イスタンブールの料理教室は、なぜ全員日本人男性に?
イスタンブール滞在の初日はいわゆる観光地巡りでしたが、2日目はローカルな暮らしに触れる1日になったと3人は振り返ります。きっかけは、前週の配信で京大の山内先生が海外出張のたびに現地で料理を習うと話したことでした。
その話に「それいいね」となった3人は、収録が終わった瞬間にAirbnbエクスペリエンス ── 民泊サービスAirbnbが提供する体験予約の仕組み。現地の人が主催する料理教室やツアーなどに参加できますを予約しました。訪ねたのは、イスタンブールの海を挟んだ北側の住宅街に住むトルコ人女性、オズゲさんの料理セッションです。
オズゲさんの家は、急な坂道にペンシルビルのような建物が並ぶ一角にありました。入り方がわからずAirbnbのチャットで連絡すると、オズゲさんは窓から見つけると返してきたといいます。
(オズゲさんは)Airbnbのチャットで、「大丈夫、ビルの前に着いたら窓から見つけるから」みたいな。
オズゲさんは5階の窓から声をかけてくれるような、明るい人だったと3人は話しています。
料理教室の参加者には日本人もいると事前に聞いていたため、3人は何人かのうちの1人が日本人なのだろうと考えていました。ところが実際は、3人ともう1人の日本人男性だけという顔ぶれでした。
しかもその男性はPodcastのリスナーで、最初に3人を見て驚いた顔をしていたそうです。ニューヨークならともかく、イスタンブールでの偶然としてはすごい確率だと3人は笑います。
テーブルに並んだ4つの家庭料理
料理教室はダイニングキッチンの中央のテーブルに紙を敷いて進みました。3人が作ったのは、ピーマンの肉詰め、ビーツとヨーグルトのサラダ、チーズを皮で巻いて焼き揚げる料理などです。
ピーマンの肉詰めはトマト風味で、肉と一緒に米を入れるのが特徴でした。ビーツとヨーグルトのサラダには、すりおろした生のガーリックが結構入っていて、ピリッとした味だったといいます。
特に好評だったのが、カッテージチーズとイタリアンパセリだけを入れた、春巻きのような料理です。極薄の三角形の皮に具をほんの少しだけ乗せ、葉巻状に巻いていきます。
この巻物料理の具を多めに入れようとすると、オズゲさんから「トゥーマッチ」と言われたそうです。熱すると膨らんで破裂する可能性があるため、具は禁欲的な量にとどめる必要がありました。
(巻いた皮を)1センチくらいの油の中でコロコロしながら。そうするともう極薄の皮のパリパリしたテクスチャーがめちゃくちゃ軽くてすごい美味しかったな。
最後のデザートはオズゲさんが用意してくれたもので、セモリナ粉を使ったしっとりしたケーキでした。クスクスのような粒感が残り、上にはココナッツとレモンピールが振りかけてあったといいます。
この日の料理を整理すると、次のようになります。
| 料理 | 中身 | 特徴 |
|---|---|---|
| ピーマンの肉詰め | 肉と米 | トマト風味 |
| ビーツとヨーグルトのサラダ | ビーツ、ヨーグルト、生ガーリック | ピリッとした辛み |
| チーズの巻き揚げ | カッテージチーズ、イタリアンパセリ | 極薄の皮でパリパリと軽い |
| セモリナ粉のケーキ | ココナッツ、レモンピール | 粒感があり甘い。トルココーヒーと一緒に |
トルココーヒーの飲み跡で占う運勢とは?
デザートと一緒に出たトルココーヒーで、渡邉さんはコーヒー占いを教えてもらいました。渡邉さんは20年ほど前に、ジプシーの女性がコーヒーの飲み跡で運勢を占ったという話を本で読み、ずっと気になっていたといいます。
お茶会行くとさ、薄茶とか濃茶とか飲み終わった後の飲み跡の景色っていうのを見るんですよ。茶碗の底に。
渡邉さんは、茶道で茶碗の底に残る景色と、コーヒーの飲み跡には通じるものがあると感じていました。ただ、実際にどう読むのかは調べないまま、頭の片隅に置いていたそうです。
トルココーヒーは、インドネシアのコピのように粘りが強く、細かい粉がカップの底に沈殿します。この沈殿した粉を使った占いの手順は、次のとおりです。
オズゲさんの占いで渡邉さんが言われたのは、今後も旅をたくさんすること、そして近いうちに人生に関わる大きな決断をすることでした。
でもそれ(大きな決断)を良い方にしか働かないし、何か深刻なものっていうわけじゃないから緊張しなくていいのよみたいな。
渡邉さんはこの占いの言葉を、包み込んでくれる「母っぽい」コメントだと受け止めていました。一方で、10分待たなかったり、ミルクを入れてもらったりして占えなかったメンバーもいたようです。
私はトルコ人だから(ミルクを)入れていいけど、あなたは観光客だからダメ。
オズゲさんは、トルココーヒーにミルクを入れたいと言うと「一旦本式を飲め」と怒るような人でした。3人は、そうした率直な発言が多かったことも楽しげに振り返っています。
トルコ製の家電と住宅価格から見えた暮らし
