見た目は同じなのに、なぜUSB-Cケーブルは挙動が違う?
神森さんがUSB-Cケーブルを買い直したきっかけは、家の中にUSB-Cケーブルが増えすぎたことでした。スマホやガジェットを買うたびにケーブルが付いてきて、気づけばいくつも溜まっていたといいます。
溜まったUSB-Cケーブルは見た目が同じなのに、使ってみると挙動が違います。充電が早いケーブルもあれば、やたらと遅いケーブルもあり、モニターに映像を映せるものと映せないものもありました。
見た目が同じなんだけれども、どれがどれだかわからないってことありません?使ってみるとね、挙動が違うんですよね。
神森さんはこの状態が嫌になり、「これさえあればいい」という決定打の1種類を決めて、全部それで揃えたいと考えました。
ところが、どのUSB-Cケーブルを買えばいいか調べ始めると、すぐに難しさにぶつかります。たとえば「240W対応」と書かれたケーブルは強そうに見えますが、その表記は充電の話しかしていません。
データ転送速度とか映像が出るか出せるかどうかとか、全く別の話なんです。
実際に調べると、240W対応と書いてあっても、データ転送はUSB 2.0相当の480Mbpsで、映像は出せないというケーブルが普通に売られていました。しかも聞いたことのないメーカーではなく、大手が出している製品だったそうです。
映像が映らない理由は、映像を送るための線がそもそもケーブルの中に入っていないからです。充電の線は通っているのでノートパソコンを満充電にはできても、モニターには1ドットも映せないと神森さんは説明します。
USB-Cは「1つの規格」ではなかった
USB-Cケーブルが分かりにくい理由について、神森さんは「USB-Cは規格が1つではない」と話します。コネクターの形は共通でも、データ、充電、映像にはそれぞれ別の規格があり、3つが独立しているといいます。
データの規格が一番わかりにくく、昔はUSB 3.0や3.1などいろいろな名前がありましたが、今は全部USB 3.2という仕様に吸収されています。速度は5Gbps、10Gbps、20Gbpsの3つで、神森さんが買ったのは10Gbpsのタイプです。
USB 3.2とは別に、USB4 ── USB規格の新しい世代。Thunderboltの技術をもとにしており、高速なデータ転送と映像出力をまとめて扱えるのが特徴ですという新しい世代もあり、こちらは40Gbpsから上は80Gbpsまであります。一方で20年以上前の規格であるUSB 2.0(480Mbps)も現役で、Type-Cのコネクターなのに中身はUSB 2.0というケーブルが今でも売られています。
充電の規格はUSB PD(Power Delivery)です。2021年にPD 3.1が出て、それまで100Wだった上限が240Wまで上がりました。
USB PDの充電規格はデータの規格と何の関係もないため、「USB 2.0のケーブルが240W充電に対応している」という組み合わせが成立してしまいます。データは20年以上前の速度のまま、充電だけが最新規格という状態でも、規格上はおかしくないそうです。
映像はDisplayPort Alternate Mode ── USB-Cケーブル内の一部の配線を、映像信号(DisplayPort)の伝送に切り替えて使う仕組み。対応する配線がないケーブルでは映像を出せませんという仕組みで、USB-Cの線の一部を映像の伝送に使わせてもらう形です。その線が通っていないケーブルでは、当然映像は出せません。
| 項目 | 規格 | 番組で挙がった値 |
|---|---|---|
| データ | USB 2.0 / USB 3.2 / USB4 | 480Mbps、5・10・20Gbps、40〜80Gbps |
| 充電 | USB PD(PD 3.1) | 上限100W → 240W(2021年) |
| 映像 | DisplayPort Alternate Mode | 対応する線があれば出力可能 |
この3つの規格が独立しているので、1つが分かっても残りは分からないままです。神森さんは、USB-Cケーブルを選ぶときには最低でも4つを別々に見る必要があると整理します。
- 何ワットまで充電できるか
- データ転送が何Gbpsか
- 映像が出せるか、出せるなら何Kの何Hzまでか
- ケーブルの長さ
Mac mini M4環境で分かった「一番遅いところ」とUGREENの実測
