怪我人続出でも負けない、9月20日のホームゲーム
福岡県で活動する女子サッカークラブ、福岡J・アンクラスは後半戦に入り、9月20日にホームゲームを行いました。現地に行けなかったよしだりょうさんが、スタジアムDJを務めた森田みきさんに当日の様子を尋ねるところから、この回は始まります。
森田さんによると、試合前には専門学校の学生が企画した「ジェリー3人対子ども100人」のイベントが開かれ、大成功に終わりました。参加者は100人のうち子ども70人ほどで、多くの子どもたちがそのまま試合観戦に残ったといいます。
ジェリーが3人対子供100人のイベントがまずめちゃめちゃ盛り上がったんですよ。
9月20日の試合には500人以上の観客が集まり、新規の来場者も多かったそうです。アンクラスが先制してスタジアムは大いに盛り上がりましたが、最後の最後に追いつかれ、引き分けに終わりました。
森田さんが強調したのは、この引き分けが悪条件の中でのものだったという点です。怪我をしていない選手がちょうど11人しかおらず、前半に1人が負傷退場し、大河内選手は怪我を抱えたまま出場していたといいます。
(勝てなかったけど)まだ負けてない、アンクラス今年負けてないので。
森田さんは、10連勝こそ逃したものの「無敗神話」を続けられただけでもすごいと受け止めています。よしだりょうさんも、全員のハードワークで守り抜いた試合だったと評価しました。
怪我人が多いアンクラスでは、ゴールキーパーが1人もいない状況にも陥っていました。そこへ「救世主」として期限付きで加わったのが、熊澤果歩選手です。インタビューは9月20日の試合より前に収録されたもので、熊澤選手はこの試合がホーム初出場でした。
縁もゆかりもない九州へ、高校3年生の守護神
インタビューの時点で、熊澤選手がアンクラスに加わってから2週間ほどでした。それでもすでに試合に出場しており、森田さんは完封勝利を祝福するところから話を始めています。
熊澤選手は身長175センチで、浦和レッズレディース ── 正式名称は三菱重工浦和レッズレディース。日本の女子サッカーのトップリーグであるWEリーグに所属する、埼玉県さいたま市を拠点とするクラブですからの加入です。移籍の経緯について、熊澤選手は次のように話しました。
アンクラスさんの方からオファーいただいて、試合には絡めるし、経験を積むためにもチャレンジしてみようかなって思って来ました。
アンクラスは今シーズン、ゴールキーパーが2人しかおらず、1人はアメリカへ渡り、もう1人も怪我をしてしまいました。熊澤選手の加入は、ゴールキーパーが1人もいない状況を埋めるものでした。
熊澤選手自身は九州にまったく縁がなかったといいます。それでも、オファーを聞いたときの気持ちは「ワクワクした」で、知らない土地へ行くことへの抵抗はないと答えています。
インタビューの途中で、森田さんは熊澤選手が現役の高校3年生だと知って驚きます。2008年生まれで、浦和ではトップチームの練習が朝早いため、学校も変えてサッカー中心の生活を送ってきたそうです。
高校三年生なんですか?
センターバックから守護神へ、熊澤果歩の歩み
埼玉県出身の熊澤選手がサッカーを始めたのは、幼稚園の年中のころ、4〜5歳のときでした。最初のポジションはセンターバックかサイドバックで、小学生の中では背が高いほうだったものの、群を抜いて大きかったわけではないといいます。
熊澤選手がゴールキーパーになったきっかけは、中学で入ったクラブチームにキーパーがいなかったことでした。チームで回しながらキーパーを務めるうちに、素質があると言われたそうです。
中学校のチームに入ったタイミングでキーパーがいなくて。
(中学の)やり続けてたら中二になったタイミングで、一番上のAチームみたいなチームがキーパーがいなくて、自分がそこで中二で出始めて、もうそこからもうブーン。
熊澤選手が所属した中学のクラブチームは、全国大会にも出場するチームでした。その後、浦和レッズレディースから練習参加に誘われ、合格して高校入学と同時にユースに入団しています。
浦和の練習場は自宅から1時間ちょっとかかるそうです。環境については「いいですね」と答え、土日には天塩場でユースの試合ができることや、筋トレのジムがあることを挙げました。トップチームの試合では育成組織が運営を手伝い、そのまま試合を見られるため勉強になったといいます。
(浦和は)厳しい中にもなんかこう、楽しさっていうかがある。
高校生の一人暮らしと、ロングキックという武器
福岡での熊澤選手は、高校生ながら一人暮らしをしています。ご飯も自分で作っていて、毎食となると面倒くささが勝つものの、外食に頼りすぎないよう自炊を頑張っているそうです。練習場までは自転車で通っています。
アンクラスで仲良くなった選手を聞かれると、熊澤選手はいちごさんとヒカルさんの名前を挙げました。どちらも面白くて優しい先輩だといいます。
まだ2週間のアンクラスの環境について、熊澤選手は短い言葉で答えています。
