現金を一度も下ろさない?ロンドンのタッチ決済
小畑さんは家族でロンドンに約10日間滞在しました。前回のサッカー観戦の話に続き、種市さんは久しぶりのロンドンの食べ物、お金、交通機関の今を知りたいと話を振ります。
ロンドンで小畑さんがまず驚いたのは、あらゆる支払いがクレジットカードで済むことでした。地下鉄もバスも、カードをかざすタッチ決済で乗れるといいます。
まず驚いたのが全部クレジットカードでいけるんですよ。
日本では電車に乗るなら基本はSuicaで、海外から来た人は切符を買うか、Suicaを買ってデポジットを払う必要があります。種市さんも、韓国旅行では専用カードを買ってバスや電車に乗っていたと振り返ります。
ロンドンでは、日本で使っているスマホのタッチ決済は使えなかったそうです。小畑さんは規格の違いだろうと推測しています。ただ、物理的なクレジットカードをかざせば問題なく乗れたといいます。
さらに便利なのが、地下鉄の運賃に1日の上限があることです。1回あたりは数百円ほどですが、小畑さんの記憶では、1日3回分ほどの料金に達するとそれ以上は課金されなくなります。
それもだから結局クレジットカードをちゃんと向こう側が覚えててやってくれるみたいな感じになってるから、あ、これめちゃくちゃいいじゃんと思って。
ロンドンのタッチ決済はスーパーのレジ、レストラン、小さなパブまで使えたそうです。小畑さんは滞在中、ポンドの現金を一度も使いませんでした。パブでも「カードで」と言ってタッチすれば会計が終わります。
マジいらないです。本当一回も下ろしてないです。
日本のレジ横に並ぶ決済ロゴは何のため?
ロンドンの話を受けて、小畑さんは日本の決済事情の複雑さに触れます。日本ではカードは使えないがPayPayなら使える店や、自宅近くの世田谷Payだけ使える店があり、手数料の問題ではないかと推測しています。
(日本のレジは)例えば僕だとクイックペイとかよく使うんですけど、じゃあクイックペイですみません、クイックペイは使えなくて。だけどIDとクレカと何とかだったらみたいな。
種市さんは、クレジットカード1枚ですべて済むなら共通通貨のようなものだと受け止めます。そのうえで、なぜ日本だけこうなったのかと疑問を投げかけました。
小畑さんは詳しくはないと断ったうえで、決済手段のこれまでの歴史や縄張り争いが関係しているのではないかと話します。中国ではWeChatがほぼ主流になっているように、国ごとの事情もあるといいます。
Suica、PayPay、地域Payなど国内ローカルの決済手段が多く、店ごとに使える手段を確かめる必要がある
地下鉄からパブまでクレジットカードのタッチ決済で完結し、現金も財布もほぼ不要
小畑さんはアメックスを使っていて、ロンドンではまれに使えない店があったそうです。それでも、VISAのタッチ決済ならほぼ100%使えるという感覚だったといいます。小畑さんはキャッシュレスに限らず、イギリスには効率化や大局観で考える姿勢があると感じました。
日本はかなり細かくて、確かにいろいろできるんですけど、別にぶっちゃけここは1個でよくない?って思うことがあったり。
Uberとの競争でブラックキャブはどう変わった?