神森さんは4つの観点で自分の環境を見直しました。使っているMac mini M4は、前面のUSB-Cが10Gbps、背面のThunderbolt 4 ── IntelとAppleが中心となって策定した高速接続規格。最大40Gbpsのデータ転送に対応し、USB-Cと同じ形のコネクターを使いますが40Gbpsで、同じ形の穴なのに速度が4倍違います。
ところが、Mac miniにつないでいる外付けSSDは10Gbpsのものでした。背面の40Gbpsのポートに挿しても、出る速度は10Gbpsまでです。
ケーブル
USB4なら最大80Gbps
ポート
Mac mini M4の背面は40Gbps
外付けSSD
10Gbpsのもの
実際の速度
一番遅いところに合わされ、10Gbpsまで
つまり神森さんが持っているUSB4の80Gbpsのケーブルを使っても、その速度はほぼ出ません。神森さん自身、「無駄にいいものを買っちゃった」と笑います。
さらにそのUSB4ケーブルは1mで、デスク周りの一部や出張先では長さが届かないことがありました。そこで2mのケーブルを探しましたが、USB4クラスの2mはなかなかいいお値段がするそうです。
値段がそこそこ安く、自分の環境に一番合うものとして神森さんが選んだのは、UGREENの2mのUSB-Cケーブルです。240W充電、10Gbpsのデータ転送、4K/60Hzの映像出力に対応し、Amazonで割引が効いて1,700円ぐらいでした。
このUGREENのケーブルを神森さんは2本買いました。1本は以前番組で紹介したUGREENの100W PD急速充電器に挿して自宅で使い、もう1本はどこでも使えるよう出先用にしています。
UGREENのケーブルでiPhoneレーザーUltra、MacBook Air M4、Opencom 2を充電したところ、どれも問題なく充電されました。MacBook Airは70%から1時間ぐらいで満充電になったそうです。
映像では、PHILIPSの27インチ4KモニターとMacBook Airをつないで試し、4Kで問題なく表示されました。さらにモニターから65Wの給電もきちんと返ってきたといいます。
一方でUGREENのケーブルには気になる点もありました。240Wを通すため中の線が太く、そのぶん硬くて取り回しがあまりよくありません。
端子のところが結構しっかりした作りなので、USB-C周りをくりぬいたタイプのケースだと、もしかしたら奥まで入らないかもしれない
神森さんのUSB-Cケーブル選びのオチは、一番速いケーブルを買えばいいわけではなかったということです。どこかで必ず一番遅いところが決まるので、そこが分かれば意外と安いケーブルで足りることがあります。
見積もりの「ディレクション費」とは何に払うお金なのか?
ワークトークのコーナーでは、月に一度の「教えてウェブマスター」の第2回が届けられました。1人で会社のウェブサイトを任されている人からの質問に、神森さんが考えを話すコーナーです。
制作会社から見積もりをもらったんですが、ディレクション費って何ですか?
神森さんは、この質問は言葉の意味がわからないという話ではないと受け止めます。見積書の1行に金額が載っているのは分かるのに、何に対して払うお金なのかが分からない、という形で出てくる疑問だろうと考えています。
答えより先に神森さんが伝えたのは、分からないことはまず制作会社に聞いてみることです。これから長く付き合うかもしれない相手に、かっこ悪いからと何も聞かずに済ませるのはよくないと話します。
ただし神森さんは1つポイントを添えます。初めての依頼で見積もりの打ち合わせをするときに偉そうな態度で話す人がいたら、少し距離をとってよく見たほうがいいかもしれない、と。人と人の話なので、そこも制作会社を選ぶ指標になるといいます。
神森さん自身、制作会社にいた頃は見積もりを出す側で、「ディレクション費って何ですか?」「ここ削れませんか?」とよく聞かれていました。見積もりの話は燃えやすいのであまりしたくないと前置きしつつも、依頼する事業会社の人にも理解しておいてほしいと話します。
ウェブサイト制作には、デザイナー、マークアップエンジニア(コーダー)、場合によってはカメラマンやライターなど、複数の人が関わります。こうした人たちをアサインし、サイトの公開に向けてハンドリングしていく人が必ず必要だと神森さんは言います。
