AI教材の起業家から学校長へ、そして福岡市長選へ
神野げんきさんは、2026年の福岡市長選に立候補しようとしていることを高木新平さんに打ち明けます。自分なりのビジョンはあるものの、高木さんがビジョニングしたらどう言葉にするのかを本気で知りたくて、前日の夜に福岡から来たといいます。
立候補しようと思っていて、福岡市長選に。
私にはもちろんビジョンがあるし、自分自身がこれまでやってきたことも含めてつながりがあるんだけど、これを高木新平がビジョニングしたらどう言ってくれるんだろうっていうところが本気で知りたくて。
神野さんの現職は、東明館学園の理事長であり、東明館中学校・高等学校の校長です。もともとは株式会社COMPASSを創業し、AI教材「Qubena ── COMPASSが開発したAI型の学習教材。一人ひとりの解答状況に合わせて問題を出し分ける仕組みで、全国の学校で導入されています」を作った起業家で、神野さんによれば今では全国で100万人ほどの子どもたちが使っているといいます。
神野さんは25歳でシリコンバレーに渡るなどスタートアップの世界で挑戦してきました。それでも教育改革を進めるうちに、スタートアップの力だけでなく現場を知らなければ本気で何かを変えることはできないと考え、2022年に佐賀の東明館の校長として現場に飛び込んだと語ります。
高木さんが41歳の校長は珍しいのではと尋ねると、神野さんは37歳で校長になった当時、全国に30代の校長は4〜5人ほどしかいなかったと振り返ります。
「世界平和という謎を解く」と立候補の関係は?
高木さんが立候補の理由を尋ねると、神野さんは13歳から掲げているテーマとして「世界平和という謎を解く」を挙げます。当時の言葉でいえば、人が人を殺さない、人が人を殴らない社会をつくること以外に興味がない、という思いだったといいます。
神野さんの「世界平和」への入り口は、年齢とともに移り変わってきました。中学では音楽、高校では政治、大学ではテクノロジーにその可能性を見て、シリコンバレーでAIやシンギュラリティの概念に触れたことで、未来を生きる人の倫理観や生き方をつくる教育へ向かったと話します。
今回の立候補のもう一つの大きなきっかけは、東明館での教育でした。東明館では、全員が当事者として対話し、最上位目標を作り、合意形成すればルールは変えられると教えてきたといいます。
東明館の校則は、生徒たちの合意形成によって大きく変わりました。神野さんによれば、もともと27〜28ページほどあった校則が、4年間で6行ほどにまで減ったそうです。
校則は27〜28ページほどあった
生徒たちの合意形成で6行ほどになった
しかし東明館の教育を受けた子ほど、卒業後に「合意形成すれば世の中は変えられる」という信念が通用しない社会に直面します。神野さんは、それを叫び続ける大人の姿を見せる必要があると考えたといいます。
それは学校でやってるだけじゃ足りないってこと?
もちろん学校でやっていくのもいいんだけど、かわいそうやん。
さらに神野さんは、福岡が世界に誇れる街になれば、他の街も「福岡モデル」を取り入れたいと思うほどの力があると見ています。福岡での挑戦は福岡だけの話にとどまらない、というのが手を挙げたもう一つの理由です。
組織票が強い選挙で、新人の勝ち筋はどこにある?
