絶好調なのに株価下落?Uberの決算と1.5兆円投資
2026年8月、Uberは決算発表にあわせて、ロボタクシーに100億ドル超、日本円で1兆5000億円を投資すると発表しました。ロボタクシー用に4万5000台の車両を購入する契約を結ぶという内容です。
CEOセオさんがこのニュースで注目するのは、Uberが「何も持たない」会社だったことです。これまでのUberは、車もドライバーも外部に頼り、車を1台も持たないことが強さでした。その会社が自社で車両を持つことに、大きな転換を見ています。
まあ車1台も持たないのが強さだったわけですけど、それを持つと、えー、いうことですね。
決算発表後、Uberの株価は5.29%下落しました。ただしCEOセオさんによれば、下落の主な理由は利益予想が市場の期待に届かなかったことで、ロボタクシー投資そのものが売られたわけではないといいます。
Uberの業績自体は好調です。CEOセオさんが挙げた主な数字は次のとおりです。
| 指標 | 数値 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆1200億円 | +12% |
| グロスブッキング(総取扱高) | 8兆7000億円 | +24% |
| 調整後EBITDA | 4200億円 | +33% |
| 月間アクティブユーザー | 2億人超 | +16% |
株価が下がっても、Uberの時価総額は20兆円あります。CEOセオさんは、業績が絶好調のタイミングで新しい展開に踏み切る点を、このニュースの核心として位置づけています。
マッチングの手数料ビジネスが、なぜアセットを抱えるのか
Uberのこれまでのビジネスは、車も人も外部から調達し、乗りたい人と運転する人をマッチングして手数料を取る、完全なプラットフォーム型でした。CEOセオさんは、売りたい人と買いたい人をつなぐメルカリと同じ構造だと説明します。
Uberが自社に持っていたのは、需要だけでした。取扱高の24%が手数料として入るため、8兆7000億円の総取扱高から1兆円を超える売上が生まれています。
車もドライバーも外部調達し、マッチング手数料を取る完全なプラットフォーム
プラットフォームに加え、ロボタクシー車両という自社アセットを保有する
1兆5000億円の内訳は、自動運転企業への投資が3700億円、車両調達が1兆1200億円です。CEOセオさんは、プラットフォームとして成長した企業が自社商品を持つ流れとして、他業界の例を挙げています。
コンビニではセブンイレブンがPB ── プライベートブランドの略。小売業者が自ら企画し、自社ブランドで販売する商品のことですを展開し、Amazonも自社商品を売り出しています。Netflixは他社のコンテンツを調達する形から、Netflixオリジナル作品を出す形へ移りました。家電量販店でも自社ブランドの家電が増えています。
Uberにとって自社保有が避けられない理由は、自動運転の普及にあるとCEOセオさんは見ています。自動運転が当たり前になればドライバーは不要になり、ドライバーが所有する車に頼る今のモデルが成り立たなくなるからです。
一方でCEOセオさんは、Uberの強みとして需要を握っている点を挙げます。「ここからここに行きたい」というユーザーのニーズを抱えているのはUberで、テスラはそれを持っていません。ロボタクシーができたとき、Uberのアプリに載れば利用者はそこから使うようになる、という見立てです。
Uberは全てを自前開発するのではなく、20社と組んで出資や車両調達を分散させています。CEOセオさんは、この展開の仕方もうまいと評価しています。
「成熟したプラットフォーマー」と見られるUberの評価
Uberの事業別の伸びを見ると、デリバリーが26%、モビリティが22%増えています。CEOセオさんは、Uberはもはや配車会社というより「地図上の物流会社」になっていると表現します。
ところが、株式市場でのUberの評価は高くありません。CEOセオさんは、UberのPER ── 株価収益率。株価が1株あたり利益の何倍かを示す指標で、高いほど将来の成長への期待が大きいとされますを、テスラやアルファベットと比べています。
| 企業 | PER | Uberとの比較 |
|---|---|---|
| Uber | 14.26倍 | ― |
| テスラ | 184倍 | Uberはテスラの約13分の1 |
