宇宙の中で一番遠いのは地球?
宇宙がテーマの回で、しゅうへいさんが持ってきたのは、冥王星や第2の地球の本ではなく、足元の地球の内部を扱った本でした。著者は広瀬圭さんで、書名は『地球の中身 何があるのか、何が起きているのか』です。
宇宙の中で一番遠いのは地球なんです。
この一言に、幸あれこさんは「どの視点で言ってんだろう」と首をかしげます。しゅうへいさんの説明は、人類が届いた距離の比較でした。
人類は冥王星まで探査機を飛ばし、何億キロも先まで到達しています。一方で地球は半径6400キロありますが、その中心には誰も行っておらず、実際に掘れたのはわずか12キロほどだといいます。
実はたった12キロしか掘れてないんですよ。もう本当に薄皮、もう薄皮ぐらい。
なんで13キロ行けないんだろう。
発見の年代でも、地球の内側は後回しになってきました。しゅうへいさんによれば、冥王星が発見されたのは1930年で、地球の中心にある固体の鉄の塊「内核」が発見されたのは1936年です。外側のことは分かりつつあるのに、内側は調べようがない難しさがある、と話します。
地球はゆで卵。殻・白身・黄身の正体
しゅうへいさんは、高校で地学を取っていたものの「みんな寝てた気がします」と振り返りつつ、この本は大人になってこそ読みたい本だと勧めます。著者の広瀬圭さんは東京大学の教授で、地球生命研究所の初代所長も務め、その名を冠した鉱物「広瀬アイト」もあるといいます。
1つ目のポイントは、地球の中身がどうなっているかです。しゅうへいさんは、地球の中身を「ゆで卵と一緒だと思ってください」とたとえました。
(地球って)それでも球体じゃないですよね。
そんなとこ気にしない。ざっくりの説明なんだから。
ゆで卵の殻にあたるのが地殻で、厚さは6〜30キロほど。地球半径の1%にも満たない薄皮です。白身にあたるのがマントルで、マグマとは違う岩石の層であり、地球の体積の8割を占めます。黄身にあたるのがコアで、半径3500キロの金属の鉄の塊だと説明されました。
ゆで卵のたとえで整理すると、地球の層は次のようになります。
| ゆで卵 | 地球 | 特徴 |
|---|---|---|
| 殻 | 地殻 | 厚さ6〜30キロほど。地球半径の1%未満の薄皮 |
| 白身 | マントル | 岩石の層。地球の体積の8割 |
| 黄身 | コア | 金属の鉄の塊。半径3500キロで月より大きい |
地球の中心にあるのは月よりでかい鉄の塊だっていうことなんですね。
続けてしゅうへいさんは、地球の中心は固いか半熟かと幸あれこさんに尋ねます。幸あれこさんの答えは「カタカタ」でした。
だってこれだけ私たちが乗っても大丈夫っていう状態なんだから。
しゅうへいさんによれば、下に行くほど熱いため途中までは液体ですが、本当の中心部は圧力が高すぎて液体になれず、固体になっているといいます。地震もほとんどが薄皮のあたりで起きており、私たちは足元の下に何が広がっているかを意外と知らない、という「灯台下暗し」の話でもありました。
この流れで、しゅうへいさんの地学好きが話題になります。地理の模試で全国3位になったこともあるといい、イケハヤさんは「地学好きって初めて見たかもしれない」と驚きます。幸あれこさんは「ティラミスも層になってるけど、あれじゃダメなの?」と返し、笑いを誘いました。
12キロしか掘れないのに、なぜ中身がわかるのか
2つ目のポイントは、地球の中身の調べ方です。しゅうへいさんによると、人類が掘った最も深い穴は旧ソ連の記録で12.3キロ。地球の半径6400キロのわずか0.2%で、ゆで卵の殻にすら届いていません。
地球の中はぎっしり詰まっていて光も通らないのに、なぜ鉄や液体の層がわかるのか。この問いに幸あれこさんは「感覚かなぁ」と答え、イケハヤさんに「やべえ感覚だな」と突っ込まれます。
掘り進めない理由は、岩が硬すぎることと、掘った土を地上へ上げる大変さにあるといいます。そこで使われた1つ目の手がかりが地震波です。地震の波は地球の中を伝わり、層によってスピードや曲がり方が変わるため、それを観測すると中身が層になっていることがわかります。
