型のテンションは誰にでも当てはまるのか?
たかせさんはまず、緊縛を習うと「この部分のテンションはこういう感じ」という説明を受けることが多い、という前提から話を始めます。
たかせさんによれば、型として教えるテンションは、標準体型のような体をベースにした目安です。「大体これくらいのレンジであれば大きく崩壊しない」という範囲を示したものだといいます。
人間の体には個体差があって、筋肉の強さとか、皮下組織の厚みだったりとか、関節の可動域だったりとか、様々な要因がそこに関わってきます。
たかせさんは、個体差があるため、厳密には人それぞれに適切なテンションがあると説明します。同じ人でも、その日のコンディションによって体の状態は変わります。
そのため、たかせさんは局面ごとに適切なテンションを見極めながら縛ることが理想だと話しています。
「テンション」の中身は1つではない
たかせさんは、緊縛で一口に「テンション」と呼んでいるものには、実はいろいろな力が含まれていると指摘します。わかりやすいものとして挙げられたのは3つです。
縄を引っ張る力
張力によって、縄と受け手の体との間に生じる力
受け手の体にかかる力
たかせさんは、この3つもあくまで代表例で、細かく言えばさらに多くの力がテンションという言葉に含まれていると話します。張力・摩擦力・圧力のいずれも、その時々、その部位、その人の身体的な特性によって、適切な強弱が変わるといいます。
形ができても「効いている」とは限らない理由
たかせさんは、手順を覚える段階ならテンプレ的なテンションでも形は作れると認めます。ただし、それが機能しているかどうかは、まったく別の次元の話だといいます。
たかせさんの言う「機能している」とは、縄や受け手の体がその状態にきちんと固定されているか、受け手の体の内部に圧力がどうかかっているか、といったことです。そのかかり方によって、受け手の体感も変わります。
見た目で効いてる気がするみたいな感じでやっても、実は受け手がかなり協力してくれていて、受け手さんの自力でのポージングによって成立してるように見えてしまってるケースも少なくないです。
たかせさんによると、こうした状態は客観的に見ているとわかるといいます。「まだ行けそうだな」「全然効いてる感じがしないな」と、見ていて判断できるレベルだそうです。その見極めには、ある程度の経験値が必要だと話されています。
強すぎても弱すぎても危ないテンション
たかせさんは、テンションの限界を超えれば当然怪我につながると話します。一方で、限界から遠すぎる弱いテンションにも別のリスクがあるといいます。
限界を超えると怪我につながる
縄が緩んだりずれたりして、それがまたリスクにつながる
たかせさんは、局面ごとに適切なテンションをかけられることが、安全で効果のある緊縛にとても重要だと強調します。
適切なテンションを身につける方法について、たかせさんは経験を積むことに加えて、受け手とコミュニケーションを取ることを挙げます。「まだ大丈夫か」「もっといけるか」と確認しながら進める必要があるといいます。
感覚がないため、安全マージンを取りすぎてしまうことが多い
指先に伝わる縄の感触で「この辺が限界っぽい」とわかるようになる
たかせさんは、安全マージンを取りすぎると、かえって安全ではなくなると繰り返します。効かせる縄はきちんと効かせることが大事で、同時に効かせすぎないことも含めて、受け手の体の限界を意識してほしいと話しています。
初心者の傾向について、たかせさんは性格によるので一概には言えないとしながら、怖がりすぎてテンションがだいぶ甘いケースが多いと見ています。ただし、まれに感覚が壊れていて行き過ぎてしまうケースも見かけるそうです。
4段階の解説の先にある「無限のパラメータ」
何事もバランスだと僕は思ってる。かなりバランス論者なんですけど、バランスが大事だと思ってて。
たかせさんは、受け手の体にテンションがかかるすべての箇所に、強すぎず弱すぎない適切なテンションがあると話します。
たかせさんの教室の講習では、テンションを4段階で解説しているそうです。ただ、実際にはそんな単純なものではなく、無限のパラメータがあるようなものだといいます。
たかせさんによれば、適切なテンションは、受け手の身体的な特性、何をしたいか、どういう状態にするかなどを踏まえて、その都度割り出されるものです。この話は中級者向けの内容だと前置きしたうえで、緊縛を突き詰めるとテンションのコントロールやマネジメントがとても重要になると語っています。
たかせさんは、部位ごと、局面ごとの適切なテンションを意識して向き合うと、緊縛のクオリティが上がっていくのではないかと締めくくっています。
まとめ
今回のたかせさんの解説では、型のテンションは標準体型をベースにした目安にすぎず、受け手の個体差やその日のコンディションに合わせて、適切な強さをその都度見極めることが大切だと語られました。
- 型として教わるテンションは、標準体型を前提にした「大きく崩れない範囲」の目安
- テンションには張力・摩擦力・圧力など複数の力が含まれ、部位や人によって適切な強弱が変わる
- 形ができていても、受け手の協力で成立しているだけで縄が機能していないことがある
- 強すぎれば怪我、弱すぎれば緩みやずれにつながるため、どちらも安全ではない
- 経験と受け手とのコミュニケーションを重ねて、指先の感覚で限界をつかんでいく

