久しぶりの再会と、この回で扱いたい「変化」というテーマ
この回は、コーチの浅井元規さんが2回目以来の登場となりました。パーソナリティの廣橋ひかるさんは、もっと緊張するかと思っていたと打ち明けつつ、久しぶりでも安心感があると話します。
だいぶ久しぶりな感じもしてますが、帰ってこれて嬉しいなっていう感覚です。
浅井さんは普段、コーチの育成やコーチングの提供に携わっています。リーダーシップやウェルビーイングなどを探究領域としながら、人の成長に関わっているといいます。
今回のテーマとして、ひかるさんは「変える」「変わる」という変化そのものについて話したいと切り出しました。
クライアントは本当に変われるのか、という不安の正体
ひかるさんが最近気になっているのは、人が変わろうとするとき、実際に行動へ移すのは難しいということでした。それをコーチングのプロである浅井さんの視点から聞きたいといいます。
ひかるさんは、クライアントにEQ開発を提供し、3か月かけて取り組んでもらう仕事をしています。EQ ── 感情知能。自分や他者の感情を認識し、うまく扱う力を指す。この番組では育成・開発の対象として扱われている1か月ごとに1on1を挟み、最後のセッションで気づきを今後どう続けるかを言語化してもらうそうです。
たとえば、未来の自分へ一言メッセージを残してもらったり、困ったときに思い出してほしい言葉を考えてもらったりして、3か月の1on1を締めくくります。
一方で、ひかるさんはそこに不安を感じると話します。自分に自信がないこともあり、この人は本当に気づきを持ち帰り、変わり続けてくれるだろうかと心配になるといいます。
浅井さんのコーチングスクールで、最後は行動しやすくし、第一歩を踏み出せるように対話でセッションを締めることの大切さを学んだからこそ、その難しさを強く感じているようです。
やっぱりここは、難しいものなんですかね。
「確実に変える」か「少しずつ変わる」か、変化の哲学を問い返す
浅井さんはまず、ひかるさんの言葉の中に、クライアントと向き合うときの思いや葛藤がたくさん出てきていると受け止めました。そのうえで、逆に問い返します。
浅井さんが示したのは、テーマが2つ重なっているという見立てでした。1つは、気づきをより確実に変化へ結びつけるにはどうするか。もう1つは、そもそもひかるさんが変化をどう捉え、どんな伴走者でありたいかです。
気づいたものを確実に行動に落とし、習慣化して最速で変わることが大事なのか。はたまた、少しずつ変化を上塗りしていきながら、よりナチュラルに人が変化していくのか。
浅井さんは、人は忘れることもあるし、伴走してリマインドしながら、徐々に、あるいはあるタイミングでわっと変化する、そんな考え方もあると付け加えます。どんな伴走者でありたいかによって、その不安を感じるべきかどうかも変わる印象だと投げかけました。
決めたことを行動に落とし、習慣化して最速で変わることを重視する見方
忘れることも織り込みながら、伴走を重ねて徐々に、時にわっと変化していく見方
EQ開発が目指すのは「ドカーン」ではなく、小さな一歩
ひかるさんは問いを受けて、変化はいきなり起こるものではないと語り始めます。EQ開発でも、別人になったり性格が変わったりすることは目指していないといいます。
たとえば、人に気を使ってものが言えず、ストレスを溜め込む人が、いきなり何でもズバズバ言えてストレスも感じない人になる。そんな大きな変化は起こらないし、目指してもいないと話します。
では何を目指すのか。ひかるさんが挙げたのは、そういう自分が嫌でたまらなかった人が、その自分がいるからこそ場がうまく回っていたと思える瞬間が生まれることでした。
相手を傷つけないか気にしてものが言えない性格も、長所として使えることがあると思えたら、それが第一歩だといいます。そのためにEQ開発では、自分の価値観や感情の動き方をログに残してもらうそうです。
その一歩が踏み出せると、他の面で変わりたいところにおいても、また同じように一歩を踏み出してもらえればいい。応用できるだろうって思っている。
一分野で一歩を踏み出せれば、それが他の場面にも応用できる。ひかるさんは、そういう小さな一歩を大事にしていると整理していきました。
1on1の締め方の問題ではなかった、と気づく
この整理を経て、ひかるさんは自分の不安を捉え直します。クライアントに感じる「本当に変わってくれるかな」という不安は、本質的なものではなかったかもしれないと話します。
それはむしろ、1on1の前に緊張しているなかで、ただ感じている不安なのではないか。1on1の締め方がどうこうという問題ではなかったと、すっきりした様子で語りました。
浅井さんは、ひかるさんの話から、変化に対する考え方や、こう伝わってほしいという思いがしっかり伝わってくると受け止めます。まず一歩さえあれば、感情と向き合うログのようなベースが日常につけば、人は自ずと変化していく。その前提ができるから、あとはその人の力を信じている、と聞こえてきたといいます。
ひかるさん的な、人々への愛であったり、願いであったり、そんなのがすごい伝わってくるような、そんな表現だなと思いながら聞いてました。
ひかるさんは、話しながら自分がそもそも相手を変えなきゃとは思っていなかったと気づいたと語ります。相手は勝手に変わるはずだから、自分から見えていることを渡し、気づくのは本人だという感覚だといいます。
この番組が光を当てたい「変化」のかたち
浅井さんは、これはいいトピックだと振り返ります。決めたことをPDCAで回し、確実に数字や目に見える変化につなげることが価値だとされがちだが、それとは違う視点の変化の捉え方に光が当たったのが面白かったといいます。
ひかるさんも、変化には大きさや手法がいろいろあるなかで、このラジオでフォーカスを当てたい変化が見えてきたと感じたと話しました。
今回はここまでとし、次回も浅井さんとともに「変わる・変化」について話を続けていく予定です。
まとめ
クライアントは本当に変われるのか、という不安から出発した相談は、対話を通じて「相手を変えようとしなくていい」という気づきへとたどり着きました。変化を捉え直すことで、伴走者としての立ち位置が見えてきた回です。
- 変化はいきなりの別人化ではなく、自分の性格を長所として捉え直せる小さな一歩から始まる
- 一分野で踏み出せた一歩は、他の変わりたい場面にも応用できると考えられている
- 相手を変えるのではなく、材料を渡して本人が気づき変わる力を信じるのが伴走の姿勢
- クライアントへの不安は、本質的な問題ではなく1on1前の緊張から来る面もあると整理された
- この番組が光を当てたいのは、確実さより、ナチュラルに徐々に生まれる変化のかたち




