1ヶ月ぶりの配信、公私ともに変わった4月
産業医の本音第74回は、約1ヶ月ぶりの配信となりました。冒頭で小橋さんは、間隔が空いたことで「生きてるの」というメッセージも届くようになったと触れ、この回を生存報告と位置づけています。
前回が社会的でシリアスな話題だったこともあり、今回はまず小橋さん自身の近況報告から始まります。
話の枕になっているのは、第70回で扱った衛生委員会の年間テーマの回です。4月は環境変化が激しいのでセルフケアとラインケアをしっかりやっていきましょう、という内容でした。
小橋さんは、この4月に環境変化が激しいという話が自分自身にも当てはまると振り返ります。公私ともにこの4月から結構変わったというのが正直な感想だと話しています。
活動範囲が全国へ、九州と北陸への感慨
公の面では、いろいろな企業から少しずつ仕事の依頼をコンスタントにもらえるようになってきたといいます。ワンセルフの本社は東京にあるため、これまでは関東圏の企業がクライアントとして比較的多かったそうです。
ところがこの2、3ヶ月で活動範囲が一気に広がってきたと小橋さんは話します。具体的には九州、東海、北陸で、今後は東北に行く可能性もあるといいます。
まさかこんな立て続けにいろんな地域とご縁ができるとは思ってなかったので、これはもう本当にありがたいですし、何よりすごい楽しいです。
なかでも九州は、小橋さんが20代の10年間を過ごした青春の土地だといいます。プロフィールでも、2010年に産業医科大学を卒業したことが紹介されています。
北陸については、小橋さん自身が産業医のプレイヤーとして受けた案件です。学生時代に長期休みには日本全国を車で一人旅していたそうで、北陸は自分の中では未知の世界であり、一つの独立した国のような存在だったと語ります。
具体的な思い出として挙げるのが、石川県の千里浜と富山県の立山連峰です。千里浜はマリオカートのノコノコビーチのような砂浜を車でずっと走れる場所で、楽しかった記憶があるといいます。
(立山連峰は)こんな美しい景色が日本にあるんだってぐらい感動しながら、ずっと車から見てた記憶がありますので。
その当時は、北陸の地に産業医として東京から毎月新幹線で通うとは思ってもなかったと小橋さんは振り返り、感慨深く、純粋に嬉しいと語っています。
地方の産業保健は「市場そのものを作る」仕事
ここから話題は、地方の産業保健そのものへと移ります。小橋さんは、地方の産業保健は都心とは違うと切り出します。
都心では、メンタルヘルスや両立支援といった産業保健上の課題を、企業側が時代とともにすでに持ち合わせるようになってきているといいます。そのため、産業医はその課題にコミットしていく展開が増えているという印象です。
一方で地方は、そうした課題意識そのものがまだ浸透しきれていないところが比較的多いと小橋さんは話します。そのため、求められる役割も変わってきます。
小橋さんによれば、地方では課題解決というより、産業保健の市場そのものを作っていく役割が求められる場面が多かったといいます。
都心は進んでいて地方は遅れているから楽だ、という見方をする人もいると小橋さんは紹介します。しかし、どちらも経験している立場からは、そんなことはないと否定します。
むしろ地方っていうのは誰も周りにこういう理解者がいなかったりとかすることが多いんですよ。
理解者がいない中で、一からその企業、ひいては地域全体の産業保健を築き上げていかなければならない。だから、むしろ地方の方が大変なのではないかと感じる場合が多かったといいます。これは産業保健に限らず、労務や人事全般に言えることかもしれないと補足しています。
山笠と雪かき、地域と職域が近づく面白さ
もう一つ小橋さんが感じているのが、地方に行けば行くほど地域と職域が密接に関わっているということです。ここが地方の産業保健の面白いところだと語ります。
例として挙げるのが、福岡・博多の祭りです。7月1日から15日まで山笠祭りがあり、この時期になると産業医面談で独特のやり取りが生まれるといいます。
2週間、山笠のためにほぼ寝てませんみたいな。でも元気ですみたいな。そういう面談って結構福岡じゃないとできないと思いますし。
もう一つの例が、雪国での特定保健指導です。小橋さん自身は北国に住んだことがなく未経験だと断ったうえで、聞いた話として紹介しています。
雪国では、冬の特定保健指導の内容が「雪かきをしましょう」といった内容になるといいます。雪かきはかなりの運動量になるため、確かに効果があるわけです。