高木さんが勝ち筋を尋ねると、神野さんは「相当むずい」と率直に答えます。泡沫候補で終わらないためにどうするか、という話が現実に出てくるほど厳しい選挙だと受け止めているといいます。
背景には、16年続いた高島宗一郎市長の市政があります。高木さんは、人口や若い世代が増え、天神ビッグバン ── 福岡市の都心・天神地区で進められている大規模な再開発プロジェクト。規制緩和によってビルの建て替えを促し、街の機能や価値の向上を目指すものですのように街の価値を上げる取り組みも進む中で、高島市長が5期目に出ないと決め、候補者が次々に名乗りを上げている状況だと整理します。
神野さんによれば、福岡市長選はもともと投票率が低く、過去を見ても30パーセント台で4割に届くことがないといいます。そのため組織票が強く、新人が多く出るほど票が割れて、さらに組織票が有利になる構造があると分析します。
投票率が低い
過去の市長選は30パーセント台にとどまる
組織票が強い
票固めで決まりやすい
新人が乱立
新人の票が割れる
組織票がさらに有利に
知名度を上げることが新人の唯一の武器になる
神野さんは、自分たちに今ある武器は知名度を上げることだけだとして、そのための作戦を組んでいると話します。北九州市で新人の武内さんが市長になった例について高木さんが触れると、神野さんはその裏側に麻生太郎さんら自民党の有力者の支援があったと説明し、党の色をつけずに組織票を動かす構図があると見ています。
選挙日程も戦い方を左右します。告示後はお金を使った認知の獲得ができないため、神野さんは告示前日までにどれだけ認知を取れるかで、重鎮たちが誰を推すかが決まる「ビューティーコンテスト」の最中だと表現します。
神野さんは、石丸伸二さんが出馬するかもしれないという噂にも触れ、もし出れば投票率が上がり、浮動票が動く分、新人にもチャンスが増えるのではないかと見ています。
政治への関心は小泉政権時代のニュースから
高木さんは、教育を手がけてきた神野さんに政治への「引力」を感じていたといいます。神野さんが政治を意識したのは高校時代で、小泉政権が郵政民営化を進め、「小泉チルドレン」が生まれるなど政治が大きく動いていた時代でした。
政治がすごく世界に対して何かものを仮に日本人として言うんであれば、一番言えるポジションなんじゃないの?っていうのはあの辺で。
神野さんは、北朝鮮の拉致問題、9.11、アフガニスタンでの人質事件など、当時の一連のニュースが政治の力を感じさせたと振り返ります。そこから急に新聞を読むようになり、国会答弁も見るようになったそうです。
「二度と人の上に立つな」母の言葉はなぜ残り続けたのか
「世界平和」を考えた原点について、神野さんは「中二病チックなところがある」と前置きして語り始めます。小学6年生のとき、両親が全校生徒の前で涙ながらに謝るほどの大事件を起こし、母親から「お前は二度と人の上に立つな」と言われたといいます。
神野さんは、誰かを傷つけたかったのではなく、自分の仮説を試したかっただけで、倫理観が足りなかったのかもしれないと振り返ります。その後の中学時代は悶々とし、「廊下を走るな」のような納得していないルールに疑問を抱くようになりました。
人が人を殺さない、人が人を殴らない。このルールは別に自分が言ったわけじゃないけど納得するって思って。
でもこれが世界で実現できてないよねって。大人も実現できてないよねって思って。
神野さんの問題意識には、母親の言葉も大きく影響しています。5〜6歳の頃から、母親に「この世の中は金持ちが金を持つような世の中になっている、そんな世の中を変えてくれ」と言われていたそうです。
幼いながらに自分が世の中変えなきゃいけないんだなって勝手に思い込んできたってのは結構思ってる。今でも。
高木さんは、幼い頃に浴びた言葉がなぜ上書きされずに残っているのかを問います。神野さんは、18〜19歳の頃に母親が弟を連れて家を出ていき、母親と疎遠になったことで、かえって母親の言葉の意味を考え続けたのかもしれないと答えます。
上京後の大学生活について、神野さんは当初は母親の言葉とつながっていなかったと言います。網走から出てきて、すごい人やお金持ちばかりの中で必死に「何者か」になろうとし、ラスベガスのWSOPのリミットホールデムという種目で世界順位になったこともあったそうです。
トップに立ちたくない人の、ファシリテーション型リーダーシップ
高木さんは、「人の上に立つな」という母親の言葉がどう消化されたのかを尋ねます。神野さんの答えは「あんまりされてない」でした。
立ってるやん。立ってる。校長、理事長なんてもう。
なのですごいずっとすいませんみたいな。
神野さんは、トップをやりたいわけではないものの、仮説はどうしても言いたいので言い、その結果「お前が立て」となれば仕方なく立つのだと説明します。高木さんも、初めて会ったときの神野さんは全然校長っぽくなかったと振り返ります。
市長になれば、さらに多くのステークホルダーのトップになります。それに対して神野さんが示したのが、AIを使ったアイデアでした。AIは、人が言葉にできなかった衝動や気持ちを言語にしてくれる装置であり、市民の「声なき声」を声にできると考えているといいます。
だから私は市長として、ある意味本質的に一番やりたいのはこのファシリテーションなんだよね。
神野さんは、緊急のことや重要なことはリーダーとして決める必要があるとしたうえで、中長期的なテーマについては「本気でみんなどうしたい」を引き出す役になることが大事だと話します。
教育ではなく、なぜ市政で社会を変えたいのか?
