台風の日曜、酪農家はなにをしている?
この回が配信されたのは10月25日の日曜日です。川上牧場のある西日本には台風が近づいていて、朝から強い雨が降っていたそうです。
川上さんは台風に備えて、前日のうちに牧場の仕事をだいぶ済ませていました。この日の予定は地元の農業祭で、農家の青年部として焼き鳥を焼く役目があるといいます。
多分お客さん来ないでしょと思ってますけども、はい。それ(焼き鳥)をやってこようかなと思っております。
話題は酪農業界の厳しい状況にも移ります。牛乳を廃棄しないための奨励金には賛否があるものの、川上さんは制度をしっかり活かす派だと話しています。
川上さんの計画は、年末近くに乳量の少ない牛を出して、生産性の高い牛に入れ替えることです。そのうえで、1月から2月にはそれ以上に頭数を増やしていきたいそうです。
お知らせとして、川上さんは「#未来の牛乳」プロジェクトの見直しも伝えています。NFTやデジタルアートを組み合わせた形は参加しにくいという声があり、noteのメンバーシップの支援を地元の子ども食堂や小中高の食育活動に回す形に変えるとのことです。
牛乳で乾杯したあとは、人間ドックの話です。骨密度を測ったところ、骨の年齢は22歳という結果で、とても褒められたといいます。
毎日牛乳飲んでるんでねって言って、本当に捨てゼリフを吐いてきましたけども。はい、牛乳飲めばこうなります。
モルモットの歯と、バナナミルクの相性
コメント返しの1通目は、YouTubeで「牛にも好きな草がある」という配信を聴いたリスナーからです。
面白かったです。ありがとうございます。うちのモルモットも選んで食べてます。ウサギやモルモットは茎を食べてくれないと歯が削れないので困ってしまいます。あと、放牧している牛さんが移動しながら食べてる理由も分かって良かったです。
川上さんは、ウサギやモルモットは硬いもので自分で歯を削るイメージを持っていたそうです。猫の爪とぎのような道具があると思っていたので、茎で歯が削れるという話に驚いています。
同じまゆさんからは、「牛乳は何と食べると最強?」という配信に「バナナミルクが最強ですね」というコメントも届きました。
川上さんは、バナナには牛乳に足りない栄養が含まれていると話します。どちらも調理なしですぐ口にできる手軽さも魅力で、日曜の朝にバナナスムージーを試してみてほしいと勧めています。
Threadsでは、搾乳の方法が牧場ごとに違うことを紹介したスライド投稿に、牛乳屋さんのアカウント「いせやミルク」さんから「勉強になります」と声が届きました。牛乳を売る側の人も現場を知る機会は少ないので、そのきっかけになればうれしいと川上さんは話しています。
外国人なら安く雇える、は本当?
Xでは、研修生と一緒に話した配信「外国人なら安く雇える?酪農の現場ではこれは誤解です」に、実際に外国人の従業員を雇っている酪農家からコメントが届きました。
今日は従業員を床屋へ連れて行きましたし、やることはたくさんありますね。忙しいからダメとか言い続けてたら人間関係が崩れますから。楽になるからという理由で雇うなら日本人の方がいいですね。明日は従業員に搾乳を任せてバスケ観戦に行くので、私は忙しくても頑張ります。
川上さんによると、外国人研修生は安くて文句も言わず働いてくれる、という考えで雇うのは違うそうです。国によって文化や生活習慣が違ううえ、住む場所の手配なども雇う側が準備する必要があります。
安く雇えて、何も言わずに働いてくれるから楽
文化や生活習慣の違いへの配慮、住まいの手配、免許がなければ買い物や床屋への送迎も必要
車の免許持っていなかったら、買い物とかね、そういう床屋とかそういうのも連れて行かないといけないっていうのを聞いたりすると、時給とか考えるとどうなの?って思ったりしますけども。
とはいえ、外国人雇用がいいか悪いかは牧場ごとのケースバイケースだ、と川上さんはまとめています。
牛舎でおにぎり、食べても大丈夫?
同じく研修生との配信「牛舎でおにぎりを食べられますか?」には、動物の感染症にくわしいリスナーから補足が届きました。
クリプトスポリジウムに限らず、ジアルジアやコクシジウムも。小動物だと検査キットもありますが、特効薬がないためマメに検便して確認してます。
川上さんは、しょうさんは小動物の獣医さんなのではと推測しています。配信では、動物から人へ、人から動物へうつる人獣共通感染症 ── 動物と人のあいだでうつる病気の総称。寄生虫や細菌、ウイルスなどが原因になり、ふだんからの手洗いなどで予防しますのひとつとして、クリプトスポリジウムを取り上げていました。
クリプトスポリジウムにかかった牧場の従業員からは、下痢が止まらず大変だったという話も聞くそうです。仕事に慣れると牛舎で食べることにも抵抗がなくなりますが、手にふんがついていると危ない、と川上さんは研修生と話しています。
牛のお産は自然に任せる?人が助ける?
