なぜ砂糖は人工甘味料に置き換わらないのか
甘いもの好きを自認するレンさんは、「人はなぜ甘いものをやめられないのか」という問いからこの回を始めます。
人って甘いもの好きじゃないですか。僕大好きなんですけど。なんで(甘いものを)やめられないんだろうなっていう。
エマさんの最初の答えは「本能」です。昔は狩りをしなければ食べ物が手に入らず、少量で大きなエネルギーになる砂糖は、見つけたときにたくさん食べておくべきものでした。
エマさんによれば、砂糖が簡単に手に入る今もその本能的な欲求だけが残っていて、必要がなくても食べすぎてしまうのではないか、とのことです。
レンさんはさらに、甘味料という「人工の甘さ」がこれだけあるのに、砂糖が置き換わらずに残り続けていることに注目します。砂糖より甘い甘味料が生まれても、砂糖は一部しか置き換えられていません。
じゃあそれ(甘味料)に置き換わるのかなと思いきや、砂糖はずっと残り続けてる。
レンさんは、これには科学的な理由があると言います。同じ甘味でも、砂糖と甘味料では誰の体でも受け取り方が変わるというのです。
そこでこの回は、何をもって人は「甘い」と感じるのかを深掘りし、最後に「甘いものをやめるにはどうしたらいいか」を考える構成になりました。前半はほとんどレンさんの「言い訳」だと、本人が宣言しています。
「甘い」は分子と受容体の結合に付いた名前?
基本の味は、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つです。それぞれに対応する受容体が舌の上にあり、味を受け取っています。
レンさんによると、甘味の特徴は「カロリーが入ってくる」というシグナルと強く結びついていることです。エマさんも、塩味やうま味はカロリーとは関係ないと応じます。
甘いと感じる物質の多くは糖類です。お腹の脂肪は燃やすのに時間がかかりますが、糖は摂取するとほぼ即座にエネルギーに変わります。甘味は「すぐ使える燃料が来た」という合図だというのが、レンさんの説明です。
では物理的には何が起きているのか。砂糖を食べると、糖という分子が舌の甘味受容体にピタッとはまり、そのとき脳に生じる感覚が「甘い」になります。
分子がそのものが甘いんですよっていうわけじゃなくて、その分子と(受容体が)くっついたっていう事実。その結果が甘いってことだよね。
エマさんは、受容体がなければ砂糖をいくら食べても甘く感じないということかと確認し、レンさんも同意します。エマさんは、触覚も手のひらの受容体が検知して脳で初めて「触った」となるのと同じだと重ねました。
分子が届く
砂糖などの分子が舌に入ってくる
受容体と結合
甘味受容体に分子がピタッとはまる
信号に変換
受容体の形が変わり、タンパク質のリレーとイオンの出入りで電気信号になる
脳が感じる
脳に届いた信号が「甘い」という感覚になる
糖じゃなくても甘い? 面接にたとえた受容体のゆるさ
甘味のもう一つの特徴は、糖でなくても甘く感じる場合があることです。レンさんは、エビやカニの甘みは糖ではなくアミノ酸によるものだと紹介します。
甘いアミノ酸としてはグリシンやDアラニンなどがあり、ホタテやウニの甘みもアミノ酸といわれています。受け取る受容体は砂糖と同じで、くっつく物質が違っても似た「甘い」になるのです。
甘味料も同じ仕組みです。レンさんによれば、甘味料には糖とまったく違う形の分子も多く、ポイントになるパーツのパターンはあるものの、パッと見では全然違う分子でも甘く感じるといいます。
レンさんはこのゆるさを、社長が面接をする場面にたとえました。
めっちゃ性格良さそうな顔の人とかいるじゃん。で、そういう人がいたら、「お、いいじゃん」と思って、「君合格」ってなる。でも実際どうかわかんないじゃん。
甘味受容体もこれと同じで、実際にエネルギーになるかはわからないまま、「良さそう」な分子を見た目で合格させて甘いと判定しているわけです。
アミノ酸は種類によって苦味やうま味にもなります。一方で塩味は単純な分子によるもので、弱い電気を流すスプーンで塩味っぽさを引き出す「味覚ハック」もあるそうです。レンさんは、甘味では分子の形そのものでハックしているのが甘味料だと整理しました。
甘い分子が受容体に結合すると、信号は脳に「甘い」を伝えるだけでなく、ほかの場所にも届きます。その一つがドーパミンを出す報酬系 ── 快感や意欲を生み出す脳の仕組み。ドーパミンという神経伝達物質が関わり、「もっと欲しい」という行動を後押ししますです。
