雨の第4回会場から撮って出し
チーズと牛と笑うことラジオの今回の収録は、那須で開かれた「チーズとホエーの祭典」4回目の会場で行われました。藤川さんの宣言どおり、編集なしの撮って出しです。
会場に、で、収録しております。で、今回は編集なし生放送です。
第4回の祭典は、3回目までの晴天と違って、2日間ともあいにくの雨でした。台風の心配もありましたが直撃は避けられ、山川さんは雨のなかでも多くの来場者が集まったことに感謝を口にします。
会場には全国のチーズ工房に加え、今回はワイナリーも出店しました。藤川さんは、チーズを目当てに買いに来てくれる人の多さがうれしいと話しています。
山川さんが今回強く感じたのは、リピーターの多さです。山川さんが開いたチーズとワインの講座には、去年の祭典が良かったからと、今年もこのイベントのためだけに川越から来た参加者がいたといいます。
本当になんかお客さんもそうだし、出店者も、あとボランティアさんも毎年来てくれる感じがさ、多くて。それがいいとこですね。
ボランティアとして毎年手伝う「渡辺三兄弟」も今年も参加しました。藤川さんは、4年のあいだに小学生だった子が中学3年生になったと、その成長ぶりに目を細めます。
実行委員の夜は12時過ぎまで続く?
山川さんの妻で実行委員の山川明日香さんは、祭典当日を迎えるまでの準備を「死ぬほど大変」だったと振り返ります。
もう夜な夜なミーティング、12時過ぎまでミーティング。
実行委員はみな本業があるため、ミーティングは仕事終わりの19時に山川さんの家へ集合します。打ち合わせが22時半ごろまで続き、そのあとみんなでご飯を食べて盛り上がると、気づけば日付が変わっているそうです。
藤川さんは、出店概要などの資料が年々しっかりしてきたと評価します。山川さんは、今回は優秀な実行委員が多く、これまでの積み重ねを形にしてくれたと感謝を述べています。
実は今回の祭典は、当初「超ミニマム」で開く予定でした。ところが山川さんのアイデアが止まらず、ワインの出店や講座、ワイン会場のレイアウト変更まで実現しました。
忙しいので新しいことはやめ、出店者もこれまでの人たちだけにする「超ミニマム」な計画
山川さんの「今年はワインがやりたい」から、ワイナリーの出店、チーズとワインの講座、レイアウト変更まで実施
この計画変更について、藤川さんは笑いながら「経営者のダメなとこ」とツッコミを入れていました。
今回だけのチーズメニューとは?
続いて登場した森林の牧場のちーこさんは、雨のなかでも来場者が楽しんでくれていたと話します。会場では出店者のチーズを使ったオリジナルメニューを、ひととおり食べたそうです。
今回だけっていうのが多いから。だから毎回今回だけっていうのが多いと思うと、毎回来てほしい。
会場では、バーガーマニアさんのカチョカバロ ── ひょうたん形に成形して吊るして熟成させる、南イタリア発祥のチーズ。焼くと表面は香ばしく、中はよく伸びる食感になりますを使ったハンバーガーや、ブラウンチーズ、リコッタ、ホエーとカカオの3種類のアイスが話題に上がりました。
森林の牧場のこの日のメニューは、4種類のチーズを使ったクアトロフォルマッジ ── イタリア語で「4つのチーズ」の意味。4種類のチーズをのせたピザの定番メニューを指しますのピザと、ホエーと塩麹のスープです。ピザには森林の牧場とチーズ工房那須の森のチーズを合わせたといいます。
ちーこさんは、会場でこのラジオを「聞いています」と声をかけられたことも報告しました。
北海道のチーズを背負って来る吉田さん
最初のスペシャルゲストは、北海道興部町のノースプレインファームの吉田さんです。この祭典への出店は3回目で、毎回自社のチーズに加え、北海道のさまざまな工房のチーズを持ってきてくれます。
吉田さんによれば、ノースプレインファームはチーズに限らず乳製品全般を作っています。自社のチーズは「優しめの目立たないチーズ」なので、日頃お世話になっている北海道の工房のチーズも一緒に持ってくれば、那須の人が喜んでくれると考えたそうです。
吉田さんのこのスタイルの原点は、10年ほど前に札幌で参加していた、北海道のチーズをみんなで売るイベントにあります。自社のチーズもほかの人に売ってもらった経験があり、今もノースプレインファームでは不定期に他地域の工房のチーズを販売しています。
山川さんは、ノースプレインファームが取り組む有機の牛乳づくりを高く評価します。有機 ── 化学肥料や農薬に頼らない方法で生産された農産物などのこと。日本では有機JASなどの認証制度があり、基準を満たして認証を受ける必要がありますの認証は草や餌まで対象になるため、非常に大変だといいます。
土作り・草作り
有機の認証を取り、土から草までしっかり手をかける
