北海道限定ブランド「札幌餃子製造所」の個性
今週のお取り寄せ餃子として紹介されたのは、イートアンドが北海道だけで展開する「札幌餃子製造所」です。
大阪王将の黄色い看板や冷凍の羽根付き餃子とは違い、町中華っぽさもなく、通常の倍ほどの大きさの餃子を手作りしているお店だと説明されています。
皮は北海道らしくやや厚めでモッチリとした食感。餡はジューシーさをたっぷり閉じ込めた、肉肉しい大粒餃子だと語られます。
ホームページには、皮の小麦粉選びだけでなく、小麦粉を管理する際の温度管理まで注意していると書かれているそうです。
小野寺さんは、こうしたこだわりは小さな店ではなかなか言わない点だと指摘します。大阪王将という冷凍ブランドと大きな工場を持つ大手ならではのノウハウが生かされていると推測しています。
ラインナップも北海道らしく面白いと語られます。ジンギスカンを思わせるラム肉、エビやホタテといった海の幸が惜しげもなくゴロっと入り、噛んだ瞬間に素材が来る餡が特徴だといいます。ジンギスカン羊肉を使った北海道を代表する焼き肉料理。北海道の食文化を象徴する存在として親しまれている。
季節限定も時折登場し、最近はハロウィンに合わせてかぼちゃの餃子があったそうです。
こうした個性的な餡は工場での大量生産ができず、手包みでしか作れない餃子だと語られます。それをナショナルブランドを運営する会社があえてやっている点が面白いと話されています。
タレには京都の千鳥酢が添えられるといい、小野寺さんは千鳥酢を出す餃子店はハズレがないと評しています。千鳥酢京都の村山造酢が製造する米酢。まろやかな酸味で知られ、飲食店でもこだわりの証として使われることがある。
個店として育ったオリジナル町中華ブランド
大阪王将さんは町中華ブランドの大阪王将以外にも、恵比寿の大龍軒、御茶ノ水の萬龍、大塚の興龍軒という、お店ごとに個性のある町中華を展開してきました。
これらはラーメン、チャーハン、餃子など、店ごとに違う看板メニューを持ち、大阪王将とはまったく違うメニュー構成になっているといいます。
麺や餃子の皮の一部は工場で集中して作るものの、基本は手作りにこだわっている点が3店の強みだと説明されます。
小野寺さんは、こうした店で町中華としての新しい実験をし、それが大阪王将の店作りやメニュー作りに還元されていると見ています。
セントラルキッチンで作ったものをそのまま使うのではなく、素材の一部として提供することで、他の町中華より効率化されつつも手作りらしさを残す。そんなグループ企業としての役割を持っているようだと語られます。
神保町に生まれた「東京都大阪王将市餃子特区」
そんな大阪王将グループが、この傾向を加速するように今月17日、神保町に新店舗をオープンしました。その名は「東京都大阪王将市餃子特区」です。
これまでの札幌餃子製造所やオリジナル町中華は、いずれも大阪王将の看板を使わず、街や客層に合わせた個店のようなブランドでした。
小野寺さんは、そこで培われた手包みの技術や新メニュー開発の知見を結集し、本丸である大阪王将の名を冠して神保町に再構築したのがこの店だと見ています。
神保町を選んだ理由については、この街の餃子文化に注目しています。かつてスヰートポーヅがあり、現在も三幸園という老舗が根付き、さらに餃子屋たかくや餃子の肉太郎といった個性的な手作り餃子店が生まれる話題のエリアだと語られます。
歴史と新進気鋭が融合する餃子文化の発信地に、大阪王将があえて出店した点に意味を見出しています。
冷凍とは違う、手作りの焼き餃子と水餃子
餃子特区の看板メニューはもちろん餃子です。焼き餃子は羽根付きになっていました。
大阪王将は冷凍餃子こそ羽根付きですが、店では羽根なしが通常です。ここではその逆で、しかも冷凍を焼いているのではなく、店で手作りした餃子を羽根付きで焼いているといいます。
そのため、スーパーで買える冷凍餃子とは違った味わいになっていると語られます。
さらにお店らしいと小野寺さんが感じたのが水餃子です。店で皮を伸ばして包んで茹でるため、水餃子ならではの皮の美味しさを感じられるといいます。
商品名は「東京爆汁茹で上げ餃子」ですが、爆汁というよりパクチーやセロリのような香りのいい野菜が入った水餃子だと紹介されます。