しゅうへいさんが「地学やってた人は一緒に」と呼びかけたのが、モホロビチッチ不連続面 ── 地殻とマントルの境界。地震波の速度が急に変わる面として、クロアチアの地震学者モホロビチッチが1909年に発見しました。略してモホ面とも呼ばれますです。幸あれこさんは「ジョコビッチ?」と聞き返していました。
地震波にはP波とS波 ── P波は先に届く縦波で初期微動を起こし、S波は後から届く横波で大きな揺れを起こします。S波は液体の中を伝わらない性質がありますの2種類があります。しゅうへいさんはどちらがどの層を通らないかを「忘れた」としつつ、この違いを手がかりに、1936年にデンマークの女性地震学者レーマンさんが内核を見つけたと紹介しました。
だからまあいわゆるレントゲンをしたみたいな感じですよね。
地球が届けるサンプルと、実験室で作る地球の中心
地震波だけでは、中にどんな石があるかまではわかりません。そこで2つ目の手がかりが、しゅうへいさんいわく「地球が自分でサンプルを届けてくれる」ことです。
(マグマは)大体深さ200キロぐらいまでの情報を地表に運んでくれる、まあ宅急便みたいなもんですよ。
ダイヤモンドも手がかりになります。しゅうへいさんによると、ダイヤモンドは地下150キロ、5万気圧でできる石で、ダイヤ鉱山を調べると深部の岩石が手に入るといいます。
著者の広瀬圭さんはアフリカのダイヤモンド鉱山で、ダイヤそのものよりも、ダイヤにくっついている深部の石を欲しがるそうです。小さなダイヤが積まれた瓦礫の山から、その石を持ち帰るといいます。
(研究者の)人たちにとってはそっちが価値がある。
ただし、それでもわかるのは200キロまでで、6400キロの1割にも届きません。そこで3つ目の手がかりが、日本の技術が光る「実験室で地球の中心を作る」方法です。イケハヤさんは、高知にあるコア研究所がその研究をしているのでは、と話していました。
しゅうへいさんの説明では、手のひらサイズの装置で2つのダイヤモンドに物質を挟み、10〜15分で100万気圧まで圧力をかけ、さらにレーザーで温度を上げて地球内部の状態を再現します。ダイヤモンドを使うのは、世界一硬くて押しても潰れず、透明なので外からレーザーで焼いたり覗いたりできるからです。
地球の中身を調べる3つの方法を、届く深さとあわせて整理すると次のとおりです。
| 方法 | しくみ | わかること |
|---|---|---|
| 地震波 | 波のスピードや曲がり方の変化を観測 | 地球全体が層になっていること、液体の層の存在 |
| マグマ・ダイヤ鉱山 | 地球が深部の石を地表へ運ぶ | 深さ200キロほどまでの岩石 |
| 実験室での再現 | ダイヤモンドで挟み、高圧・高温をかける | 中心の364万気圧・約5000度の状態 |
この実験で地球中心の364万気圧、約5000度を再現したのは2010年で、世界初だったといいます。ダイヤモンドはカットの仕方次第で潰れてしまうため、ミクロ単位の調整を日本の職人が手作業で行っているそうです。
広瀬圭さんは125万気圧の段階で、誰も見たことのない鉱物への変化を見つけ、それがポストペロフスカイト ── マントル最下部の高圧下で、ペロフスカイト構造の鉱物が変化してできると考えられている鉱物の構造。2004年に発見が報告されましただったといいます。しゅうへいさんは、この大発見の主要メンバーが全員日本人で、超高圧実験は日本のお家芸だと紹介しました。
一生僕らが見れないかもしれないものを実験室の中で作って、そこに名前がついてるって、すごいロマンのあることだよね。
ダイヤモンドのありかもわかるといいます。深さ150キロ付近のダイヤを運ぶのはキンバーライトというマグマで、その噴火が起きた場所にダイヤが運ばれてきます。そうした場所はアフリカにあり、日本にはないそうです。
四国は削れた残りカス?プレートが動くしくみ
3つ目のポイントは、しゅうへいさん自身が「完全にもう僕が話したい話」と言う、四国の成り立ちです。キーワードは、幸あれこさんが「ないです」と即答したプレートテクトニクス ── 地球の表面が十数枚の硬い板(プレート)に分かれ、それぞれがゆっくり動いているとする理論。地震や火山、山脈の成り立ちを説明しますでした。
