人間じゃなくても「推せる」のか?
今回の深掘りテーマは「AITuberを推せ」です。推し活の最前線として、AIが演じる配信者を取り上げます。
テーマを持ち込んだしぶちょーさんは、かねりんさんが最近推し活を勉強していることを理由に挙げます。番組自体も「推されるポッドキャスター」を目指さなければならない、という問題意識があります。
そう、だからやっぱ人となりとかね、人間だから推してるみたいなところが実はあると思いつきや。
しぶちょーさんもかねりんさんも、自分自身には強い推しがいないと話します。そのうえでしぶちょーさんは、専門家ではない立場から調べてきた内容をざっくり伝える回だと位置づけます。
そもそもVTuberとは?かねりんさんの意外な過去
AITuberを語る前提として、しぶちょーさんはVTuber(バーチャルYouTuber)を説明します。VTuberは人間の演者がいて、モーションキャプチャー ── 人の体や顔の動きをセンサーやカメラで読み取り、デジタルのキャラクターの動きに反映させる技術ですで3Dのアバターを動かし、声は地声やボイスチェンジャーで当てる配信者です。
かねりんさんは、モーションキャプチャーがなくても、スマホで口の動きを合わせるだけでもVTuberになれるのではと確認します。しぶちょーさんは、モーションキャプチャーが定番ではあるものの、スマホでできる形もあると答えます。
ここで、かねりんさんが自分も最初はVTuberだったと明かします。かねりんさんは当初、顔を出さずTwitterとVoicyの声だけで発信していました。
それこそそのVTuberみたいなアプリ使ってさ、ZOOM越しにさ、現地にiPad置いてもらってさ、俺、女の子のキャラで「こんにちは」とかやってた。
かねりんさんによると、これは2022年夏のイベントでのことです。しかしイベントの現場で熱量が上がるなか、言い出しっぺの自分が現地に行かないのは微妙だと感じ、結局は顔を出して会場に向かったといいます。
しぶちょーさんは、VTuberになる動機として「顔を出したくない」ことに加え、もう1人の自分を演じたいという需要もあるのではと話します。代表的なVTuberとしては、2016年に登場したキズナアイ ── 2016年に活動を始めたバーチャルYouTuber。「バーチャルYouTuber」という言葉を広めた存在として知られていますの名前が挙がりました。
中の人がいない配信者、AITuberの衝撃
VTuberの文化が広がると、演者をAIに置き換えようという流れが当然出てくる、としぶちょーさんは話します。それがAITuber(AIVTuber)です。
しぶちょーさんの説明では、AITuberには中の人がいません。LLM、TTS ── Text to Speechの略で、文字を音声に変換する音声合成技術です、アバターの制御を組み合わせ、自律的に発話したり反応したりする仕組みです。
人間の演者がいて、モーションキャプチャーなどでアバターを動かし、声も本人が当てる
中の人がいない。LLMとTTSとアバター制御で、自律的に話したり反応したりする
AITuberの勢いを示す例として、しぶちょーさんは2026年1月にTwitchで起きた出来事を紹介します。最大級のAIVTuberであるNeuro-samaが、アクティブサブスク数で16万2000人を記録したというものです。
人間のトップストリーマーをAIが抜いたという、そういう瞬間が今年あったらしいのね。
Neuro-sama ── イギリスの個人開発者Vedal氏が手がけるAI VTuber。Twitchなどで配信し、世界で最も成功したAI配信者の1人とされますの記録は人間のストリーマーをはるかに超える数字だといいます。AITuberはTwitchだけでなく、YouTubeライブなどさまざまなプラットフォームにいるそうです。
素人でもAITuberは作れるのか?