高木さんは、教育ではなく地域行政で取り組みたい理由を尋ねます。神野さんは、東明館のモデルを全国の私立や公教育に広げることも考えていると前置きしつつ、教育だけでは「子供たち頑張ってね」と社会変革を子どもに背負わせる感覚があると語ります。
結局変えるのはあいつら(卒業生)と思ってる。最終的に。ただ、礎にはなりたいなと思ってるの。
国ではなく市を選ぶ理由についても、神野さんは波及の連鎖で説明します。福岡市が変われば、北九州や熊本、広島や大阪などもそうなりたくなり、それは国が変わることであり、さらに韓国や台湾、世界へ飛び火するかもしれないという考えです。
福岡市が変わる
意見を言い合い合意形成が生まれる街になる
国内の都市へ
北九州、熊本、広島、大阪などもそうなりたくなる
国が変わる
中核都市まで広がれば日本が変わる
世界へ
韓国や台湾、世界に飛び火するかもしれない
高木さんは、モデルケースをつくれば他も変わるという神野さんの思考の源を探ります。神野さんは、以前に関わった東京の麹町中学校 ── 東京都千代田区の公立中学校。定期テストや固定担任制の廃止など大胆な学校改革で全国的に注目されましたでの取り組みが、モデルケースをつくれば何かが動くという初めての大きな成功体験になったと認めます。
市民の意見表明を、AIでどう後押しするのか
高木さんは、勢いのある福岡でも理想の合意形成ができていない理由を問います。神野さんは、学校教育でそうした考え方を教えていないことに加え、役所に意見を表明する場が少なく、そもそも議題があることすら情報が行き届いていない点を挙げます。
解決策として神野さんが考えているのは、ある議題について賛否をグラデーションも含めて並べ、自分の気持ちに一番しっくりくるものを選べるようにする仕組みです。高木さんは、選択肢として並べれば意見表明しやすくなり、それをAIで実装するということかと受け止めます。
神野さんがテーマとして挙げるのは「納得感」です。どんな考えの人がいて、どういう意思決定を経て今のルールがあるのかが分かれば、大体の人は納得するはずだが、それを知るのは難しすぎるために、多くの人が嫌な気持ちになっているのではないかと話します。
具体的な政策の例として神野さんが挙げたのは交通の問題です。天神ビッグバンに伴う渋滞やタクシー不足に加え、福岡では完全自動運転の実証を以前から行ってきたものの、関係団体の反対などで実現が難しい状況にあるといいます。
完全自動運転を本当に待ち望んでいるのは、移動そのものが困難な障害のある人たちでもあると神野さんは指摘します。タクシーやバスの業界の不安と、待ち望む人たちの切実さが互いに伝わっていないからこそ、その間を橋渡しすることが市長の役割になると考えているようです。
なぜ福岡なのか。大濠公園とスタートアップに見る街の力
高木さんは、福岡市民なら「なぜ福岡でやるのか」の答えが欲しいはずだと迫ります。神野さんは、母親が大牟田出身で親戚もいること、自身も福岡市在住で学校の生徒も6割が福岡県民であることから、福岡は故郷のような場所だと答えます。
高木さんがさらに「大阪に住んでいたら大阪でもいいのか」と問うと、神野さんは、福岡は世界でも最高の街かもしれないと語り始めます。天神にはAppleやブランドショップがある一方、徒歩20分ほどで釣りができる大濠公園があり、さらに30分ほど歩けばビーチまであるといいます。
超都心のなんかこう街から徒歩20分でそんな大自然にアクセスできちゃう。
神野さんは、福岡の強さの源を市民性に見ています。元寇や大陸の文化の入り口だった歴史から新しいもの好きな気質が続く一方で、昔からのものを継続する力もあり、新旧が絶妙なバランスで共存しているといいます。加えて、福岡市民は福岡市が大好きだという点も強烈だと話します。
スタートアップにも福岡らしさが表れていると神野さんは言います。ボーダレスの田口さんやYAMAPなど、福岡の起業家はこの街が大好きなことが根っこにあり、自分たちだけが儲かればいいという割り切りができないのだといいます。
成長と熱狂。市場をディスラプトして制圧せよという文化
何が何でも成長・独占とは考えず、みんなで発展するというあり方を大事にする
神野さんは、福岡が外の文化を取り込んでもそのままにはならず、福岡らしく変わっていく点こそ、今の世界に必要なのではないかとまで考えていると語ります。
高島市政をどう総括し、何を引き継がないのか