いちばん多くの声が集まったのは、研修生との配信「牛のお産は自然に任せるべきか、人が助けるべきか」です。まず届いたのは、ヌーニーさんからのコメントでした。
助産のタイミングとても悩みますね。助けられるかもと悩むとどんどんタイミングが早くなってしまいます。僕は正常な分娩なら極力助産したい派です。ただ、危険な状態になっていると判断した時だけはすぐに介助します。
川上さんも、どちらかといえば自然分娩を基本に、牛を観察しながら必要なときに介助する考え方です。ただ、お産の介助には正解がなく、人によって考えが違うと話しています。
僕は昔、輸入卵の受精卵の子牛を殺してしまったというね、強い思い出、経験があるので、この介助するってのがありますけど。
一方で、これまで正常分娩で特に問題がなかった人は、自然分娩で産ませるのではないか、と川上さんは考えています。お産の判断は牧場ごとのケースバイケースで、正解はないというのが、この回の川上さんの立場です。
同じ投稿には、おいたんさんから、子牛が大きくなりやすい事情をふまえたコメントも届きました。
体外受精卵産子に過大子が多いこと、AIでも生まれが大きいことを考えると、予定日に分娩しなければ人がいる日中に分娩が始まるように誘起をかけますね。自分は。遅延ではないので共済保険は使えませんが。
川上さんは、IVF ── 体外受精のこと。牛では、取り出した卵子を体外で受精させ、その受精卵を別の牛に移して子牛を産ませる技術として使われていますや品種改良が進んで子牛が大きくなり、お産が難しくなっていると説明します。背景にあるのは、ホルスタインの体が小さくなっている流れです。
遺伝改良
ホルスタインは飼料効率を目指して改良が進む
体のコンパクト化
少ない餌で同じくらいの乳量が出る小柄な牛が増える
交配
黒毛和牛やF1をつけると子牛が母牛に比べて大きくなる
難産のリスク
飼い方や技術のアップデートが必要になる
さらに、もりそばさんからは、自分の経験にもとづく長いコメントが届きました。
牛温計を使って体温が落ちてからの時間で判断してましたね。まずは手を入れて状況確認。子牛の活力と正常体位であれば様子見。異常であれば獣医に相談して対処を考えます。一次破水を確認して、初めての子ならば1.5時間、その他は1時間ほど様子をうかがい、二次破水などなければ助産を行ってました。
時間で割り切るやり方は自分の体力の負担も少なく有効であると思っています。あとは初乳を飲ませる時は分娩後30分後にとりあえず立たせて感覚を覚えてもらい、1時間後に初乳を飲ませるを実施していました。自然がいいと思いますが、自然だから事故が起きるかもしれませんので、時間で割り切ることで自然と助産のハイブリッドの正解に導くことが自分の中では正解だと思っています。
もりそばさんのやり方は、お産から初乳まで、時間を区切って順に判断していくものです。
川上さんは丁寧なコメントに感謝しつつ、時間で割り切ると手遅れになるケースもあると話します。川上さん自身は、時間のルールより目の前の牛の状態を見て決めているそうです。
まあ少ない頭数だからこういうのができるんですけど、頭数が多くなるとね、こういうもりそばさんみたいなやり方がまあ最適解かなというところですけど。
牛の状態を見て判断する。少ない頭数だからできるやり方
時間で区切って判断する。頭数が多い牧場での最適解かもしれない
人間だけの食べ物って?アレルギーの子のパンケーキ
noteの記事「牛乳は本来子牛のもの?では人間のものと決められた食べ物って何だろう?」には、芳魂さんから「1つではないですが、母乳と胎盤だと思います」というコメントが届きました。
川上さんは、人間の母乳を動物に与えることはないので、人間だけのものと割り切れるのかもしれない、と考えます。胎盤については、プラセンタ ── 胎盤から抽出した成分のこと。健康食品や化粧品に使われていますが、市販品の多くは豚や馬など動物由来ですのような健康食品があることにふれつつ、感染症などを考えると怖いと率直に話しています。
芳魂さんからは、記事「牛乳はほぼ水なのに、なぜ料理に使うと水と全然違うの?」にもコメントが届きました。
子供が卵、小麦、牛乳を取れなかった頃は、米粉、豆乳、油(ナタネ油や米油)でパンケーキを作っていました。色付けしたい時はかぼちゃや人参入りにし、膨らませたければベーキングパウダーか重曹多めで、はったい粉やそば粉を混ぜたガレット風のパンケーキが多かったです。
今は牛乳が飲めるのでシチューはほぼ牛乳のみ。水は野菜からのみで作ります。
