ゲスト・ラムさん登場!チャンネル登録1000人おめでとうございます!
今回の「ひびもと」は、ゲストにラムさんを迎えての回です。ラムさんはゲームの実況配信を行っていて、毎週金曜日22時ごろからゲーム配信をしているそうです。
まず話題になったのが、ラムさんのYouTubeチャンネル登録者1000人突破のお祝いです。ラムさんによると、スタートから3年半ほどかけての達成だったとのこと。
30人ぐらいはわかるけど、あとの970人は一体誰なの?っていう。
いやいやいや、ファンたちですよファンたち。
ひげもとさんは、YouTubeがレッドオーシャンと化している中で1000人を超えるのはなかなかのことだと、コツコツ続けてきた成果を称えています。
『オデュッセイア』の話をしたくなったきっかけ
今回の本題は、ラムさんのゲーム実況の話ではなく、映画『オデュッセイア』についてです。監督はクリストファー・ノーラン ── 『インセプション』『インターステラー』『オッペンハイマー』などで知られるイギリス出身の映画監督。時間や記憶を扱った独特の構成が特徴です。
きっかけは、ラムさんがXで投稿していたポストでした。公開から2週間ほどしか経っていないのに、シルバーウィークなのに上映機会がすでに減っていると嘆く内容だったそうです。
その投稿を見たひげもとさんが「ひげもと動きます」とすかさず連絡を取り、今回の収録が実現しました。ひげもとさんはすでにいろいろな場所で感想を話していたので、今回はラムさんの感想を聞きたいと切り出します。
IMAXやフラット、スコープ…映画の画角って何が違う?
ラムさんは実はプロの映写技師です。ここから、映画の画角についての解説が始まります。ひげもとさんはエキスポシティとTOHOシネマズ西宮のIMAXで2回鑑賞したそうです。
ラムさんによると、画角にはいくつかの種類があります。エキスポシティのような一番いいIMAXは1.43対1で、正方形に近いフルIMAX画角です。一方、フルじゃないIMAXは1対1.90で、少し横長になります。
IMAX以外の劇場では、フラットとスコープという画角があります。ラムさんは、フラットが1対1.85で標準的な映画画角、スコープが1対2.35でより横長になると説明しています。
1.43対1。正方形に近く、IMAXで撮影された作品の基本の画角
1対1.90。フルIMAXより少し横長になる
1対1.85。標準的な映画画角
1対2.35。倍以上の横幅がある、より横長の画角
4バージョンを作った『オデュッセイア』、どの劇場でもいい理由
『オデュッセイア』はフルIMAX画角を基本にしつつ、それを編集し直して、1対1.90、1対1.85、1対2.35の4バージョンを作っているとラムさんは語ります。どこで切れてもちゃんと見えるように、監督が指示して作られているそうです。
僕が言いたいのは、どの劇場でも(『オデュッセイア』を)観てもいいじゃないか!っていうことなんですよ。
ラムさんは、どの劇場で見てもそれ用に作られているからちゃんと楽しめると話します。今までの映画のように誰かが勝手に切り取っているのとは違うのだと強調していました。
誰かが勝手に切り取って、これぐらいの画角でやってますっていう今までの映画とは違うんですよ。
さらにラムさんは、IMAXで使われるシルバースクリーンと、普通の映画館に多いパールスクリーンの違いも解説します。シルバーは光を全方向に反射させ、どこに座っても同じように見えるよう計算されているそうです。
光を全方向に反射させ、返りは弱く柔らかい。どこに座っても同じように見えるよう計算されている。IMAXで使われる
まっすぐ来た光をまっすぐ返す。場所によって見えづらさは出るが、力強く鮮やかに見える。普通の映画館に多い
クリストファー・ノーランの「ロー」は要注意
映写技師の仕事には、上映するスクリーンごとの設定や、音量の調整があります。スクリーンは人気が落ちると小さいものに変わっていくため、毎週のように設定をし直す必要があるとラムさんは話します。
音量調整は、まずセリフに合わせて決め、最後にエンドロールの音量を機械でデシベルを測って規定値に合わせるそうです。前から5列目ぐらいの人が不快にならないぐらいの、ちょうどいい中間を取る仕事だといいます。
