企業の「謎ルール」、酪農業界にもあるの?
今回のお便りは、Spoonの配信アプリから届いた質問です。
企業によっては不思議な非効率な社内ルールがあったりしますが、酪農業界にも変だなと思うルールがあったりしますか?
これに対して、川上さんの答えははっきりしていました。
川上さんは非農家の出身で、もともと鳥取県に住んでいて島根県にお婿さんとして入った経緯があります。だからこそ、外から来た人だからこそ見えるものがあると話します。
農家ではないところから入ってきたのもありますし、外から来ているところがあるので、こういうところに敏感ではあったりするかなと思うので。
紙とFAXがなくならない現場
まず川上さんが挙げたのが、根強く残る紙文化とFAX文化です。
衛生記録や投薬記録、頭数調査など、手で書いてFAXで送らなければいけない書類がたくさんあると言います。ポジティブリストのように、手書きが大事なものもあるとしつつ、その多さに困っているようです。
会議のたびに紙の資料が配られ、事前にデジタルで送ってもらえないのも不満のひとつ。デジタルなら事前に確認でき、議論も深まり、保存も楽になるはずだと話します。
あの書類どこ行った、ここ行ったみたいなこともないので。ああいうのでデジタル進んでないです。紙文化が多いっていうところですね。
会議が多くて、しかも減らない
次に挙がったのが、会議や集まりの多さです。
毎月や四半期ごとに定期的な集まりがあり、川上さんは役員も務めているため、役員会と本会にそれぞれ出席しなければならないと言います。
しかも中身は、毎年恒例のいわば「ちゃんちゃん」で終わる会議も多いのだそう。オンラインで済むものも多いのに、コロナ禍を過ぎても改善されないと嘆きます。
会うのもまあ大事だと思いますけども、そういうのが多いです。コロナ禍になっても、コロナ禍を過ぎても全然改善されないですね。
なぜ古いルールは残り続けるのか
川上さんは、地域ごとにルールがバラバラなことも問題だと指摘します。
農協、酪農協、牛群検定の協会、ホルスタイン登録協会など多くの組織があり、地域ごとの歴史や背景でルールが違うため、「ここではできるけど、ここではできない」という状況が生まれると言います。
そして特に「あるある」なのが、慣習がそのままルールになっていること。世代交代が進むなか、なぜそのやり方なのか、理由がわからないまま続いているケースが多いのだそうです。
なんでこれやってんですかっていうのがわからないんですよね。紙文化で議事録まとめてるんで、都合が悪いのは残さないんですね。
川上さんは、その背景に構造的な理由もあると分析します。
- 国の補助金や制度、法律と紐づいていて簡単に変えられない
- 変えると補助金が受けられなくなる恐れがある
- 平均年齢が高く、デジタルに不慣れな人が多い
- 搾乳の合間しか時間がなく、改革に労力を割けない
他の農産物なら農繁期と閑散期があり、忙しくない時期にまとめて議論できます。でも酪農にはそうした区切りがなく、それも改革が進まない一因ではないかと話します。
解決のカギは「世代交代」しかない?
番組の後半では、リスナーからのコメントを拾いながら話が広がっていきました。
デジタル化を進めようとした団体もあったものの、うまくいかなかった例も。川上さんは、熱意ある人ほど割を食ってしまう現状を残念がります。
もうちょっと変えようとか、熱意がある人たちがそれの割を食っちゃうっていうところがあるんで。
補助金の受け皿になっている団体が多く、なくすと補助金がもらえなくなるため消せない、という「幽霊団体」の存在にも触れました。
担当する県やJAの若手職員が、部署ごとにバラバラな対応に振り回されて残業している姿を、川上さんは「かわいそすぎる」と繰り返します。
結局、川上さんが出した現実的な答えは、世代交代が進むのを待つしかない、というものでした。まずはFAXをやめて、会議の資料をデジタルにしてほしい。そんな素朴な願いが繰り返し語られた回でした。
まとめ
酪農業界にも、企業と同じような非効率なルールはたくさんある。今回はそんなリアルを、非農家出身の川上さんが率直に語ってくれました。
- 衛生記録や投薬記録など、手書きとFAXが残る紙文化が根強い
- 毎年恒例で終わる会議や集まりが多く、オンライン化も進みにくい
- 補助金や制度と紐づいているため、古いルールを簡単に変えられない
- 平均年齢の高さやデジタルへの不慣れも、改革が進まない一因になっている
- 川上さんの現実的な結論は「世代交代が進むのを待つしかない」

