ボードゲーム関連の仕事は収益になるのか
ボードゲーム作家のManaさんは、この回で「ボードゲーム関連の仕事は、収益を得られるパッケージとして成り立つのか」というテーマを掲げます。ゲームを作る、デザインする、販売する、宣伝するなど、ボードゲーム界にはさまざまな仕事があります。
Manaさんによると、ボードゲーム作家に限らず、ボードゲームに関わる活動だけで生活したい人や、お小遣い程度でも収入につなげたい人は多いと考えられます。
Manaさん自身も自作のボードゲームを作って売っていて、そこから派生するサービスをやってみたい気持ちはあるものの、まだ手をつけていないといいます。
(ボードゲーム制作から)派生するような何かサービスとかできたら面白いかなとは思っているんですけども、まだ自分ではやっていないんですね。
なぜココナラの出品一覧を調べたのか
Manaさんが調べた対象は、スキルの個人間取引ができるプラットフォームのココナラ ── 個人が自分のスキルを商品として出品し、ほかの個人や企業がそれを購入できるスキルマーケット。イラストや文章、相談など幅広いジャンルがありますです。プロジェクト単位で案件を依頼する仕組みで、出品者には個人が多く、比較的安価に頼めるのが特徴だと説明しています。
同様のサービスとしてはクラウドワークス ── 企業や個人が仕事を発注し、フリーランスが受注するクラウドソーシングサービスやランサーズも挙げられます。そのなかでも個人が手軽に出品する色合いが強いのがココナラだとManaさんは見ています。
ココナラでボードゲーム関連の出品を探すと、作品づくりの過程で得た知見やスキルを仕事にしている人や、ボードゲームを作りたい人向けのサービスが比較的多く見つかったそうです。ただし、実際に発注を受けられているかどうかまではわからないと断っています。
やはり多いのはイラストと説明書のDTP
ココナラのボードゲーム関連出品で最も多かったのは、Manaさんのイメージどおりイラスト系でした。カードのイラストやキャラクターを描くというデザイナーやイラストレーターの出品が目立ちます。
なかには「何でも描きます」ではなく、カードゲームのイラストやボードゲームのキャラクターと明言している出品者もいたといいます。
Manaさんは、ボードゲームを作りたいがデザインをどうするか迷っている人にとって、ココナラで依頼先を探すのはありだと考えています。
ある程度実績とかが出てきてしまうと、こういうサービスで募集するっていうよりも、実際のツテとかコネですとか、あとは知名度ですとか、そういったものから仕事が膨らんでいくっていうのが多いとは思うんです。
イラストから少し派生した仕事として、説明書のDTP ── デスクトップパブリッシングの略。パソコン上で文字や図版を組み、印刷物の版面を作る作業を指しますを請け負う出品もありました。紙面レイアウト、印刷会社への入稿、色味の調整などを担い、ワード原稿や図版を渡すと綺麗に仕上げてくれるサービスだそうです。
ほかにも、書道家がゲームのロゴを筆文字で書くという出品もあり、既存フォントではない特徴的な和風ロゴを求める人向けのサービスとして紹介されています。
説明書の校正サービスに需要があるのはなぜか
説明書の校正サービスもココナラで多く見かけた出品のひとつです。内容の矛盾、誤字脱字、わかりやすさなどをチェックするもので、X上でもよく見かけるといいます。
有名なところでは「HEY!さんの校正サービス」が人気だとManaさんは紹介しています。無料で校正を引き受ける人もいて、依頼する人も一定数いると考えられます。
Manaさんは作家の立場から、ボードゲームの説明書は分かりにくく細かいうえ、一箇所直すと他も直す必要が出て、しっちゃかめっちゃかになりがちだと話します。
見れば見るほど、やればやるほど、作者自身ってもう内容わかっていますから、目が滑るんですね。
作者の脳内では誤字や違和感が勝手に補完されてしまうため、第三者の目で直す校正サービスには需要があるというのがManaさんの見立てです。知見と実力がある人なら、校正サービスを立ち上げるのも面白いかもしれないと話しています。
キャッチコピーやPV、消えたプレイ画像制作
校正がわかりやすさを担うのに対し、ゲームを魅力的に見せる部分を仕事にしている出品者もいました。キャッチコピーや箱裏の文章などのライティングで、販促やマーケティングに近い領域です。