ディレクションいらないみたいな感じで言ったら、もう皆さんは一人一人のデザイナーさんたちにすべて指示を出していかなきゃいけないわけです。それって無理でしょ。
ディレクターは進行管理をし、依頼側との調整をし、全体の仕様を理解し、原稿や素材が揃わなければ催促し、上がってきたものの品質もチェックします。神森さんは、ディレクターは依頼側が思っている以上にいろいろなことをやっていると話します。
見積もりによっては、進行管理の部分だけを「進行管理費」として切り出し、それとは別にディレクション費が乗っていることもあるそうです。
ディレクターの役割の例として、神森さんは原稿や写真がなかなか届かない場面を挙げます。依頼側に悪気はなく、社内で誰が書くか決まらなかったり、ある部署から写真が上がってこなかったりする事情はよく分かるといいます。
それでも公開日は、キャンペーン開始や展示会に合わせているなど、よほどのことがない限り動かせません。そのためディレクターは、原稿が来なくても進められるところを進められるよう内部で調整します。神森さんは、ディレクション費はそうした依頼側の代わりにやってくれている仕事にかかっているのだと説明します。
ディレクション費の出し方は会社ごとにバラバラ
神森さんがいろいろな制作会社の公開している解説を読んでみると、ディレクション費の出し方は結構バラバラでした。制作費に対して何パーセントと積む会社もあれば、ディレクターの単価×人日という工数で積む会社もあります。
制作費などに対して10〜30%程度。何にかけたパーセントかは会社で異なる
ディレクターの単価×人日。デザインやコーディングと同じく人が動いた分として並べる
パーセントで出す場合も、デザインやコーディングといった制作費にかけている会社もあれば、見積もりの総額にかけている会社もあります。同じ20%でも、何にかけた20%なのかで話は変わってきます。さらに別枠で「プロジェクト管理費」が上がってくることもあります。
神森さんは事業会社に移って見積もりを受け取る側になってから、出す側にいた経験で各社の分け方が分かったといいます。ただ共通のフォーマットがあるわけではないので、複数の会社に見積もりを頼むと、ある会社はまるっと、ある会社は分解して出してきて、正直分からないだろうと話します。
そのうえで神森さんは、この質問への答えを2つにまとめました。1つはディレクション費がデザインやコーディングといった作業そのものではなく、プロジェクトを円滑に進めるためのお金だということ。もう1つは、その出し方が会社によって違うということです。
最後に神森さんは、見積もりを見て疑問に思ったら、「ここ削れませんか?」ではなく、まず「これはどういうものに対しての値段なんですか?」と聞くことを勧めます。膝を突き合わせて話すことが、お互いの信頼関係にもつながると考えています。
カラオケで歌える曲を作ったら、なぜマイナーがメジャーになった?
最後のコーナー「Suno AI Lab」で、神森さんは新曲を作った話をします。今回の狙いは、いい曲を作ることに加えて、カラオケで自分が歌える曲にすることでした。
自分で歌える曲にするため、神森さんはまず音域をオクターブ前後の数音に収めたいと考えました。譜割りも、言葉が詰まると歌いにくいので、1つの音に1つの文字が乗る形を目指しています。
歌詞は全部の行を12音に揃えました。以前「See You」という曲を作ったとき、行ごとの文字数がバラバラだとメロディに乗らないと分かったため、今回は最初から揃えて書いたそうです。
キーはマイナーにして、暗くなく前に進む感じを狙いました。ところが、マイナーで指定しているのに、何度生成してもメジャーの曲が出てきます。
マイナーで指定しているのに、出てくる曲全部がメジャーで出てくるんです。何回やってもメジャー。
神森さんは、スタイルの書き方を変えてキーの指定を前に持ってきたり、除外指定にメジャーを入れたり、歌詞の中にマイナーの指示を書き込んだりしましたが、それでもメジャーで返ってきました。
設定を見ていくと、Suno v6から付いた「バラエティ」というスライダーが見つかりました。このスライダーは、書いたスタイルの文章をSunoが生成前に書き換えて、出てくる曲に幅を持たせる機能だそうです。
スタイルでマイナーを指定
キーの位置や除外指定、歌詞でも工夫した
バラエティがデフォルトでオン
生成前にスタイルの文章が書き換えられる
