INSIDE TOYOTAで見た「図面の受け取り拒否」
今回はつねぞうさんが今週あったことを振り返る回です。まず取り上げられたのが、NHKの番組「INSIDE TOYOTA」を見た話でした。
新型カローラの開発現場に入り込んだ番組で、Xでも評判がよく議論が飛んでいたと話されています。
なかでも印象的だったのが、製造側が「今回この図面は受け取れません」と言う、図面の受け取り拒否の場面でした。
つねぞうさんの会社でも似た仕組みがあると言います。重要な設計では、図面を描く前に設計レビューを行い、3Dモデルを見せながら製造上の問題を話し合うそうです。
こういう設計でいくけど、これで図面出しちゃうけどいいよね、いいかなっていうタイミングですね。
図面は上流から下流へ一方通行で流れるイメージがありますが、受け取る側にも「ノー」と言う権利があるということです。
現場レベルで「ノー」と言えるチェック機構を持っていることが、強みだとつねぞうさんは話します。
設計段階から製造側に入ってもらい、作りにくさや工数のフィードバックを受けて設計を良くしていく仕組みが働いている証拠だと考えられます。
会議1時間、製造は6年という言葉の重み
もう一つ印象に残ったのが、会議で決まったことを製造側は6年やり続ける、という場面でした。
この6年は、トヨタの自動車のモデルチェンジ期間が大体6年であることを指していると考えられます。
会議は一時間でね、一時間の会議で決まったことを、この製造側は六年やるんだぞと。
1時間ほどの設計レビューで決めてしまったことを、製造側は良くも悪くも6年間作り続けなければなりません。かなり重みのある言葉だと話されています。
製品のライフサイクル全体のコストの8割は設計段階で決まると言われます。設計が良ければ製造もメンテナンスも廃棄も無駄が少なく、悪ければすべての工程で時間がかかってしまうということです。
つねぞうさんが設計する工作機械では、6年どころか10年、15年、20年近く製造し続ける機械もあると言います。
悪い設計の機械があったら、それをもう十五年、二十年作り続けないといけないと。
天下のトヨタも、規模は違えど自分たちと同じようなことを悩んでいる。番組を見て、つねぞうさんはそう改めて思わされたと話しています。
リバースエンジニアリングは普通のこと
番組では中国メーカーの自動車を分解して研究する場面もあり、その絡みでリバースエンジニアリングが話題になったそうです。
Xでは「リバースエンジニアリングはモラル的に問題があるのでは」という反応もあったと言います。
しかしつねぞうさんは、それはエンジニアの当たり前の業務の一部だと考えています。競合製品を研究するのは、この職業をやっている以上どうしても必要なことだからです。
自動車や家電、スマホは発売当日に分解され、バッテリーやカメラの構造が調べられます。テスラの分解なども堂々と行われている、とつねぞうさんは言います。
いや、それはもう普通だよと。皆さん普通にやってますよねというお話でした。
工作機械でリバースエンジニアリングが難しい理由
一方で、工作機械のようなBtoBの製品では、リバースエンジニアリングはなかなか難しいと話されています。
一般のお客様向けではないため、競合の機械を気軽に買って分解することができないのです。
たとえば自社が旋盤やターニングセンターを作っていなければ、専用メーカーから堂々と買ってこられます。
自分で持ってんじゃんと。自分のところでその機械持ってるよねと言われちゃうんで、そこはね、まあ多分売ってもらえないんですよね。
つまり、自社と競合する機械を「設備費で買いたい」と言っても、正当な理由とは見なされず入手が難しいということです。
ではどうするか。カタログやYouTubeの動画、SNSに上がる据え付けの写真などが重要な情報源になると言います。
購入したお客様が機械の写真を上げてくれることも増え、参考になる一方、メーカーとしては構造が分かる写真は「ちょっとやめてよ」と内心思ってしまうそうです。
ほかには展示会が貴重な機会です。ジムトフやIMTS、EMOなどで競合の機械をまじまじと見られます。
ただし展示会に出るのは運びやすく設置しやすい小型から中型の機械や、売れ筋の機械に限られます。大型機や数の出ない機械を扱う人は、競合機を見る機会が少なく辛いということです。