一般流通に乗せて売りたい人には役立つかもしれず、その分野の知見がある人はこうした仕事をしてもよいとManaさんは話します。販促物としてはPV(プロモーションビデオ)の制作も見かけたそうです。
一方で、以前はあったのに最近消えたのが、ゲームのプレイ画像を作るサービスです。盤上に駒やカードが並ぶプレイ風景の画像を、箱裏などに載せたいという需要に応えるものでした。
箱を印刷する段階では中身がまだ製造されていないため、プレイ風景を実写するのは難しいといいます。そこでデザインデータから3Dのプレイ風景画像を作り、クラウドファンディングや箱裏に使えるようにするサービスがありました。
箱の印刷
中身の製造より先に箱を作る必要がある
実写できない
プレイ風景を撮影する現物がまだない
3D画像の制作
内容物のデザインデータから立体的なプレイ風景を作る
活用
クラウドファンディングや箱裏に掲載する
この3Dプレイ画像制作サービスが今のココナラで見当たらない理由について、Manaさんは、AIで比較的作れるようになったのか、そもそも需要がなかったのか、箱裏にプレイ画像を載せる大手は自社で作っているのか、とあくまで推測として挙げています。
3Dプリンターやレーザーカットで部材を作る
ココナラには、ボードゲームの中身の部材を作るサービスも並んでいました。設備を持つ人が、自分の機材でオリジナルコンポーネントを作るタイプの出品です。
Manaさんが見かけたものは次のとおりです。
- 3Dプリンターによるオリジナルコンポーネント制作
- 金属へのエッチング加工
- アクリルや木材のレーザーカット
- オリジナルのサイコロやレジンでの一点制作
他と違う独自のコンポーネントを小部数で作りたい人には使える選択肢です。Manaさんは、自分のゲームのために機材を買った人が、その機材を他の作家向けのサービスとして開くのも面白いと話しています。
完成品まで届けるオールインワン制作代行
ココナラには、デザインから印刷会社への入稿までを一括で請け負い、完成したボードゲームを納品するオールインワン型のサービスもちらほらありました。カードイラストから説明書まで手がけ、50個や100個単位で納品するといった出品です。
Manaさんは、この制作代行の依頼主として、小さな飲食店や企業のオリジナルゲーム、ノベルティ、結婚式などのイベントでの配布物を想定しているのではないかと見ています。たとえば夫婦オリジナルのボードゲームを来場者分作るような企画です。
一から全部自分でやるインディーズ作家にとって、この制作代行のジャンルは仕事になり得るとManaさんは考えています。ただし実際の需要の大きさは見えてこないとも付け加えています。
ボードゲーム作家の収入源は、自作を販売する以外にもあると整理されています。
| 形態 | 内容 | 仕事の取り方 |
|---|---|---|
| 自作販売 | 自分で作った作品を自分で売る | 自身の販売活動 |
| ライセンス契約 | 出版社にルールを提供し印税を得る | 出版社との契約 |
| 企業案件 | 企業オリジナルのゲームを制作・支援 | ツテや営業、ココナラなど |
企業向けのいわゆるBtoB ── Business to Businessの略。企業が企業を相手に商品やサービスを提供する取引形態を指しますの案件は、ツテや自分からの営業で取るものだと思われがちですが、ココナラでも案件が立ち上がっていたことから、Manaさんは一定の需要があると見ています。
なかなかボードゲーム作家の人、お仕事募集してるのってそう見かけないので。
Manaさん自身も企業案件をやってみたい気持ちはあるものの、営業する時間がなく、営業の仕方もわからないといいます。Xで受け付けると告知すれば来るのか、ココナラに出せば来るのか、と迷いを口にしています。
ゲーム制作の「教えます」はありか
ココナラには、ゲームの作り方を教える、企画・制作・運用の相談に乗るといった出品も多くありました。ただ、Manaさんは出品者の名前を見かけたことがなく、どんな人なのかが気になるといいます。
初めてボードゲームを作りたいが何から始めればいいかわからない人は、こうしたコンサルのようなサービスを使うのかもしれない、とManaさんは理解を示します。