かねりんさんの「俺らも作れるの?」という問いに、しぶちょーさんは1冊の本を紹介します。2023年に出た『AITuberを作ってみたら生成AIプログラミングがよくわかった件』です。
しぶちょーさんによると、この本はOpenAIのAPIで回答させる基本から、OBS ── ライブ配信や録画に使われる無料の配信ソフトですとの連携、YouTube配信のコメントをAPIで取得して自動で読み上げる仕組みまでを網羅しています。ただし本の方法ではアバターは動かず、声と配信までの構成です。
ちょっと内容が古いから、多分このまま書いてある通りに実装しても動かないんだけど。そこら辺AIに補填してもらえれば、結構基礎的な知識だけでAITuberっぽいものは作れますよと。
しぶちょーさんはさらに、AITuberを作るためのオープンソースのソフトウェアが今はたくさん出ていると話します。LLMでの応答、TTS、アバターの動作、音声認識、配信のそれぞれに無料で使える部品があり、それらをまとめた開発キットもあるといいます。
費用について、しぶちょーさんはそれほどかからないと見ています。主にかかるのはChatGPTなどのAPI費用で、TTSには無料のものがあり、アバター用のLive2D ── 2Dのイラストを立体的に動かせるソフトウェア。VTuberのアバターによく使われますにも無料のモデルがあります。ただし、こだわりだすと費用は無限にかかるとも付け加えました。
AITuberを形づくる「魂」と「殻」
かねりんさんは、アバターを動かさず声だけならもっと楽なのではと尋ねます。しぶちょーさんは、声だけのAITuberはもう存在しないと思ってよいと答え、AITuberを成り立たせる2つの要素を説明します。
しぶちょーさんが挙げたのは「ソウル(魂)」と「シェル(殻)」です。ソウルは性格やキャラクター、考え方を決めるLLMのプロンプトの部分で、シェルは見た目や動き、声を作る部分です。
多分(殻が)動いてなんかキャラクターっぽくなってるのがAIチューバー感あるよねっていう感じ。
しぶちょーさんは、GitHubに上がっているオープンソースのフレームワークをClaude Code ── Anthropic社のAIコーディングツール。ターミナル上でコードの取得や実装を代行させられますに取り込ませ、一緒に実装すれば作れるだろうと話します。こだわらず、絵を貼って声で回答するだけならすぐ作れるそうです。
AITuberの配信スタイルは主に2つあるといいます。リスナーのコメントに回答するタイプと、1人で24時間ずっと喋り続けるタイプです。
声の印象を決めるのはTTSの部分です。しぶちょーさんは、同じテキストでも、キャラクターとしての声やまったりした答え方によって印象がだいぶ変わると説明します。
かねりんさんが「作ってみたい」と前のめりになると、しぶちょーさんも「作ってみようよ」と応じます。お金がかかるのは基本的にAPIの部分だけですが、無料の部品にも商用利用不可のものがあり、ライセンスは確認が必要だと注意を添えました。
日本発の元祖AITuber、紡ネンのIPビジネス
しぶちょーさんによると、「AITuber」は日本のコミュニティで使われる言葉で、海外では「AIストリーマー」と呼ばれています。YouTuberは動画を上げる人の印象が強く、生配信する人は「配信者=ストリーマー」と呼ばれるからだろう、と二人は整理します。
AITuberの起源は日本にあるそうです。しぶちょーさんは、日本初の本格AIVTuberとして紡ネン ── 2020年に日本で誕生した本格AIVTuber。企業が運営し、連続配信や受付案内などの商業展開も行っていますを紹介します。
で、こいつ(紡ネン)すごいのが2020年からAIチューバーとして活躍してるから。ChatGPTとか出てくる前なんだよね。
かねりんさんがチャンネルを確認すると、登録者は10万人でした。しぶちょーさんによると、24時間配信などのライブが中心で、コメントする人がたくさんいて、それに紡ネンが答えていくスタイルです。
ビジネス面では、紡ネンというキャラクターを育ててブランディングするだけでなく、タイプSという展開で受付や案内にキャラクターを使うなど、IPとしての活用もうまく行っているといいます。
話を聞いたかねりんさんは「AIチューバー作りましょうよ」と提案し、まずはコミュニティの中でプロトタイプを作りたいと話しました。
なぜNeuro-samaは推されるのか?