その中でも『オデュッセイア』はローが強いとラムさんは何度も強調します。ノーラン作品は特に低音の出し方がすごく、普通に決めると劇場が地震のように揺れるほどだそうです。
(『インターステラー』の低音)それで全国のサブウーファーが弾け飛んで大変なことになりましたから。
ラムさんはノーランのローを格闘技のカーフキックに例えて、要注意だと語ります。ひげもとさんも、そのローを味わってほしいと応じていました。
(ノーランの低音は)どんだけ下げたとて、やっぱりあのローはもう隠しきれないローなので。
神話だった『オデュッセイア』、ノーランが撮ると知ったときの興奮
ラムさんは、映画が始まる半年前ぐらいから、たまたま神話をいろいろ読みあさっていたそうです。そのため『オデュッセイア』の公開がジャストのタイミングでアジャストしたと話します。
最初はリドリー・スコット ── 『グラディエーター』『エイリアン』などで知られる映画監督。重厚な歴史大作を得意としますの『グラディエーター』のような、史実に基づく重厚な歴史スペクタクルを想像していたそうです。ひげもとさんもトレーラーを見てトロイア戦争を描くのかと思っていたといいます。
ところが会社の上司から「オデュッセイア」というタイトルを聞いた瞬間、ラムさんの中で神話と繋がりました。魔女も出てくるし冥府にも行く、あの神話をノーランが撮るのかと俄然楽しみになったそうです。
(タイトルを聞いて)あ、え、神話やんっていう。
3時間があっという間、「残り1時間ある」ことが嬉しい映画
物語は、トロイア戦争が終わった後、家に帰るのに10年かかるオデュッセウスの話です。ラムさんは、本来の戦った10年は描かず、帰るまでの10年しか描かないことに最初は不安を感じていたと語ります。
ところが実際に見ると、約2時間52分の長さがまったく長く感じなかったといいます。イタケ島に帰ってきた時点で残り1時間あることが、ラムさんにはとても嬉しく感じられたそうです。
この残り1時間もあることを嬉しく思う。まだ、まだいけるなというこの喜び。
ひげもとさんも、テンポが良くて全然飽きず、間延びしたところもなかったと同意しています。すぐ2回目を見に行きたくなるほど良かったそうです。
「ゼウスの掟」を知ると面白い、客人歓待のルール
ラムさんは、いくつか知っておいた方がいい情報があると話します。その一つが「ゼウスの掟」、つまり客人歓待のルールです。
このルールでは、どんな客人が来ても家に上げ、ご飯と寝床を用意してもてなし、話を聞いてあげなければなりません。みすぼらしい人物でも、ゼウスが擬態した姿かもしれないからです。
なんかよく言われるのが、あの時代の社会OSみたいな。それがあったからみんな貿易が発達したり、こう人類が文明を築けてきたりみたいな。
このルールがあるために、オデュッセウスの妻ペネロペのもとには求婚者が集まり、宴を開き続けなければならない状況になっていました。客人が「帰る」と言うまで帰らなくていいルールなので、追い返すこともできません。
ゼウスの掟
どんな客人でも家に上げ、もてなし、話を聞かなければならない
求婚者が集まる
王が帰ってこないため、ペネロペに求婚する者が続々と押しかける
帰れと言えない
客人歓待のルールがあるため追い返せず、宴を開き続けることになる
後半4年の苦しみ
求婚を迫られ続け、家が有象無象に占拠される状況になる
トロイア戦争の発端、黄金のリンゴと3人の女神
ここからラムさんが、トロイア戦争がなぜ起こったかを語ります。世界一の美女ヘレネにメネラオスが求婚し、オデュッセウスの知恵で「誰が選ばれても全員で助ける」という誓いが立てられました。
一方、神様の結婚式に不和の女神エリスだけが呼ばれず、激怒します。エリスは「世界で一番美しい女神様へ」と書いた黄金のリンゴを会場に投げ入れました。
アテナ、アフロディーテ、ヘラの3人がリンゴを争い、判定はトロイアの王子パリスに委ねられます。3人はそれぞれ副賞を提示しました。
| 女神 | 司る領域 | 提示した約束 |
|---|---|---|
| ヘラ | ゼウスの妻 | 中東ら辺全般を仕切る権力 |
| アテナ | 戦いの女神 | 戦いに絶対に勝てる知略 |
| アフロディーテ | 美の女神 | 世界一の美女を与える |
パリスは世界一の美女を選び、リンゴはアフロディーテの手に渡ります。その世界一の美女こそ、すでに人妻となっていたヘレネでした。
