なぜ腸活は「一石八鳥」なのか
下川さんはまず、腸活のイメージが便秘や下痢、免疫あたりで止まっている人が多いと指摘します。R1やヤクルトのCMで、腸と免疫の関係を知っている人は増えました。
ですが、腸活の効果はそこにとどまらないと言います。認知力、睡眠、集中力、免疫、美肌、さらに女性では妊活まで、多くの論文が出ているそうです。
腸活をすればするほど、もう一石八鳥みたいなことが起きるんですよ。
特にビジネスパーソンは、睡眠の問題や昼間の集中力の切れやすさ、ストレス耐性に悩みがちです。下川さんは、これほど効率よくパフォーマンスに効くツールはないと考えていると話します。
その理由は、腸内の菌が働く仕組みにあります。人間が分解できない食物繊維を、腸内の菌だけが分解し、栄養成分を次々に生み出してくれるのです。
菌だけが分解できるっていうのがまさに食物繊維なんですよ。これを分解していろんな栄養成分をバンバン出してくれるんですね。
その成分が血流に乗って各臓器に届き、体感につながっていきます。サプリで外から摂る栄養素の一部は、本来この腸内で作られているというのが下川さんの見立てです。
唇が荒れたときに飲みがちなビタミンB群も、免疫物質も、実は腸内で作られているといいます。睡眠に関わるメラトニンやセロトニンの前駆物質も、半分以上が腸で作られているそうです。
性格まで「腸」で決まる?
下川さんが腸を「第二の脳」ではなく、むしろ脳が第二の腸だと語るのには、腸から分泌されるホルモンが感情や認識に関わるからです。
その根拠として紹介されたのが、マウスを使った実験です。積極的にナンパするマウスと、できないマウスの腸を移植し合うと、キャラクターが入れ替わるといいます。
陽キャマウスと陰キャマウス。
移植し合うわけですね。そうするとキャラ変するんですよ。
人間で腸を交換する臨床試験はできないため、あくまで動物実験の結果です。それでも下川さんは、ロジックが明確にある以上、可能性として考えられると話します。
ストレスを感じるとお腹が緩くなる人がいるのも、この脳と腸のつながりで説明できます。脳と腸は迷走神経で直接つながっているのです。
ストレスが続くと腸内環境が悪化し、逆に腸内環境が悪くなると、脳の扁桃体が過敏になってリスクを負えなくなることがわかっているといいます。
だからこそ下川さんは、夢を叶えるためには腸活をしなきゃいけないとまで言い切ります。夢を叶えることはリスクを負うことであり、そのために扁桃体を過敏なままにしておけないという理屈です。
三浦さんの検査結果でわかったこと
KINS PRIMEには腸内フローラ検査がセットになっており、三浦さんも実際に受けました。結果はS・A・B・Cの4段階評価で、全体はCだったといいます。
遺伝子はもう動かせないんですよね。だけど腸内環境はここから変えられるので、全く卑下する意味はないんです。
まず注目されたのが「アルファ多様性」です。腸内はいろんな菌がいるほどよく、それぞれがマーケターやエンジニアのように役割を持つ組織にたとえられます。
三浦さんの多様性は平均の3.4に対して2.6。下川さんは「マーケしかいない」偏った組織だと表現しました。
社会と一緒ですよね。そういうことの多様性が力になる。
一方、酪酸を作る能力はAで良好でした。酪酸はアレルギーや腸のエネルギー源、疲労に関わるため、疲労耐性の高さにつながります。
下川さんは、この結果が以前の回で話題になった田中圭さんやケンスーさんの傾向とも重なると言います。持久力や疲労耐性という「スタミナ一点張り」で共通しているそうです。
検査でよくあるのが、良かれと思って続けている習慣が空回りしているケースです。ビフィズス菌の医薬品を何年も飲んでいるのに、腸内のビフィズス菌がほぼゼロという人もいるといいます。
その菌を入れたとて定着するかしないかって全然別の話で、ほとんどの場合定着しないんですよ。
菌を入れるだけでなく、その菌のエサになる食物繊維も一緒に摂らないと定着しない、というのがポイントです。
菌ケア三箇条と、避けたい落とし穴
下川さんは腸活の指針を「菌ケア三箇条」としてまとめています。菌を入れる、菌を育てる、菌の邪魔をしない、の3つです。
三浦さんの結果で特に多かったのが、炭水化物を好む菌でした。何百種類もいるはずの腸内が、ほぼ2種類の菌に牛耳られている「多様性のない学年」だといいます。
多分ね、炭水化物食い過ぎなんですよ。
よくわかりますね。
三浦さんは、いい和食屋でご飯を5杯おかわりすることもあると打ち明けます。下川さんはその食生活が検査結果に「出ている」と即答しました。