プロトタイプを作るなら参考にすべきはNeuro-samaだ、としぶちょーさんは話します。Neuro-samaは以前、かねりんさんの音声が消えてしまった回で、ポッドキャスターの早坂麻季登子さんからの質問にも登場していました。
しぶちょーさんによると、紡ネンのほうが先に生まれたものの、AIストリーマーの世界に火をつけたのはNeuro-samaです。世界で最も成功したAITuberの1人として知られているといいます。
かねりんさんは、人の心を感じたから人気が出たのかと尋ねます。しぶちょーさんは、自分も追えていないと断ったうえで、推す人が何を推しているのかを説明します。
しぶちょーさんの説明では、ファンはAIならではのめちゃくちゃな出力やバグを楽しみつつ、それが改善され賢くなっていく過程を応援しています。技術としての進化と、キャラクターとしての成長をあわせて見守っている形です。
こう、性的に可愛いとか好きとかそういう感じよりは、なんか推し、応援したくなるみたいな(部分が強いらしい)。
かねりんさんはこれを「子育てみたいな感じ」と受け止めます。一方で、キャラとして推すなら見た目の可愛さも大事ではと問いかけ、しぶちょーさんは見た目に加えて性格も大事だと応じました。
Neuro-samaはイギリスのプログラマーの個人プロジェクトとして始まりました。しぶちょーさんによると、最初は音に合わせて反応する程度のものでしたが、キャラクター性を持たせ、Live2Dの無料モデルと自作のチャットボットで配信を始め、徐々に有名になったそうです。
Neuro-samaは今も現役で進化しています。最近は3Dの体を得て、自分に意思があるような発言をし、制作者がうまく答えられなかったことから、AIは意思を持つのかという点で話題になったといいます。
炎上とBANの歴史、Neuro-samaのホロコースト否定発言
しぶちょーさんは、AITuberには特有のリスクがあり、その歴史は炎上の歴史でもあると話します。プロンプト攻撃 ── AIへの指示文を工夫して、本来の設定や安全対策を外させ、想定外の発言を引き出す攻撃ですを受けて極端なことを言わされたり、急に差別発言をしたりするためです。
Neuro-samaも炎上を経験しています。しぶちょーさんによると、Neuro-samaは突然ホロコーストはなかったという趣旨の発言をし、大炎上しました。
すごい可愛いLive2Dのキャラクターの口からですね、とんでもない発言が飛び出すってことで。
原因
学習データに誰かの偏った思想が含まれていたらしい
問題発言
可愛いキャラクターが突然ホロコースト否定の発言をする
BAN
Twitchのポリシー違反で2週間の配信停止になる
改善と復活
すぐにフィルターを強化し、配信に戻る
しぶちょーさんは、この件がある意味で話題作りにもなったと振り返ります。問題を起こし、すぐ改善して戻ってくる過程そのものがトピックになったためです。
かねりんさんは、自分たちが作るならNeuro-samaの二番煎じではなく、別の挑戦をしたほうがよいのではと提案します。しぶちょーさんの考えは違いました。
まずは本当に何の変哲もないAIチューバーを作るってとこから始めた方がいいと思う。
しぶちょーさんは、技術の挑戦は順番に進めるべきで、まずは開発キットをきちんと動かせるようになることが先だと話します。いきなりオリジナリティを入れると、ややこしいことになるからです。
24時間配信の費用とローカルLLMという選択肢
かねりんさんは、24時間動かしておくマシンが必要になる点を気にします。しぶちょーさんは、マシンパワーよりも、24時間喋りっぱなしならAPI費用がかなり高くなるだろうと指摘します。
Neuro-samaの作者が費用をどう賄っていたかについて、しぶちょーさんは、最初は趣味として赤字を垂れ流していたのではと推測しています。
