そもそも「35歳の壁」を考えたきっかけ
今回のテーマは、転職市場でよく言われる「35歳の壁」です。佐伯さんは、これが結局何を意味しているのかを自分なりに考えたと語ります。
佐伯さん自身は1991年4月生まれで、数か月前に35歳になったばかりだといいます。まさに「該当者」として、この線引きについて思考してみたそうです。
現在は上場企業の経営企画部に所属していますが、もともとマーケティングが好きだと話します。ある人に「マーケティング的な部門に行きたい」と相談したことが、この回の出発点になりました。
経営企画部で働いているんですけど、やっぱなんかマーケティングが好きは好きで、マーケティング的な部門に行きたいんですよね
その相談に対して返ってきたのが、キャリア的にマーケティング未経験の佐伯さんにとっては少し厳しい言葉でした。
転職市場もよく35歳と言われるけど、(マーケ未経験の)僕のキャリア的には、35歳からマーケに行くってちょっと遅めよね
この言葉に、佐伯さんはその瞬間イラッとしたと正直に振り返ります。ただ、冷静になると年齢で線を引く必然性は理解できると考え直したそうです。
(35歳という数字の線が)どういう、何なんだっていうのを考えてみたっていうのが背景ですね
なぜ「線を引く側」は年齢で切るのか
佐伯さんはまず、線を引きたいのは誰なのかを考えます。転職を斡旋する人や、人を採用する側の人です。
線を引く側からすると、採用対象者が過去5年や10年をどう過ごしてきたかは、履歴書ではわからず、面接をしても構造上つかみきれないと指摘します。
佐伯さんは自身のキャリアも例に挙げます。24歳で大学院を卒業し、新卒で今の会社に入って11年目。最初は研究開発を担当し、その後、経営企画に異動した人材です。
こうした経歴は履歴書にそれっぽく書けても、数年ごとにどんな仕事をして、どんな気持ちで、どんな強みを発揮したかまでは語り尽くせないといいます。
(履歴書には)その数年ずつにどんな仕事をしてきて、どんな気持ちになって、どんな強みを発揮してみたいなものって、語ろうと思っても語り尽くせないところが入る
だからこそ、分かりやすい指標で切るしかないという結論になり、その指標が35歳なのだろうと佐伯さんは考えます。
34や36、40との違いは合理的な根拠があるわけではなく、ひとまずの指標としての「決め」でしかないだろうと述べています。
専門性で切る部門と、切らない方がいい部門
次に佐伯さんは、35歳で切ったあとの集団について、どんな人材が求められるのかを考えます。ここで大きく2種類の部門があると整理します。
1つ目は、絶対的な専門性を要求される部門です。例として、新薬メーカーの薬理研究のような領域を挙げています。
こうした専門性が必須の部門では、まず年齢で切り、そのうえで過去10年ほどをその専門性に費やしてきた人を拾うのは合理的だと佐伯さんは言います。
一方で、「専門性があるに越したことはない」程度の部門は事情が違うと指摘します。蓋を開ければ、本当はもっと専門性が欲しいけれど、それがなくても回っている人がいそうな部門です。
そうした部門については、むしろ年齢で線を引かない方がいいのではないかとすら思ったと語ります。専門性がなくてもワークする部門なら、年齢で切る意味が薄れるからです。
年齢で切り、その分野に時間を投下してきた人を採るのが合理的
年齢や専門性より、持ち運べるスキルで選ぶ方がよさそう
年齢か、ポータブルスキルか
専門性がなくても回る部門で重視すべきものとして、佐伯さんはポータブルスキル、つまり持ち運べる汎用的なスキルを挙げます。
佐伯さんはポッドキャストやnoteでも、ハードスキルよりソフトスキルを持つ方がこれからのAI時代に重宝されると発言してきたといいます。人事の立場なら、そうしたスキルの有無で人材を選ぶ方がいいと考えたそうです。
ただ、ここに難しさが残ると佐伯さんは言います。ソフトスキルやポータブルスキルは、本人がいくら「ある」と言っても定量的に示しづらいのです。
ソフトスキルとかポータブルスキルの方が結局わからない、自分でどれだけありますと言っても、定量的に示しづらいみたいなものがあって
その結果、結局年齢で切るのが無難な選択肢になってくるのかもしれない、というのが佐伯さんのたどり着いた見立てです。
このポッドキャストの役割
最後に佐伯さんは、今日は自分としても構造的でない話をしてしまったと振り返ります。それでも、頭の中の思考をそのままアウトプットするのがこのポッドキャストの役割だと語ります。
蓄積した内容が、聞いてくれる誰かのひらめきにつながれば嬉しいと述べます。さらに、AIがもっと発展した時代を生きる将来の自分の資産になることも目指しているといいます。
そんな時代を生きる僕の何らかの資産になるんじゃないかみたいなことを目指して、このポッドキャスト淡々と続けていきたいなと思っている
まとめ
「35歳の壁」は、採用する側が候補者の過去を正確に測れないなかで、分かりやすい指標として引かざるを得ない線だと佐伯さんは捉えます。専門性が必須の部門では合理的な一方、そうでない部門ではポータブルスキルで見た方がよいものの、それが定量化しづらいため、結局は年齢に頼ってしまうという矛盾が語られました。
- 転職市場の「35歳」は、根拠のある境目というより、測りにくさを埋めるための「決め」の指標
- 採用側は候補者が過去数年をどう過ごしたかを履歴書や面接では測りきれない
- 専門性が必須の部門では年齢で切るのは合理的だが、そうでない部門では線を引かない方がよい場合もある
- 本来はポータブルスキルで選びたいが、定量化しづらいため結局は年齢が無難な指標になりやすい