| アルファベット | 27倍 | Uberはアルファベットの約半分 |
CEOセオさんによれば、かつてプラットフォーマーは誰もが憧れる最もすごいビジネスでした。しかしUberは成熟した手数料ビジネスと見られている分、PERが低めになっています。
テスラのPER184倍についてCEOセオさんは「ちょっと異常」としつつ、自動車業界にイノベーションが起きるかもしれないという期待に投資が向かっていると説明します。だからこそUberも変わらなければならない状況にあるといいます。
まあ厳しくなってからね、投資しても後の祭りというかね、やっぱなかなか見てもらえないん、ですからね。
CEOセオさんは、業績が絶好調な今こそ投資するのが重要だと強調します。かつての競合Lyftと比べてもUberはレベルが違うほど成長して一人勝ちの状態にあり、十分に戦えるはずだと見ています。
38億回 対 40万回。Uberが握る需要という入り口
Uberの需要の大きさは、トリップ数に表れています。Uberの四半期トリップ数は38億回で、自動運転タクシーを手がけるWaymoの週間ライド数は約40万回です。CEOセオさんは「3桁違う」と表現しています。
車にお客さんを入れ込めるのは、やっぱり入り口と、思ってるのは、やっぱUberだけと言ってもいいでしょう。
こうした需要の差から、CEOセオさんはWaymoも結局Uberと組む可能性があると見ています。実際、UberのCEOは、Waymoとの提携解消は事実ではないという声明を出しているといいます。
資金面でもUberには余裕があります。フリーキャッシュフローは1兆6000億円、現金は8100億円あり、今回の投資も自己資金で十分に回せる規模だとCEOセオさんは説明します。
さらにUberは約5000億円規模の自社株買いも行っています。CEOセオさんは、このニュースを「Uberはもっと勝ちに行く」という表明として受け止めています。
技術を持たない弱みと、Waymo・アルファベットとの関係
Uberの弱みとしてCEOセオさんが挙げるのは、自動運転の中核技術(AVコア)を持っていない点です。Waymoは親会社GoogleのAIなどの仕組みを持つため垂直統合ができ、テスラは製造から全て自前で手がけています。
技術を持たないUberは、提携会社としっかり組む必要があります。そのぶん交渉力が若干落ちる、とCEOセオさんは指摘します。
もう1つの弱みは資金調達力です。UberはPERが低めなためレバレッジをかけて調達しにくく、テスラやアルファベットには勝てない部分があるといいます。
それでもUberの需要の厚さは揺るがないとCEOセオさんは見ています。空港にはUber乗り場が整備されていて、乗客がしっかり乗るためのインフラも整っています。そのため、逆にメーカー側がUberにロボタクシーの運用をお願いする展開も十分考えられるといいます。
CEOセオさんは、ビッグテックがAIに100兆円規模の投資を打ち出していることと比べると、Uberの1兆5000億円はまだ少ないとも指摘します。だからこそ、どこかと組むことが鍵になるという見立てです。
これがもしWaymoと何か大きな、あー、提携とかね、こういうことがあると、もしかしたらGoogleがね、アルファベットがUberを買収とかね、えー、あるかもしれないですよね。
CEOセオさんは「先は全くわからない」と断ったうえで、そうなればテスラを一気に追い抜く可能性もあると語ります。最後にNetflixが自社コンテンツ中心になった例に再び触れ、Uberの今回の展開は非常に頷ける内容だとまとめました。なお、この回は体調がすぐれないため短めの収録だったと話されています。
まとめ
Uberのロボタクシー投資は、車を持たない強者が自動運転時代に備えてアセットを抱える転換です。CEOセオさんは、需要という入り口を握る強みを生かしつつ、技術と資金の弱みを提携で補えるかが焦点だと見ています。
- Uberは1兆5000億円を投じ、ロボタクシー用車両4万5000台を自社保有へ
- 自動運転が普及するとドライバー依存のモデルが危うくなるため、転換はせざるを得ない一手
- 業績絶好調でもPERは14.26倍と低く、成熟したプラットフォーマーと見られている
- 四半期38億回のトリップという需要が最大の武器で、メーカー側から組みに来る可能性もある
- 自動運転技術と資金調達力の弱さは、Waymoなど提携先との関係で補う必要がある