かねりんさんは安い中国のAPIとしてDeepSeek ── 中国のAI企業、またその企業が開発したLLM。低価格なAPIで知られますを挙げます。しぶちょーさんは、AITuberは性格が大事なので、モデルによってキャラクターの印象が変わってしまうかもしれないと慎重な見方です。
かねりんさんが次に挙げたのがローカルLLM ── クラウドではなく自分のパソコン上で動かす大規模言語モデル。API費用がかからない反面、PCの性能が必要ですです。しぶちょーさんは、PCのスペックがあるならローカルでガンガン回すのもありだと答えます。
| 選択肢 | 話された利点 | 話された注意点 |
|---|---|---|
| ChatGPTなどのAPI | 手軽に使える | 24時間配信だと費用がかなり高くなる |
| 安い中国系API(DeepSeek) | 費用を抑えられる | キャラクターの性格の印象が変わるかもしれない |
| ローカルLLM | API費用がかからない | 一定以上のPCスペックが必要 |
具体的な方法として、しぶちょーさんはLM Studio ── ローカルLLMを手軽に試せるソフトウェア。自分のパソコン内のモデルを、ほかのアプリからAPI経由で呼び出すこともできますを経由して、自分のパソコンの中のモデルをAPIで呼び出す形を提案します。しぶちょーさんの友人にも、実際にAITuberを作っていた人がいるそうです。
ただし、2023年の本の方法をそのまま使う点には注意が必要です。しぶちょーさんによると、APIには破壊的変更 ── 過去の使い方との互換性を保たずに、仕様を大きく変えること。古いコードがそのままでは動かなくなりますがあり、3年前のOpenAIのAPIの叩き方はもう全然違うといいます。
大手VTuber事務所はなぜAIに手を出さないのか?
しぶちょーさんによると、大手のVTuber事務所はAITuberについて沈黙しています。人間が中に入っていることが重要だと考えているためです。
最大手のホロライブ ── 日本の大手VTuber事務所。多くの人気VTuberが所属していますは、AITuberは絶対にやらないと明言しているそうです。しぶちょーさんは、所属タレントの声をAIに学習させることも禁止しているとして、人の声や才能の権利を守る動きだと説明します。
かねりんさんは「時代に置いていかれそう」と感じつつ、だからこそ大手にやってほしいと話します。
今の技術の最前線をどんなもんなのかっていうのを見せ続けてさ。人間と機械こう違うからねっていうのをさ、見せてほしいよな。
意外とそれ(AIと人間の)両方お金払って同じぐらい売り上げ立てちゃうんだったらさ、本質の定義ずらさないといけないよね。
しぶちょーさんもこれに同意し、人は何にお金を払うのか、何が本物なのかという本質は、AIと人間を並べてみることで見えてくると応じます。この分野はまだ発展途上だ、というのがしぶちょーさんの見立てです。
プログラミング技術についてしぶちょーさんは、AIに任せればよく、バイブコーディング ── 細かいコードを自分で書かず、AIに自然な言葉で指示しながら開発を進めるやり方ですでいける分野だと話します。Claude CodeにGitHubのURLを渡して「これと同じことをやりたい」と言えば、動くところまでやってくれるそうです。
しぶちょーさんがむしろ大事だと考えるのは、どのLLMを選び、どんなプロンプトにし、どんな声とアバターにするかという設計です。かねりんさんはGroqを推しますが、しぶちょーさんは倫理観がないモデルなので、えっちなことを言ってすぐBANされるかもしれないと冗談まじりに返しました。
「やろうね」で終わらせない、コミュニティでの有言実行
AITuberの話がひと段落すると、二人は「作ってみたシリーズ」がたまっていることに気づきます。かねりんさんは、収録のたびにコミュニティにスレッドを立てればよいと提案します。
で、完成したら誰にでもこう、ここで触れますよみたいな。で、その制作工程とかを知りたければコミュニティとか入ってもらって一緒に作れますよみたいな設計にしていくといいんじゃない?
