50歳という節目と、原点に帰りたくなる衝動
冒頭で村上さんが、7月5日に50歳を迎えた大長さんへお祝いの言葉を伝えます。大長さんは節目としての感慨を口にしつつ、営業スタイルの変化にも触れます。
営業のスタイル的に若手の可愛がってもらうタイプでずっと仕事してきて、僕からすると50は仕事しづらい。みんな年下になってきて、その可愛がってもらう営業スタイルが通用しない年齢になってきているので、一応感慨深いですね。
40歳ちょうどで起業した当時を振り返り、次の10年をどう生きるかを考えて新規事業のbridgeに賭けたと話します。
そして今、また原点に帰りたい、棚卸ししたいという衝動があると言います。その衝動が本になったのではないか、と大長さんは感じています。
本を書くことは「デフラグ」だった
7月13日に発売された初の著書『自走する新規事業のつくりかた』について、村上さんが話を向けます。
大長さんは、この10年間タスクやToDo、依頼されたことに応え続けてきたと振り返ります。
自走する組織はスキルやノウハウの話ではないのではないか、という問いは、以前から二人の話題に上がっていたそうです。ホワイトペーパーやブログで書いてきたことが、本という形にまとまっていきました。
PCで言うとデフラグ的な、いろんなものが緊密にテトリスのように入っていってるものを一回全部下ろすみたいなことが、この本のプロセスによってできた。なんか軽くなったっていう感じがあるなと思って。
柔術で取り戻した「身体感覚」
大長さんは、本による心の整理と柔術による体の変化が、同じ「原点に帰る」感覚だったと語ります。
コロナ以降、オンライン中心で頭で考えて進める仕事が増えるなかで、失っていた身体感覚を取り戻したかったのだと言います。高校時代にラグビーをやっていた頃の感覚に近いそうです。
これされると痛いし、重たいし、こういうふうにねじられると関節こうなるしみたいな。もうダイレクトに伝わってくるんですよね、柔術って。だから50で30年何のスポーツもしてなかった僕が、もう一回やってみようって思えたのかもしれないです。
心は本で整理でき、体は柔術で身体性を取り戻しつつある。大長さんは、そこからエネルギーがもう一度入ってきているような感覚だと話します。
これまでの仕事人生を棚卸しし、心を整理する「デフラグ」の役割
頭中心の働き方で失っていた身体感覚を取り戻す役割
歳も肩書きも関係ない「オールドルーキー」の清々しさ
柔術では50歳の白帯として、20歳ぐらいの若者にボコボコにされると大長さんは笑います。
それでも清々しいのは、年下であっても上の帯の人が丁寧に教えてくれる、先生と弟子のような関係があるからだと言います。
歳も肩書きも関係ない、本当の身体感覚だけのコミュニティみたいな。そういうところに51歳で入れたのも、自分の中では発見というか、清々しさが。
仕事では年下ばかりで、社長という扱いのなか怒られたり指摘される機会はほとんどない、と村上さんが指摘します。柔術のコミュニティは、そうした立場から離れられる場になっているようです。
村上さんは、仕事ではなかなかポジションやフィールドを変えにくいなか、別の場所でそういう機会を持てるのはいいと共感します。
なぜ柔術にここまでハマったのか
大長さんは、柔術に集う人たちの多くが自分軸で仕事をしていると感じると話します。平日の日中から週五日通える働き方をしている人が多いそうです。
経営者に人気のトライアスロンやマラソンとの違いにも話が及びます。大長さんにとって柔術は、脳内が空っぽになるマインドフルネスに近いものだと言います。
もうずっと相手と組んで対峙した五分間やってるんで、そこに全部の全思考と集中が行くっていうのは、マインドフルネスに近いんかもしれない、俺の中で。
相手がいて初めて成り立ち、一人では練習できない。先輩から教わってできるようになる。その部活のようなコミュニティ感が自分に合っていると大長さんは語ります。
トレイルランやゴルフも誘われて試したものの、そこまではハマらなかったそうです。対人で体のコミュニケーションを使って勝敗を決めていくところが、大長さんには合っていました。
50代の展望は「初心」、仕事も体も白帯から
村上さんが50歳になっての展望を尋ねると、大長さんの答えは「いかに青帯になるか」でした。まだ一勝もしていないと言います。
大会で優勝し、先生が向き合い方を認めて初めて一つ上の帯に上がれるルールだと説明します。青帯以上の相手には、体重が軽くても年上でもまず勝てないそうです。
上の人はその体の構造をめちゃくちゃ理解してる人たちがどんどん上に上がるんで、どこに入ると力が出るかとか、どうすると関節が決まるのかとかを身体的に身につけていく。
著書についても大長さんは、こういうことに貢献したいという「ラブレターのような本」だと表現します。これをどう届けていくかが次の一年のテーマになったと言います。
初心やな。やっぱ白帯やな。仕事も。体も白帯になったっていう。
村上さんは、この七年間見てきたなかで一番フレッシュで生き生きしていると伝えます。大長さんは、深めるテーマがあることが一番のやりがいで、結果は後からついてくると応えます。
まとめ
50歳という節目で、大長さんは本の執筆と柔術という二つのゼロからのスタートを選びました。心の整理と身体感覚の回復が重なり、歳も肩書きも関係ない「オールドルーキー」としての清々しさを楽しんでいます。仕事も体も白帯という初心に立ち返ることが、新しいエネルギーにつながっているようです。
- 40歳で起業した大長さんは、50歳で原点に帰りたくなる衝動から本の執筆に踏み出した
- 本の執筆は頭の中を「デフラグ」する作業であり、柔術は失っていた身体感覚を取り戻す挑戦だった
- 年下に教わり指摘される柔術のコミュニティは、社長という肩書きから離れられる清々しい場になっている
- 柔術は脳内が空っぽになるマインドフルネスに近く、対人で勝敗を決める点が大長さんに合っていた
- 仕事も体も「白帯=初心」として、深めるテーマを持つことが次の一年のやりがいになっている
