なぜボドゲ作家にポートフォリオが必要になったのか
ボードゲーム作家のManaさんは現在、これまでの作品や作家としての活動への思い、自分がどんな人なのかを1つの資料にまとめています。きっかけは、日本の採択事業として発足したJ-TANというプロジェクトです。
Manaさんの説明では、J-TANは世界に向けて日本のボードゲーム作家を成長させ、広めていこうというプロジェクトです。以前の配信で応募を考えていると話していましたが、実際に公募が始まって要項を確認したところ、応募書類の中にポートフォリオが含まれていました。
ですので、まあポートフォリオが必要なのかと。で、私、ポートフォリオちょっと作ったことがなかったんですけども、今現在ちょっと頑張ってポートフォリオといったものを作っております。
J-TANでは、エッセン ── ドイツのエッセンで毎年秋に開かれる、世界最大級のボードゲーム見本市。各国の出版社や作家が集まりますなどへの渡航費の補助や、セミナー、第一線のボードゲーム作家からの助言が受けられるといいます。Manaさんにとっては、ぜひ参加したい刺激的なプロジェクトです。
なので、もうほんと今あるもので適当に申し込むっていうのではなくてですね、しっかりとちゃんとやっていこうと。
Manaさんは以前、自分のホームページを作ろうとしながら、考えがまとまらずに進んでいないと話していました。ポートフォリオ作りは、その考えを改めて整理するきっかけにもなると考えています。
とはいえ、ボードゲームのポートフォリオは難しいとManaさんは感じています。デザインやWeb制作、制作系の学生なら創作履歴をまとめる例がありますが、参考に見たポートフォリオは見せ方も仕立ても人によってまったく違っていたそうです。
Manaさんは、J-TANにはほかにも多くの人が応募すると見ています。リスナーにも、どんなポートフォリオを作っているのか教えてほしいと呼びかけています。
19ページの冒頭はプロフィールから
Manaさんはひとまずポートフォリオを作ってみたうえで、その中身と意図を紹介しています。まだ作成途中で変わる可能性があるとしつつ、同じく初めて作る人の参考になればという位置づけです。
現時点のポートフォリオは19ページほどです。Manaさん自身、この量が多いのか少ないのかもわからないと話しています。
たくさんのページ数があったとしても、多分読まれないですし、伝えたいポイントっていったものがブレちゃうのかなっていうところもありますし。
一方で、少なすぎても活動実績として物足りなく見えるおそれがあります。そこでManaさんは、ページ数はまだ意識せず、載せたほうがよさそうなものをまず入れていき、多すぎれば削るか複数の内容を1枚にまとめる方針をとっています。
ポートフォリオの最初は表紙、続いてプロフィールです。名前や概要に加え、出した作品数、ゲームマーケット ── 日本最大級のアナログゲームの展示即売会。同人やインディーのボードゲーム作家が新作を発表する主要な場ですへの出展回数、年齢、居住地、サークル名、受賞実績など、特徴的な情報を1枚目にまとめています。
自己紹介を最後に回す構成もありえるとManaさんは迷いつつ、今のところは前半に置いています。
2年で8作品、活動の歩みをどう見せるか
プロフィールの次は、これまでの活動を時系列でまとめた「ヒストリー」のページです。J-TANの案内には出展回数では評価しないと書かれていたものの、回数の話題も出ていたため、Manaさんはゲームマーケットへの出展履歴を書いておくことにしました。
このページには、デビューした時期、各回の出展と発表作品、そして海外ショップでの取り扱い開始などのトピックを並べています。Manaさんの歩みを整理すると、次のようになります。
2025年秋の時点では、Manaさん自身のサークルから5作、スイワークスから1作が出ています。1回の出展で2作ずつほど出すペースで、2026年春まで4回連続で出展してきました。
ずっと出続けていたのにちょっと出れなかったっていったところがあります。ですけども、新作はもうもちろん用意しているわけなんですね。
チリでの取り扱いは来年になりそうだとしながらも、ヒストリーにはその話まで書いています。Manaさんはこのページで、2年でおよそ8作品を出してきた歩みを伝えようとしています。
作品紹介の写真は「かっこよさ」より仕様重視
ヒストリーの後には、8作品のサマリーとして、プレイ人数、プレイ時間、対象年齢などを一覧できる表を置いています。そのうえで、作品ごとにスライドを1枚ずつ用意しました。
作品ページに書くのは、ルール説明ではなく概要です。作品名、キャッチコピー、特徴、受賞歴があればその情報を簡潔に載せています。
作品ページで特徴的なのは写真の選び方です。Manaさんは、かっこいい写真を載せても仕方がないと考え、商品の雰囲気や仕様がわかる画像をあえて選んでいます。