この炭水化物型の菌が増えすぎると慢性炎症に関わり、関節リウマチや老化にもつながるといいます。だからこそ炭水化物をバランスよく減らすことが重要だそうです。
もう一つの落とし穴が、健康法に自信のある人ほど多い悪玉菌です。糖質制限や筋トレでプロテインを大量に飲む人ほど、悪玉菌が多いケースが目立つといいます。
自分なりの健康法をやって自信満々の方ほど腸内環境が悪くて、こういう悪玉菌がバンバン増えてるという方が結構いらっしゃるんです。
初心者がまずやるべきこと、やめるべきこと
腸活初心者がまず何をすべきか。下川さんの答えは、自分が1日にどれくらい食物繊維を摂れているかを「見える化」することです。
カロミルやあすけんといったアプリで食事を記録すると、食物繊維のグラム数がわかります。多くの人は10から12程度ですが、理想は25ほど。半分しか摂れていないと自覚するところから始まります。
自分自身が何をやってるか、どれぐらい食物繊維取れてるかっていうのをやっていただいて、そこをちゃんと増やしていく。
そのうえで、納豆やゴボウなど、発酵食品や色の濃い食物繊維を一品二品増やすのが「一丁目一番地」だといいます。
逆にやめた方がいいものとして挙げられたのがプロテインです。体重の2倍摂れといった神話のせいで、摂りすぎている人が非常に多いと言います。
まずは60グラムとか70グラムだけでいいので、100グラム、150グラム取ってますという方は、ちょっとまず減らすところから。
下川さんはさらに、日々の飲み物にも触れます。胃腸が過敏な人にはカフェインが敵になるため、コーヒーの飲みすぎには注意が必要です。
おすすめは水出し緑茶。水出しにするとテアニンというアミノ酸が多く出て甘くなり、リラックス効果があるうえ、緑茶のポリフェノールが腸内環境に良いといいます。
腸活は口と体臭にもつながる
腸活は腸だけの話ではありません。下川さんが紹介したのは、大腸がんの原因菌が腸内ではなく口腔内の菌だとわかったという研究です。
歯周病菌が口から流れて腸に定着すると、大腸がんになりやすいといいます。どれだけサプリを飲んでも、口の中がボロボロなら腸活は半分しかできていないことになります。
さらに体臭も腸内環境と深く関わります。大事な相手と会う2週間前から肉をやめるべきだと、下川さんは研究を引きます。
肉を毎日食べる群と2週間やめる群を比べ、女性に汗パッドの匂いを嗅がせると、肉をやめた群の匂いが良いと評価されたそうです。さらに両群の食生活を逆転させても、肉をやめた側が良いと評価されました。
男子はモテたいなら肉を食うな。
肉を食うな。
これは女性でも同じで、悪玉菌が増えてガスが出ることが体臭につながる仕組みだといいます。
疲れ知らずの菌と、後回しにしないための一言
具体的に一番効くものを一つ挙げるなら、と問われた下川さんは、酪酸菌のフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィに注目してほしいと答えます。疲れ知らず、老けづらさに関わる菌だといいます。
この菌を育てるうえで下川さんが最近注目しているのが麹です。麹は国が指定した「国菌」であり、米麹や塩麹、甘酒などから摂れます。
国の花とか国の色とかあるけど、菌まで指定してるんですか?
下川さんは、砂糖を甘麹、塩を塩麹、醤油を醤油麹に置き換えるなど、調味料を麹に変えることを勧めます。サプリではなく、生活習慣に根ざした形で自然にやりたい人向けの方法です。
最後に、腸活を後回しにしがちな人へのダメ押しの一言を求められ、下川さんはその重さを強調しました。
便秘の人は死亡率が高く、認知症のリスクも高いというデータがあるといいます。腸のトラブルは後回しにされがちですが、全体の死亡率を変えるほどのインパクトがあるという指摘で締めくくられました。
まとめ
腸内環境は、便秘や免疫だけでなく、集中力や睡眠、性格やリスクを取る力にまで関わると下川さんは語ります。菌を入れ、育て、邪魔をしないという3つの原則を、食物繊維の見える化や麹の活用といった身近な行動から始めることがすすめられました。
- 腸内の菌が食物繊維を分解し、栄養やホルモンの前駆物質を生み出すため、腸活は集中力や睡眠、性格にまで影響しうる
- 菌は入れるだけでなく、エサになる食物繊維と一緒に摂らないと定着しない
- 炭水化物やプロテイン、肉の摂りすぎは悪玉菌を増やし、慢性炎症や体臭につながる
- 初心者はまずアプリで食物繊維の摂取量を見える化し、理想の25グラムを目指すとよい
- 腸活は口腔ケアや飲み物選びとも連動し、便秘は死亡率にも関わるほど重要と語られた






