個人開発者の集まりは、なぜ居心地がいいのか
今日、『オクトーバーフェスト』という個人開発者の集まりに参加してきました。去年が第1回で、今年は第2回です。
会場は横浜の赤レンガで、人数はちゃんと数えていないのですが、70〜80人ぐらいはいたんじゃないかと思います。僕は朝10時半ぐらいから夜9時半まで、ずっと喋っていました。
楽しかったです。やっぱり個人開発者の集まりって、いいんですよね。
なんでいいのか、お風呂に入りながら考えていたんです。たどり着いたのは、個人開発者の集まりって、愚痴が出ないということでした。
個人開発は、すべての責任を自分が負っています。どういうものを作るか、どういう機能をつけるか、どういう宣伝をするか、全部自分次第なんです。
誰かにやれと言われているわけでもないし、「こうしたらいいんじゃないの」と言われて従っているわけでもない。みんな、自分で決めて作っています。
売り上げがすごく立っている人もいれば、まだこれからの人もいる。売り上げは立っていないけれど、めちゃくちゃ面白いものを作っている人もいます。
もちろん、しんどいことはあるんです。ユーザーがなかなか増えなくてしんどいとか、ユーザーはいっぱいいるのに課金してもらえなくてしんどいとか。
でも、誰にも愚痴を言いようがないから、愚痴にならない。それがこの集まりの素晴らしさなんじゃないかと思います。
検索流入には頼れない、ではどうするか
70人ぐらいいた中で、僕が話したのは30人ぐらいでしょうか。次のアクションにつながるようなアイデアもたくさんもらえたので、時系列順に振り返ってみます。
最初に出たのは、検索流入が減っているという話でした。
アプリを知ってもらうルートは、アプリストアでの検索、Google検索、SNSでバズったり見かけたりすること、だいたいそのぐらいです。
ただ、検索で上位を取ったとしても、そもそも検索する人が減っているよね、と。エンジニアのような人じゃなくても、検索せずにAIに聞いている部分はだいぶあるんだろうなと思います。
新しいアプリを入れるという行為自体が減っているのもあるとは思います。それでも、検索して何かを探す習慣は、今後よりAIに聞くほうへ流れていきますよね。
たとえば僕の『BookNotion』という読書管理アプリなら、誰かがAIに「読書管理アプリ、どんなのがいいですか?」と聞いたときに、「BookNotionというのもありますよ」とサジェストされるようにしたい。そのための情報をAIに学習してもらう取り組みが、今後もっと必要になるんだろうなと、話していて思いました。
基本はSEO ── 検索エンジンで上位に表示されるよう、サイトや記事を工夫することと同じで、Google検索で上位に出るもののほうがAIも学習しやすいはずです。
ただ、Googleで検索するときは「読書管理アプリ おすすめ」のように、単語の組み合わせで探すのが染みついています。AIには文章で聞くので、どういう情報を出してほしいかが、たぶんちょっとずれてくるんだと思うんです。
だから、人々がAIに聞きそうなことに合った情報を、ネットに転がしておく。これはまだ世の中的に答えが出ていないと思うので、やっていかなきゃなと思ったところです。
ショート動画との距離感を考え直す
とはいえ、「AIにサジェストされたから使います」という流れは、まだメジャーではありません。そこで僕が思ったのは、ショート動画との距離感をもう少し考える必要がある、ということでした。
1年近く前、ショート動画をいろいろ勉強して、自分で撮って編集して上げていた時期があります。どういう動画がバズりやすいのか、丸々2〜3ヶ月ぐらい見ていました。
でも、一度パタッとやめたんです。
どっぷり浸かれば、何かしら動画をバズらせるところまでは行けそうだと思いました。パターンはあるし、バズりそうな動画とそうでない動画はある程度見分けがつく。そこから自分のアプリを使ってもらえるかは、わからないなと思っていたんですけどね。
いずれにしても、そのためにはかなり『TikTok』に張り付かなきゃいけない。暇があればショート動画を見て「今こんなフォーマットが流行ってるのか」と取り入れる。生活の中でTikTokを見る時間が増えるのが嫌だった、というのが距離を置いた一番の理由でした。
ただ、今日実際にうまくいっている人たちの話を聞くと、ショート動画と距離を置いたままではいけないよな、とも思います。精神は削りたくないけれど、努力は必要だなという感じです。
話を聞いていてわかったのは、10万再生、100万再生をバンバン出すことが大事なのではない、ということでした。アプリのマーケティングという意味では、1万再生ぐらいをコンスタントに出す状況を狙うべきなのかなと。
10万、100万を目指すと、どうしてもドーパミンを出すような、人の感情をすごく惹きつけるものをやらなきゃいけない感じがします。1万再生ぐらいなら、そこまで無理せず、自分の世界観を保ったまま、ちょっと興味を持って滞在してもらう動画が作れるかもしれません。
BookNotionには、どの本のどの文章がハイライトされているかというデータがあります。それを使って、スライドショー形式でやる案を一度頭の中で考えて、うまくいかなさそうでやめていたんです。制作コストは低いので、もう一回トライしてみようかなと思いました。
バズらなくても、宣伝はコツコツと
次は、少し前に新作として作っていた『PasteSync』の話です。クリップボード管理アプリ、ですかね。
自分では結構使っていて、便利だなと思っています。ただ、どう見せたらバズるんだろうと考えては、「いやーこれバズんないわ」とずっと思っていました。
