白髪と厄年、そして始まった「減酒」の記録
Podcast「厄年減酒」の第1回は、パーソナリティのアキラさんの自己紹介から始まります。タイトルにある通り、アキラさんは41歳の厄年を迎えています。
この日の朝、アキラさんは鏡を見て白髪が思ったより増えていることに気づき、ハサミで何本か切ってきたと話します。そういう年齢になってきた、という実感からのスタートです。
番組を始めようと思った直接のきっかけは、健康診断の結果でした。ここから、お酒との向き合い方をめぐる記録が始まります。
健康診断で出たγ-GTP193という数字
番組を始めるきっかけになったのは、健康診断でγ-GTP ── 肝臓の状態を示す血液検査の項目のひとつ。アルコールの飲みすぎや脂肪肝などで数値が上がりやすいとされますが193という数値になったことでした。
医師からは、200を超えたらきちんとした検査を受けなければいけないと言われており、アキラさんはそのギリギリの手前まで来ている状況だといいます。
そこでアキラさんは肝臓内科を受診し、血液検査を受けました。過去の健康診断の結果もすべて先生に見てもらったといいます。
これまでの数値の推移を見た先生の見立ては、体重とγ-GTPの数字が連動していそうだ、というものでした。脂肪肝の疑いもある数字ではあるものの、体重を減らせばγ-GTPも下がってくるのではないか、という話だったそうです。
そのうえで先生から出たのが、お酒についての質問でした。毎日飲んでいると答えたアキラさんに、先生はお酒を控えるよう伝えます。
毎晩5〜6杯、やめられない長年の習慣
お酒をやめるよう言われても、簡単にはやめられない。アキラさんはまず自分の意志で減らそうとしたものの、長年の習慣が壁になったと振り返ります。
アキラさんは毎晩お酒を5杯も6杯も飲む生活を、長く続けてきました。会食などでお酒を飲む場もありますが、それ以外の日も家で晩酌を続けてきたといいます。
もう自然に習慣としてどうしても飲んでしまうというようなところが続いてきてしまっている。
そのため、肝臓内科の先生にお酒をやめなさいと言われても、なかなかやめることができなかったといいます。
アキラさんは、自分はアルコール依存症なのだろうと考え、インターネットで調べてみます。そこにはアルコール依存症かどうかをチェックする検査がたくさんありました。試しにやってみると、危険水準、依存症の疑いありという結果が出たそうです。
この結果を受けて、いよいよやめないとまずいと感じたアキラさんは、お酒をやめるための医師を探し始めます。
断酒か減酒か、AIに相談しても答えは同じ
医師を探す一方で、アキラさんは断酒についても少し調べたといいます。ただ、完全にやめようというところまでは意志が続かず、お酒はやめずに減らす方向で数値を改善できないかと考えていたと、自分の弱さも率直に語ります。
最初に相談した相手は、AIでした。どうしてもお酒はやめたくないが、なんとか肝臓の数値を改善できないかと尋ねたそうです。
しかし、AIからの答えははっきりしていました。
AIからも「いやいや、お酒をやめるべきです」というようなアドバイスが出て。
結局、どうやってもお酒を控えざるを得ないのだろう、という状況になったとアキラさんは話します。
それでも、いきなり断酒に踏み切るのは難しそうでした。調べていくうちに、お酒を減らすための減酒外来 ── お酒を完全にやめる断酒ではなく、飲む量を減らすことを目標にする外来。近年広がりつつある治療の選択肢のひとつですという選択肢があることを知ります。
意志の弱さから断酒ではなく、まずは減酒がどんなものかを知りたい。そう考えたアキラさんは、減酒外来を受診することにしました。
減酒外来の初診と、AUDIT18点という結果
減酒外来の初診では、心理士による質問に答えたり、先生と話をしたり、血液検査を受けたりしたといいます。
そこで印象的だったのが、AUDIT ── お酒の飲み方の問題度を測るための質問票。世界的に使われている指標で、点数が高いほどアルコール依存のリスクが高いとされますという質問票でした。先生の質問に答えながら点数をつけていくものです。
