観光地はマーケットイン。それでも守れない理由
質問をもらいました。観光地はやっぱりマーケットインですか、と。
結論から言うと、そうなんです。
観光地には、もう人が流れています。そこにいる人が求めているものを、そのままお出しすればいいだけなんです。
理屈はシンプルです。でも、ここからが大事なポイントで。
承認欲求が満たされていない人は、観光地でプロダクトアウトをしちゃうんです。
自分がまだ満たされていない、何者かになりたい。そういう人は、観光地なのに自分の世界観みたいなものを押し付けてしまう。
お客さんそんなもの求めてないじゃん、ということをガンガンやってしまうんです。
「レイクサイドドリーム」と名付けたくなる病
たとえば富士河口湖で花火大会を立ち上げるとします。
承認欲求が満たされていない人は、その名前を「レイクサイドドリーム」みたいにしちゃうんです。
いらないんですよ。それどこの湖なの、ドリームって何のイベントなの、と説明しないといけなくなる。
富士河口湖の花火大会の名前は、富士河口湖花火大会でいいんです。第1回富士河口湖花火大会でいい。河口湖花火大会2026でいい。
でも、これを大体やっちゃうんですよね。
これはRyoさんにも言ったんですけど、田舎から一度も都会に出たことがない人ほど、つい横文字を入れたくなる。よくわからないフランス語の店名にしたくなる。
なぜかというと、まずは「俺」を出したいからなんです。満たされていないから、そっちが先に来てしまう。
縁日で食べたいのはフランクフルトなんです
これはイベントや店の名前だけの話じゃありません。
縁日に行って食べたいのはフランクフルトなんですよ。
そこで「なんとかのカルパッチョ」を出されても、いらない。神社なら団子です。地元の団子を食わせてくださいと。
なんとかマフィンじゃないんです。
この「観光地でプロダクトアウトをやっちゃう問題」については、詳しくは『北極星』という本に書きました。
正直に言うと、KATANAの森岡さんの仕事にも、僕は少しその匂いを感じるところがあって。
お台場のイマーシブフォートやジャングリアに、若干コンプレックスが透けて見える気がするんです。クリエイターとして評価されたい、という思いが世界観に出てしまっているように見える。
ただ、これはかなり雑で失礼な言い方になってしまったので、ちゃんとした話は本の方に書いています。
利益率で考えたら答えは違うはずなのに
イマーシブフォートについて、あるお客様が200回ぐらい通ってくださったというインタビューを見たことがあります。
でも僕はそこで、ちょっと待ってくださいと思ってしまうんです。
それはコンテンツが当たっているというより、シンプルにホストキャバクラの需要なんじゃないか、と。好きな俳優と近い距離で横に座れるから通う、という話に見えたんです。
嫌な見方をしすぎている自覚はあります。それでも、少し透けて見えた。
もしその需要で回すなら、わざわざ演技の稽古も衣装もいらないわけで。普通にホストクラブやキャバクラをやった方が利益率だっていいはずなんです。
それでも稽古をしてやろうとするのは、クリエイターでありたいという思いが先に来ているからじゃないかと思うんです。
そこに流れているお客さんが求めているものと、ずれてしまう。だから、承認欲求はとっとと終わらせた方がいいなと、あらためて思うんです。
まとめ
観光地はマーケットインだ、というのは頭ではみんなわかっているはずなんです。それでも守れないのは、自分を出したい気持ちが先に来るから。承認欲求が判断を狂わせるんだな、というのが今の僕の考えです。
- 観光地は人が流れている場所だから、そこにいる人が求めるものを出すマーケットインが基本
- 承認欲求が満たされていない人は、観光地なのに自分の世界観を押し付けるプロダクトアウトをしてしまう
- 花火大会の名前も、横文字より「第1回富士河口湖花火大会」でいい。まずは「俺」を出したくなるのが落とし穴
- 判断が需要とずれるのは、多くの場合その手前にある承認欲求が原因