エマさんは「依存っぽくなっちゃうんだ」と反応しますが、レンさんは、完全な依存と言えるかはまだ議論があると前置きしています。そのうえで、甘味では「好き」という快の判定も同時にされているといいます。
甘味の信号は、満腹のスイッチや、消化に向けたホルモン分泌の指示にもつながっています。甘さを感じた瞬間に、脳と体のさまざまな場所へ同時に信号が送られているということです。
砂糖の3000倍甘いソーマチンと、酸っぱさを甘くするミラクルフルーツ
受容体に砂糖よりもジャストフィットする分子もあります。西アフリカの果物カテンフェに含まれるタンパク質ソーマチン ── 西アフリカ原産の植物の果実から得られる甘味タンパク質。ごく少量で強い甘さを持ち、甘味料として使われることがありますは、砂糖の3000倍甘いといわれています。
スプーン1杯で砂糖3キロ分の甘さらしいの。
ソーマチンは食品添加物としても使われ、天然ではトップクラスの甘さです。人工の甘味料にはもっと上がいるといいます。
もう一つの例がミラクルフルーツです。含まれるタンパク質ミラクリンはそれ自体は甘くありませんが、舌の甘味受容体にくっつき、酸性になると甘みを感じさせます。
レンさんによると、ミラクリンを口にしてからレモンを食べると、オレンジジュースの味になるそうです。エマさんは「面白」と驚き、レンさんは甘みが酸っぱさを上書きしているのだろうと話しました。
こうした天然の甘い分子は糖ではないため、カロリーはほぼありません。そして超甘い分子は熱帯雨林の植物に集中しているといいます。
レンさんの説明では、猿や鳥が甘い実を好んで食べ、植物を遠くまで運ぶことで、植物は種を広められます。植物が甘くしたというより、甘いものが生き残ってきたという見方です。
生まれる前から甘党? 赤ちゃんが教えてくれる本能
甘い実は熟した目印にもなり、人間の祖先もそれを好んで食べてきました。レンさんは、人間が甘いものを好むのはその延長ではないかと言います。
しかも人間は、生まれる前から甘味を感じる機能を持っているといわれます。妊娠20週ごろには舌の受容体の構造ができ始め、胎児は1日に500〜1000ミリリットルほどの羊水を飲んでいるそうです。
母親の食事の風味は羊水に移ります。お母さんが妊娠中に人参ジュースを飲んでいた場合、生まれた赤ちゃんは離乳食で人参味を好む傾向が強いという研究もあると、レンさんは紹介しました。
レンさんは、母乳が甘いことも、赤ちゃんが母乳を積極的に飲むことに関係しているのではないかと話します。エマさんも、まずければ飲もうとしないから甘くしておくのだろうと応じました。
生後1日の新生児でも、砂糖水とただの水を交互に与えると砂糖水のほうをたくさん飲むことがわかっています。
もうもう、意識とかじゃないよね。本能が。本能で甘いのが好きなの。
エマさんは、牧場で飲んだ搾りたての牛乳がバニラアイスを溶かしたように甘く、市販の牛乳は加工で甘くなくなっているのだと感じた経験を話しています。
レンさんは「本能的」と言える条件にも触れます。学習する暇のない生後すぐに反応が出ること、そして理性を司る大脳皮質を持たずに生まれた赤ちゃんでも甘いものを好むことです。
さらに人種や文化圏、言語圏にかかわらず、甘いものは誰もが好きだといいます。レンさんはここで「今俺、正当化してる、自分を」と笑いながら、甘いもの好きは抗えないと結論づけました。
「止めてくれ」とカントリーマアム、そして甘味を感じない猫
甘いもの好きのレンさんに対し、エマさんは「好きだけど、コントロールはしてるかも」と答えます。エマさんの実感は、頻繁に食べるほど欲しくなり、控えれば少量で満足できるというものです。
甘いものをそんな取らなかったら、少しでもOKみたいな感じがするから、その少しでもOKな状態になるようにしてるかな。
レンさんも、だんだんもっと欲しくなる現象にはドーパミンが関わっていると思うと同意します。エマさんは、昔は食後にデザートを食べないと気が済まない時期があったと振り返りました。
一方でエマさんは、レンさんには甘いものをこっそり買いだめする習性があると暴露します。レンさん自身も、日本に帰ってきて真っ先にカントリーマアムを買い、冷蔵庫に入れて食後に食べていると認めました。
エマさんは「ちょっと努力はしようよ」と言います。完全にゼロにする必要はなくても、食べすぎは体に良くないからです。
「私が君を制限しないから良くないんだ」みたいな。で(レンに)言われる。