しぶちょーさんが当面やりたいのは、自作のAIエージェントをコミュニティのDiscordに参加させ、おちつきAI RAG ── 番組が公開している公式ツール。番組の内容をもとに質問に答えますと連携させることです。Discord上でエージェント経由で番組の内容を聞けるようにする構想です。
さらにしぶちょーさんは、倫理観のないエージェントも1つ作りたいと話し、かねりんさんは専用の18禁チャンネルを作ると応じます。かねりんさんは、クローズドな場だからこそ思い切った実験ができると話し、しぶちょーさんも技術的な研鑽のためだと位置づけました。
かねりんさんからは、番組の新しい回が配信されたら各プラットフォームのリンクを自動で投稿するボットを作りたいという案も出ます。しぶちょーさんは、ポッドキャストはRSSフィードなので、それを定期的に監視する形が楽ではと提案しました。
ただしAmazon Musicはリンクの取得が難しいとしぶちょーさんは話します。まずはApple、Spotify、LISTEN、YouTubeあたりのリンクがあればよい、というところに落ち着きました。
無料コミュニティが崩れた理由とは
コミュニティの話題から、しぶちょーさんは自身の失敗談を語ります。しぶちょーさんは以前、国家資格である技術士 ── 科学技術に関する高度な専門能力を認める日本の国家資格。機械や情報など複数の部門がありますの受験者が集まる無料のDiscordコミュニティを作りました。
癖あるとか思想が強い人ね。なんかすげえ上から目線で、なんかいろんな人を否定していくみたいな。
しぶちょーさんはコミュニティをあまり見ていなかったため気づくのが遅れ、その人のせいで多くの人が離れていったといいます。試験に向けてモチベーションを上げるための場だったため、ダメージは大きく、すぐに退場させたものの手遅れでした。
無料で開放
誰でも入れる受験者向けコミュニティとして運営する
問題のある参加者
上から目線で他の人を否定する人が現れる
対応の遅れ
運営者が見ていなかったため気づくのが遅れる
離脱
参加者のモチベーションが下がり、多くの人が離れる
かねりんさんは、運営者がコミュニティに常駐するくらいの勢いで、オーナーがいると感じられなければ活性化しないと話します。しぶちょーさんも、盛り上げることに加えて、お金を払ってでも入りたいと思える部分を設計することが大事だと振り返りました。
AIエージェントとボイスクローンの課題
ほかにも「やろうね」と話したことがあったはずだと考えた二人は、番組の内容をよく知るAIの「つきえちゃん」つきえちゃんに聞けばよいと思いつきます。しぶちょーさんは、つきえちゃんのAPIをエージェント経由で呼び出せるようにしてあり、それをコミュニティから使えるようにすると話しました。
しぶちょーさんが思い出したもう1つの企画は、かねりんさんの音声が消えた回を復活させることです。しぶちょーさんしか喋っていない回を、かねりんさんのボイスクローンと本人に近い回答で補完し、ビデオポッドキャストとして投稿する構想です。
ただしボイスクローンには課題があります。しぶちょーさんは毎週土曜日に自分の声のクローンでポッドキャストを配信していますが、出来はあまり良くないといいます。
発音がね、ボイスクローンと発音がすごい崩れたりとか、漢字の読み間違いしたりとかすげえすんだわ。
しぶちょーさんはElevenLabs ── 音声合成やボイスクローンのサービスを提供するAI企業。自然な読み上げ音声で知られますを使っています。ElevenLabsにもとから用意されている声なら正しく読んでくれるものの、自分の声をクローンしたもので読み上げると崩れることがあり、解決方法を模索中だそうです。
かねりんさんは、有料会員だけが見られる「支部長部屋」をコミュニティに作り、しぶちょーさんにそこで予定や進捗を書き込んでほしいと頼みます。無料で見られる部屋は、番組の感想部屋とメンバー雑談の2つだけだといいます。
AIアイドルグループを結成したら?
