そもそもカスハラとは何か、なぜ回避が先なのか
この回のテーマは「カスハラしやすいお客さんを見分ける方法」です。吉田さんは自身もカスハラを受けた経験があると話しています。
そもそもカスハラとは何かについて、吉田さんは具体的な例を挙げています。大きなミスでもないのに土下座や責任者を要求してくる、電話越しや対面で長時間怒鳴り続ける、といったものがそれにあたります。
吉田さんは、今はカスハラ対策の条例もできて、社会的に対策していこうという流れになっていると説明します。
吉田さん自身の経験としては、「今すぐ来い」と言われたケースがあったといいます。当時は真面目にすぐ行ってしまったものの、振り返ればその必要はなく、あれはカスハラだったと語ります。
そのうえで吉田さんは、カスハラに遭ってから対策するより、そもそもカスハラと無縁でいるほうがいいという立場を示します。
カスハラにあって、それで対策するよりはカスハラと無縁な人生がいいと思うので、カスハラをまず回避する方法についてお伝えしていきたいなと思います。
吉田さんはカスハラをする人を「心が狭い人や自信がない人が多いのではないか」と観察しています。うまくいかなくなったときに当たり散らすケースが多いという見立てです。
ここから紹介される見分け方は、あくまで吉田さん個人の経験則です。統計ではないという前提のうえで、今後の対策の参考にしてほしいと話しています。
商談で警戒すべき客の3つのサイン
吉田さんが挙げる1つ目のサインは、代表者に異常にヘコヘコするお客さんです。「先生、先生、よろしくお願いします」とすごく低姿勢な人ほど、逆にカスハラしやすいといいます。
その理由について吉田さんは、そういう人は自分の評価が低く、とりあえず低姿勢で物事を進めようとしている、と説明します。自分が下でサービス提供者が上、という構図を持っているぶん、期待が外れたときにその関係が逆転してしまうというのです。
さらにこうした人は、意外にも従業員に対しては高圧的なことがあると吉田さんは指摘します。お客さんが自社スタッフに強く当たっている場面で、吉田さんが割って入ると態度が急に変わるといいます。
(お客さんが自社スタッフに)すごい強く当たってきてるなと思ったところで、私がカットインして入ったりすると、うわぁ、ありがとうございますみたいな感じになります。
2つ目のサインは、正規料金から意味もなく値引きを要求する人です。合理的な理由のある値引き交渉ならよいものの、理由もなく「とりあえず安くして」という人は後々面倒になりやすいといいます。
吉田さんは、値引きの場面ですでにカスハラの攻防が始まっている、という見方を示します。ここで一歩も引かないほうが、舐められずに済むと話しています。
値引きを要求してくるお客さんっていうのはカスハラするお客さんと近いと思ってるんで、気をつけてください。
3つ目のサインは、契約が始まっていないのにサービスを要求する人です。吉田さんの会社は初回相談を無料にしているため相談自体はフラットに応じますが、その範囲を超える要求をしてくる人には注意が必要だといいます。
具体的には、まだ契約前なのに「雛形をちょうだい」「うちに合った書類を出して」と成果物を求めてくるケースです。これは無料相談の範疇を超えており、危険なサインだと吉田さんは話します。
代表に異常にヘコヘコ
低姿勢な人ほど期待が外れると態度が逆転しやすい
理由なき値引き要求
合理的理由のない値引きはカスハラと近いと見る
契約前のサービス要求
無料相談の範囲を超えた成果物を求めてくる
契約書のどこを見れば危ない客がわかるか
商談が決まると、次は契約書のやりとり、いわゆるリーガルチェックに進みます。吉田さんは、この段階で特定の条文に修正を求めてくる人は後々大変だと指摘します。
その条文とは損害賠償の条項です。士業の契約書では、損害賠償の限度額が定められていることが多いといいます。
吉田さんは限度額の具体例を挙げています。報酬100万円の仕事なら100万円まで、月額報酬の6ヶ月分まで、あるいは1年分まで、といった形で範囲が決められているのが一般的だといいます。
問題になるのは、この限度額を全部外して無制限にしてほしいと求めてくるお客さんです。吉田さんは、こうした要求には絶対に譲らないほうがいいと話します。損害賠償のリスクの面でも、後々のカスハラの面でも意味があるという理由です。
4つ目のサインが、この損害賠償の限度額を外して無制限にしてくれと求めてくる人です。
5つ目のサインは、顧問弁護士の存在をちらつかせてくる人です。数は多くないものの、「何かあったら顧問弁護士に相談します」とすぐ持ち出してくる人は後々大変だと吉田さんはいいます。
ここまでの5つのサインを、吉田さんは改めて整理しています。いずれも統計ではなく、吉田さんの経験則である点が繰り返し強調されています。
これソースはですね、吉田経験則なんで、特に統計とかではないです。そんな前提で参考にしてください。
やばい客と契約してしまったときの断り方
ここからは、警戒しきれずに契約してしまったお客さんが「やばい」とわかった場合の対処です。吉田さんはまず、避けたほうがいい方法から紹介します。