レンさんは「止めてくれ」と頼んでいるのに止まらないのだと返し、止めようとすると怒る、怒っていないという夫婦の小さな攻防が続きます。エマさんは、その葛藤がレンさんの中にもあるのだと受け止めました。
まだ「肯定フェーズ」を続けたいレンさんが次に挙げたのは、猫が甘味を感じないという話です。ネコ科の動物は甘味受容体の遺伝子を持っていますが、それが機能していないといいます。
トラやチーターのように肉だけを食べてきた動物は、甘いものをあまり食べてこなかったため、その機能を失ったと考えられています。魚もアミノ酸を主なエネルギー源にする種類が多く、食べるものによって体が最適化されているというのがレンさんの見立てです。
砂糖はもともと薬だった? サトウキビが世界に広まるまで
甘いものを本能的に求める力は、歴史を見ると奴隷を生み出すレベルだったと、レンさんは言います。その前提として、砂糖の始まりをたどります。
レンさんによれば、砂糖はもともと薬として扱われていました。1キロが現代でいえば数十万円ほどの超高級品で、胃を整えるものや滋養強壮として処方されていたそうです。
砂糖の原料はサトウキビです。収穫量が多いうえ、熱い釜でグツグツ煮る工程もあり、労働はかなり過酷だったといいます。
サトウキビはもともと各地にあった植物ではなく、インドから大陸に持ち込まれて広まっていったものです。エマさんは、昔の人がサトウキビをかじる様子を花の蜜を吸うようなものかと想像していました。
奴隷とプランテーションを生んだ甘さ
需要があれば大量生産が始まります。レンさんによると、キプロスなどでサトウキビ畑がつくられ、本格的な奴隷貿易が始まる前の13世紀ごろのヨーロッパで、奴隷を集めて働かせ利益を上げる仕組みが生まれました。
最初に奴隷化されたのは、ヨーロッパ南東部のバルカン半島に住んでいたスラブ系の人々だったといいます。英語で奴隷を意味する「slave」は、このスラブから来ているそうです。
レンさんは、このスラブ系の人々の奴隷化が、のちのアフリカ人の奴隷貿易につながるモデルになったと説明します。
だからさ、ある意味これ(奴隷化)砂糖が原因でもある。原因というか元凶というか。
サトウキビから砂糖を効率よく大量生産する方法も、1つの作物だけをひたすら作るプランテーション ── 熱帯・亜熱帯地域で、単一の商品作物を大規模に栽培する農園経営。植民地支配や奴隷労働と深く結びついて広がりましたという資本主義的なモデルにつながり、のちのゴムなどの生産にも影響したといいます。
エマさんは技術の発展だと受け止めつつ、レンさんは「闇もあると思うよ」と返します。良くも悪くも、砂糖は歴史を変えてきたというのが二人の受け止めです。
その構造は現代にも残っています。レンさんによると、2023年時点で、中南米のドミニカ共和国では50万人以上が時給1ドル以下でサトウキビを作っているといわれ、搾取構造ではないかという指摘もあるそうです。
パンもタバコも甘かった。人工甘味料は偶然から生まれた
砂糖が植民地支配と結びついていた一方で、19世紀後半からは砂糖の代わりになる物質をつくる試みも数多く行われます。レンさんが面白いと語るのは、その多くが狙って作られたものではなかったことです。
世界最古の人工甘味料は1879年に見つかりました。ジョンズ・ホプキンス大学の研究室でコールタールを研究していた人が、帰宅後に手を洗わずにパンを食べ、パンがやけに甘いことに気づいたのがきっかけです。
(ラボの)どれが原因でパン甘くなったんだっていうのを、もういろんなもん舐めて、これだってなったやつが、もうそれもうほんと化合物ですよ、実験室で使われてる。
こうして見つかったサッカリンは砂糖の300倍甘く、世界大戦中には砂糖の代わりとして配られ広まりました。エマさんは、エネルギーにはならず、「砂糖が欲しい」気持ちを鎮める味付けのようなものかと受け止めています。
このあとも偶然の発見が続きます。レンさんは「こんなんばっかなんすよ」と言い、いくつもの例を挙げました。
| 甘味料 | 見つかった経緯 | 甘さ(砂糖比) |
|---|---|---|
| サッカリン | 1879年、手を洗わずに食べたパンが甘かった | 約300倍 |
| シクラメート | 1937年、解熱剤を合成中の大学院生のタバコが甘かった | 30〜50倍 |
| スクラロース | ロンドンで「Test this」を「Taste this」と聞き間違えた留学生が舐めた | 番組内で言及なし |
