疑義照会で意識する「2つの視点」とは?
薬剤師の仕事には、処方内容について医師に確認したり、処方変更を提案したりする疑義照会 ── 処方箋の内容に疑問や不明点があるとき、薬剤師が処方した医師に問い合わせて確認すること。薬剤師法で定められた業務ですがあります。たいぞーさんによると、毎日働いていれば少なからず何度か生じる場面だといいます。
たいぞーさんはその疑義照会をする際に、自分が意識しているポイントがあると最近気づいたそうです。それが「2つの視点を持つ」ことです。
保険診療に関わる内容の疑義照会、それともう一つは臨床上の問題に対する疑義照会です。
たいぞーさんの言う1つ目は保険請求など保険制度上の問題に関する疑義照会、2つ目は患者さんの治療に関わる臨床上の問題に関する疑義照会です。両者は緊急度が大きく異なるといいます。
保険診療としてフィーを得るための確認。緊急度が低い内容が多い
治療上の問題を未然に防いだり、発生した問題に対応したりするための確認。緊急度が高い
一包化の確認はなぜ医師の指示が必要なのか
保険制度上の疑義照会の例として、たいぞーさんは一包化 ── 服用時点ごとに複数の薬を1袋にまとめて調剤すること。飲み忘れや飲み間違いを防ぎ、薬の管理を楽にする目的で行われますを挙げます。薬の管理に困っている患者さんのために一包化をしようとするケースです。
たいぞーさんによれば、一包化という作業そのものは、薬剤師が患者さんに必要だと判断すれば誰の許可も得ずに行えます。ただし、その費用を保険診療の中でいただこうとすると、医師の指示に基づく対応が必要というルールがあるそうです。
このルールについて、たいぞーさんは「ある意味当然」と受け止めています。一包化は手間がかかる分、薬局の収入も上がるため、必要のない人にまで一包化をする薬局が出てくることが十分に考えられるからです。
一包化で収入が上がる
手間がかかる分、薬局が得られるフィーも増える
不要な一包化の懸念
お金目的で、必要のない人にも一包化する薬局が出かねない
抑止策としての制度
医師の判断・指示を経た対応を制度上求めている
診療の合間の問い合わせを、医師はどう受け止める?
一方で、診療中の医師に「この方を一包化させてほしいんですけど」と疑義照会の電話がかかってくる状況について、たいぞーさんは医師側の受け止めにも理解を示します。
いや、それほんまに今いる?っていうような、正直(一包化の問い合わせは)内容だというふうに思います。
たいぞーさんは、医師が目の前の患者さんの状態を把握し、治療の判断をしようとしている途中に保険診療上の確認事項が挟まると、診療の妨げと感じるのも致し方ないと話します。
そこでたいぞーさんは、保険制度上の疑義照会では「これは保険制度上確認すべきことなので連絡なんですけど」と最初に伝えるようにしているそうです。緊急度が低いと伝われば、医師はどれくらいエネルギーを注げばいいかを判断し、優先順位をつけやすくなると考えています。
臨床上の問題は「懸念」を明確に伝える
保険制度上の確認とは逆に、臨床上の問題に関する疑義照会は緊急度が高いものになると、たいぞーさんは話します。患者さんの治療で起こりうる問題を未然に防いだり、すでに起きている問題への対応を検討したりするためのものです。
こうした疑義照会では、「臨床上の問題としてこういったことが懸念される」と明確に伝えることが大切だといいます。そうすることで、情報の緊急度や重要度がより的確に医師に届くと、たいぞーさんは考えています。
たいぞーさんは、この2つの視点を持って疑義照会や医師との対応を行うことが非常に大事だとまとめています。
医療事故の背景にある「伝わらなかった緊急度」
たいぞーさんは、疑義照会を起点に医療過誤や医療事故が起きたというニュースを時々見かけるといいます。事故の経緯を見ると、情報の緊急度や重要度が正しく伝わらず、判断を誤ってしまったケースが見受けられると感じているそうです。
だからこそ、疑義照会で「これはどういった内容のものなのか」を伝えることが、たった一言でも事故を防ぐ重要な一言になりうると、たいぞーさんは話します。
ちょっとした一言が、薬剤師の余力を生む
たいぞーさんは、ちょっとした一言が大きな問題を防ぐ場面は、医師と薬剤師のやりとりに限らず医療現場のさまざまな場面にあると話します。疑義照会以外にも、一言で防げる問題が潜んでいないかという視点で業務を見直すことを勧めています。
たいぞーさんによれば、スムーズに業務が行える現場づくりは、薬剤師が無駄な体力や思考力を使わずに済む環境へ変わることを意味します。その結果、患者さんのことを薬学的な視点で考える余力が生まれ、治療の質を上げる介入にもつなげられると考えています。
一言を添える
問い合わせの内容や緊急度を伝える
業務がスムーズになる
お互いに無駄な体力・思考力を使わずに済む
薬剤師に余力が生まれる
患者さんを薬学的な視点で考える時間ができる
治療の質が上がる
薬学のプロとしての介入ができる
たいぞーさんは、一言で変わる現場のスムーズさが自分の職場のどこかに潜んでいないか、考えるきっかけにしてほしいと呼びかけています。
2月14日、姫路で薬剤師革命家りょうたさんと共同講演会
番組の最後には告知がありました。2月14日に兵庫県姫路市で、たいぞーさんが主催する講演会が予定されています。会場は調整中で未定ですが、姫路で行うことと日にちは確定しているそうです。
講演会は、薬剤師革命家りょうたさんとの共同主催です。りょうたさんは、薬剤師がもっと活躍するにはどうしたらいいかを昔から語り合ってきた仲間だと、たいぞーさんは紹介しています。
内容は、薬剤師が専門性を活かして働くための工夫や、たいぞーさんが現場で感じる課題を伝えつつ、参加者と一緒に薬局で薬剤師がより活躍し地域に貢献する方法を考える時間にしたいとのことです。詳細は決まり次第、番組で告知される予定です。
まとめ
たいぞーさんが疑義照会で意識しているのは、保険制度上の確認なのか臨床上の問題なのかを分けて伝えることです。その一言が医師の判断を助け、医療事故の防止や薬剤師の余力づくりにもつながると語られました。
- 疑義照会には、緊急度の低い保険制度上の確認と、緊急度の高い臨床上の問題がある
- 一包化の算定に医師の指示が必要なのは、不要な一包化を防ぐ抑止策と考えられる
- 保険制度上の確認だと先に伝えると、医師は優先順位をつけやすくなる
- 臨床上の懸念は明確に伝えることで、緊急度と重要度が的確に届く
- ちょっとした一言の工夫が現場をスムーズにし、患者さんの治療の質を上げる余力を生む