しゅうへいさんは、地球の表面の殻は移動しており、ハワイが年々日本に近づいているという話を例に挙げます。プレートが沈み込む場所ではパワーが溜まり、それが跳ね返ると地震が起きます。南海トラフや東北沖の地震もこのしくみだと話しました。
日本では北米、ユーラシア、フィリピン海の3つのプレートが重なっているといいます。しゅうへいさんは、こうした重なり方は世界的にも稀で、そこに1億人が住んでいるのは奇跡的な場所だと語りました。
プレートが沈み込むときには、少しずつ削れるそうです。その削れた残りカスが積み重なった付加帯 ── 海洋プレートが沈み込むときに、海底の堆積物などが削り取られて陸側に付け加わった地層。日本列島の多くはこれでできていますから、四国や日本全体ができたといいます。
で、削れた残りカスみたいなものが四国です。
そのため、山陰から四国沖へ向かって土地の年代が新しくなっていきます。しゅうへいさんの説明を時代順に並べると次のとおりです。
四国は北から南へしま模様のように4つに分けられるといいます。しゅうへいさんが余談として、別のYouTubeで見た「八十八か所の札所は断層の近くにできている」という話を始めると、幸あれこさんは「それ本じゃないです」と止めていました。
では、プレートはなぜ動くのか。幸あれこさんの「満ち潮?」という答えに対し、しゅうへいさんはテーブルクロス引きのたとえで説明します。
生まれる
火山のある場所で熱いプレートが生まれる
冷える
海の下で何千万年〜1億年かけて冷やされる
重くなる
冷えたプレートは重くなる
沈み込む
重くなったプレートが沈み込み、プレート全体を引っ張る
しゅうへいさんは、このしくみによって地震が起き、ハワイが近づき、何億年もの結果として四国があり、そこに人が生きているのだとまとめました。収録地の今治・大島で採れる大島石も花こう岩で、品質が良く墓石にも使われるといいます。
幸あれこさんとしゅうへいさんは、登山で訪れたダイヤモンド水の話もしました。しゅうへいさんは途中の岩が紙のようにペロペロ剥げることが不思議でたまらず、幸あれこさんによれば道中ずっと「見て見て、この地層がね」と言っていたそうです。
しゅうへいさんは、どこに何が広がっているか、なぜ地震が起こるのかを知らないまま過ごしている人に、この本を勧めます。オーディブルでも聴け、紙の本は資料が多くて読みやすいといいます。
なぜそこまで地学が好きなのか
紹介を終えると、イケハヤさんは「こんな修平氏がなんか楽しそうに話をするの」は史上初だと驚きます。幸あれこさんによれば、しゅうへいさんは理由が本人にもわからないぐらい地学が好きなのだそうです。
しゅうへいさんが振り返った原点は、中学時代に海に潜っていた経験でした。沖の小島から出ている地層の色味が、海の下までつながっていることにロマンを感じたといいます。
地層って普通横なのに、なぜか縦になって。これは(地層に)何かがグッてなってグッてなって。
イケハヤさんは、高知の室戸や足摺の地層を「意味不明な地層になってるから」きっと好きだろうと勧めます。しゅうへいさんは阿蘇のカルデラにも触れ、かつての噴火口の中に人が住んでいることへの驚きを語りました。
幸あれこさんは、別の世界ならしゅうへいさんは研究者になっていたかもしれないと話します。一方のイケハヤさんは、石には興味があるものの地層は見ないといい、最後は「お裾分けができてよかったです」と締めくくりました。
まとめ
この回は、宇宙をテーマにしながら、足元の地球の内部こそ人類にとって最も遠い場所だという視点から始まりました。地球をゆで卵にたとえた構造、地震波・マグマ・実験室という3つの調べ方、プレートの沈み込みが生んだ四国の成り立ちまで、しゅうへいさんの地学への熱量とともに語られています。
- 人類が掘れた最深記録は12.3キロで、地球の半径6400キロのわずか0.2%にとどまる
- 地球は殻にあたる地殻、白身にあたるマントル、黄身にあたる月より大きい鉄のコアに分けられる
- 地球の中身は、地震波、マグマやダイヤ鉱山の岩石、ダイヤモンドを使った高圧実験の3つで調べられてきた
- 四国は、プレートが沈み込むときに削れた付加帯でできており、北から南へ土地が新しくなる