自分で使うと結構いいものなのに、という、モヤっとした気持ちがあったんです。
今日、話の流れで、自分のスマホで実際に見せてみました。そうしたら「え、これ便利じゃん」みたいな感じで、結構反応が良かったんです。
もうちょっと自信を持って、ちゃんと宣伝しようかなと思いました。
気持ちを込めて作って、自分で継続的に使っているプロダクトなんだから、バズらなくてもいいんですよね。バズったほうがいいけど。
マーケティングと言われますが、「こういうのがあるんですよ」と地道に宣伝する。その基本を忘れちゃダメだなと、しみじみ思います。
センスのいいプロダクトは、地道な積み重ねから
センスのいいプロダクトを作る人っていますよね。今日も、センスのいいプロダクトを作る人といえば皆さんが思い浮かべるであろう、あの方がいらっしゃいました。
どうやったらあんなにセンスのいいものが作れるのか、知りたかったんです。で、今日結構話していて、わかりました。
めちゃくちゃいろんなアプリを触っているんです。Xでちょっと話題に上がったようなアプリは全部触っている、みたいな感じで。
「え、そんなアプリも全部試してるんだ」と、結構びっくりしました。センスのいい人って、自分が作るものほどクオリティが高くなさそうなプロダクトには興味がなさそう、というイメージがあったんです。
でも実際は、流行っているものを全部ちゃんと見て、触っていた。そんなこともせずに、センスが欲しいと言っちゃってましたね、僕は。
いろんなアプリを触っていれば、これはいい、これは良くない、というのが自分の中に溜まっていきます。見せ方、UI、操作性の審美眼が養われていくわけです。
天才に思える人でも、結局地道なことをコツコツやっているんだなと。いやー、参りました。
誰が言っていたか記憶があやふやなのですが、編集者の箕輪宏介さんだったか、キングコングの西野亮廣さんだったか。一流の人は自分の領域の話題作を全部チェックしている、という話がありました。
映画監督なら、ハリウッドのアクション映画も、ファンタジーも、日本のドラマを映画化したものも、売れているものはとりあえず全部見る、というような話です。
アプリを作っている僕たちからすれば、話題になっているアプリは全部触っていかなきゃいけない。これは今日一番の発見だったかもしれません。
会わないと言えないことがある
どんなSNSがあったらいいか、という楽しい話もしました。他の人のアイデアはここでは書かないほうがいいと思うので、僕が出したものだけ書きます。
リアルで会った人としか繋がれないSNSです。iPhoneをガチャンとやるのか、『AirDrop』の仕組みを使うのか、やり方はわからないのですが。
その場でパッと出たアイデアなのに、我ながらめちゃめちゃいいじゃんと思いました。
年なのかもしれませんが、リアルの友達との仲を深めるサービスのほうが欲しいんです。一方的に知っている著名人やインフルエンサーの動向を追うのが、人生にどれだけ必要なんだろうと思ってしまう。
たとえば大学の友達とは、最近は年に1〜2回しか会いません。でも会ったときに繋がっておけば、お互いの近況がちょっとわかる。駆け出しの頃の『Facebook』みたいな感じでしょうか。
「最近あの人と会ってないな、リアルで会わないと繋がれないし、久しぶりにお茶でも誘うか」となったら良くないですか。近況をどう報告し合うかはノーアイデアですが、結構化けそうな気がしています。
最後は、BookNotionの話です。Kindleでハイライトした文章を保存しておいて、振り返って思い出すアプリなのですが、新機能としてSNSブロック機能をつけようと思っていました。
XやYouTubeを見ようとしたら、読書の振り返りをしないと開けない。振り返りをしたりKindleで本を読んだりしたら開けるようになる、という機能です。
ただ開発がかなり大変だし、他に優先度の高いものもあるので、すぐにはやれないなと思っていたんです。
今日、スクリーンタイムアプリ、デジタルデトックスアプリというんでしょうか、それを作っている方と話したときに、アプリ間で連携すればいいんじゃないかと僕から提案しました。
スクリーンタイムの情報を取ってアプリの挙動を制御するのは、AIでサクッと作れたとしても、テストやイレギュラー対応がかなり大変だろうと思います。だから裏側の仕組みだけ使わせてもらえないかと。そうしたら、できそうだという話になったんです。
相互送客にもなりそうですよね。最近『Duolingo』が、英語を勉強しないと他のアプリを見られない機能をつけていました。どのくらい使われているかはわかりませんが、SNSの代わりに勉強や読書をするというのは相性がいい気がしています。
こういう「一緒にやりませんか」という話は、なかなか会わないと言えません。オンラインでDMを送るのも勇気がいるし、今日話せたのは本当に良かったです。
他にも話して忘れていることがあるかもしれませんが、お腹も空いたし眠いので、今日はこのぐらいにします。最高のイベントでした。来年も開催されてほしいなと思います。
読んでくれてありがとうございました。
まとめ
個人開発者の集まりは、全員が自分の責任で作っているから愚痴が出ず、居心地がいい場所でした。僕はそこで、集客のやり方、宣伝の基本、センスの磨き方について、次の一手をたくさん持ち帰りました。
- 検索がAIへの質問に置き換わりつつあり、AIにサジェストされるための情報を置いておく必要がある
- ショート動画は、世界観を保ったまま1万再生ぐらいをコンスタントに出すことを狙いたい
- 自分で使っているプロダクトなら、バズらなくても地道に宣伝する
- センスのいい人は、話題のアプリを全部触っている。センスは地道な積み重ねで養われる


