている点を評価します。
その一方で、認知のフレームが違えば受け取り方も変わってしまうと篠田さんは指摘し、結局どこから頑張ればよいのかを最後の問いとして投げかけます。
深井さんの答えは、やはり構造理解です。この状況を生んでいる因果関係を知ることが決定的で、それ抜きに社会規範や労働市場を作為的に変えるのは無理だと言います。
自然に任せれば世代交代で変わっていくものの、それには10年ほどかかる可能性があると深井さんは述べます。自然より速く規範を変えるために、構造理解が必要なのです。
ノブさんは、大学で組織や人材マネジメントを教える立場から、構造理解が個人を助けると語ります。トラブルを人のせいや自分のせいにせず、構造として冷静に対処できるようになるからです。
この構造を知るっていうことが、なんかそういういらんストレスをなくしてくれるっていうのが、個人としての受け取り方の一つの、関心持っていただけるルートかなって思ったりしました。
深井さんは、男女は人口の半分ずつであり、対立しても社会は良くならないと締めくくります。人類の未来である子供は男女がいなければ生まれない以上、対立ではなく共通の課題として解消すべきだと述べます。
男性属性と女性属性のなんかその不幸なコンフリクトとか、防御態勢にお互い入っちゃうみたいなのは、なんかこのフェーズではもう解消した方がいい。
篠田さんは、この取り組みが従来のジェンダーギャップへのアプローチと違うと指摘します。人文知や構造理解によって、一社ずつでは越えられなかった領域に希望を持てるルートだと言います。
現場で長く取り組んできた人ほど、疲労感や絶望感、そして孤独感を抱えていると篠田さんは語ります。他業種にも同じことを考える人がいると知れることが、大きな支えになると言います。
いやもう希望って最高ですね。このエネルギーを、ちょっとほんといい方向に向かうためのプラットフォームが今まさに準備されつつあるということなのかなと思うので、とっても楽しみでございます。
まとめ
COTENのジェンダーインクルーシブの取り組みは、感覚ではなく社会科学の構造理解を出発点に、企業連合で労働市場そのものを変えようとするものです。Co-Labとコンソーシアムという二層の体制で、認知の転換を起点にした社会変化を目指しています。
- 膨大な研究をまとめた音源を招待制の限定公開とし、1万5000人に迫る人へ届けてきた
- ジェンダーギャップは会社ではなく労働市場の問題であり、一社では解決できないとして企業連合を組む
- Co-Labは経営者がコミットする少数精鋭、コンソーシアムはより広く約200社を想定した二層構造
- 社会はアクションではなく認知で変わるという歴史の知見が、取り組みの根幹にある
- 生成AIで言語の壁が消える時代に、ジェンダーギャップの解消は人材流出を防ぐ現実的なルートだと位置づけられている




