翌日開催のTriconはどんなイベント?
たいぞーさんはこの回で、翌日に開催が迫った薬学生向けオンラインイベント「Tricon」の話をしています。前日の放送では、当日検討する症例とその進め方を紹介したといいます。
前日に取り上げたのは、シンプルな便秘の症例でした。薬の情報収集、患者さんの情報収集というステップを踏んで、薬学的なアセスメントをしていく流れを説明したそうです。
Triconは、オンラインで学生と現場で働く薬剤師が一緒に症例検討を行うイベントです。薬学部で学ぶ専門知識が現場でどう役立つのかを体感してもらうことを狙いにしています。
症例検討では、いきなり患者さんのことを考えていく時間を過ごすのも面白いものの、冒頭に少しレクチャーがあったほうが学びが深まりやすいとたいぞーさんは考えました。そこで当日は最初に10分程度のレクチャーを行うことにしています。
この回は、その冒頭レクチャーで話す内容をざっくり予告するものです。どんな内容か分からないまま2時間参加するのは難しいと感じる人に向けて、概要が伝わることで参加のきっかけになればという狙いで話されています。
専門性を活かすとは「わかりやすく説明すること」なのか
たいぞーさんは、薬剤師として薬学の専門性を活かし、薬学で患者を語って患者に関わることが、患者さんの健康への貢献になると考えて日々の仕事をしています。この考えはもう12〜13年ほど実践してきたものだといいます。
一方で、若手の薬剤師や、特に学生にとっては、専門性を活かすことや患者さんの健康に貢献することが具体的にイメージしづらいのではないか、とたいぞーさんは指摘します。
実務実習はあくまで勉強の場であり、自分の専門性で患者さんに価値を届けるというより、価値を届けるにはどうしたらいいかを学ぶ立場だからです。
たいぞーさんが勤める薬局で学生向けの集合研修を開いた際、「薬学の専門性を活かして患者さんに関わるとはどういうことか」を学生に考えてもらったといいます。
そこで出てきたのは、専門的な内容をわかりやすく伝える、薬同士の相互作用を説明する、治療内容が変わったときに前後の違いを説明する、患者さんの質問に答えられるようになる、といった意見でした。
たいぞーさんは、これらは確かに薬学の専門性を活かし、患者さんの健康に貢献する薬剤師の役割だと認めています。
なぜ患者の感謝は医師に向かうのか
ただし、とたいぞーさんは問いを重ねます。わかりやすく説明する役割を果たしたとき、患者さんが「薬剤師のあなたがいてくれてよかった」と言ってくれる仕事に、本当につながるのだろうか、と考えてみてほしいといいます。
たいぞーさんは、患者さんが元気になったとき、感謝の感情はドクターに向かうことが多いのではないかと話します。
先生がいい治療を考えてくれたおかげで、いいお薬を出してくれたおかげで元気になれましたと、ドクターの方にそういった感情や感覚が向くことこそあれど、薬剤師にその感情や感覚が向くことってあるんだろうか。
たいぞーさんは、説明する役割だけでは、薬剤師に感謝が向くことにはつながりにくいのかもしれない、と一方で感じているといいます。そこで、それはなぜなのかを掘り下げて考えていきます。
たいぞーさんによれば、患者さんは何とかして解決したいけれど、なぜ自分の体で起こっているのか分からない問題を抱えて医療機関を受診します。だからこそ専門家のもとに出向き、自分では分からない体の中の変化を専門知識で解き明かしてほしいと願っているといいます。
患者の「謎解き」をする医師、その土台にある知識
たいぞーさんは、患者さんの抱える「謎解き」を臨床現場で実践している職種の一つが医師だと説明します。
医師は医学部で学ぶ専門知識をベースに、患者さんの体を読み解き、病気によって起こる体の変化を読み解いて薬物治療を組み立てる、とたいぞーさんは述べます。手術のときも同じく体の中の変化を読み解きながら病気を取り除いていくといいます。
たいぞーさんは、こうして体の状態を良くしていくのが医師という職種だと、ざっくりまとめています。
医学部で学ぶ医学の知識をベースに、病気による体の変化を読み解き、薬物治療の組み立てや手術で体の状態を良くしていく
6年間の教育で学ぶ薬学の知識をベースに、薬による体の変化を読み解いていく
薬剤師にしか見えない患者の姿とは
では薬剤師はどうか。たいぞーさんは、薬剤師も6年間の教育課程で、医師と同じように謎解きをするための土台になる専門知識を学んでいると考えています。
その土台になるのが、薬理学 ── 薬が体にどう作用し、どんな効果や副作用を起こすかを研究する学問、薬物動態学 ── 薬が体内でどう吸収・分布・代謝・排泄され、いつどれくらい効くかを扱う学問、生体学といった領域だとたいぞーさんは挙げます。
これらの知識を使うことで、薬がどのように働くのか、いつ働くのかを理解し、患者の体で起こる薬による変化を読み解ける、とたいぞーさんは話します。
そうして見えてくるのが、薬剤師にしか見えない患者の姿です。専門知識を使ってこの見えない姿を見ていくことが、薬学の専門性を活かして患者さんの健康に関わる仕事になる、というのがたいぞーさんの考えです。
当日の症例検討では、専門知識を活かして患者を見ることに取り組み、みんなで患者さんの体に起こっている謎を解いていくといいます。症例検討のやり方を学ぶと同時に、大学で学ぶ専門知識が患者さんにどう活かせるのかを理解することにつなげたい、とたいぞーさんは話しています。
薬学の専門知識を学ぶ
薬理学・薬物動態学・生体学などを土台に学ぶ
薬の働きを理解する
薬がどのように、いつ働くのかを理解する
体の変化を読み解く
患者の体で起こる薬による変化を読み解く
患者の姿が見える
薬剤師にしか見えない患者の姿が見えてくる
まとめ
この回でたいぞーさんは、翌日開催のイベントTriconの冒頭レクチャーの内容を予告しました。専門性を活かすとは説明すること、で終わらせず、薬剤師にしか見えない患者の姿を専門知識で読み解くことだと語っています。
- Triconは、学生と現場の薬剤師がオンラインで一緒に症例検討を行うイベントで、当日は最初に10分程度のレクチャーがある
- 専門性を活かすことを学生に問うと「わかりやすく説明する」といった意見が出るが、それだけでは薬剤師への感謝につながりにくいとたいぞーさんは指摘する
- 患者さんは自分では分からない体の変化を専門知識で解き明かしてほしいと受診し、その「謎解き」を実践する職種の一つが医師である
- 薬剤師も薬理学・薬物動態学・生体学などを土台に、薬による体の変化を読み解ける
- 専門知識を使って「薬剤師にしか見えない患者の姿」を見ることが、患者さんの健康に関わる仕事だとたいぞーさんは考えている



