白く直接的なムスクとはどんな香りか
今回、香水ラジオが取り上げるのはル ラボのアナザー 13です。第13回で扱ったものを改訂版として調べ直し、香りの特徴や背景をより詳しく紹介する回になっています。
アナザー 13は、香水ラジオで取り上げた香水の中でもトップクラスに人気の一本だといいます。公式キーノートにアンブロキシド ── アンバーグリス(龍涎香)に似た乾いた香りを持つ合成香料。ムスク調の余韻をつくり、肌に近い温かみを感じさせるために使われます、ジャスミン、モスを置くオードパルファムです。
ホストは、この香りを一言で「白く直接的なムスクを中心にした、清潔感と肌の温かみが重なる香り」と表現します。ムスクと聞くと重たい印象を持つ人もいますが、清潔感のあるムスクだという点が特徴です。
この香りを作る時には、何も書かれていない白い紙のような、まっさらで純粋な香りを目指したそうです。
一方で、親しみやすさを感じる人がいる半面、つける人によって印象が大きく分かれる香りでもあると補足されます。誰の肌でも同じに香るわけではない、というのが最初の前提です。
清潔なシーツか、乾いた木か
アナザー 13は、トップ・ミドル・ラストという時間順ではなく、公式が3つのキーノートを挙げる形で説明されています。香りの中心にあるのは、合成のアニマルムスクであるアンブロキシドです。
そのアンブロキシドのムスクを土台にして、ジャスミンとモスが重なっていく構成です。花の明るさと乾いた緑の気配が、ムスクの上に乗るイメージです。
つけた人の感想は分かれます。清潔なシーツのようだという声もあれば、乾いた木や肌のぬくもりを感じるという声もあります。布のような清潔さから木の乾いた感じまで、見え方に幅があるのが特徴です。
さらに、香りを淡く感じる人がいる一方で、合成ムスクの刺激をはっきり感じる人もいます。ここでも、肌によって感じ方が変わる香りだという点が繰り返されます。
似た3本と、どう選び分けるか
香りの違いをつかむため、ホストは似ている点のある3本を挙げて比較します。それぞれ何を中心に据えているかで選び分けるのがポイントです。
まずエセントリック モレキュルズ ── 分子(モレキュール)そのものを主役にしたブランド。単一の合成香料だけを使う実験的な香水で知られますのモレキュール 02は、アンブロキサンだけを使った香水です。アンブロキサンそのものの乾いたアンバー調を試したいなら、これが一番シンプルだと説明されます。
ジュリエット ハズ ア ガンのノット ア パフュームは、セタロックスを中心にした香水です。セタロックスが作るウッディで少し温かい香りをシンプルに感じたいならこちらが向いています。
アナザー 13は、アンブロキシドにジャスミンとモスも重なる点が違いです。花の明るさや乾いた緑の気配まで欲しいなら、アナザー 13が候補になります。
同じル ラボのガイアック 10も肌に近いムスクですが、こちらはガイアックウッドやシダーなど木の香りが中心です。肌に近いムスクのまま木をもっとはっきり楽しみたいなら、ガイアック 10が向いているとされます。
アンブロキシドにジャスミンとモスが重なる。花の明るさや乾いた緑まで欲しい人向け
同じ肌に近いムスクだが、ガイアックウッドやシダーなど木の香りが中心
容量・価格とボトルの佇まい
現在販売されているバージョンや容量、価格も紹介されます。本編で扱っているオードパルファムは、日本の公式ページで1.5ミリリットル、15ミリリットル、50ミリリットル、100ミリリットルが掲載されています。
2026年の確認時点での価格は、1.5ミリリットルが990円、15ミリリットルが1万4300円、50ミリリットルが3万2230円、100ミリリットルが4万7190円でした。お試し用の小分けから大きめのボトルまで幅広く揃っています。
なお、香水本体のほかに、同じ香りのボディ製品やリキッドバームといった別の形態も展開されています。価格や取り扱いは変わることもあるため、検討する際は最新の公式表示を確認するよう促されています。