| アスパルテーム | 合成中、紙をめくるときに指を舐めて気づいた | 番組内で言及なし |
| アドバンテーム | アスパルテームを狙って改良 | 約2万倍 |
シクラメートは発がん性への懸念から禁止されたこともありますが、その後の研究では発がん性は否定的とされ、ヨーロッパや日本では今も使われる場合があるといいます。
二人は、実験室の物質を舐めるのは危ないので、リスナーは真似しないでほしいと念を押しています。現在は、受容体の仕組みをもとに狙って甘味料をつくる研究も進んでいるそうです。
エマさんは、甘味料でつくったチーズケーキが好評だった経験を話しつつ、砂糖とは風味が少し違うとも感じていました。
舌は騙せても、腸は騙せない
話は冒頭の問いに戻ります。100年以上前に砂糖の300倍甘い物質が見つかっているのに、なぜ砂糖は置き換わらず、肥満や糖尿病も増え続けているのか。
舌は騙せるけど、腸は騙せてない。
レンさんによると、腸にも甘味のセンサーがあります。舌で同じように甘いと感じても、「ちゃんと甘いものが取れた」と判断しているのは腸だというのです。
舌の受容体はいろいろなものを甘いと判定する、いわば「ガバガバ」な仕組みです。一方で腸にはニューロポッド細胞 ── 腸の内側にある感覚細胞の一種。腸に届いた栄養の情報を、神経を通じて素早く脳へ伝える役割を持つと考えられていますという感覚細胞があり、本物の糖が来たときだけ反応して脳に信号を送ります。
形が合えば糖以外の分子も甘いと判定する。人工甘味料でも甘さとドーパミンが生じる
本物の糖が来たときだけ反応し、「本当に糖が来た」と脳に伝える。人工甘味料には反応しない
舌では甘くておいしいと感じたのに、腸に届いてみたら糖ではなかった。そうなると体は甘いものを摂れていないと判断し、もっと欲しくなります。甘さに反応する仕組みとカロリーに反応する仕組みは別だというのが、レンさんの説明の核です。
脳でも、カロリーゼロのスクラロースと本物の糖であるグルコースを比べた研究で、グルコースにだけ反応する部位が見つかっています。そこは「カロリーが実際に来た」という信号を処理する場所だったそうです。
人工甘味料は甘く感じても満足感がない状態をつくり、甘いと感じた時点でドーパミンだけは出ています。その結果、「もっと探そう」という気持ちだけが残るというわけです。
(甘味料を)ずっと与え続けてたらどうなんだろう。そしたらもっとさらに欲しくなって。でも無限に終わらないみたいな。
レンさんは「ちょっと怖くない?」と言い、エマさんは体がよくできていると受け止めます。体の中で、舌と腸による二重チェックが行われているということです。
タンパク質、睡眠、腸内細菌、運動で欲求を抑える
ここから、甘いものとどう付き合うかの話に移ります。レンさんが最初に挙げるのは、とてもシンプルな対策です。
まずちゃんとタンパク質をとってちゃんと寝よう。
タンパク質で満腹感を得ると、余計なものを食べる気が失せます。朝食に卵を食べるかシリアルを食べるかを比べた実験では、卵を食べたほうが午後の甘いものへの欲求が有意に下がったそうです。
睡眠不足も、甘いものを欲しくなる割合を高めます。エマさんは、睡眠不足の脳はすぐエネルギーに変えられる糖を欲しがるのかもしれないと推測しました。
最近は腸内細菌も影響していることがわかってきたといいます。腸内細菌の組成が甘味への欲求に直接影響するという報告は、動物実験でも人の実験でもあるそうです。
よいとされるのは、豆類や海藻などの水溶性食物繊維 ── 水に溶ける性質の食物繊維。腸内細菌のエサになりやすく、腸内環境を整える働きがあるとされていますや発酵食品です。ただしバランスは人によるため、これを食べればよいという話ではないとレンさんは補足しています。
運動も効果があります。エマさんは、運動でエネルギーを使えばかえって甘いものが欲しくなりそうだと疑問を投げかけました。
レンさんによれば、運動するとドーパミンの感受性が一時的に落ち着き、糖への強烈な欲求が収まるそうです。ストレスが減ってストレス食いが減る面もあり、有酸素運動がよいとされています。
エマさんは、健康の話は結局「食事・睡眠・運動」に落ち着くとまとめています。
目に見えない場所へ。習慣の置き換えとマインドフルイーティング
もう少しテクニカルな対策として、レンさんは「目に見えるところに置かない」ことを挙げます。机の上にチョコがあると、見るたびに欲しくなってしまうからです。
じゃあ冷蔵庫にカントリーマアム置くのやめたら?