こうした例を通じて小橋さんは、地方に行けば行くほど地域と職域が密接に関わってくると整理します。そのうえで、地方で産業保健の専門職をしていく際の姿勢を語ります。
その企業を愛して地域も愛すみたいな、そういう感覚が、特に地方で産業医、産業保健専門職をしていくのであれば、より必要になってくるんじゃないかな。
日帰りと一泊二日、出張のリアルな過ごし方
一方で小橋さんは、東京の家庭に小さな子どもがたくさんいるため、出張は現状ほとんどが日帰りだといいます。福岡に出張しても、豚骨ラーメンをちょっと食べて帰るくらいの慌ただしさです。
ただし北陸・富山については、今回は家庭とも調整でき、基本的に一泊二日で予定を組んでいるといいます。まだ始まって2、3回ほどの段階です。
昼は仕事頑張って、それで夜ですね。夜はこの富山の日本酒とお魚をたらふくいただいて、少しばかり富山の地域経済に貢献させていただいていると。
こうして小橋さんは、この春からだんだんと全国に産業医として進出していると近況を締めくくります。
共働き本格化と、発信が止まる理由
続いて、公私の私、つまり家庭の変化です。上から2番目の子が4月から小学校に上がり、一番下の子も保育園に行き出したため、共働きがまた本格的に始まったといいます。
特に大変なのが朝の時間帯です。8時に上2人が小学校へ、8時20分に真ん中2人のバスが迎えに来て、8時30分に一番下の子を保育園に送り、それでようやく仕事という流れだといいます。
やっぱりこの時期、誰かしら熱とか出したりしますから、いや、その時はもうどうする?みたいな。
さらに経営者としての決算対応など、会社としてやらなければならないことも山積みだといいます。そうした中で何かを犠牲にせざるを得なくなると、このポッドキャストが犠牲になってしまうと小橋さんは打ち明けます。
その理由として、産業医という本業をおろそかにするわけにはいかないという考えを挙げます。プレイヤーとして仕事を頼んでいる人が仕事をしてくれないのに、メディアやSNSでは盛んに発信している状況を例に、それは嫌だと語ります。
いや、だったらまずはメール返してよみたいなね。逆にそう思われるようなことを極力したくないなっていうところですかね。
そのため、小橋さんは本業が忙しくなると発信活動が止まる傾向があるといいます。ポッドキャストに限らず、諸々の配信が止まっていたことを明かしたうえで、今日久しぶりに配信したと説明しています。
今年のテーマは「全国」、産業医政学会での再会も
近況報告をしているうちに本編が終わってしまったと小橋さんは笑いつつ、総じて楽しく忙しくやっていると振り返ります。
ワンセルフとして力を入れたいのは、中小、零細、スタートアップ、そして地方だと小橋さんは語ります。今の状況は本当にありがたい話だといいます。
そのうえで、今年のテーマは全国に決めたと宣言します。このポッドキャストは日本全国いろいろな地域で聞かれているようで、うちの地域に来てほしいという声があれば、仕事に関係なく喜んで行くと呼びかけています。
最後に告知として、今週は大阪で開かれる日本産業衛生学会に触れています。小橋さんは28日の木曜に一日だけ参加できることになったといいます。
自身の発表はないものの、指導医を務めている岸本雄先生がポスター発表をするため、その応援も兼ねて28日午後14時ごろにポスター会場にいる予定だといいます。
その夜には、岸本先生や、以前ポッドキャストで紹介した「産業医工藤のつぶやき」の工藤先生らと、こじんまりとした懇親会を開くと案内しています。あと1人か2人ほど参加できるかもしれないため、興味がある人はその日のうちに連絡してほしいと呼びかけて回を閉じています。
まとめ
全国へ広がる活動を入り口に、地方の産業保健の面白さと難しさが語られた近況報告回でした。小橋さんは、地方では課題解決以前に市場そのものを作る役割が求められ、地域と職域が密接に関わることの面白さを実感していると話しています。
- この回は約1ヶ月ぶりの配信で、小橋さんの公私の近況報告が中心となった
- 活動範囲が九州、東海、北陸などへ一気に広がり、今年のテーマは「全国」に決めたと宣言している
- 地方の産業保健は課題解決というより産業保健の市場そのものを作る役割が求められ、都心より大変な面もあると語る
- 山笠と睡眠、雪国の雪かきと特定保健指導など、地域と職域が密接に関わる例が紹介された
- 共働きの本格化や本業の多忙により発信が止まりがちだが、本業を優先する姿勢が語られた