避けたほうがいいのは、高い見積もりを出して断ろうとするやり方です。継続やサブスク型のビジネスで、次期の契約から料金を倍にするなど、相場よりはるかに高い金額を出して断ろうとする人がいるといいます。
吉田さんがこの方法を勧めない理由は、その高い見積もりが通ってしまったときにあります。報酬は増えても、そのお客さんの奴隷のように働くことになりかねないというのです。
(高い見積もりが)通っちゃった時が地獄じゃないですか。報酬がたくさんもらえるのはいいんですけど、その人の奴隷みたいになって働かなきゃいけないわけですよ。だからやめた方がいいと思います。
吉田さん自身の断り方は王道で、真正面から理由を伝えるタイプだといいます。定番は「当社のサービスではお役に立てないので申し訳ありません」と謝る形です。
ポイントは、「あの時の一言がムカついた」といった本音はあえて言わないことだと吉田さんは話します。お役に立てておらず、継続はかえって迷惑になるので今回限りで終了させてほしい、と丁重に伝えると意外とすんなり受け入れられるといいます。
ただし契約内容によっては、いきなり降りると相手が困るケースもあります。給与計算や税務申告のようなインフラ的なサービスでは、次のスイッチング先が決まるくらいの猶予を持って断るほうがよいと吉田さんは説明します。
吉田さんは、表向きには言えないとしつつ、嘘の理由で断るケースもあると率直に語っています。スタッフや自分の時間に余裕があっても、「スタッフのキャパが足りない」という理由で断ることもあるといい、最後は総合判断だと話します。
顧問弁護士という味方と、契約書での予防策
契約を断る場面で役に立つのが顧問弁護士だと吉田さんはいいます。法的なアドバイスそのものも価値ですが、それ以上に大きいものがあると語ります。
やっぱり自分の味方がこの世の中にいるっていうのがわかるっていうのがすごいありがたいですね。
吉田さんは、法的なトラブルになりそうになって弁護士に頼った経験のある人なら、この感覚に共感してくれるはずだと話します。誰と話しながら進め方を決めるかが重要だという見方です。
どうしても危なそうな客と契約せざるを得ないときの備えとして、吉田さんの会社は契約書の雛形に即時解約条項を入れているといいます。
具体的には、乙が甲の役員や従業員に高圧的な態度を取った場合には解約になる、という趣旨の条文です。契約面からもリスクヘッジしておくべきだと吉田さんは話します。
証拠を残す習慣と、スタッフが報告しやすい仕組み
吉田さんは実務的な話として、カスハラ対策には証拠が必要だと指摘します。そのため、何でも録画・録音する習慣を持ったほうがいいといいます。
リモート商談ではGoogle Meetの録画機能がカスハラ対策として強いといいます。電話も機種によっては自動録音があるため、記録が残るように活用すべきだと吉田さんは話します。
もう一つ吉田さんが挙げるのが、スタッフ自身がカスハラを受けていると気づいていないケースです。自社側に非がある場面もあるため、「あなたのはカスハラです」と言いにくい瞬間もあるといいます。
だからこそ、やりとりを可視化しておくことが大事だと吉田さんは説明します。スタッフとお客さんのやりとりが見える状態にしておくべきだという考えです。
さらに吉田さんは、カスハラを受けたスタッフに報告義務を設けることを勧めます。義務にすることで、自分のミスが絡む場面でも報告しやすくなるという理由です。
すごく真面目なスタッフさんだったら、私が間違えたからその上司に報告するなんて嫌だよねとかって言う人もいるかもしれないですけど、会社として報告義務があれば、それはあの相談しやすいと思いますから。
最後に吉田さんは、カスハラをする客は頼んでもやめないという前提を示します。「カスハラやめてください」と言ってパタリとやめることはない、というのがその根拠です。
おかしいなと思ったら、私はあの契約解消を前提にお話し合いをした方がいいかなと思ってます。
吉田さんの会社でも方針を変え、おかしいなと思ったらすぐ話し合い、継続できない旨をできるだけ早く伝えるようにしたといいます。
まとめ
この回は、社労士の吉田さんが自身の経験則から、カスハラをする客の見分け方と対処法を語ったものです。統計ではなく現場感覚に基づく話として、商談前の見極めから契約後の断り方、証拠と社内の仕組みづくりまでが扱われました。
- カスハラは遭ってから対策するより、そもそも回避するほうがよいという立場が前提になっている
- 商談段階の警戒サインは、代表への過度な低姿勢、理由なき値引き要求、契約前のサービス要求、損害賠償の無制限要求、顧問弁護士のちらつかせの5つ
- やばい客と契約してしまったら、高い見積もりで断るのは避け、丁重に理由を伝えて断るのが吉田さんの王道
- 顧問弁護士は法的助言だけでなく「味方がいる」という安心を与える存在で、契約書には即時解約条項を入れておくとよい
- 録画・録音で証拠を残し、スタッフの報告義務ややりとりの可視化で、カスハラを見逃さない社内の仕組みをつくる