レンさんは「やめよう」と即答しました。もう一つの対策は、甘いものを食べる習慣を別の行動に置き換えることです。
レンさんは、本能に対しては我慢だけでは厳しく、認知行動的な工夫でアプローチするしかないと言います。
その一つがマインドフルイーティング ── 食べることに意識を集中し、味・香り・食感や満腹感をじっくり感じながら食べる方法。食べすぎ防止に役立つとされていますです。ながら食いでは食べたのに食べた気がせず、追加で食べたくなるといいます。
二人は、食べながらテレビを見る習慣をめぐって一度揉めたこともあるそうです。エマさんは、テレビのコンセントを抜いておけば面倒で見なくなると、自分なりの工夫を話しました。
一方で、甘いものを完全にやめるとストレスになり、一気に食べてしまうこともあります。エマさんが挙げた炭水化物抜きダイエットで健康を害した人がいたという話にも、レンさんは「必要なものは取った方がいい」と応じ、糖もエネルギーであり、問題は食べすぎだと強調しました。
甘味の正体と、人工甘味料との上手な距離感
レンさんはここで、この回の話を振り返ります。甘いもの好きは本能であり、その正体は分子が受容体にはまり、脳が「エネルギーが手に入る」という信号を受け取ることだといいます。
その欲求は奴隷貿易につながるほど強い一方で、腸は騙されていません。甘くてもエネルギーにならない物質は体がちゃんと見分けていて、もっと糖が欲しい気持ちが抑えられなくなります。
エマさんは、すべてを人工甘味料に置き換えようとする人も、デメリットを理解したうえで適切な量を摂るのがよいかもしれないと話します。レンさんも、人工甘味料が全部悪いわけではないと付け加えました。
ちょっと食べて、ちゃんとそのちょっとでちゃんと満足するっていうのが結構大事だっていう。
少しの量で満足することと、テーブルの上に置かないこと。二人とも、どうしても摂りすぎてしまうからこそ気をつけたいと話しています。
WHOの目安は1日25グラム未満。チョコならどれくらい?
糖をまったく摂らないのも良くないとしたうえで、レンさんは推奨量の目安を紹介します。広く知られているのはWHOのガイドラインです。
果物や野菜、牛乳に自然に含まれる糖類は対象外で、あくまで食品に添加された糖についての目安です。レンさんによれば、日本の厚生労働省もWHOの基準を参考にするよう示しているものの、厳密な数値基準は設けていないそうです。
身近な例では、コカ・コーラ500ミリリットル1本でこの目安を少しオーバーするといいます。板チョコ1枚50グラムのうち砂糖が25グラムほどだとすると、1日1枚がおおよその基準になります。
エマさんは、ダイエット中の人は厳密に、そうでない人はライフスタイルに合わせればよいと話し、レンさんも「正解ないんで」と応じます。レンさんは最後に、糖というより甘味とうまく付き合っていきたいと締めくくりました。
まとめ
甘いものがやめられないのは意志の弱さだけではなく、舌の受容体、ドーパミン、腸のセンサーが組み合わさった本能的な仕組みによるものです。だからこそ、我慢だけに頼らず、食事・睡眠・運動や置き場所、食べ方の工夫で甘味と付き合うことが大切だと語られました。
- 「甘い」は分子が舌の受容体にはまったときの感覚で、すぐ使えるエネルギーが来たという合図になっている
- 甘いもの好きは胎児期や新生児からみられる本能で、その欲求は砂糖をめぐる奴隷労働やプランテーションの歴史にもつながった
- 人工甘味料の多くは偶然見つかり、舌は騙せても腸のセンサーは本物の糖にしか反応しないため、かえって欲求が残ることがある
- タンパク質、睡眠、腸内環境、運動に加え、目に見える場所に置かない、ながら食いをやめるといった工夫が有効とされる
- WHOの目安は添加された糖で1日25グラム未満が望ましく、板チョコ約1枚分がおおよその基準になる