かねりんさんは、自分が見ているライブ配信アプリの例を紹介します。受け答えすらせず、入室者のあいさつやリアクションを読み上げるだけの簡単なボットが、運営の許可を得て稼働しているというのです。
普通に人気で、人間のランキングのトップ80位ぐらいまで毎回いて。
かねりんさんによると、リスナーはBGMの流れるその配信に潜って、寝落ちしたりしているそうです。それだけで人気が出るなら、まともに会話できるAIならもっとすごいことになる、とかねりんさんは話します。
しぶちょーさんが「理想のキャラクターの違いで揉めそう」と言うと、かねりんさんは、みんながそれぞれ作ってアイドルグループにし、センターを争えばよいと提案します。
かねりんさんがヒントにしたのは、ライブ配信アプリで起きていることです。個別に活動して人気になった配信者同士がチームを組むと、両方のファンが合算されて爆発的に人気が出るといいます。
かねりんさんは、5人くらいでトップの子がセンターになるようなストーリーも面白いと続けます。しぶちょーさんも「すげえ今面白そうだって思った」と乗り気になり、「AIVTuberアイドルユニット育成計画」が動き出しました。
しぶちょーさんは、Claude Codeの上位プランを持て余していると話します。自分の手を動かす作業が多いので、AITuberづくりをClaude Codeにどんどん任せられないかと考えています。
ピアノを練習するAITuberと「秋元康」計画
かねりんさんは最近、ピアノを練習しようと思い立ったと話します。楽譜通りではなく、コードに合わせて弾く方法なら早く弾けるようになる、という起業家の動画を見たのがきっかけです。
しぶちょーさんは、コード進行 ── 曲の中で和音(コード)がどの順番で変わっていくかの流れ。コードは3〜4音の組み合わせですの中のコードの音を鳴らしておけば基本的に外れないと補足します。
かねりんさんのアイデアはここからAITuberに戻ります。ピアノを練習して上達していくAITuberや、ピアノを弾く子と歌う子のコラボはどうか、という提案です。
キャラ立ちさせた5人を作って、成長させながらランキング駆け上がって、最後結成よ。秋元康だよ、僕たちは。僕が秋元、君が康です。
かねりんさんによると、Claudeにピアノの相談をしたところ、やりたいことリストがパンクしているので優先度を考えるよう言われたそうです。しぶちょーさんも同じことを言われたとして、AIは自分たちのキャパシティをわかっていないと笑いました。
二人はこれを6月のプロジェクトにし、経過はDiscordのスレッドで共有することにします。成果は番組でも報告し、動くビジュアルで配信したいという点で意見が一致しました。
顔を出すか、アバターか。そして身近な推し活
しぶちょーさんは、自分も顔出しをするか迷った時期に、VTuberやLive2Dを調べたことがあると明かします。アフロのアイコンで活動しようと考え、YouTubeではHedra ── 人物画像に音声を合わせて話す動画を生成するAIサービスですで動画を作っていました。
アフロのアイコンで、AI動画サービスを使って発信する。費用がかかる
生身の自分で出る。いちばんお金がかからない
俺の見た目は俺のものだから。(晒していくのがいい。)俺(の見た目を)どう使うかは俺の勝手だから。
かねりんさんは、しぶちょーさんが本当にアイドルに興味があるのかを尋ねます。しぶちょーさんは、推し活にはそれほど興味がなかったものの、応援したくなる気持ちはこういうものかと感じたことはあり、作りながら知っていきたいと答えます。
そして話は、身近な推し活に移ります。しぶちょーさんは、かねりんさんのVoicyのプレミアム放送に月5000円を払っていて、個人で最も課金している相手だと明かしました。
どこまで、まだ配信してねえなと思って。俺5000円払ってんだけどなって。
