縄はなぜ引っかかる?摩擦がかかる方向の問題
たかせさんの教室では、縄を受け手さんにかけていくことを「縄の運び」と呼んでいます。この縄の運びの最中に縄が引っかかるのは、初心者だけでなく中級者にもよく見られる悩みだそうです。
縄の引っかかりでよくあるのは、縄と縄の間に挟まるケースと、受け手さんの身体のパーツに引っかかるケースです。
これは本当初心者あるある。中級者でも結構そこで戸惑っている人はですね、そんなに珍しくないぐらい見かけるんですけど。
たかせさんが挙げる1つ目の理由は、摩擦がかかる方向です。教室で使うジュートロープ ── 黄麻(ジュート)の繊維から作られた麻縄。表面の毛羽立ちが多く、摩擦が強いため結び目がほどけにくいのが特徴ですは摩擦が非常に強い縄だといいます。
麻縄を摩擦のかかりやすい方向に引っ張ると、縄の繊維同士が絡み、縄がうまくついてこなくなります。そのため縄を運ぶときは、摩擦が発生しにくい方向へ引いていく必要があるそうです。
たかせさんによれば、すべてではないものの多くの場合、縄は受け手さんの身体の面に対して平行に運ぶのが基本です。身体から離れていく方向に引っ張ると、無駄な摩擦が生じやすくなります。
縄同士や身体との間で無駄な摩擦が生じにくく、縄がついてきやすい
無駄な摩擦が発生しやすく、繊維が絡んで引っかかる原因になる
上の比較のように、同じ縄でも引く方向しだいで引っかかりやすさが変わるというのが、たかせさんの1つ目の指摘です。
縄尻を捌かず、投げる。引っかかりを生む2つの癖
2つ目の理由は、縄尻がきちんと捌けていないことです。縄尻が受け手さんの身体に巻きつくような状態になると、縄と身体の接点が増え、そのぶん摩擦も強くなるといいます。
たかせさんは、縄の進む方向が変わるときには、縄尻をきちんと捌く、あるいは「払ってあげる」必要があると説明しています。
もう1つよくある癖が、縄を絡ませたくないあまり、受け手さんの身体から離れる方向へ縄尻を投げてしまうことです。
縄尻側を投げてしまうと、それが引っ張られてね、その縄尻が近づいてきた時に、その膝の下に挟まったりとか、受け手さんの体の下に挟まったりだとか。
投げた縄尻は、手の指の隙間など、身体のさまざまな場所に挟まってしまうそうです。そのため縄尻は、基本的に受け手さんの身体に沿わせ、あまり離さないほうがよいとされています。
たかせさんのまとめでは、縄尻が受け手さんの身体の上を沿って進む形を意識し、縄は身体の面に対して平行に進めることが大切です。そうすることで、無駄な摩擦や隙間への挟まりをある程度避けられるようになるといいます。
手元だけを見ていないか。送り側を含めた縄の3つのパート
縄が引っかかる背景には、意識の置き場所の問題もあります。初心者のうちは、いま縄を掴んでいる手元にばかり意識が集まってしまいがちだと、たかせさんは指摘します。
たかせさんの教室では、縄を持つ手から縄尻側へ伸びる縄を「送り側」と呼んでいます。この送り側がどういう状態で、どんなルートを通って動いているかに目を向けないと、引っかかりは回避できないそうです。
送り側をどう処理するかの話。ざっくりまとめると、送り側の縄をどう処理するかの話であったりするので。
前回の配信では、受け手さんにつながっている「掛り側」を意識しようという話がされていました。ただ、たかせさんは掛り側だけを意識していればよいわけではなく、反対側の送り側も意識しなければならないと続けます。
つまり必要なのは縄全体への意識ですが、縄は状態によって性質が変わります。たかせさんはざっくり3つのパートに分け、それぞれで扱い方やコントロールの仕方が変わると説明しています。
| パート | 範囲 | 意識のポイント |
|---|---|---|
| 掛かっている縄 | すでに受け手さんの身体に掛かっている部分 | パートごとに扱い方が異なる |
| 掛り側 | 持ち手から受け手さんに接するまでの部分 | 前回の配信で扱ったテーマ |
| 送り側 | 持ち手から縄尻に至る部分 | 状態とルートを見て処理する |
縄尻まで神経を通すことが上達の次の段階
最初のうちは、掛かっている縄でも掛り側でも送り側でもなく、縄を持っている手そのものに意識が向きがちだと、たかせさんは話します。それ自体は仕方がないことだとしつつも、そこに意識が留まっている限りは、緊縛を適切にコントロールできている状態ではないと考えてほしいそうです。
たかせさんは、縄の全体をすべて意識するのは非常に難しいと認めています。そのうえで、縄にどれだけ自分の意識を乗せられるか、通せるかを段階的に高めていくことが大事だといいます。
縄尻まできちんと意識を置く取り組みは、中級以降の課題になるかもしれないとたかせさんは話します。それができるようになると、緊縛のレベルがまた一段上がるのではないかと語られています。
まとめ
運んでいる縄が引っかかる原因は、摩擦のかかる方向と縄尻の扱いにあり、その根っこには手元にばかり意識が向くという問題があります。たかせさんは、送り側を含めた縄全体に神経を通すことを、段階的に目指してほしいと話しています。
- 麻縄は摩擦が強く、受け手さんの身体から離れる方向に引くと繊維が絡んで引っかかりやすい
- 縄は受け手さんの身体の面に対して平行に運ぶのが基本
- 方向が変わるときは縄尻を捌き、縄尻を投げずに身体に沿わせる
- 縄は掛かっている縄・掛り側・送り側の3パートで扱い方が変わる
- 手元だけでなく縄尻まで意識を通すことが、中級以降の上達につながる

