レンチンした餃子がガッカリになる理由
今日は餃子を焼きたくない。そんな時に頼りになるのが、スーパーやデパ地下で買ってきた焼き餃子です。
ところが、パックを手にした時は美味しそうでも、電子レンジでチンすると皮が美味しくない、焼き目がふわっとしてぺちゃんこになる、そんなガッカリを経験した人は多いはずです。
電子レンジがどのように餃子を温めているのか、このメカニズムが分かると、今までより少し餃子が美味しくなります。
この回では、餃子の皮の主役である「でんぷん」の特性と、電子レンジの特性の2つを理解することが鍵になると話されています。
餃子の皮を左右する「でんぷん」の正体
餃子の皮は、基本的に小麦粉と水でできています。その小麦粉の約7割はでんぷんで、今日の話はこのでんぷんが主役です。
でんぷんは、ブドウ糖の分子が規則正しく結晶化して硬く固まった状態が基本の形です。イメージしにくいので、生米で例えられています。
生米はカチカチで、噛んでも美味しくなく消化にも悪い。一方で、この状態は何年も保存でき、カビにくいというメリットがあります。この生米の状態を「生でんぷん」と呼びます。
ここに水と熱を加えると、でんぷんは水分を吸ってゆるい網目構造になります。これがアルファ化でんぷんが水と熱を吸って網目状にほぐれ、やわらかく消化しやすくなった状態。糊化とも呼ばれる。炊きたてのご飯がこの状態にあたる。で、米で言えば炊きたてのもちっとしたご飯の状態です。
米以外の例として、圧縮タオルも挙げられています。カチカチに縮んだタオルが生でんぷん、水を吸ってモコモコに膨らんだタオルがアルファ化のイメージだと説明されています。
冷めると硬くなる「ベータ化」とサトウのごはん
では、アルファ化したでんぷんが冷めるとどうなるのか。
温度が下がると水分が追い出され、また結晶構造に戻ろうとします。これがでんぷんの老化、別名ベータ化アルファ化したでんぷんが冷えて水分を失い、再び硬い構造に戻る現象。老化とも呼ばれる。冷めたご飯や餃子の皮が硬くなるのはこのため。です。
餃子の皮の水分が抜け、その分ボソボソと硬くなっていきます。冷めたご飯が固まるのと同じ状態です。
電子レンジで温めるとホカホカになるサトウのごはんも、この仕組みを利用しています。一度炊いてアルファ化したものを乾燥させて固め、ベータ化させた状態ですが、中に水分が残っているため温めるとホカホカに戻ります。
餃子のパックの底に水が溜まっていることがありますが、これは餡の蒸気に加え、基本的には皮から抜け出た水分だと説明されています。
この仕組みを分かっているスーパーや祭事の売り手は、焼いた餃子を一度冷まし、水分を飛ばしてからパックに詰めることで、パックの中で水が出ないよう工夫していると話されています。
生でんぷん
規則正しく結晶化した硬い状態。生米のように保存に強い
アルファ化
水と熱を吸ってゆるい網目に。炊きたてご飯のようにもちっとする
ベータ化(老化)
冷えて水分が抜け、再び硬くなる。冷めた餃子の皮の状態
電子レンジは何を温めているのか
ベータ化して固まった餃子を、ホカホカに戻す。そのためには、電子レンジの働きを知る必要があります。
電子レンジはマイクロ波電子レンジが発する電磁波の一種。食品中の水分子を振動させ、その摩擦熱で食品を温める。水分がないと温まらない。という電磁波を出し、食品の中の水分子に当てます。水の分子が揺れて擦れることで温度が上がります。
マイクロ波が狙っているのは水の分子だけなので、水分がないと温まりません。乾いたタオルをチンしても温かくならないんですね。
つまり、餃子の中に残った水分子を揺らして熱くしているのであって、でんぷんを直接温めているわけではありません。水分が残っているほど早く温まりやすくなります。
電子レンジには大きく2種類あります。ターンテーブル方式は上や横からマイクロ波を放射する仕組みで、真ん中が温まりにくく、外側に並べたほうがムラなく温まりやすいとされています。
フラット方式はマイクロ波を放射する側を回すため、ムラはできにくいとされます。ターンテーブル方式では置き場所の工夫が必要になります。
さらに、餃子同士がくっついていると、その部分にマイクロ波が届かず温まりにくくなります。隙間をしっかり作って並べると、まんべんなく温まりやすくなります。