オズゲさんはアンカラの大学を出たあと、サンディエゴでMBAを取ったらしいことが会話のニュアンスから伝わってきたといいます。渡邉さんにとって興味深かったのは、イスタンブールで暮らす同世代くらいの女性の住まいそのものでした。
オズゲさんの部屋は、ダイニングキッチンの奥にベッドルームがある間取りで、広さは40〜50平米ほどではないかと話されています。部屋には猫と犬もいました。
家電はトルコ製で、エアコンはBeko ── トルコの家電メーカー。冷蔵庫や洗濯機などを製造し、欧州を中心に海外でも販売されています、冷蔵庫や食洗機、コーヒーメーカーはアジュアというブランドだったそうです。
トルココーヒーが作れるコーヒーメーカーっていうのがめっちゃローカリティがあっていいなって。
渡邉さんによると、街中ではラバッツァのようなイタリア製のエスプレッソマシンが目につきます。それでも家庭に入るとトルココーヒー専用の機械を持つ人がいることに、外と中の違いを感じたといいます。
住宅価格の話も出ました。現地では70〜100平米ほどの物件が4,000万円ぐらいで、東京なら8,000万円から1億円ぐらいするのではないかと語られています。
70〜100平米で4,000万円ぐらい
同程度で8,000万円〜1億円ぐらい
ただし、価格は場所によって大きく異なるだろうとも話されています。オズゲさんの家は都心に近い良い場所ですが、毎日あの急な坂を上るのはしんどそうだという感想も出ました。
世界一周しながら料理を習う参加者と、トルコの味の正体
料理教室に居合わせた日本人男性は世界一周の途中で、各国で料理を習っていると話していました。その男性は家ではパートナーと子どものご飯を作る担当だといいます。
一人で世界旅行させてもらってるから、せめてものお礼に帰ったら世界の料理を作れるように学んでいますっていう、そういう感じだったね。
その参加者は揚げ方や火加減を近くで細かく観察していて、渡邉さんは本当に家族に作ってあげたいという意気込みを感じたそうです。渡邉さん自身も、あの薄い皮を買って帰りたいと話しています。
収録中には外で雹が降り出し、イスタンブールが思ったより寒いことにも触れられています。
トルコの家庭料理の味については、「なんだこの味」と驚くほどの違いはなく、普通に食べられたという感想でした。渡邉さんは、地中海っぽい味だったと表現しています。
渡邉さんが挙げた味の要素は、トマト、オリーブオイル、各種香辛料、レッドチリです。香辛料ではターメリックやクミンのほか、外国ではなかなか手に入らないという、梅干しのように酸っぱい乾燥フルーツも使われていました。
3人は料理教室を、外側からは見られない景色に触れる体験だったと振り返ります。今後の旅でもこういう体験をしたいという声も出ました。
玄関の仏像と色分けされた本棚
オズゲさんの家の玄関には仏像のオブジェがありました。深井さんがムスリムではないのかと尋ねると、一応属してはいるけれど熱心ではない、という趣旨の答えが返ってきたそうです。
Idon'tconsidermyselfMuslimみたいな。私は自分のことムスリムとは思ってないよみたいな感じ。
オズゲさんの発言の聞き取りは3人の間でも少し異なり、渡邉さんは家族はムスリムという意味かもしれないとも話しています。仏像は上から下へ水が流れる仕掛けのオブジェで、猫が水を飲むので止めているという平和な話でした。
オズゲさんの本棚は、色別に並べるカラーコーディング派でした。一番上が白、その下にブルーや赤が続き、下へ行くほど黒くなるグラデーションだったといいます。
だからサイズ派閥とジャンル派閥と色派閥があるんだよね、本棚。
本棚の最後にはスティーブン・キングの英語の本が3冊ぐらい面陳で並んでいて、「キングつええ」という感想も出ました。一方、本屋や前日に行ったライブラリーの本は基本的にトルコ語だったそうです。
料理教室の後に向かった生活の中のモスク
料理教室のあと、予定を決めていなかった3人は、オズゲさんにおすすめの近所のカフェを教えてもらい、歩いて向かいました。コーヒーで休憩していると、深井さんがモスクで礼拝したいと言い出したといいます。
アヤソフィアみたいな観光地的なモスクじゃなくて、たくさん住宅街に立ち並んでる生活の中のモスクに行って、一緒に礼拝させてもらえるんだろうかっていうところから始まったんですよね。
そのモスクで3人には「まさかの展開」と予期せぬ出会いがあったようです。その午後の出来事は次回に語られることになり、今回は予告で締めくくられました。
まとめ
イスタンブール編2回目では、住宅街での料理教室を通じて、観光地では見えない家庭料理、コーヒー文化、住まい、宗教との距離感が語られました。
- Airbnbエクスペリエンスで、現地女性オズゲさんの家庭料理教室に参加した
- ピーマンの肉詰めやチーズの巻き揚げなど、地中海風で食べやすいトルコ料理を作った
- トルココーヒーの飲み跡を使った占いを体験し、茶道の飲み跡との共通点も語られた
- トルコ製家電や色分けの本棚など、家庭の内側にローカルな暮らしが表れていた
- 料理教室の後に訪ねたモスクでの出来事は次回に続く