アキラさんの結果は18点でした。20点を超えると完全にアルコール依存症という判断になるそうで、18点はその予備軍レベル、依存症一歩手前ともいえる点数です。
この点数に対して、先生はどういう治療があるかを細かく説明してくれたといいます。
断酒薬と、脳に働く「セリンクロ」
先生の説明によると、アルコール依存症の投薬治療としては、断酒が一番の近道だといいます。そのための薬は、肝臓がお酒を受け付けないようにする、いわば下戸にする薬で、これが断酒薬にあたります。
一方、減酒のための薬として紹介されたのが、セリンクロ ── 飲酒量を減らすことを目的とした薬。2019年から保険診療で使えるようになったと、番組内で紹介されていますでした。2019年に保険診療で使えるようになった薬だといいます。
断酒薬が肝臓に働くのに対し、セリンクロは脳に直接作用する薬だと説明されました。アキラさんの記憶では、お酒を飲むほど出てくる快楽物質のようなものの受容体をブロックする、という説明だったといいます。
つまり、どんどん飲みたくてしょうがないという状態を途中で抑え、飲みすぎを防ぐ薬です。たくさん飲んでしまいそうな日の飲み始めの数時間前に飲んでおくと、結果的にお酒の量を減らせる、と案内を受けたそうです。
肝臓に働きかけ、お酒を受け付けない体にする薬。断酒を目指す治療で使われる
脳に作用し、飲みすぎを抑える薬。飲みそうな日の数時間前に飲むことで減酒につなげる
投薬より先に、飲んだ量を「記録」することから
初診の診察結果としては、いきなり投薬治療は始めず、まずは様子を見てみましょうということになりました。
その第一歩が、飲酒量を記録することでした。減酒日記という飲酒量を記録するアプリを使い、普段どれくらい飲んでいるかをしっかり記録するところから始めることになったそうです。
記録が必要なのには理由がありました。アキラさんは、自分が一日何杯飲んでいるかを正確には把握できておらず、アルコールの濃さもバラバラだったといいます。
家にでっかいウイスキーの4リットルとか入るようなボトルがあって、そこから注いでいってるので、毎回お酒の濃さもわからないような飲み方をしていました。
そこで先生から教わったのが、飲んだ量を数字にする計算式でした。1杯当たりのアルコール度数と飲んだ量を掛け算し、さらに0.8を掛けると、アルコールのグラム数が出るというものです。
この計算式をもとに、減酒日記を使いながら目指す飲酒量の基準を決めてもらいました。最初だからとかなりおまけした、緩めの基準だったといいます。
この範囲内でお酒を飲むようにしていく、というのが初回の診察結果でした。
1か月後、少しだけ減ったお酒と初めての休肝日
初診から約1か月、アキラさんは毎日アルコールの量を記録し続けています。1か月ごとに診察があり、その結果を先生に見せに行くことになっているそうです。
それでも、長年の習慣はそう簡単には変わらないといいます。ただ、記録をつけていること、そして飲むときに先生の顔が頭に浮かぶことが、少しずつ効いてきているようです。
もうひとつの変化が、休肝日です。これまでは一切お酒を飲まない日がまったくない生活でした。それが、まだ月に1日程度ではあるものの、お酒を飲まない日を作れるようになったといいます。
ほんの少しではあるけれど、確かな変化。それが、減酒外来の初診から1か月が経ったところまでの記録です。
まとめ
41歳・厄年のアキラさんが、γ-GTP193という数字をきっかけに減酒外来へ通い始めた第1回。断酒に踏み切れない自分を認めたうえで、まずは飲んだ量を記録するところから始めた1か月が語られました。
- 健康診断でγ-GTPが193となり、200手前の状況が番組を始めるきっかけになった
- AUDITは18点で、20点超の依存症判定に近い予備軍レベルという結果だった
- 断酒薬に加え、脳に作用し飲みすぎを抑える減酒の薬「セリンクロ」が紹介された
- 初診では投薬をせず、減酒日記アプリで飲酒量を記録することから始めることになった
- 1か月で1日あたり1本ほど酒量が減り、これまでなかった休肝日も月1日程度作れるようになった