健康な牛
手をかけた草と餌で、牛が健康に育つ
いいミルク
牛乳そのものがすごく美味しくなる
ミルクを食べるチーズ
優しい味わいで、ミルクをちゃんと味わえるチーズになる
山川さんは、このチーズに影響を受けて、森林の牧場も同じようなチーズを目指したいと話しました。吉田さんを尊敬しているからこそ、毎回この祭典に来てほしいと願っているそうです。
東京のチーズ専門店が感じた那須の熱量
次のゲストは、東京のチーズ専門店フロマージュドールの平井さんです。北海道から九州まで各地のチーズをセレクトして販売しており、今回初めてこの祭典に参加しました。
平井さんは、期待以上の面白さを感じたと話します。那須の生産者がいいミルクからいいチーズを作り、ホエー ── チーズを作るときに牛乳から出る液体で、乳清とも呼ばれます。栄養はあるものの、大量に出るため活用法が課題になってきましたを有効活用していることが身に染みてわかったといいます。
さらに平井さんは、作りたてのチーズを使った料理がどれも美味しく、しかも安いことに驚いたそうです。那須という一つの地域のイベントですが、日本全国に伝えたい、チーズ好きにはぜひ来てほしいと熱く語りました。
平井さんが強調したのは、日本のチーズを海外のチーズより身近な存在として消費者に届けたいという思いです。北海道や那須、東京で頑張る職人を応援してほしいと呼びかけ、フロマージュドールのデパ地下での販売についても触れました。
広島から通う同年代の「同志」
3人目のゲストは、広島県海田町で酪農を営む佐々木牧場の久保さんです。久保さんの祭典への参加も3回目になります。
山川さんは、広島から来てもらうのは大変だと承知しつつ、イベントがあるからこそ呼べて、会えるのがうれしいと話します。久保さんも、祭典が「来る理由」になると応じました。
山川さんと久保さんは同年代で、飼っている頭数もやっていることも違いますが、お互いを勝手に「同志」だと思っているそうです。久保さんにとって山川さんは、自分がやろうとしたことを一歩先にやってしまう存在だといいます。
久保さんの店にも、去年チーズが美味しかったからと今年も買いに来た客がいました。山川さんはここで、祭典を始めた理由を明かします。
山川さんは人見知りで、チーズの友達がいなかったといいます。イベントは2日間だけでも、普段から一緒に何かできる仲間を増やしたいという思いで、毎回生産者を呼んでいるそうです。
久保さんも、回を重ねるごとに友達が増える感覚があると話します。隣の出店者と仲良くなり、一緒に飲み、後日お互いの作ったものを送り合う。こうして輪が広がるのがイベントの力だといいます。
売上より大事な「関係性作り」
最後に登場したのは、今回から実行委員に加わったかなえさんです。初めての実行委員の仕事は大変だったものの、山川さんが全体を把握してカバーしてくれるので、気持ちの面では楽だったと振り返りました。
8人の実行委員が集まる夜遅くまでの打ち合わせは、半分が雑談だったといいます。山川さんは、翌朝早くから仕事のある実行委員に申し訳なく思いつつ、ご飯を食べながらのあの時間を楽しみにしている部分もあると話します。
山川さんは、出店者に気持ちよく来てもらうために売上をきちんと作る必要があると前置きします。そのうえで、本当にやりたいのは関係性作りだと語りました。
ボランティアさんもそうだし、出店者さんもそうだし、実行委もそうだし、いろんな人とのね、繋がりができることで、なんかまた次に生まれることがあるのかなと思うし。
祭典が続いてきたからこそ友達になれた、という声も出ました。かつては会うたびに初対面のような挨拶をしていた人見知りの山川さんとも、今ではすっかり仲良くなれたといいます。
収録時点で祭典は残り2時間半ほど。雨が強まるなか、山川さんと藤川さんは最後まで頑張ろうと声をかけ合い、ハッシュタグ「#ち牛ラジオ」での感想を呼びかけて締めくくりました。
まとめ
第4回のチーズとホエーの祭典は雨に見舞われましたが、リピーターの来場者や毎年来る出店者、ボランティアに支えられていました。北海道、東京、広島から集まったゲストの言葉からは、チーズを売る場であると同時に、生産者同士の仲間づくりの場になっていることが伝わってきます。
- 来場者・出店者・ボランティアのリピーターが多く、毎年の再会がイベントの魅力になっている
- 「超ミニマム」の予定から、ワインの出店や講座まで広がった
- ノースプレインファームの吉田さんは、北海道の工房のチーズもまとめて那須へ届けている
- 東京のフロマージュドール平井さんは、那須のチーズとホエーの活用を全国に伝えたいと語った
- 山川さんが祭典を始めた理由は、チーズの友達をたくさん作ることだった