メジャーで出てくる
何度やっても指定が通らない
バラエティをオフ
一発でマイナーで出てきた
バラエティのスライダーにはオフ、普通、その上、さらにその上という段階があります。神森さんが全部試したところ、上げるほど指定は通らなくなる一方で、今どきのラジオから聞こえてくるような、こだわった音作りの曲になったといいます。
一番上の「一番言うことを聞かない」とされる設定で出てきた曲は面白かったものの、歌おうとすると歌いにくく、今回の目的とは合いませんでした。
Suno v6の設定を詰めて、22回のガチャで決まった新曲
バラエティを探す中で、神森さんはSunoにほかのスライダーがあることも知りました。どれだけ冒険的な音を出すかと、書いたスタイルにどれだけ忠実に従うかの2つで、それまで全く触っていなかったそうです。
調べると、Suno v6なら「冒険的な方を20%、忠実さの方を75%、書き換えはオフ」から始めると紹介しているサイトがありました。神森さんは20%と75%はそのまま使い、書き換え(バラエティ)だけはオフ、普通、一番上まで全部試しています。
聞き比べると、オフも悪くなかったものの、普通のほうが好みの音で、展開もドラマチックになりました。神森さんは、最初にバラエティをオフにしてから調整するといいのかもしれないと話します。
結局、神森さんは新曲のために22回ガチャを回しました。
肝心の歌いやすさについては、1つの音に1つの文字という形は実現できず、詰まるところもあります。それでもミドルテンポで拍とリズムが取りやすいおかげで、歌える曲になりました。
EveryLittleThingの曲でも歌詞がちょっとつまるところってあるじゃないですか。でも歌えますよね。あれと同じで、狙っていたのは違うところで解決したって感じです。
新曲のタイトルは「Choose to Change」です。日差しが弱くなり日が短くなる寂しい季節に、変わらなくてもいいと思っている人の歌で、最後のサビでその思いがひっくり返ります。
神森さんが気に入っているのは、ピアノっぽい入り方とストリングスっぽいシンセから流れるようなギターが入るイントロです。バースのベース、プレコーラスの陰り、サビでの盛り上がりという流れが昔のEvery Little Thingっぽく、それが決め手になりました。ラストのサビの後には30秒ほどのアウトロもあります。
「Choose to Change」の歌詞と、3つの話題の振り返り
曲を流した後、神森さんは「Choose to Change」の歌詞の流れを説明します。季節が進むのに「私はここでいい」と強がっている人が、サビでは「ずっとこのままでいい」と言いながら、2番で迷いが生まれ、最後に「このままじゃダメ」に変わります。
ずっとこのままでいいと強がっている
迷った末に、このままじゃダメだと進む方を選ぶ
神森さんは「自分で言うのもなんですが、この歌詞は結構いいと思っている」と話し、リスナーに感想を寄せてほしいと呼びかけました。
エンディングでは3つの話題が振り返られました。USB-Cケーブルは一番いいものを買えば間違いないと思っていたものの、そうでもなかったといいます。それでも充電もモニターもデータも1本でいけて、出張にこれだけ持っていけばいいという点で、選んでよかったと話しています。
ディレクション費の話について神森さんは、会社によって出し方が違うのは受け取る側にならないと気づかないところだと振り返り、ウェブサイトで困っていることがあれば送ってほしいと呼びかけました。
まとめ
EP37で神森さんが語った3つの話題には、「表示や言葉だけでは中身が分からない」という共通点があります。240W対応の表記、見積もりの1行、スタイルの指定と、どれも中身を確かめることで納得のいく選択につながっていました。
- USB-Cは充電・データ・映像の規格が独立しており、ワット数、転送速度、映像出力、長さの4つを別々に見て選ぶ
- 速度は機器・ポート・ケーブルのうち一番遅いところで決まるため、自分の環境に合えば安いケーブルで足りることがある
- ディレクション費は作業そのものではなくプロジェクトを円滑に進めるための費用で、出し方は会社ごとに違う
- 見積もりで疑問があれば「削れませんか」ではなく、まず何に対する費用かを制作会社に聞く
- Suno v6でスタイル指定が通らないときは、バラエティのスライダーを確認すると解決することがある