小畑さんが次に挙げたのは、ロンドンのタクシーの変化です。前回の訪問時はUberに乗るのが普通で、黒いタクシー、いわゆるブラックキャブ ── ロンドンの伝統的な認可タクシー。黒く背の高い独特の車体で知られ、運転手は市内の道を覚える厳しい試験に合格する必要がありますはあまりきれいではない印象でした。
ところが今回ブラックキャブに乗ってみると、車内は清潔で、車体もとても大きかったそうです。後部は対面式で7人ほど乗れ、スーツケースもたくさん置けて快適だったといいます。
種市さんは、狭い道の多い東京で大きなタクシーが走れるのかと疑問を挟みます。小畑さんによると、ロンドンには日本のようにギリギリで曲がる細い道はほとんどないそうです。
前回の訪問時はUberが主流で、タクシーは汚く、ぼったくりもたまにあると現地の人にも言われていた
今回はUberも使われつつ、ブラックキャブも清潔で大きく、同じくらい快適になっていた
やっぱタクシー業界も頑張ってるわけですよ。やっぱそのままUBERにどんどん流れていっちゃうと困るから。
小畑さんは、ブラックキャブの変化を競争がもたらした結果と受け止めています。こうした競争は日本でもやればいいのにと感じたといいます。
ランナーと自転車があふれる街のウェルネス
ウェルネスもロンドンで小畑さんが強く印象に残った話題です。滞在した8月末から9月頭は日差しが和らぎ、湿度も低く、日も長い時期でした。街ではランナーや自転車で通勤する人、シェアサイクルの利用者を数多く見かけたそうです。
種市さんによると、韓国ではランニングがムーブメントになっている一方で、坂が多く、タクシーも安いため、自転車はあまり流行っていないそうです。小畑さんは、ロンドン市街は坂が少なくフラットで、道も整備されていると話します。
小畑さんの体感では、ロンドンで自転車に乗る人の10台に3台ほどがシェアサイクルで、残りは自分の自転車です。本格的なスポーツバイクの人もいれば、昔ながらのロンドンらしい自転車の人もいて、どれもかっこよかったといいます。
小畑さんの体感では、走る人も自転車に乗る人も若い世代が多く、男女比は半々か、男性がやや多い程度でした。ランニングは朝や夕方のトレーニング、自転車は通勤の手段として使われていたそうです。
いや、これはやっぱり全世界的にウェルネスブームだなっていうのをすごい思いましたし。あとランニングのコミュニティみたいなのも結構できてるみたいなんですよ。
ランニングについて、種市さんも皇居や代々木公園で走る人が多いことや、ファッション関係の知人がランチームを作っていることに触れます。小畑さんは、若い世代がアフターファイブにお酒ではなく運動で交流する流れを、ロンドンでも感じたといいます。
種市さんが聞いた話では、ロンドンなどのランナーには、あえてロックTシャツを着るなど、機能性よりカルチャーを加えたファッションで走る人がいるそうです。小畑さんも、バイクやランニングにそうしたスタイルを実際に見たといいます。
テクノロジーがガンガン進んでいってとか、資本主義でものすごいお金の偏在があってとか、二極化してとかっていうのと対極にある、体を動かしてとかは、これやっぱ全世界的に。
種市さんは、ウェルネスを逆張りや揺り戻しと表現します。小畑さんも、ランニングは一度ブームが落ち着いてから再び盛り上がっているとして、その見方にうなずいていました。
ココイチのハンバーグカレーが3,500円?円安と物価高の実感
話題はロンドンの物価に移ります。小畑さんの滞在時、1ポンドは210円から220円ほどでした。一番わかりやすかったのは、子どもにせがまれて入ったロンドンのココイチです。
ロンドンのココイチの味は日本とほぼ同じでした。小畑さんは、日本で千円ちょっとのハンバーグカレーが約3倍の値段になっていると見ています。ビールなど、ほかのものもおおむね3倍の感覚だったそうです。
小畑さんの疑問は、高く感じるのが円安のせいなのか、現地でも物価高なのかという点でした。現地の人に聞くと、1ポンドは100円くらいの感覚で、17ポンドのカレーは1,700円ほどに感じるそうです。
いや、彼らからすると結局給与とそのカレーのお金のバランスは変わらない。
