noteを読んだ26歳が応募してきた
この回は、八木さんが前回話していた「経営者の右腕」的な採用について、続きの報告から始まります。実は経営企画をやりたいという人の採用が決まったといいます。
応募は6月ごろ、エントリーサイト経由でした。前職はまったく違う職種で、地元あわら市の出身の人だったそうです。
「なんでこの業種に応募したの?」って話を聞いたら、「最近、あわらが変わってきてるように感じる」と。
活気が出てきて、面白そうに見えたというのが応募のきっかけだったといいます。八木さんはこれを素直に嬉しく受け止めています。
さらにその人は、八木さんが個人で書いているnoteなどの記事も読んでくれていたそうです。発信の積み重ねが、応募という形で返ってきた瞬間でした。
一次面接で感じた「視点の違い」
採用の決め手を土田さんが尋ねると、八木さんは一次面接の時点での印象を挙げました。
なんでその方を採用しようと思ったんですか?
最初の面接の時から、持ってる視点が違うなって思ったんですね。あ、これはなかなか面白いなっていうところで。
二次面接では適性試験を受けてもらい、分析や企画に向いているという結果が出たといいます。本人もそうした仕事を「やってみたい」と話していました。
適性の結果が、八木さんが面接で感じた感覚を裏づけた形です。待遇面も含めて合意した上で採用が決まりました。
採用された人は26歳で、前職は工場系。宿泊業とはだいぶ違う経歴からの転身でした。
まず現場、そしてnote運用へ
八木さんがこの人に期待しているのは、ホテル八木の公式noteなどの運用です。今は個人でやっているnoteを、会社としての発信に広げていく狙いがあります。
最初に伝えたのは、AIを積極的に使ってよいということでした。
AIは全然使ってください。AIを使って作ればいい、文章も。何回もアップデートしていくと、自分のものになっていくので。
もちろん公開前には本人がチェックする前提です。取り入れてすぐ動く、という八木さんらしいスタイルがうかがえます。
就業後、最初の2週間は徹底的に現場に入ってもらう方針だといいます。ただ入るだけでなく、疑問に思ったことを必ずメモに残してもらうそうです。
そのメモが、今後のnoteのネタになるという考えです。現場で感じた疑問を、そのまま発信の素材にするという設計になっています。
なぜ「補充」ではなく採用なのか
八木さんは、採用を単なる人手の補充とは切り分けて考えています。作業だけならアルバイトでもいい、という前提です。
採用って、私が肝に銘じてるのは、どの部署にどの人がいるかをちゃんと持ってないといけないんですよね。
背景には、宿泊業ならではの採用難があります。料理人やパティシエといった技術職は、今とても採りにくいと八木さんは言います。
だからこそ、取りにくい職種の採用をどう設計するかを一緒に考えられる人が欲しい、という話でした。
どこの媒体で発信していくのかまで含めて、細かく設計していける人物っていうのは欲しいなと。
土田さんはこれを「内製化」と受け止めます。外部の力を借りるのも一つだが、社内で発信できると変化への対応もレスポンスも変わる、と評価しました。
キャリアアップ支援と「巣立ち」の話
話は将来のキャリアに及びます。八木さんは、キャリアアップの具体的な支援策をまさに今つくろうとしているといいます。
たとえば5年間在籍し一定の条件を満たした場合に、キャリアアップを支援する設計を考えているそうです。
結局キャリアアップで一番最後に必要なのって資金だと思うんですよね。もちろんノウハウもあるとは思うんですけれども。
今の若い人には、転職よりも独立や起業をしてみたいという人も一定数いるように感じる、とも話します。
土田さんが「巣立っていくのでも構わないのか」と尋ねると、八木さんの答えは明快でした。
みんなそれが自然だと思うので、その中でちゃんと残りたいっていう人がいてくれれば一番いい状態だなと。
一方で土田さんは、最近の会社訪問での肌感として、安定志向の強さを挙げます。給料より休みや自由を重視する声を聞くことが多いといいます。
八木さんは、経営志向の人を求めるなら、そうでない層とは分けて選ばないとミスマッチになると応じました。この見極めは、お客様選びと同じ構造だと二人はうなずきます。
採用は宿のコンセプトづくりそのもの
八木さんは全職種を通年で募集していますが、それでも応募は少ないといいます。だからこそ、気になった時に応募できる状態を保つことが大事だと話します。
同時に、何のための採用かをぶらさないことも重視しています。人数だけ集めても人は育たない、という考えです。
何のための採用かをぶらすと、これも宿のコンセプト作りとしてなんですけど、ただ人数だけ集めればいいのか、それだと育っていかないと思ってるので。
八木さんは、人にはそれぞれスイッチがあると言います。センスとは特別な才能ではなく、その人が持つ特徴だという捉え方です。
センスがいいっていうのは、才能があるってことじゃなくて、その人が持ってる能力っていうか特徴だと思うんですね。
好きなことや向いていることのスイッチを、会社としてどれだけ押してあげられるか。宿の課題感とうまくマッチングさせれば、自然といい循環に入る、というのが八木さんの見立てです。
「困っていること」を言えるかどうか
終盤、二人は企画や依頼の前提となる姿勢について話します。八木さんが大事だと語るのは、自分の課題をちゃんと言えるかどうかです。
困ってること言えば土田さんも作りやすいじゃないですか。これで言えない人が結構いて。
土田さんも、何から手をつけていいかわからず、目的を言葉にできない相手が実際に多いと同意します。目的が曖昧だとアプローチ自体が変わってしまうからです。
二人はこれを山登りにたとえました。ただ「山に登りたい」と言われても、どう手伝えばいいか決められない、というわけです。
どの山をどのぐらいまで登りたいのか、そこで設計が全く変わってくるので。
この「目的を明確にする」姿勢は、採用に限らず会社全体の経営にも通じる、と二人は締めくくります。
八木さんは、自分たちに合った採用をいかに実現するかを心がけつつ、どこに情報を届けるかは次のステージの課題だと語りました。土田さんと相談しながら作り込んでいきたい、と続きへの意欲を示しています。
まとめ
発信を続けたことが応募という形で返ってきた採用エピソードを起点に、ホテル八木が考える「合う人」の集め方が語られた回でした。人数合わせではなく、宿のコンセプトに沿った採用を、二人は繰り返し確認しています。
- 八木さんのnoteを読んだ26歳が応募し、経営企画職として採用が決まった
- 採用は人手の補充ではなく「どの部署に誰がいるか」を設計する宿づくりの一部
- 新人にはAI活用を促し、現場で感じた疑問をnoteの素材にしてもらう
- キャリアアップ支援を準備中で、独立や巣立ちも自然なことと捉えている
- 「困っていることを言えるか」が、採用でも経営でも支援の出発点になる






