新作『バードブレインコーラス』のPVが完成
ボードゲーム作家のManaさんは、新作ボードゲーム『バードブレインコーラス』のPVが完成したことをきっかけに、この回のテーマを「ボドゲのPVはテンションが上がる」に決めました。
『バードブレインコーラス』のPVは、藍田あんさんが制作したものです。Manaさんはその出来をとても気に入っていて、めちゃめちゃテンションが上がっていると話します。
このPVはですね、藍田あんさんに作っていただいたんですけども、とってもすごいいい出来で、めちゃめちゃテンションが上がってるわけなんですね。
Manaさんはもともと他の人のボードゲームのPVを見るのが好きで、自身の過去作でもPVを出してきました。『バーストオブマナ』のほか、『ルース』『オニアソビ』『パロパロ』などにもPVがあります。
Manaさんにとって、PVが嬉しい理由は、自分が作り上げたボードゲームが別の形式で表現され、進化するように見える点にあります。
自分が作り上げたボードゲームがですね、いわゆる他の形になって、他の形式になって、またこうなんだろう、表現されるというか、再現されるというか、別の形に進化をするみたいな展開をされるみたいなもの。
これがですね、もうめちゃめちゃ嬉しいというか、テンションが上がるんですね。
「すごくかっこよくなった」「こういうふうに表現されるんだ」という発見が楽しいと、Manaさんは率直に語っています。
なぜPVを作るのか、正直な答えは「自己満足」
完成報告だけでは芸がないとして、Manaさんはボードゲームの PVそのものについて考えを話していきます。最初に挙げたのは、なぜPVを作るのかという問いです。
正直言うと自己満足です。はい、完全に自己満足ですね。作ってテンションが上がりたいがためっていうようなところがありますと。
Manaさんが「自己満足」とまで言う背景には、ボードゲームのPVは広告として使うのが難しいという実感があります。
そのため、Manaさんの作品のPVは基本的に長くしないようにしています。今回の『バードブレインコーラス』のPVも、1分以内にコンパクトにまとめられました。短くする理由は、そもそも動画がなかなか見られないからだといいます。
PVが見られない、YouTubeとXでの壁
Manaさんが最初にPVを作ったときも、自己満足の気持ちは強かった一方で、宣伝に効果的に使えるだろうとも考えていました。PVはプロモーションビデオ、つまり広告の一形式で、自分の世界観を表現できると期待していたからです。
しかし実際には、Manaさんのボードゲームの PVはあまり見られませんでした。YouTubeに上げても、チャンネル自体が伸びていなければ見られないといいます。
興味があるもの、もともと調べているものじゃないと最後まで見られないんですね。
作品名で検索しないとPVは出てこず、レコメンドに出ても、知らない作品のPVをわざわざ見る人は少ないとManaさんは指摘します。
X(旧Twitter)に投稿したPVは少しは目立つものの、視聴維持率を見ると冒頭だけで離脱されるパターンが多かったそうです。
そこでManaさんは、SNSではもっと短いバージョンを使うようになりました。ブースカットが少し動く程度の映像のほうが、アイキャッチとして見られやすいといいます。
投稿
YouTubeやXにPVを上げる
発見されにくい
チャンネルが伸びていない、作品名で検索されないと出てこない
冒頭で離脱
知らない作品のPVは冒頭だけ見て終わる
対応
SNSではブースカットが動く程度のショート版を使う
興味を持った人にPV本編へ進んでもらうまでのハードルが高く、広告としての使い道にはManaさん自身も悩んでいると話します。
展示会やゲームマーケットでは「リッチな看板」になる
自己満足で、広告としても使いにくいのに、なぜManaさんはPVを作り続けるのか。答えの一つが、展示会やゲームマーケットのような会場での活用です。
動画として用意しておけば、会場でタブレットやノートPCで流しておけます。PVはもともと目立つように作られていて、各シーンに気になる要素が入っているため、歩いている人の目を引きやすいといいます。
ManaさんはこれまでPodcastで簡単なルールの重要性を話してきましたが、PVにはそうした簡単なルールや気になる言葉がパパッと出てきます。それが会場で人の足を止めるのに役立つと考えています。
例えばイベントで歩いてる人たちの目に留まって足を止めるっていうようなところ、それには十分寄与できるんじゃないのかなっていうふうに思っておりますと。
Manaさんの整理では、ボードゲームのPVはデジタルサイネージ ── ディスプレイなどの電子機器で映像や情報を表示する広告媒体。駅や店頭などで使われる電子看板のことですや、看板のリッチ版のような扱いに近いといいます。
売上に効くのはPVよりプレイ動画
一方で、ボードゲームの購買やルール理解を深める目的では、Manaさんはプレイ動画のほうが強いと見ています。とくに有名なインフルエンサーが「遊んでみた」と紹介する動画は、売上の伸びに寄与しやすいといいます。
目立つ映像で世界観を伝え、会場などで人の足を止める看板のような役割
ルール理解や購買につながりやすく、インフルエンサーの遊んでみた動画が特に強い
そのためビジネスの観点では、PVはまだ使いどころが難しいとManaさんは話します。それでもテンションが上がるので、PVは大好きだといいます。
Manaさん自身は、特定の作品に興味があってPVを見るというより、いろいろなPVを見たいという気持ちがあり、そうした需要は意外とあるのではないかとも感じています。
ボードゲームのPVはなぜまだ少ないのか
ManaさんがYouTubeでボードゲームのPVを探してみたところ、そもそもPVを作っている人が少ないという印象を持ちました。
