吊り縄はただ吊るための縄なのか?
緊縛でいう吊り縄とは、天井などについている設備に縄をかけ、受け手 ── 緊縛で縄をかけられる側の人を指す言葉。縄をかける側は「縛り手」などと呼ばれますさんを宙に浮かせたりするための縄のことです。
たかせさんによると、吊り縄は言葉どおりに捉えれば、受け手さんを天井から吊り下げるための機能を持つ縄ということになります。
ただ、吊り縄を本当に「吊るためだけのもの」として扱うと、もったいないうえに作業的になってしまう、とたかせさんは話します。
吊るためだけのものとして扱ってしまうと、すごくもったいないというか、すごく作業的なものになってしまうので。
特に、緊縛をコミュニケーションとして実践するという前提に立つと、吊り縄には吊る以外の用途がある、というのがたかせさんの考えです。
せっかく掛ける吊り縄だからこそ、うまく活かすことを考えたい。今回の解説はこの問題意識から始まります。
吊り縄は受け手の「動ける範囲」を決める引き綱
たかせさんが挙げる吊り縄の捉え方の大きな1つは、吊り縄を「引き綱」のようなものとして見ることです。
吊り縄は、受け手さんにかかっているハーネス ── 緊縛では、受け手の上半身や足などに縄を巻いて作る土台部分を指します。吊り縄はここに連結して力を伝えますと、緊縛のための設備とを接続する役割を持ちます。
吊り縄で設備とつながると、受け手さんは基本的に、吊り縄の届く範囲でしか動けなくなります。つまり、受け手さんの行動できる範囲が限定されます。
その状態で受け手さんが無理に動こうとすると、ハーネスに負荷、つまりテンションがかかり、受け手さんの身体に圧力が生じます。
接続
ハーネスと設備を吊り縄でつなぐ
範囲の限定
吊り縄の届く範囲でしか動けなくなる
テンション
無理に動こうとするとハーネスに負荷がかかる
圧力
受け手さんの身体に圧力が生じる
たかせさんは、この圧力をどうコントロールし、どう扱うかによって、吊り縄がどう活きてくるかが変わると説明します。
受け手さんにかかる圧力をどうコントロールするか、どう扱うかというところで、この吊り縄というものがどう活きてくるのかというところが変わってきます。
吊り縄の届く範囲や距離を踏まえれば、受け手さんをその場に留めることも、吊り縄自体を引っ張って動かすこともできます。受け手さんの行動をある程度制御できる点が、吊り縄の大きな働きです。
2点吊りでは縄の長さが体感を変える
受け手さんを完全に宙に浮かせる場合でも、吊り縄の扱い方で体感は変わります。たかせさんが例に挙げるのは、2点で吊るケースです。
たとえば上半身のハーネスと脚にかけたハーネスの2点で吊るとき、それぞれの吊り縄の長さ、厳密には受け手さんの角度によって、負荷のかかり方が変わります。
上体側の吊り縄と足側の吊り縄の長さをコントロールするだけで、受け手さんが受け取る体感は全然違うものになる、とたかせさんは話します。
(吊り縄の長さを)コントロールしてあげるだけで、受け手さんの受け取る体感っていうのは全然違うものになっていくので。
こうした点を踏まえてコントロールすると、受け手さんに与える体感や状況の幅が広がり、緊縛としての遊びの幅も大きく増えるといいます。
たかせさんがまとめるのは、吊り縄から受け手さんへの力の伝わり方を意識することです。吊り縄にかかるテンションが、その先のハーネス、さらに受け手さんへと伝わることで、さまざまな表現が生まれます。
受け手さんを吊り下げるためだけの道具
テンションや圧力をかけ、動ける範囲を制限する手段
吊り縄をテンションと動ける範囲を扱う手段として捉えれば、より意味のあるものとして活かせるのではないか、とたかせさんは提案しています。
まとめ
今回の解説の要点は、吊り縄を吊るためだけの道具と見なさず、距離・テンション・長さを意識して受け手さんの行動や体感をコントロールする手段として扱うことです。
- 吊り縄はハーネスと設備をつなぎ、受け手さんの動ける範囲を限定する
- 範囲を超えて動こうとするとテンションがかかり、身体に圧力が生じる
- 吊り縄で受け手さんを留めたり引っ張ったりして、行動をある程度制御できる
- 2点吊りでは上体側と足側の吊り縄の長さ(角度)で体感が大きく変わる