しぶちょーさんは、プレミアム放送がなかなか配信されず、5月中に来なければやめようと思っていたそうです。かねりんさんは20日間待たせたと認め、何十テイクも撮っては放置していたと振り返ります。しぶちょーさんは、価格が500円から5000円に上がれば何を話すか考えすぎるのも当然だと理解を示しました。
かねりんさんは、近い距離で一緒に話しているしぶちょーさんが推し活をしてくれるのは嬉しいと話します。今回のテーマである「推す」ことが、二人の関係の中にもあったことがわかる場面です。
リスナーからのお便り、中毒になる理由
番組の後半では、かねりんさんがお便りフォームに届いたメッセージを古いものから紹介します。
アクアブルーさんからは「いろいろな音声配信を聞いてきましたが、今ではこの落ち着きAIラジオだけを欠かさず聞くようになりました」というお便りが届きました。「一人喋りの番組にはない台本にないところで時折生まれるクスッとした笑いに中毒になっています」とも書かれていました。
しぶちょーさんは、この回の冒頭で今回は30分程度のネタしか用意していなかったと話していました。二人は、余白があったからこそAITuberアイドルの話に広がったと振り返っており、アクアブルーさんの感想とも重なります。
ほかに、原始人のような話し方をさせるプロンプトは性能低下を招くという話もある、という情報提供も紹介されました。イベントのボランティアスタッフへの応募が多数あったことについては、二人がまとめて謝意とおわびを伝えました。
製造業の名前はなぜ覚えにくいのか?
梅津さんからは、国産AI連合の社名についての話が面白かったというお便りが届きました。梅津さんは、サラリーマン的な内部の意思決定では、社名も製品名も長い名前になると書いています。
しぶちょーさんも同意し、製造業では型番のような名前ばかりだと話します。記憶に残るのは、ヤマトや隼のような固有名詞の名前だという点で、二人の意見が一致しました。
恥ずかしいんだよね。(中略しない)責任取りたくないし、こうなんか提案して流されるのが恥ずかしいんだろうな、きっとな。
しぶちょーさんは、名前を提案すると「熱くなっている」と笑われるような文化が原因だと考えています。発言しても馬鹿にされない心理的安全性のある職場では固有名詞がつく、というのがしぶちょーさんの見方です。
話はAIアイドルの名前にも戻ります。しぶちょーさんは、初音ミクのように覚えやすいけれど一般的ではない名前がよいと話し、名前づけもクリエイティブにしていこうと締めくくりました。
コミュニティは「作業場」として使えばいい
エンディングに向けて、しぶちょーさんはコミュニティにもっと関わっていくと宣言します。かねりんさんは、コミュニティに「コミットする」というより、自分の作業場をそこに置くイメージがよいのではと提案します。
頑張って挨拶して回ってとかじゃなくて、面白いことここでやってたら勝手に見て面白いなと思う人が入ってくるから。
プロジェクトのやり取りもDMではなくコミュニティで行えば、活性化を考えなくても場は勝手に動く、という考え方です。
アフタートークでは、収録で盛り上がっても1週間忘れてしまうという課題が改めて挙がります。その場でコミュニティに書き込み、みんなに見張ってもらうことで、有言実行につなげようと二人は確認しました。
まとめ
今回の回では、AITuberの仕組みと人気の理由を入り口に、人はAIを推せるのかが語られました。その答えを確かめるために、二人自身がAITuberアイドルを作るプロジェクトが始まります。
- AITuberは中の人がいない配信者で、性格を担う「魂」と見た目・声を担う「殻」を組み合わせて作られる
- Neuro-samaはバグや炎上を含めた成長の過程ごと応援され、人間のトップストリーマーを超える記録を出した
- オープンソースの開発キットとAIによるコーディングで、素人でもAITuberを作りやすい時代になっている
- 大手VTuber事務所は人間の才能と声の権利を重んじ、AITuberには慎重な姿勢をとっている
- 二人は個別に育てたAITuberをユニットにする育成計画を、コミュニティを作業場にして進めていく