これはオノデラ式の焼き方に近く、花びら型に丸く並べて真ん中を開けると、レンチンでも温まりやすくなると話されています。
ワット数と数量、温める時の落とし穴
温める際のワット数にも注意が必要です。コンビニの1500ワットのような高出力だと、表面までしか温まらず中が温まりにくいことがあります。
温まりすぎると乾燥してパサパサになり、逆に中が温まりにくい状態になります。餃子には家庭用の500ワットや600ワットが向いていて、内側までゆっくり温まって美味しく仕上がります。
では下げればいいかというとそうでもなく、解凍用の200ワットではパワー不足で、温まる前に乾燥してしまうと説明されています。
温める数量が少なすぎるのも問題です。マイクロ波が集中しすぎて温まりすぎることがあります。逆に冷蔵庫でキンキンに冷えている場合は、時間を少し長めにするとよいとされます。
餃子の量や温度によって秒数は変わります。アルファ化には約70度になる必要があり、70度程度になるバランスを、数や温度で調整することが求められます。
水は少量、焼き目は上、クッキングシートで仕上げる
水分をターゲットにするなら、水を加えたほうが温まるのではと思う人もいるはずです。それもありですが、常温の餃子なら中に水分が残っているため、水を足さなくても綺麗に温まると説明されています。
乾燥している場合や冷えすぎている場合は、小さじ1杯ほどのごく少量の水を加えます。ただし水が多いと蒸気が増えます。
ここでサランラップは避けたほうがよいとされています。蒸気を閉じ込めてしまい、中で水に変わってビチャビチャになるからです。
サランラップよりかは、クッキングシートみたいな蒸気を逃がしてくれるようなものを餃子の上にふわっとかぶせて、それでレンチンしてください。
並べ方にもコツがあります。焼き目を上、皮を下にします。焼き目には水分を残したくないためです。
蒸気は上に逃げ、また水分になって下に落ちます。焼き目を下にするとその水分を吸って、カリッとした感じがふわふわになってしまうと説明されています。
温め足りない時に、もう一度30秒を追加すると温まりすぎることがあります。半分の15〜20秒ずつ、こまめに温度を見ながら温め直すのがよいとされています。
焼き目を復活させる仕上げと、でんぷんで考える温め方
めんどくさいけれど焼き目パリッとしたものが食べたい。そんな時は、ある程度レンチンで温めた上で、フライパンで最後に焼き目だけを焼き直すと、カリッとした感じが出しやすくなると話されています。
今回の肝は、でんぷんのアルファ化とベータ化のイメージです。スーパーの餃子は、アルファ化したものを冷ましてベータ化した状態にあります。
それを逆転させ、ベータ化した状態を60〜70度ほどで加熱してアルファ化させる。水分を皮に集めて、もちっとした状態に戻すという考え方です。
もちっとしないなら水分不足の可能性もあるため、水分を足しながらしっかり蒸すとよいとされています。
小野寺さんは、スーパーの餃子がそんなに美味しいと思ったことが今までなかったと振り返り、温め方の問題もあるのではと考えてこの回を届けたと話しています。
スーパーの餃子をもっと美味しく食べるっていう方法をみんなで研究していきたいなと思って、今回のエピソードをお話をさせていただきました。
なお、今年のジャパン餃子大賞では、スーパーの惣菜餃子を対象にした「惣菜餃子アワード」を新設し、7月24日に発表されると案内されています。
まとめ
餃子の皮のでんぷんは、温めるとやわらかくなるアルファ化、冷めると硬くなるベータ化を行き来します。電子レンジは水分を狙って温めるため、水分を残しつつ約70度を目指すことが、スーパーの餃子を美味しく温め直す鍵になります。
- 餃子の皮の約7割はでんぷんで、加熱でアルファ化、冷めるとベータ化して硬くなる
- 電子レンジは水分子をマイクロ波で揺らして温めるので、水分が残っているほど温まりやすい
- 家庭では500〜600ワット、500ワットなら約40秒、600ワットなら約30秒が目安
- 焼き目を上にし、サランラップではなくクッキングシートをふわっとかぶせる
- 焼き目をパリッとさせたい時は、レンチン後にフライパンで焼き目だけ焼き直す