こうした野菜の香りは冷凍したり時間が経つと消えてしまうため、作りたてだからこその風味だと説明されます。
神保町がこういった新進気鋭の手作り餃子のメッカになってきてるよっていう話もさせていただきましたけれども、餃子特区、まさにその文脈に入ってきてるなっていう風に思うんですね。
体験系の餃子と、町中華の原点回帰
小野寺さんは、目の前で餃子を作り、調理してすぐ食べさせてくれるものを「体験系の餃子」と名付けています。
味わうだけでなく、作る様子を見て、香りを含めて五感で餃子を体験できる。それを大阪王将というブランドで始めている点が面白いと語られます。
ナショナルブランドの餃子屋が効率とは真逆の方向のサービスをしている点を、とても興味深いと話しています。
ただ、考えてみると町中華も元々そうだったのではないか、とも述べます。効率化も大事だが、手作りしていくことも本来の町中華だったのではないか、と。
その本質を自ら問いただすための店として、この餃子特区が作られたのではないかと推測しています。
14種類のフレーバーという新しいチャレンジ
原点回帰だけでなく、新しいチャレンジも見えると語られます。餃子のフレーバーは14種類用意されています。
餃子1皿につき1種類のフレーバーを選ぶ形なので、全て試すには14皿を注文しなければなりません。
立ち飲みの店のため、2人から4人がベストではないかと話されます。それでも全種類はやりきれず、結局何度か通うことになるといいます。
どのフレーバーを選ぶかという会話が生まれながら楽しめる。そんな狙いで作られているように感じたと語られています。
フレーバーは液体だけでなく、シャキシャキわさびやサクサクガーリックのように食感のあるものもあります。
小野寺さんは、このフレーバーを味わうために餃子特区に行きたくなると語り、前回は3種類を試してまた行きたくなっていると話します。
フレーバー自体も手間がかかっていると指摘します。シャキシャキわさびは本物のわさびで、新鮮でないと香りも辛みも出ないため、鮮度管理などの工夫がされていると考えられると語られています。
太い幹と枝葉で進化する大阪王将の未来
小野寺さんは、セントラルキッチンとは対極にある手作りへの回帰を、この店の面白さだと総括します。ナショナルチェーンでありながら中身はゴリゴリのクラフト餃子。そのギャップが魅力だといいます。
イートアンドには大阪王将という太い幹がすでにあり、札幌餃子製造所のような独自の枝葉も育ってきていると語られます。
今回の餃子特区は、大阪王将の冠を背負いながらも独自の枝葉になっている。大阪王将の進化系、未来の形を垣間見るような店だと表現されます。
大手だからこそできる本気の遊びや職人技の継承が太い幹に還元され、力強く成長していくと感じられると話されています。
日本の餃子文化としても、リーズナブルな定番餃子と贅沢な手作り餃子は両極にありますが、互いに刺激し合ってどちらも進化していくのが好ましい形だと語られます。
効率化された手頃な餃子。冷凍やチェーン店の看板メニューが担う裾野
手包みや作りたてにこだわる餃子。餃子特区のような体験系が担う頂点
三角形で見れば、てっぺんと底辺が高く横に広がるほど面積が大きくなるように、どちらも頑張っていくことが大切だと締めくくられています。
まとめ
大阪王将の新業態「餃子特区」は、大手チェーンでありながら手作りへ回帰する象徴的な店として紹介されました。グループ全体の枝葉と太い幹が刺激し合いながら進化していく様子が、餃子文化全体の両輪として語られました。
- 札幌餃子製造所やオリジナル町中華で培った手作りの知見が、大阪王将の名を冠した餃子特区に結集されている。
- 餃子特区では手作りの羽根付き焼き餃子や、香り野菜入りの水餃子など、冷凍とは違う作りたての味を提供している。
- 14種類のフレーバーは通うきっかけとなる仕掛けであり、わさびなど手間のかかる工夫が凝らされている。
- 小野寺さんは「大手だからこそできる本気の遊び」として、効率と手作りが両輪で進化する餃子文化を好ましいと捉えている。
- 神保町という歴史と新進気鋭が融合する餃子の発信地に出店した点にも、大阪王将の戦略が読み取れる。

