SBIから届いた「商品除外」の通知
井上さんはSBIのiDeCoを使っていて、そこに商品の見直しを知らせる通知が届きました。
除外される商品と追加される商品の一覧を見て、驚いたと話しています。
そこにはFANG+ ── 米国の代表的なハイテク企業などを中心に、10銘柄程度に絞って構成される株価指数。値動きが大きくなりやすい特徴があります。のインデックスファンドが追加候補として入っていました。
正直、iDeCoにFANG+が入る日が来るとは想像すらしてなかったなと思って。FANG+がどうこうじゃないですよ。特性を理解して買ってる人はそれでいいと思うんですけど、iDeCoに入るのはちょっと想像できなかったなというところで。
iDeCoは60歳まで引き出せない、長期の資産形成を前提とした制度です。
そこに値動きの大きいテーマ型の商品が並び始めたことに、井上さんは強い問題意識を持っていると話します。
追加される商品と、除外される商品
SBIのセレクトプランで追加候補となったのは、ナスダックのインデックスファンド、FANG+のインデックスファンド、半導体のアクティブファンド、情報エレクトロニクスファンドだったといいます。
もうブームというか、テーマ系ばっかやんと思って。ごっついなと思って。
通知には商品選択の基準も丁寧に書かれていました。「長期投資にふさわしく、積立効果が期待できるファンド」という文言です。
一方で、これらの商品はおよそ3年から5年を目処に見直し、入れ替えていく運用になっているといいます。
長期投資にふさわしく、積立効果が期待できるファンドって書いてあるんですよ。ごっついでと思って。三年から五年で入れ替えるって、それやったら長期投資ちゃうやんけって話なので。
反対に、除外の対象になった商品もあります。
たとえばニューヨークダウのインデックス、ひふみワールド年金やひふみ年金などが外される候補に挙がっているといいます。
長く積み立てたい人が置き去りになる懸念
井上さんは、iDeCoは税制の仕組み上、期待リターンが低めの資産を入れる方が有利になりやすいと説明します。
NISAはいくら儲かっても非課税ですが、iDeCoは最終的に元利合計が課税対象になるため、大きく増えすぎると控除を超えて課税が発生しやすいためです。
そのため井上さん自身は、株式・REIT・ゴールド・現金でポートフォリオを組み、iDeCoは現金部分を担う定期預金型にしていました。
ところが、その青空DC定期が除外されるという連絡が来たといいます。
さらに気になるのは、debt側の商品の除外です。国内債券ではeMAXIS Slim国内債券インデックスが除外対象で、これはセレクトファンド内で唯一の国内債券だといいます。
つまり除外されれば、iDeCoの中で自分なりに4資産均等のような分散投資を組みたい人が、それをできなくなるということです。
そんなポンポン入れ替えていいのかなっていうのが、正直めっちゃ素朴な疑問ですね。長期でコツコツ積み立てしていきたかった人を置いていくような入れ替えが許されるのは、制度設計としてそのコンセプトが何なのか疑わしい。
いつでもやめられるので、どんな商品でもよく、青天井の利益も非課税。
60歳まで引き出せない長期前提の制度で、流行りで入れ替えられると積立方針が崩れる。
議員連盟の提言に感じる金融機関側の思惑
この流れの背景として、井上さんは資産運用立国議員連盟の提言に触れます。
提言には、金融機関が個別商品の推奨や助言をできるようにすること、iDeCoにロボアドバイザーを追加することが盛り込まれているといいます。
運用管理機関が金融商品取引業者の立場として、個別商品の推奨助言を許容してはどうか、と。わお、と思って。
さらに井上さんが最も引っかかると言うのが、商品除外の手続きの緩和です。
現状は、その商品を選んでいる人の3分の2以上の同意がないと除外できませんが、この要件を緩めようという提言だといいます。
加えて、商品ラインナップを35本以下とする規定の見直しも書かれているとのことです。
有識者会議でその意図を問うと、「ユーザーから選択肢は多い方がいいという意見があるから」という説明だったといいます。
ただ、ユーザーが望むことがユーザーのためになるとは限らない、と井上さんは指摘します。
金融教育をしても行動はほとんど改善しないとするメタ研究を引き合いに、選択肢が多すぎると選ぶこと自体が難しくなる面があると話します。
3年〜5年での見直しに根拠はあるのか
井上さんは、テーマ型やアクティブファンドを3〜5年で見直すこと自体にも疑問を投げかけます。
過去に沈んでいた資産やセクターが次のフェーズで良い成績を出し、逆に輝いていたものが次に沈む、という傾向は多くの資産に見られるといいます。
そのサイクルがちょうど3〜5年程度だとすれば、その周期で見直すことにどんな意味があるのか、と話します。
そもそも三年、五年で見直すこと自体、意義が何なのかっていう気はしますよね。三年、五年っていうスパンの根拠もわかんないし。
井上さんは、手数料が上がること自体を問題視しているわけではないと断ります。
問題は、辞められない制度でありながら、流行り廃りで商品を入れ替えるようなやり方だといいます。
いい制度だからこそ感じる残念さ
iDeCoは60歳まで引き出せない、長期投資を前提とした制度です。
その趣旨を踏まえると、今の方向性はきつい、無茶なことをしようとしているように感じると井上さんは話します。
ありきたりな言葉使うけど、割と終わってる感じするなぁというね、気がしていて。まあこんなことをしてたら、iDeCo勧める気にはならないかなっていう。
井上さん自身は、国内債券など低リスクの商品を選ぶ使い方をしているため、iDeCoをやめるつもりはないといいます。
ただ、人には勧めにくい制度になってきていると感じているそうです。
最後に、有識者会議のレポートについても触れ、意見を聞くスタンスを見せるだけの「ガス抜き」になっている側面があるのではと、残念さをにじませました。
コンセプトありきでできることをやっていくべきだと思うので、流行りに乗っかっていくような考え方は個人的には正しくないと思ってる。頑張れiDeCoという。
まとめ
SBIのiDeCoへのFANG+追加をきっかけに、井上さんは長期の資産形成という制度の趣旨と、流行りのテーマ型商品を入れ替えていく動きとのズレを問い直しました。ユーザーの声を理由にしつつも、加入者目線が薄れているのではないかという違和感が語られた回です。
- SBIのiDeCoでFANG+やナスダック、半導体などテーマ型ファンドが追加候補に入り、国内債券や元本確保型などが除外対象になった。
- 3〜5年で商品を入れ替える運用は、60歳まで引き出せない長期前提のiDeCoと合っていないのではないかと指摘している。
- 議員連盟の提言には個別商品の推奨解禁や除外要件の緩和、商品数上限の見直しが含まれ、金融機関側の思惑が見えると井上さんは感じている。
- 選択肢が多いことは必ずしもユーザーのためにならず、制度は流行りではなくコンセプトありきで設計すべきだという主張が中心にある。