小畑さんは、ロンドンの給与も日本円にすると日本の2〜3倍ほどあるのだろうと推測します。ロンドンの物価も高いものの、日本人にとって高く感じる一番の理由は完全に円安だと結論づけました。フィッシュアンドチップスも円にすると3,000〜4,000円か、それ以上するそうです。
種市さんは、ハワイならレンタカーとホットドッグで安く楽しめるが、サッカー観戦やパブなどが目当てのロンドンでは逃げ道がないと嘆きます。小畑さんの旅は、ホテル代をポイントで賄えたことが大きかったと二人は振り返ります。
ロンドンでは賭け事も合法で、サッカーくじはコンビニの数ほど売られていると小畑さんは話します。種市さんは、それで帳尻を合わせられるなら行く価値が出てきたと冗談めかしました。
子連れで気づいた、ロンドンの子どもへの優しさ
小畑さんにとって、今回のロンドンは家族での初めての海外旅行でした。親の目線で街を見ると、現地の人が子どもにとても優しいことに気づいたといいます。
もちろん超綺麗だし、ご飯も美味しくて、あの、すごい良いところいっぱいあるんですけど、子育て世代にめちゃくちゃ冷たいなって。向こうと比べると。
小畑さんによると、ロンドンでは子どもは大事な存在だという合意が社会にあるように見えたそうです。子連れでいると性別や年齢を問わず誰もが席を譲り、電車でも助けてくれたといいます。
一方の日本では、子どもが少し騒ぐと親が周りに気を遣って静かにさせるのが普通です。小畑さんは、子どもが増えないのも無理はないと感じました。種市さんは自分はあまり気にならないと答え、小畑さんも、気にしない人のほうが多いはずだが、一部のうるさい人の声がXなどですぐ炎上につながると話します。
種市さんは、サンフランシスコではバスに犬を連れて乗る人がいたことや、奇抜な格好の人がいても誰も気にしないことを例に挙げます。危険につながる面もあるとしつつ、そうした大らかさが子育てのしやすさにつながっていると見ています。
日本の「きちんと」とロンドンの「ゆるさ」、どちらがいい?
小畑さんがロンドンで会った友人たちは、9時5時で働き、みんな楽しそうに見えたそうです。小畑さんはそれと比べ、日本ではここ10〜20年で、きれいさやきちんとすることを求める度合いが上がってきたと感じています。
ちょっとでもなんかはみ出すとすぐ怒られるから、それを気にしてはみ出さないように、なんとかはみ出さないように、はみ出さないようにしてるような。
きれいで安心感がある一方、きちんとする度合いが上がり、はみ出さないよう周りを気にする
周りは周りでうちはうち、子どもに優しく、良い意味でゆるくポジティブに暮らしている
種市さんは日本が大好きだと前置きしたうえで、旅先ではサーフィンのように、その場その場の楽しみ方を味わうものだと話します。そのため、日本とロンドンのどちらが良いかは一概に言えないといいます。
でも逆に言うと、その綺麗さとかきちっとしてることがすっごく安心感になって自分が気持ちよかったりっていうのも反面あるから。
種市さんは、子どもへの優しさや周りを気にしすぎない良さを日本にうまく取り入れられればいいと話します。同時に、小畑さんが会ったのは成功している人たちかもしれないとも指摘します。大卒者の就業率が良くないという記事も見たといい、小畑さんも自殺が多い面もあると応じて、ロンドンにもさまざまな現実があることを確かめ合いました。
まとめ
ロンドン滞在を通じて小畑さんが感じたのは、決済や交通の効率の良さ、競争によるサービスの向上、生活に根づいたウェルネスと子どもへの寛容さでした。一方で、円安による物価の高さや現地の社会課題にも目を向け、二人は日本の良さと課題を両面から見つめ直しています。
- ロンドンでは地下鉄からパブまでクレジットカードのタッチ決済で完結し、地下鉄運賃には1日の上限もある
- ブラックキャブは、Uberとの競争を経て清潔で大きな車体になり、Uberと同じくらい快適になっていた
- ココイチのハンバーグカレーは17ポンドで日本の約3倍。高く感じる主な理由は円安だと小畑さんは結論づけた
- 街にあふれるランナーや自転車通勤の人から、世界的なウェルネスブームとスタイルのあるカルチャーが見えた
- ロンドンの子どもへの優しさやゆるさは魅力的だが、日本のきちんとした安心感にも良さがあると二人は話した