自分のプレーの売りについて、熊澤選手はロングキックを蹴れること、ハイボールに強く競り勝てること、シュートストップが得意なことの3つを挙げました。
チームメイトからの呼ばれ方は「クマ」や「クマちゃん」です。趣味はカラオケや、マーラータンを食べに行くこと、そしてタピオカなどの飲み物の店「ゴンチャ」で、誰かと遊びに行くことが多いといいます。
最後に熊澤選手は、皇后杯の3連戦とリーグ戦の残り4試合をすべて勝ち切り、皇后杯は本戦に進んで優勝を目指し、リーグ戦も優勝に向かって頑張りたいとサポーターに呼びかけました。
なぜゴールキーパーは特殊なポジションなのか
インタビューを聞き終えたよしだりょうさんと森田さんは、熊澤選手が現役高校生だったことに改めて驚きます。森田さんは、175センチの長身と堂々とした構えから大人っぽく見え、浦和から「すごい選手が入ってきた」と感じていたそうです。
縁もゆかりもない福岡に飛び込み、一人暮らしで自炊もしていることに、よしだりょうさんは感心しています。そこから話題は、熊澤選手が選んだゴールキーパーというポジションの特殊さへ移りました。
キーパーって結構サッカーの中でめっちゃ特殊じゃないですか。
(キーパーは)全然違いますよね。
よしだりょうさんは、シュートが打たれる瞬間に飛び込む怖さや、ジャンプして体を擦りむくのではという怖さを挙げます。体育の授業でもキーパーは絶対に嫌だったと振り返りました。
森田さんは、キャッチできても体がボロボロになることがあり、失点すれば自分のせいだと思ってしまうと話します。そのうえで、本当は失点はチーム全体の責任だと付け加えました。
よしだりょうさんは、浦和レッズレディースが女子サッカー唯一のプロリーグであるWEリーグに所属し、この時点で首位に立っていることにも触れます。そのトップチームで高校生がキーパーを務めていることを「やばい」と表現しました。
熊澤選手のアンクラスでの契約は11月末までです。よしだりょうさんは、熊澤選手は試合勘を掴めて、選手不足のアンクラスは助かるという、双方にとっていい経験になると話しました。年齢や新加入を遠慮せず、浦和の文化や考え方をアンクラスに伝えてほしいとも期待しています。
森田さんは趣味の「ゴンチャ」を知らず、アーティストの名前だと思っていたことを明かします。よしだりょうさんは、休日にカフェやスターバックスに行くような感覚ではないかと答えていました。
FC琉球さくらとの最終戦が持つ意味
番組の最後には、アンクラスの今後の試合予定が紹介されました。10月3日のアウェー戦のあとにホームで今季最後の試合があり、10月25日のアウェー戦で今季を締めくくります。
| 日付 | 対戦相手 | 会場 |
|---|---|---|
| 10月3日 | 柳ヶ浦高校 | アウェー |
| {placeholder} | 神村学園女子サッカー部 | ホーム(今季最後のホーム戦) |
| 10月25日 | FC琉球さくら | アウェー(今季最終戦) |
よしだりょうさんは、最終戦がFC琉球さくらとの直接対決になったことを「ドラマティック」だと話します。昨シーズンも両チームは最後まで優勝を争い、直接対決に勝ったアンクラスが優勝しました。今季もFC琉球さくらは2位につけています。
FC琉球さくらは、なでしこリーグ ── 日本女子サッカーリーグの通称。WEリーグの下に位置する全国リーグで、1部と2部がありますへの昇格をかけた試合で優勝し、2部昇格を決めています。九州リーグでアンクラスと戦えるのは、この最終戦が最後です。FC琉球さくらの花田監督は元アンクラスの選手で、2人は祝福の言葉を送りました。
アンクラスとFC琉球さくらの勝ち点差は5ですが、FC琉球さくらのほうが試合数が2つ少なく、11月まで試合があります。そのため、最後まで優勝の行方はわからない状況です。
九州の王者は私たちだっていう形で、(FC琉球さくらに)土産じゃないですけど、残していって。
よしだりょうさんは、アンクラスもいつかなでしこリーグ2部に上がって、またこの直接対決を見たいと話しました。番組の最後には、選手への質問や感想、福岡のおすすめスポットなどのお便りも募集しています。
まとめ
熊澤果歩選手は、ゴールキーパー不在に陥ったアンクラスを救うために、浦和レッズレディースから期限付きで加わった高校3年生です。縁のない福岡での一人暮らしもワクワクと受け止め、無敗のチームの守護神として終盤戦に臨んでいます。
- 9月20日のホームゲームは、出場できる選手が11人という悪条件の中で引き分け、今季無敗を守った
- 熊澤選手は中学でキーパー不在をきっかけにゴールキーパーを始め、高校2年の夏に浦和のトップチームへ昇格した
- 売りはロングキック、ハイボールの強さ、シュートストップで、アンクラスとの契約は11月末まで
- 10月25日のFC琉球さくらとの最終戦は、九州リーグで両チームが戦う最後の直接対決になる