結局、お客様の工場でちらっと見せてもらう程度しかできず、少ない情報から地道に探っていくしかないと話されています。
吹奏楽コンクールに見た巧みなマネタイズ
ここで話は変わり、娘さんの吹奏楽のコンクールに行ってきた話になります。専用のホールで聴く演奏は一味違ってよかったと話しています。
驚いたのは、会場でその日の演奏を収めたDVDを予約販売していたことでした。
1日全部の演奏が入ったDVDは1枚6000円ほど、区切ったバージョンで4000円ほど、自分の学校の音源だけダウンロードできるQRコードは1000円ほどだったと言います。
さらに入場料も一人1000円ほどかかっており、こうした形でマネタイズしている業界なんだと感じたそうです。
これが成立するのは、コンクール中が撮影・録音禁止だからです。審査の妨げにならないよう、携帯の電源を切るアナウンスが繰り返されていました。
それを買わないと、まあ入手できないので、そこは非常にね、マネタイズがうまい仕組みになってるなと思いました。
もう一つ驚いたのが、新聞社もブースを出していたことです。購読契約をすると、リアルにできた管楽器のミニチュアがもらえる仕組みでした。
演奏を聴いて興奮状態で出てきた客に「あの楽器欲しいな」と思わせる、うまいやり方だとつねぞうさんは感じたそうです。
おもちゃの旋盤ノベルティ、とうとう配布
マネタイズの流れから、支部長さんが副業のマネタイズをうまくやりたいと話していた件にも触れられます。
AIに相談したところ「駅前に店は持っているが、商品とレジを置いていない状態」と言われたそうです。まずポンと買ってもらえるものが必要なのだろう、とつねぞうさんは話します。
その候補が、子供向けに工作機械を体験してもらう「おもちゃの旋盤」です。
そしてついに、そのノベルティが配布されました。金曜日に支部長さんが岐阜で開いた組み立て体験会で、つねぞうさんが作ったキーホルダーが配られたそうです。
評判は良かったとツイートしてくれたそうで、とうとうお子さんの手に渡ったかと感慨深いと話しています。最初に20個ほど送ったとのことです。
次は9月頭のメイカーズフェアで配布予定だそうです。ミニチュアキーホルダーはカラフルなバージョンを100個ほど作り、フィラメントがなくなった分はグレー一色のバージョンを制作中だと言います。
新しいテレビはチューナーレスに
最後は、新しいテレビを買った話です。家を建てたときに買った55インチのREGZAが、少し前から調子が悪くなっていました。
まずスピーカーがおかしくなり、次にバックライトが右半分だけつかなくなり、最近は勝手に電源が切れるようになってしまったそうです。
子供たちがゲーム中に電源が切れると大騒ぎになるため、いよいよ困って買い替えを決めました。
リビングのテレビはほとんど地上波を見ず子供のゲーム用になっていたため、チューナーレステレビを選んだと言います。
選んだのはXiaomiの55インチのチューナーレステレビで、6万円弱だったそうです。15年ほど前に買った55インチのREGZAが19万円ほどだったことを考えると、だいぶ安く買えたと話しています。
YouTubeやAmazon Prime、AbemaTVのアプリが入っているため、朝はAbemaでニュースを見ているそうです。
ただAbemaのニュースは芸能関係が多く、NHKも見たいと感じるため、朝のニュース用に小さいテレビをもう一つ買おうか悩んでいると言います。
まあただあの買い物としては非常に良かったと思います。うん、映像も綺麗だし、良かったなと思っております。
まとめ
INSIDE TOYOTAをきっかけに、設計の重みやリバースエンジニアリングの現実、そして身近なマネタイズの工夫まで話が広がった近況回でした。設計者としての責任感が、随所ににじむ内容になっています。
- 設計レビューでの図面の受け取り拒否は、現場が「ノー」と言えるチェック機構であり強みだと考えられます。
- 1時間の会議で決めたことを製造側は6年作り続ける。ライフサイクルコストの8割は設計段階で決まると言われます。
- リバースエンジニアリングはエンジニアの当たり前の業務だが、BtoBの工作機械では情報が少なく地道な研究が必要です。
- 吹奏楽コンクールは撮影禁止を前提としたDVD販売や、新聞購読とミニチュア特典など、巧みにマネタイズされていました。
- おもちゃの旋盤ノベルティがついに配布され、次はメイカーズフェアでの配布が予定されています。
