薬局は情報が限られた環境という前提
この回のテーマは「患者さんから情報を引き出す」ことです。
きっかけは、たいぞーさんが薬剤師あゆみの会の合同合宿研修で、1年目から3年目の新人を対象に一コマを担当することでした。
そのセミナーのテーマがまさに「患者さんから情報を引き出す」であり、内容を準備する過程で気づいたことがあったといいます。
たいぞーさんがまず挙げるのは、薬局が持つ大きな特徴です。病院に比べて、患者さんの情報が圧倒的に少ない環境で関わらなければならない、という点です。
薬局で確実に得られる情報は、処方箋とお薬手帳くらい。最近はマイナンバーカードで情報量が増えたものの、それでも限られると話されています。
処方箋の奥にある「物語」に触れるために
限られた情報からでも患者さんについて多くを気づくことはできます。ただ、たいぞーさんはその情報の位置づけを丁寧に説明します。
医療は患者さんの生活の一部分にすぎません。処方箋やお薬手帳から見えるのは、その一部分の欠片の情報だけだといいます。
一方で、患者さんは毎日生きて人生を過ごしています。そこには、処方箋には表れないたくさんの物語があるはずだと語られています。
その物語の中で医療を捉えるためにも、情報を引き出すことは薬局薬剤師にとって大事な視点であり能力だと位置づけています。
「なぜ引き出すのか」を捉えておく
ただし、たいぞーさんはここで注意点を挙げます。情報を引き出すだけで終わってはいけない、ということです。
ただただ患者さんの情報を引き出すだけで終わってしまうと、患者さんは「なんで薬剤師にそんなこと話さなアカンの?」となってしまうことも十分想定されます。
だからこそ大切なのは、そもそもなぜその情報を引き出す必要があるのか、という目的をきちんと捉えておくことだと強調します。
たいぞーさんが考える目的は明確です。薬剤師の専門性である薬学をきちんと使い、患者さんの治療をより良くしていくためだといいます。
さらに、その薬が患者さんの人生をより良くしているかどうかを見極めることも、情報収集の目的に当たると話されています。
情報を薬学的に読み解き、患者さんへ還元する
たいぞーさんは、集めた情報の扱い方についても踏み込みます。得た情報を読み解き、薬学的な視点を乗せて患者さんへ還元していく、という流れです。
そうした関わりができると、患者さんから届く言葉も変わってくると語られています。
「薬剤師に話を聞いてもらえてよかった」とか、「薬剤師のあなたが私に関わってくれたおかげで、私の治療は本当に良くなったよ」というような言葉をかけていただけるようになるんじゃないかなと思います。
たいぞーさんは、この情報収集から還元までの流れを1つの目的でつなげて考えています。
情報を引き出す
処方箋やお薬手帳では見えない患者さんの物語に触れる
薬学的に読み解く
なぜ引き出すのかという目的をもって情報を読み解く
患者さんへ還元する
薬学的な視点を乗せて治療や人生の質につなげる
セミナーでは90分をかけて、情報を引き出すこと、それは何のためにするのか、薬学的な視点で読み解くとはどういうことかを、新人たちに伝えていきたいと話されています。
まとめ
薬局は情報が限られた環境だからこそ、患者さんから情報を引き出すことが求められます。ただし大切なのは、引き出すこと自体ではなく、なぜ引き出すのかという目的を捉えておくことだと語られた回でした。
- 薬局は病院に比べて患者情報が圧倒的に少なく、確実に得られるのは処方箋とお薬手帳くらい
- 処方箋から見えるのは患者さんの生活の一部分の欠片で、その奥にはたくさんの物語がある
- 情報を引き出すだけで終わると、患者さんは「なぜ話す必要があるのか」と感じてしまう
- 情報収集の目的は、薬学を使って治療を良くし、薬が人生を良くしているかを見極めること
- 得た情報を薬学的に読み解き、患者さんへ還元することで信頼される関わりになる