一方で、Manaさん自身がボードゲーム制作の指導サービスを出すことには、ためらいがあると話しています。
言葉悪いですけど、情報商材というか、そんな匂いとかもちょっとしますし、
私自身もまだまだボードゲーム作りでこうやったらいいってお金をもらって教えられるような立場じゃないなっていうふうには個人的には思っているんですね。
教えることで自分も成長する、値段が付くかどうかは市場が決めるという考え方もあるとしつつ、「作り方教えます、10万円で」などとやれば炎上しそうだとも話します。
指導サービスを利用してゲーム化に至ったという声が見えればよいものの、そうした体験は本人が話さないと表に出にくく、判断が難しいとManaさんは感じています。それでも、作家の新たな収入源として実際に存在することは確認できたとまとめています。
急増するブラウザゲーム化と、変わる需要
いまココナラで急激に増えているのが、ボードゲームをブラウザで遊べるようにするという出品です。しかも、どれも価格がかなり安いといいます。
Manaさんは以前の配信でも触れたように、AIを使えばボードゲームをとりあえずブラウザで遊べるようにするだけなら誰でもできると話します。そこからUIや体験を考え、魅力的に仕上げるのは非常に大変だとも補足しています。
製造前のゲームの3Dプレイ画像を作る出品があった
プレイ画像の出品は見当たらず、安価なブラウザゲーム化の出品が乱立
プレイ画像制作が消え、ブラウザゲーム化が増えたことから、Manaさんは時代の流れによって仕事の需要は変わると、ココナラを見ながら改めて感じたといいます。
Manaさん自身は何を仕事にできるのか
ココナラの出品を踏まえて、Manaさんは自分がどうするかを考えます。まず自分のボードゲームを作って実績を積まなければ、他の仕事を受けるのは難しいとしつつ、せっかく活動しているなら何かしら受けたい気持ちもあるといいます。
ただし、募集の仕方がわからず、校正のように自信を持って提供できるパッケージサービスもまだないと話しています。
情報発信やマーケティングを仕事にする案についても、Manaさんは慎重です。成果を示すには販売実績や知名度が必要で、何十万個、何百万個を自力で売ったと言えるほどの根拠はないといいます。
相談してそれに回答するっていう話であれば、皆さんが役立つようなやり方、仕方みたいなものは、こういう風に情報発信として届けていきたいですし、
まだまだ私はこう教えるっていうよりも、学ぶ、教えてもらうっていうことが多かったりしますので、
テストプレイ代行は隙間になるか
ココナラで意外と見当たらなかったのが、テストプレイを何回も回すといった人力系の仕事です。Manaさんは、もし需要があれば隙間になるかもしれないと話します。
一方で、ボードゲーム市場はまだ小さくお金になりにくいため、案件が今あるものに限られているのかもしれないとも考えています。
それでもココナラの案件を見ると、市場の動向や需要の流れが見えてくるため、Manaさんは実際にちょくちょくチェックしているそうです。今は有名な人が、かつてココナラで案件を募集していた例もあったといいます。
その人たちが出品をやめた理由について、Manaさんは依頼がなかったのか、ブランドにとってマイナスになるからなのかはわからないとしています。ボードゲーム業界も成長を続けており、こうした仕事の形もどんどん変わっていくだろうと、楽しみな様子で話を締めくくりました。
まとめ
ココナラのボードゲーム関連出品を見渡すと、イラストやDTPを中心に、校正、販促、部材制作、制作代行、指導、ブラウザゲーム化まで幅広い仕事が並んでいます。Manaさんは需要の実態は見えないとしつつ、出品の移り変わりから市場の流れを読み、自分にできる仕事を探り続けています。
- ココナラではイラストと説明書のDTPなどデザイン系の出品が特に多い
- 作者は自分の説明書に目が滑るため、第三者による校正サービスには需要がありそうだ
- 完成品まで届ける制作代行や企業案件は、インディーズ作家の仕事になり得る
- 3Dプレイ画像制作が消え、AIを使った安価なブラウザゲーム化が増えるなど、需要は時代で変わる
- ゲーム制作の指導やテストプレイ代行は、立場や需要を見極める必要がある領域とされている