作り手が少なければ目立つのではとManaさんは考えましたが、実際の再生数はそれほど多くありません。どのPVもかっこよく作られているのに、苦戦しているように見えるといいます。
それでもManaさんは、ボードゲームのPVは今後増えていくと予想しています。X上ではプレゼント企画やブースカットの公開、広告バナー、紹介イベントなど、いろいろなプロモーションが試されていて、その中でPVを作る人も徐々に増えているからです。
課題は、PV制作を自己満足からどうビジネスへ展開するかです。費用をかけてPVを作った人が、その費用をペイできるだけの売上につながっているかというと、苦戦しているのではないかとManaさんは見ています。
それでも『バードブレインコーラス』のPVには簡単なルールや楽しみのポイントが随所に入り、世界観も合っていて、Manaさんは藍田あんさんに感謝しかないと話しています。
『バーストオブマナ』で作り分けたPVの結果
PVの使い道を考えるうえで、Manaさんは過去作『バーストオブマナ』での経験を挙げます。『バーストオブマナ』では、短いバージョン、ルール説明用の長いPV、世界観推しのPVのショート版とロング版など、複数のPVを作りました。
YouTubeチャンネルのトップに置いておけば、別の動画から興味を持ってチャンネルに来た人が見てくれるといいます。再生数は多くないものの、どの作品のPVもポロポロと見られ続けているそうです。
一切作る意味はないよっていうことは言わないですけども、全然意味があるし、好きな人には好きな形で伝わるのはいいんですけども、
うん、それをどう展開していくかなんですよね。難しいのは。
冒頭1〜2秒で掴むか、広告と見なされて飛ばされるか
ボードゲームのPVについては界隈で議論も盛んです。Manaさんは、昔より動画は見られるようになった一方で、視聴者がどんどんせっかちになっていると指摘します。
興味がなければ動画を見ようとさえ思わず、見ても違うと感じればすぐ離れてしまう。X上では自動再生で見せられても、冒頭が微妙ならスルーされるといいます。
冒頭のほんと1秒2秒とかでもうちゃんとキャッチしないとそもそも見てくれないっていったところが、この動画界隈、X上での動画界隈ですとか、そういったものにももちろん該当してしまうんじゃないのかなとは思います。
ただ、ボードゲームのPVは冒頭で強く掴む作りにしにくいとManaさんは話します。X上の動画広告ではスマホゲームなどのデジタルゲームがCMを大量に回していて、冒頭から強いワードを出すのが定番になっているからです。
冒頭を強めればキャッチ効果は出るかもしれませんが、CMっぽくなるほど「広告だ」と思われて飛ばされる効果も出ます。とくにボードゲーム好きな人ほど、「また広告か」と素通りしてしまうといいます。
PVは企画や作品紹介と組み合わせる
そこでManaさんは、ボードゲームのPVは単体で流すのではなく、何かしらの企画と合わせるべきだと考えています。動画専門の企画なら、動画に興味がある人が集まり、積極的に見てもらえます。
もう一つは、自分の作品がどんなゲームかを告知したうえでPVを載せる方法です。Manaさんは、読み手の気持ちが段階的に高まるストーリーの中にPVを組み込めると話します。
あ、興味がある、面白そう。さらにこういうゲームなんだ。ふーん。あ、PVもあるんだ。見た、世界観伝わった、めっちゃ楽しそうじゃん。
ただし、こうした効果は計測しにくいのが悩ましい点です。Manaさんは視聴維持率を見れば計測できるかもしれないとしつつ、まだ迷いがあると話しています。
Manaさんは、PVは今後も流行り、プロモーションへの使い方の議論も活発になっていくと見ています。せっかくのいいPVを広めるため、ボードゲームの動画マーケティングを研究していきたいといいます。
プレイ動画にも通じる「動画マーケティング」の考え方
Manaさんは、売上面ではプレイ動画のほうが強いと改めて認めます。ただ、プレイ動画も見てもらうために冒頭にハイライトを置いたり、編集点を工夫したりしていて、考え方はPVと同じだといいます。
PVの立場、使い道、告知方法を形式化できれば、ボードゲームのPVの活用は一気に広がるかもしれないとManaさんは考えています。その使い方自体が、作品の差別化にもつながりそうだと話します。
ストック型のボードゲームだからPVが活きる
Manaさんは、今はPVが成果につながるかわからないと思いつつも、今後は効果があると見ています。理由は、ボードゲームがストック型の商品であることです。
PVを作り続けていれば、YouTubeなどで誰かが過去作品に気づいたとき、まず雰囲気をパッと伝えられます。そこから詳しく調べてもらうルートもあり、PVはいろいろな場所へのハブや起点になると話します。
毎回しっかりと綺麗なPVを作っているっていうだけでも結構差別化になって、ブランディングにも寄与していくのかなとは思っておりますので、
Manaさんは今後も積極的にPVを作り、動画マーケティングの研究成果がまとまったら配信で紹介したいと締めくくっています。
まとめ
新作『バードブレインコーラス』のPV完成に喜ぶManaさんは、PV作りを正直に「自己満足」と認めつつ、会場での看板代わり、作品告知との組み合わせ、過去作への入り口など、ボードゲームならではの活用法を探っています。
- ボードゲームのPVはSNSでは冒頭だけで離脱されやすく、広告として売上に直結させるのは難しい
- 展示会やゲームマーケットでは、目を引くPVが人の足を止めるリッチな看板として役立つ
- 購買やルール理解には、インフルエンサーによるプレイ動画のほうが強い
- PVは単体で流すより、企画や作品紹介の流れの中に組み込むのが有効と考えられている
- ストック型のボードゲームでは、PVが過去作への入り口となり、差別化やブランディングにもつながる