載せているのは、箱と中身の写真です。箱は上面と2つの側面が写る「3面取り」のブツ撮り ── 商品そのものを撮影する写真のこと。形や質感、仕様が伝わるよう、背景をシンプルにして撮るのが一般的ですで撮り、中身のコンポーネントの写真も添えています。
なのでかっこつけるっていうよりも、内容がパッとわかるっていったところをちょっと意識しております。
ただ、8作品すべてにスライド1枚ずつ使うと長いとManaさんは感じています。しっかり説明するのは代表作に絞り、残りは一覧にまとめるかどうかを検討しているところです。
作品の根っこにある「5つのしこう」とは
自分が何者で、何をしてきて、どんな作品を作ったかを示した後、Manaさんのポートフォリオは「なぜそうしているのか」という内面の話に移ります。そのためのページが「制作で大切にしている4つのこと」です。
Manaさんが気にかけているのは、言語に依存しないこと、コンパクトであること、ルールが簡単であることなどです。また、特定のジャンルに偏らず、さまざまなジャンルに挑戦しています。
たとえば『バーストオブマナ』はアブストラクト ── 運の要素や物語性を抑え、純粋な思考で勝敗を競うタイプのゲーム。囲碁やチェスが代表例です、『ザ・セント・オブ・ジェラシー』はトリックテイキング、『バードブレインコーラス』はポーカーとドラフトの要素を持っています。ほかにも、心理戦の『鬼遊灯』、じゃんけん系の『ルース』、メモリーゲームの『パロパロ』があります。
Manaさんはこの幅をさらに広げたいと考えていて、最近特に作りたいのはワーカープレイスメント ── プレイヤーが手駒を盤上の行動スペースに置き、資源獲得などのアクションを選ぶ形式のゲーム。中量級以上の作品に多く見られますだといいます。
さらにManaさんは、企業理念にあたるような制作のコンセプトを「5つのしこう」として整理しています。同じ「しこう」という読みの5つの言葉に、創作への思いを重ねたものです。
1つ目の「嗜好」について、Manaさんの作品はキッズ向けが少なく、エレガントでラグジュアリーなデザインが多いといいます。「大人の嗜好品としてのボードゲーム」その背景には、Manaさんの頭の中にある次のような世界観があります。
イメージ的にはなんかラグジュアリーな空間で、もう格好つけた大人たちが真剣にゲームを遊ぶみたいな、そういった世界観が常に頭の中をよぎるんですね。
3つ目の「志向」は、番組名の「ボドゲの天下取り」にもつながっています。作ったものをただ出すだけではなく、高い目標を掲げて進みたいという思いです。
Manaさんは、この5つが自分の創作活動において重要なポイントだと気づいたといいます。ただし、こうした自分語りがポートフォリオとして審査する人に刺さるのかはわからず、受付終了までに大きく変えるかもしれないとも話しています。
実績、界隈での活動、そして話しながら見えた課題
ポートフォリオの後半は実績のページです。どこで売っているのか、どこに流通しているのか、どんな賞を取ったのかといった第三者評価に加えて、今後の展開もまとめています。
ボードゲーム制作以外の活動も載せています。Manaさんの場合は、この番組のBGMにも使われている「ボドゲしたい」という曲の制作、Podcastの毎日配信、Noteでの発信、FMラジオへの出演、審査員としての参加などです。
実際に自分のボドゲームを売る宣伝活動だけではなくてですね、結構界隈を盛り上げるような動きもできているとは自分なりには思っております。
さらに、作品がどのように紹介されているか、今後の夢、連絡先のまとめを入れて、全体で19ページほどになっています。
Manaさんは作った時点では手応えを感じて、この回の配信を決めました。ところが、内容を見ながら説明しているうちに、考えが整理されていったといいます。
そのため実際のポートフォリオは、ここから大きく変わる見込みです。それでもManaさんは、何から作ればいいのか雲をつかむような状態の人には参考になり、すでに作っている人には新しい気づきになればと話しています。また、ポートフォリオを作っている人には、コメントやXで作り方を教えてほしいと呼びかけています。
まとめ
Manaさんのポートフォリオは、J-TANへの応募をきっかけに作り始めたもので、プロフィール、歩み、作品、制作の考え方、実績という流れで構成されています。人に説明してみることで改善点が見えてくる過程も含めて、初めてポートフォリオを作る人にとって具体的な手がかりになる回です。
- 現時点の構成は、表紙、プロフィール、時系列のヒストリー、作品一覧と作品別ページ、制作の考え方、実績・活動、今後の夢、連絡先の約19ページ
- 作品写真は見栄えより、3面取りのブツ撮りとコンポーネント写真で仕様が伝わることを重視している
- 制作の軸を、嗜好・思考・志向・指向・試行の「5つのしこう」として言語化している
- ボードゲーム制作以外の、界隈を盛り上げる活動も実績として載せている
- 内容を声に出して説明するうちに課題が見え、今後大きく作り直す予定だという