高島市政の総括を問われた神野さんは、「めちゃくちゃすごかった」と高く評価します。ただし同じ手法で同じ発展を続けることは自分にはできないとして、その発展を一人ひとりが享受し、持続させることが大事だと話します。
天神ビッグバンやスタートアップは新しい概念で、昔から福岡にいる人には「自分にどう関係するのか」と思われがちだと神野さんは指摘します。福岡の発展は必ずみんなに還元されているので、それを納得感のある形で享受できるようにしたいという考えです。
神野さんがもう一つ挙げたのが「次世代への投資」です。街は発展し、緑や芸術、インバウンドも増えたものの、福岡を愛し発展させ続ける人を育てる小中高の教育はまだ手つかずだと見ています。
現役世代と今の経済・文化を発展させ、街の価値を高めた
その発展を一人ひとりが享受できるようにし、次世代への投資として小中高の教育に取り組む
高島市長が目指したものについて、神野さんは「東京を目指したのでは」と慎重に答えます。シアトルのスタートアップ文化を輸入したように、世界のイケている都市の要素を取り入れて福岡を発展させたという見方です。一方で神野さん自身は、東京は憧れるものではないと考え、福岡こそ最高だと思っているといいます。
偏差値と金という「集団催眠」から抜け出せるか
高木さんは、都市間の人の奪い合いが激化し、新幹線の発展で中部圏や関西圏も実質的に東京に食われていると指摘します。故郷の富山も北陸新幹線で東京圏になったとし、札幌と福岡は距離があるからこそ残っていると見ています。
神野さんは、この東京集中の背景を「集団催眠」と表現します。偏差値が高いほうがいいという思い込みから東京や大阪の大学へ人が集まり、本社機能も東京へ向かうという流れです。
本当に我々が幸福に生きるっていうことを追求した時に、こんな2つの指標だけで我々の人生なんて測れるわけないじゃん。
神野さんは、自然や家族、教育環境、子育て環境など、幸福を決める要素は本来もっと多いと語ります。幸福に必要な要素がすごいバランスで整っているのが福岡だというのが、神野さんの見立てです。
東京でも京都でもない、福岡が目指す第3の都市像
高木さんは最近訪れた京都の話を持ち出します。京都の人は自分たちが中心だと思っていて、日本で唯一東京に憧れていない街ではないか、それを支えているのはシビックプライドだと語ります。
高木さんの見立てでは、東京と大阪の下に名古屋や仙台、福岡、札幌が並ぶという序列ではなく、福岡は東京と京都のどちらでもない第3の都市を目指せるのではないかといいます。神野さんも、京都は計画的には作れない街であり、福岡は京都ほどのブランディングができていないだけで、すでにその価値はあると応じます。
高木さんが京都で感動したのは、京料理や花の職人の話でした。京料理の器のサイズは書院造 ── 室町時代から近世にかけて成立した武家住宅の様式。床の間や畳敷きの座敷を備え、現代の和室の原型とされていますの空間から決まり、花や茶道、座禅も含め、その空間から逆算した美しさをみんなが体現しているといいます。
京都でいうと、それ(共有されている価値観)が空間、空間美によって共有されてるのよ。
高木さんは、京都の人口の1割ほどを大学生が占め、iPS細胞の研究者のように外から来た人が活躍している点にも注目します。よそ者を取り入れ続けるからこそ、京都らしさを抽象化して共有する必要があり、成長と維持の両輪が回っているという見方です。
| 都市 | 特徴 | らしさの保ち方 |
|---|---|---|
| 東京 | スクラップアンドビルドで新しいことをやり続ける競争 | カオスそのものが東京らしさ |
| 京都 | 自分たちが中心だと考え、よそ者も取り入れ続ける | 空間美などで価値観を共有し受け継ぐ |
| 福岡 | 経済発展しつつ多様な人が流入している | 福岡らしさを言葉にし、次世代へ継承する余地がある |
高木さんは、東明館で生徒たちが校則を作ってきた経験は、街づくりの延長線上にあると読み解きます。自分たちらしさを見つけるヒントを持つ「モデルケースマン」として、福岡らしさをみんなで見つけ、受け継ぐ提案ができるのではないかという仮説です。
みんなが思ってる福岡らしさみたいなものをちゃんと言葉にまずし、みんなでそうだねっていう風に思えるようになって、それを次世代に継承するような、なんかそんなようなところまでやっていくのが、ある意味私がやりたいこと。