川上さんは、アレルギーや乳糖不耐症 ── 牛乳に含まれる乳糖をうまく分解できず、おなかがゆるくなったりする体質のこと。日本人には比較的多いといわれていますの子どもの食事を考える親の大変さに思いを寄せています。ほかの材料を組み合わせても作れるけれど、比べると牛乳にしか出せない風味がある、というのが川上さんの考えです。
「バター風味」って何?牛乳石鹸とコーヒー牛乳
TikTokでは、商品の裏の表示に書かれた「バター風味」を取り上げたスライド投稿に、はちさんからコメントが届きました。素材を生かした本物が好きだけれど、世に出回るものの多くには香料などが入っているので口にはする、という内容です。
川上さんは、「バター風味」の商品にはバターが入っていない場合がある、と配信で話していました。それでも、牛乳が入っていなくてもおいしいアイスなどがあるのは企業努力だと認めています。
そのうえで川上さんは、裏の表示を見て国産の牛乳を使った商品を選んでほしいと呼びかけます。「国内製造」と書いてあっても海外の原材料を使っている可能性がある、という注意も添えています。
はちさんからは、牛乳石鹸の配信にも「一時期バズってた石鹸。私はボディソープより石鹸が好きで使っています」と届きました。TikTokネームNNNさんからも「赤箱派です。九州人。牛乳は何にでも活用されるんですね」とコメントがありました。
牛乳石鹸には、牛乳そのものではないものの、牛乳の一部の原料が使われているそうです。川上さんは、皆が知らないところで牛乳が使われていることを知ってほしいと話します。
はちさんは、コーヒーに牛乳を入れるとカルシウムがなくなる説を取り上げた切り抜き動画にも「安心しました笑」とコメントしています。カフェインがカルシウムの吸収を邪魔するという話はSNSで見かけるものの、そこまで気にしなくていいと配信では紹介していました。ただし研究が進めば見方が変わる可能性もあるので、気になることがあればまた調べると川上さんは話しています。
カルピスとプロテイン、牛乳をもっと使うには?
stand.fmでは、前日のカルピスの配信に、セイさんから「糖質60パーセントカルピスを牛乳で割って飲んでいます」とコメントが届きました。
川上さんは、牛乳で割る専用のカルピスが出ていることを紹介し、探してみてほしいと話します。糖質が気になる人は、コップ1杯くらいにしてガブガブ飲まないのがいいそうです。
セイさんからは、「牛乳を輸出すればいいじゃん」という考えは違う、と話した配信にもコメントがありました。
なるほど、世界は生き物ですね。生乳の需要が伸びるのが一番ですが、脱脂粉乳自体で個人的に力になれるのはプロテインをスキムミルクに変更することでしょうか?タンパク質はたくさん欲しいです。
川上さんの答えは、スキムミルクを使ったプロテインです。ビーレジェンドが出している「酪農応援プロテイン」なら、余っている脱脂粉乳の消費につながり、タンパク質もしっかり取れます。川上牧場のTikTokショップにリンクがあるそうです。
800本以上の配信を一つにまとめたサイト
コメント返しの最後に、川上さんは「酪農データバンク」を紹介しています。これまでの800本以上の配信をまとめたサイトで、ここから質問を送ったり、回答の配信をすぐに探したりできるそうです。
配信中には「牛乳たくさん使ってシチューを作りました」というライブコメントも届きました。川上さんのおすすめは、ご飯のおかずになる濃いシチューを自家製の牛乳で作ることだといいます。
酪農なんてなくなればいいっていう言葉を吹き飛ばしていただけたら嬉しいなと思います、これ(シチュー)で。
最後はお知らせです。Kindle本『酪農未経験者のために』の遺伝改良と種牛設計編や、その内容を読み込ませた「FarmEcho AI」が紹介されました。黒毛和牛の近交係数を計算できるアプリ「和牛交配チェック」は、現在85の牧場が使っているそうです。
まとめ
この回のコメント返しでは、モルモットの歯からお産の判断、外国人雇用、牛乳の意外な使われ方まで、現場を知るリスナーと酪農家の対話が広がりました。どの話題でも、川上さんは一つの正解を押しつけず、それぞれのやり方を尊重しているのが印象的です。
- 牛のお産は、牛の様子を見るやり方と時間で割り切るやり方があり、頭数や経験によって最適解が変わる
- 外国人雇用は「安くて楽」ではなく、生活の手配や送迎まで含めた手間がかかる
- 牛舎では人獣共通感染症に注意し、手の汚れに気をつけることが大切
- 牛乳は石鹸やカルピス、プロテインなど、知らないところで幅広く使われている