パリスがヘレネをトロイアへ連れ去ったことで、メネラオスは兄アガメムノンに相談し、かつての誓いを立てた英雄たちが集まってトロイアへ攻め込みます。これがトロイア戦争の発端です。
10年膠着した戦争と英雄アキレウス
トロイア戦争が長引いたのは、ポセイドンがトロイアのために築いた城壁がとても硬かったからだとラムさんは説明します。しかしトロイア側が城壁の報酬を払わなかったため、ポセイドンはギリシャ側についたそうです。
この戦争の主人公はほぼアキレウスです。神様の息子で強く、幼い頃に無敵になる池に浸けられましたが、片足を持たれていたためアキレス腱だけが無敵でなかったと、由来も語られます。
戦争中、アガメムノンがアキレウスの女を奪ったことで二人は大喧嘩し、アキレウスは戦線を離脱します。すると最強の存在を欠いたギリシャ軍は劣勢になりました。
アキレウスの親友が鎧を借りて出陣しますが、トロイアの大将ヘクトールに討ち取られてしまいます。それを知ったアキレウスは新しい鎧を作ってもらい、戦線に復帰して戦況を一気に変えました。
トロイの木馬と、掟を破り続けるオデュッセウス
10年経ってヘトヘトになった軍は、いよいよ城を落とすため、オデュッセウスがトロイの木馬を思いつきます。神様への捧げ物と偽って城内に運び込む作戦です。
ひげもとさんは、これは神様への信仰心を逆手に取り、ゼウスの掟を破る行為だったと指摘します。自分の勝利を優先して信仰を冒涜する行為だったのです。
そんなんルール違反ですやんの一番のやつなんですよ。
ここからの『オデュッセイア』は、その掟を破り続ける話になっていきます。帰れるとなってからさらに、一つ一つの島で約束を破り、罪を背負っていく物語だとひげもとさんは語ります。
十年かけていろんな罪を背負っていくというお話なんじゃないですか。
ノーランが描くリアリティと反戦のメッセージ
ラムさんは、ノーランは本来ありえない嘘をいかにリアリティある現実に落とし込んで映像にするかに長けていると話します。今回もその力がばっちりハマっているといいます。
ノーランのテーマ性は一貫していて、行って帰ってくる話や家族への愛が多いとラムさんは指摘します。それが『オデュッセイア』の原作テーマと近く、ずっと撮りたかったのだろうと感じたそうです。
さらにひげもとさんは、この作品が前作『オッペンハイマー』と描きたいことが近く、しっかり反戦のメッセージを描いていると語ります。オデュッセウスが戦争を悔やみ、変わっていく姿がその表れです。
(ノーランは)その本来これは絶対的嘘ですやんっていう話を、まあいかにリアリティある、その現実にうまく落とし込んで、それを映像にするっていう能力にすごく長けてる人ですね。
モンスターパニックのような前半、イマジネーションの表現
ラムさんは、キュクロープスの見た目や、キルケーの魔女が人を豚に変えていく過程などに、ノーランのイマジネーションを強く感じたと話します。物語として知っていても「こんな感じで行くんや」と驚いたそうです。
ひげもとさんも、巨人が我が子を食うサトゥルヌス ── ローマ神話の農耕神。子に地位を奪われるという予言を恐れ、我が子を次々に食べたという逸話があり、絵画の題材にもなっていますをオマージュしたような描写や、キルケーが歌いながら人を豚に変える表現にゾクゾクしたといいます。
いや、なんか本当にモンスターパニック映画かなっていうぐらい。
ラムさんは、歴史スペクタクル系は史実に基づくため想像の入る余地が少ないが、この作品は誰も作ったことのないものを作ろうという気概を感じたと語ります。それが一発目に気持ちよかったそうです。
冥界のシーンとエンドロール、現代へつなぐ音楽
二人が特に良かったと語るのが冥界のシーンです。ラムさんは、ハデスで兵士たちの恨みや悲しみに気づき、オデュッセウスが自問自答していく場面を挙げます。
ラムさんは、冥界のシーンだけシンセサイザーのような音が鳴り、その音がエンドロールのジェームス・ブレイク ── イギリスのミュージシャン。繊細で深みのある低音とエレクトロニックなサウンドで知られます、トラヴィス・スコット ── アメリカのラッパー。世界的な人気を持つヒップホップアーティストです、ルードヴィグ・ゴランソン ── 『オッペンハイマー』などで知られるスウェーデンの作曲家。ノーラン作品の音楽を手がけていますの3人の曲にも使われていると指摘します。