ボトルの見た目もル ラボらしいものです。透明なガラスの丸い胴に銀色の円筒形キャップを合わせ、正面の薄い色のラベルには「アナザー 13」と大きく印字されています。
装飾で飾り立てるというより、実験用の試薬瓶のような潔い佇まいです。
ラベルの下側には、都市や調整日、名前を書き込める欄も印字されています。ボトルの形そのものを飾るというより、白地に並ぶラベルの文字や情報がすっきり目に入ってくる見た目だと語られます。
雑誌から生まれた、コレット限定の一本
調香を担当したのはナタリー・ローソンです。大手香料会社DSMフィルメニッヒのマスターパフューマーで、同社の作品資料にも2010年のアナザー 13が記載されています。
同社の人物紹介では、自分を前面に出すより、使う人のために香りを作ることや、少ない要素で強い個性を生むことに惹かれる調香師として紹介されています。この姿勢が、白い紙のような純粋さという狙いとも重なります。
名前の由来も紹介されます。アナザー 13は、2010年にイギリスのカルチャー誌アナザー・マガジン ── イギリスのファッション・カルチャー誌。「アナザー 13」はこの雑誌からの依頼で始まった企画から生まれましたからの依頼で始まった企画でした。
当時、パリのセレクトショップコレット ── ファッションやアートを扱い、世界から注目されたパリのセレクトショップ。2017年12月に閉店しましたでバイヤーを務めたサラ・アンデルマンが、ル ラボと編集長のジェファーソン・ハックをつなぎました。共同制作者であるハックは、この香りを現在の記憶に近いものとして語っています。
創業者のファブリス・ペノは、編集長との会話から、白紙のように直接的で純粋な香りのイメージを構想したと振り返っています。ここでも「白い紙」という発想が制作の出発点になっています。
名前の「13」にも意味があります。ル ラボの香水名につく数字は、配合した原料の数を表します。アナザー 13の13も、13種類の原料から作られたことに由来します。
発売の経緯も特徴的です。初めはコレット限定の香水で、ペノは特定の都市や店でしか持ち帰れない香りを作りたかったと後から語っています。
2017年12月にコレットが閉店した後、世界のル ラボのクラシックコレクション、つまり定番ラインに加わりました。
つまり、コレット限定だった一本が、店の閉店を経て世界中のル ラボで手に取れる定番の香りになったという来歴です。
どの季節に、どうつけると合うか
日常で使う際の季節や使い方も紹介されます。季節としては秋が第一の候補で、涼しい春や冬が次点として使いやすい時期だとされます。
空気が少し冷たい時のほうが、ムスクの柔らかなぬくもりを素直に楽しめそうだと語られます。一方で、夏は暑い日や肌の状態で香りの印象が変わりやすいという感想もあるため、控えめにつけるのが向いています。
実際につけた人の感想では、構成的な鋭さがすりガラスを通したように柔らかくなる、肌に塩気が馴染むという声があります。一方で、古い薬局を思い浮かべる人もいて、感じ方はさまざまです。
だからこそ、評判の言葉だけで決めず、まずは手首などに少量をつけて試すのがおすすめだとホストは言います。
公式に示されたアンブロキシド、ジャスミン、モスの3つが、自分の肌でどう香るかを確かめることが、選ぶ際の判断材料になると締めくくられます。
まとめ
アナザー 13は、白い紙のような純粋さを狙った白く直接的なムスクの香りです。雑誌との共同制作でコレット限定から定番へと広がった来歴を持ち、肌によって印象が分かれるからこそ、少量で試すことがすすめられています。
- アンブロキシド、ジャスミン、モスを公式キーノートに置く、白く直接的なムスクの香り
- 清潔なシーツから乾いた木まで、つける人の肌によって印象が大きく分かれる
- モレキュール 02、ノット ア パフューム、ガイアック 10と比べると中心の要素の違いで選び分けられる
- 2010年に雑誌との共同制作として誕生し、コレット限定から定番コレクションへ移った
- 秋を中心に涼しい春や冬に合わせやすく、まずは手首などに少量つけて試したい香り