選挙で語るのは、自分の思いと世の中の関心のどちらか
神野さんは、選挙でどこまで自分の気持ちを語っていいのか悩んでいると明かします。市民が求めていることをやるのか、自分がこうなったほうがいいと思うことをやるのか、考えさせられているといいます。
高木さんの答えは現実的です。首長選挙は1人を選ぶ選挙なので争点に答えを出す必要があり、人生の話は記者会見やnoteなど長く聞いてもらえる場で語り、市長になった後の軸として持っておけばいいと助言します。
自分の持ってるものが3割で、世の中の聞きたいことが7割ぐらいにはしないといけないと思う。
そのうえで高木さんは一つの答えを示します。経済が成長している福岡で「足りない」と感じる人は少ない一方、天神ビッグバンで昔ながらの町並みが消えた、人が増えすぎて暮らしが変わったと感じる人はいそうで、それは文化の問題だという指摘です。
高木さんの提案は、経済と文化の両輪を大事にする街を掲げることです。経済の発展は高島市政を継承し、その土台に次世代教育や自分たちらしさの合意形成、市民が意見しやすいコミュニケーションを置くことで、両方を持続的に回せると訴えられるのではないかといいます。
「京都は変態の街」に対して、福岡らしさはどんな言葉か
神野さんは、福岡市民は山笠やどんたくといった祭りで福岡らしさを身体では感じているものの、言葉にはできていないと考えています。それを言葉にできれば、選挙の勝敗とは別に、市民の誇りとして大きな価値になるのではないかと話します。
高木さんは、京都市長が「京都は変態の街」と語っていたという話を紹介します。変な人が活躍でき、他人の変も受け止められる街という意味で、偏差値とは逆の、どこか突き抜けた個性を受け入れる懐の広さを表した言葉だと受け止めています。
高木さんが福岡を「サードシティ」になれそうだと言うと、神野さんは福岡は最高だと思っているので「第三」とは言わないと返します。そこで高木さんが言い換えた言葉が「唯一無二」でした。
まあだから唯一無二の場所になれると思ってる。
うん。あ、そうね、それがいいな。唯一無二っていうのが一番いいね。
高木さんは、神野さんの歩みを、網走で押し込められた少年が、ごちゃ混ぜでカオスでも個性を引き出してやっていけるかを追求してきた物語とも読めると話します。
本当の原点は「納得いかねえ」だった
最後に高木さんは、「殺さない、殴らない」という原点の中身そのものより、合意形成へのこだわりこそが神野さんの核ではないかと指摘します。子どもの頃に考えた「みんなが合意できるルール」が、たまたまそれだっただけではないかという見立てです。
高木さん自身も、自分たちの仕事について考えが変わってきたといいます。誰でも調べられ何でも作れる時代には、見せて説得するよりも、相手が心の底から納得できるかが大事になっていると語ります。
神野さんは、子どもたちには納得感のある人生を送ってほしいと心から思い、納得していない人を見ると思わず体が動いてしまうと話します。納得感は解決策の中身だけで決まるのではなく、話を聞いてもらえた、参画できたというプロセスにも左右されるという考えです。
高木さんは、選挙活動として「福岡市民の納得できないことを聞かせてください」と呼びかけるのもいいのではと提案します。神野さんも、高島市政の成果も対話を通じて伝われば喜ぶ人が多いはずで、彼がやったことをみんなで感じ合う形で継承したいと応じます。
結局自分の一番奥底にあったのも納得いかねえだったんだな。
まとめ
神野げんきさんの福岡市長選への挑戦は、東明館で生徒たちと続けてきた合意形成を街に広げる試みとして語られました。高木新平さんとの対話を通じて、その奥にあるのは幼い頃からの「納得いかねえ」という感覚であり、福岡を経済と文化の両輪で回る唯一無二の街にするというビジョンへとつながっていきました。
- 神野さんは、校則を27〜28ページから6行ほどに変えた東明館の合意形成を、福岡の街づくりに広げたいと考えている
- 選挙は投票率が低く組織票が強い構造で、新人にとっては告示前の認知獲得が鍵になる
- 高島市政の経済発展は継承しつつ、一人ひとりが享受できる形と次世代への教育投資を自らの役割と位置づけている
- 高木さんは、東京とも京都とも違う「唯一無二」の都市像と、経済と文化の両輪を訴える方向性を提案した
- 神野さんの原点は「納得いかねえ」であり、市民の納得感をプロセスから大事にする姿勢が軸になっている