作中で「言葉は失われるが歌はなくならない」というセリフがあり、だからこそ最後の歌を現代の曲で締めるのが粋な演出だとラムさんは語ります。過去と現代を音楽でつないでいるのです。
今もね、昔の話やし、ちょっとファンタジーやけど、あれ(現代の曲)で一気に現代に引き戻されて、いや、お前ら今もどうなん?みたいなね。突きつけられてる感じがありましたよ。
ひげもとさんは、ジェームス・ブレイクの甘く優しいローと、ノーランのローの相性が抜群だったと興奮気味に語ります。あのローを映画館で全身に浴びれるのは本当にすごい美味しい体験だといいます。
原作からの改変が現代的、上手すぎる作りへの絶賛
ひげもとさんは、原作では王に返り咲いてエンドになるところ、映画では王位を譲って西へ弔いの旅に出る改変が現代的だと評価します。罪を認めて悔い改める終わり方になっているのです。
他にも、本来は盲目でないエウマイオスを盲目の老人にしてオデュッセウスにすぐ気づかせない工夫や、オープニングの足の傷の振りなど、細かい仕掛けが見事だと語られます。
なんかね、現代の権力、こう老害になるなよっていうメッセージでもあるんかなと思いますよね。
二人はそろって大絶賛です。ラムさんは今年一番、オールタイムベスト級だと語り、ここ10年で一番かもと評価します。ラムさんは歴史に残る作品に立ち会えた興奮があったといいます。
なぜ日本で入っていない?洋画をめぐる現状
これだけ良い映画なのに、日本では観客が入っていないとラムさんは嘆きます。本国では超大ヒットなのに、日本ではちいかわやスパイダーマンが強く、話題になっていないといいます。
ひげもとさんは、日本では邦画やアニメの方が儲かるため洋画が弱く、観客が減っていると話します。新しいIPの洋画だと、良くても映画好きしか行かない状況だそうです。
例外として『トップガン マーヴェリック』が挙がりますが、これは口コミでじわじわ広がった珍しいパターンだといいます。かつては来日舞台挨拶も多かったのに、今は減っている現状も語られました。
『8番出口』やちいかわ、劇場で楽しめる作品の話
話は他の映画にも広がります。二人とも良かったと語るのが『8番出口』です。ゲームを元に世界を拡張し、人間の成長まで描いた作りをよくできていると評価しました。
ひげもとさんは、10歳の子供が『8番出口』を見て喜んでいたと話します。子供も大人も楽しめる特殊な映画で、その構図はちいかわにも通じるとラムさんは語ります。
最後まで話題に上ったちいかわについて、ひげもとさんは最強コンテンツだと繰り返します。子供は可愛さで、大人は考えさせられる要素で楽しめる作りが、多くの観客を呼んでいるのです。
劇場で見てほしいナンバーワン、ゲスト回のしめ
二人は改めて、原作を知らなくても劇場で見に行くべき作品だと語ります。ラムさんは「劇場で見てほしい映画ナンバーワン」と表現しました。
一方で、冷静に考えるとおもしろい場面もあると笑い合います。巨人が兵士を食べた後ゆっくり寝るシーンなど、勢いと絵の迫力で持っていかれるところも魅力だといいます。
最後にラムさんは、ヨースケさんとの2人でやっているYouTubeチャンネル「スケラムVS」を告知します。今プレイしている「ラ・ムラーナ2」が神話メインのゲームで、その勉強のために神話の絵本を読んでいたことが今回の話につながったそうです。
まとめ
プロの映写技師でもあるラムさんをゲストに迎え、映画『オデュッセイア』の音や画角といった裏側から、トロイア戦争や神話の物語、そして日本の洋画事情まで幅広く語り合った回でした。原作を知らなくても劇場で楽しめる一本として、二人そろって大絶賛でした。
- 『オデュッセイア』はフルIMAXを基本に4バージョンが作られ、どの劇場で見てもちゃんと楽しめるよう監督が指示している
- ノーラン作品は低音(ロー)が強く、映写技師にとっても要注意。今作もそのローを全身で浴びる体験が魅力
- 客人歓待の「ゼウスの掟」やトロイア戦争の発端を知ると、物語の理解がより深まる
- 原作では王に返り咲くところを、映画では王位を譲り弔いの旅に出る改変が現代的で、反戦のメッセージも一貫している
- 本国では大ヒットだが日本では観客が入っておらず、二人は劇場で見てほしいナンバーワンとして強く推している






