チムチケにまとめる楽さと、ご近所付き合いの話
本題の前に、まずはイベント告知にまつわる小さな気づきが語られます。
講演会やイベントを紹介するとき、チケットの案内先を毎回説明するのが大変だったと西野さんは話します。
特に音声メディアでは、複数のイベントを紹介するときの説明が煩雑で、Voicyのようにリンクをたくさん貼れるわけでもありません。
そこで、チケットの案内先をすべてチムチケにまとめたことで、案内がぐっと楽になったといいます。
イベントはもうチムチケでって言えるのがもうめっちゃ助かる。今もうめっちゃ助かってます。
お客さん側もそれを理解し、チムニータウンのイベントを探すときはまずチムチケを見る、という動きが生まれてきたそうです。
話の途中では、近所の住民から声をかけられる場面もありました。
元気いいね。
元気。もう二日酔いで、今は。
数年前の大雪のときに近所の雪かきを手伝ったことなどもあり、ご近所付き合いの良さが垣間見える一幕でした。
なぜ美術館探しから種子島のお米づくりに至ったのか
ここから本題です。西野さんは種子島に稲刈りに行ってきたといいます。
そもそも種子島に行ったのは、美術館の土地を探すためでした。川西から伊豆大島、そして種子島へと転々と土地を探していたそうです。
ところが実際に種子島に行ってみると、飛行機の乗り継ぎが必要で、鹿児島経由でさらにもう一便という立地でした。
そのため、ここに美術館を作って人を呼び続けるのはハードルが高いと感じたといいます。
一方で、種子島のポテンシャルとして西野さんが注目したのは、ロケットや鉄砲のイメージではなく農業でした。
農業がめっちゃおもろかったんすよ。夜、種子島の先輩方と飲んでてさ、いろいろお話を伺っているとさ、やっぱ農業がおもろいのよ。
台風が停滞しない土地と、お中元に間に合う新米
種子島は南に位置するため、西野さんは台風の被害が大きいのではと質問しました。
すると、島の人からは意外な答えが返ってきます。まず、屋根瓦が普通の瓦であることに注目するよう促されました。
沖縄では瓦と瓦の間を白いセメントのようなもので固定しますが、目と鼻の先の種子島では普通の瓦を使っているといいます。
その理由は、種子島に山がないため、雲が引っかからず、台風がそのまま通り過ぎていくからだと説明されました。
種子島って山がないから、通り過ぎるんですと。雲が引っかからないんですっていうんですよ。
台風は当然来るものの、島に停滞しないため被害が大きくなりにくい。だからこの屋根で済むのだ、という話です。
さらに種子島は温暖で、本州よりも先に季節が来ます。そのためお米の収穫が七月と、秋ではなく夏に行われるといいます。
これがなぜ面白いのか。七月に収穫できれば、八月頭には出荷でき、新米がお中元に間に合うからです。
お米って言ってしまったらもうお金みたいなもんじゃん。生きていく上で絶対に必要なもの。お米送られてきて困る人なんかいないわけじゃん。
立地の面白さと、他地域より早く新米ができるという特異な環境。それに惹かれた西野さんは、その場で判断を下します。
もう美術館っていうよりもお米じゃんと思って、もうその場で後輩に電話して、お前種子島引っ越せって言って。
川西出身の後輩に電話して種子島へ移らせ、こうしてチムニータウンのお米づくりが始まったといいます。
3000kgが一日で完売した事実
そして先日、そのお米が収穫されました。CHIMNEYTOWNには販売のチャネルがあるため、自分たちで売ることにしたそうです。
「ちむに米」と名付けられた種子島産コシヒカリを、十キロ入りで三百袋、前日に販売開始しました。
収録時点ですでに二百七十袋が売れており、放送が終わる頃には完売する見込みだと語られています。
一ヶ月前から煽ったわけでもなく、前日にXで告知しただけ。それでも一日で三千キロが売れたのです。
昨日急に米収穫しました。三百袋です。どうぞみたいな。告知としてはだいぶ雑じゃない。ですが、その三千キロが一日でバンって売れるって、それやっぱりみんなが必要としてるからですよね。
食いっぱぐれない仕事と、変化のなさという壁
この体験から、西野さんは最近増えているという相談を思い起こします。
美術館の事業承継や事業再生に関わっているためか、会社を引退したいという社長からの相談がちょくちょく来るそうです。
経営難ではなく、次の人生に行きたい、年齢的にそろそろ、という理由で、うちの会社をやってくれないかと打診されるといいます。
そこには、お米の仕事のように「やれば食いっぱぐれることがない」職業が確かに存在する、という気づきがあります。
エンタメはやっぱり当たり外れあるじゃない。だが、その仕事をやれば、基本的にはお客さんはもう回り続けて、米もそうですよね。米をお客さんがいらないっていう日は来ないじゃない。
一方で、そうした確実に利益が出る仕事には課題もあると西野さんは指摘します。まず薄利であること。
ただ薄利自体は問題ではない、と西野さんは言います。本当に引っかかるのは、仕事の中に変化があまりないことでした。
変化があまりないってことなんですよ。仕事の中で変化があんまりないっていう。でね、変化あんのは怖いんだよ結局。
チムニータウンは毎シーズン「やべえ、どうすんの」と言い続け、安定から最も遠い場所にいます。
それでも変化があることで張りが出て、チーム内の会話や議論が増える。衝突もあるが、より良くするための話し合いなので、ジメジメしていないといいます。
好きを仕事にするより、問題解決を好きになる
最後に西野さんは、「好きを仕事にする」という考え方について自分なりの整理を示します。
好きなことなら努力を努力と思わずに続けられるため、成功確度が上がる。その面は理にかなっていると認めます。
ただし、自分の好きが他人の問題解決とイコールとは限らない、とも指摘します。
自分の好きって他人の問題解決とイコールとは限らないから。イコールの場合はあるけれど、結構さ、自分のオナニーの場合があるじゃない。
エンタメは人の問題解決ではないため、商品や作品として売るのは難しい面がある、と自身の仕事を例に語ります。
だからこそ、好きかどうかに関係なく人の困り事を解決する仕事に就き、それを好きになれたら最高だと考えます。
好きだから続けられるが、他人の問題解決とは限らない
困り事の解決が先にあり、それを好きになれると幸せ
ただし、お米づくりのように変化があまりない仕事は、むしろ安定供給こそが大事です。
だからこそ、変化のない仕事を好きになるのはハードルが高い、というのが西野さんの正直な悩みでした。それでもどうにか探りたい、と話を締めくくります。
まとめ
種子島の特異な環境で作ったお米が一日で完売した体験から、確実に必要とされる仕事の強みと、変化の少なさという壁、そして「好きを仕事にする」ことと「問題解決を好きになる」ことの違いが語られた回でした。
- 種子島は山がなく台風が停滞しないため被害が大きくなりにくく、温暖で新米がお中元に間に合う
- CHIMNEYTOWNの「ちむに米」は前日の告知だけで、三千キロ・三百袋がほぼ一日で完売した
- お米のように必要とされる仕事は食いっぱぐれない反面、変化が少ないという課題がある
- 変化があることで会話や議論が増え、仕事に張りが出ると西野さんは考えている
- 好きを仕事にするより、人の問題解決を好きになれる方が幸せな形かもしれない
