後輩の「タバコ変えました?」は遠回しな指摘なのか
この回のきっかけは季節の変化です。収録は10月24日で、テツトさんは涼しくなって電車で汗の匂いを出す人が減ってきたのが嬉しい、と話し始めます。
テツトさんが尊敬する会社の先輩は、体重100キロ前後の恰幅のいい人で、夏は汗の匂いがかなり強いそうです。ただ、匂いの問題は本人に伝えにくい。テツトさんは、もし伝えるならどう伝えればいいのかを考えていたといいます。
そういう(匂いの)問題ってあんま伝えられないじゃん。
そこでテツトさんが思い当たったのが、職場の後輩女性のひと言です。タバコ休憩から席に戻ると、隣に座る後輩から月曜と水曜の2回、「タバコ変えました?」と聞かれたといいます。
テツトさんはタバコを変えておらず、後輩とは以前からずっと隣の席です。急に言われ始めたことから、テツトさんは「タバコ臭い」と直接言う代わりの遠回しな表現なのでは、という仮説を立てました。
あー。京都の人みたいなこと?
ツバサさんは、息が臭いと面と向かって言うのは相手が傷つきそうだし、自分も悪者になりたくないから言いにくい、と同意します。そのうえで非喫煙者の立場から「タバコはやめた方がいいんじゃない?」と返し、テツトさんに「出た、百ゼロ回答」と突っ込まれます。
「車臭!」と言われた側の傷つき方
ツバサさんは、自分も匂いを指摘されたことがあると打ち明けます。言われたのは息やタバコではなく、車の匂いでした。指摘した人は2人いて、1人は友達、もう1人は昔アプリで知り合った女性です。
その女性とは2〜3回目に会ったとき、夜の海ほたるへ行くことになり、ツバサさんが車を出しました。待ち合わせ場所で乗り込んだ女性の第一声は、お礼より先に「車臭!」だったそうです。
俺、クーラーガーってやって、積んどいたファブリーズ(をかけて)。まあ乗る前にもやってんだけどね、ファブリーズ。
ツバサさんの車は、喫煙者だった祖父から譲り受けたタントです。ツバサさん自身も車内で喫煙していて、匂いがエアコンに染みついているようだといいます。車屋さんでエアコン掃除もしていたものの、匂いは取れていなかったようです。
だから匂いに関して他人に指摘されるのは普通につらいっす。
テツトさんは「つらいじゃん、だから指摘できないじゃん」と返し、ツバサさんも「やめよう、指摘すんの」と結論づけます。指摘される側の痛みを知っているからこそ、言わないほうがいいという立場です。
匂いの悩みは世の中の大問題か、テツトさんの問題か
テツトさんは、匂いの問題は世の中で重大だと主張します。一方のツバサさんは、電車で臭いと感じることはあっても「臭いなと思うだけ」で、問題とは捉えていません。
テツトさんがコミケで匂いが問題になる例を出しても、ツバサさんは半分ネタではないかと疑います。ツバサさんにとって大事なのは、匂いで責められる側の傷つく気持ちのほうでした。
ツバサさんは、テツトさんの先輩も何か悪いことをしたわけではないから、放っておけばいいと言います。テツトさんが「公害を受けてる側は?」と返すと、ツバサさんは「害」という言葉を使うのはやめようと止めました。
害っていうのやめない?すごくなんか悪いことをしてるみたいな。その先輩が。
テツトさんは、世間で「香害」と言われるのは柔軟剤の匂いなどだと補足しつつ、自分が気になるのは加齢臭だと話します。会社で加齢臭の強い人が来ると、つい「あ、来た」と思ってしまうそうです。
他人を変えるより、鼻をつまむ自衛策
ツバサさんの答えは、他人を変えようとするのはやめて自分でできる対策をすることでした。口呼吸にする、鼻に綿を詰めるといった案を出します。
テツトさんはすでに、話すときに鼻を軽くつまんだり、鼻に指を当てて自分の指の匂いを嗅いだりしているそうです。ツバサさんは、その取り組みを増やせばいいと後押しします。
他人を変えさせようとするのは指摘する以外に難しくないか?
テツトさんによれば、気になるのは同僚よりも電車の中のほうが多く、そこは我慢しているといいます。ツバサさんは、電車なら15分や20分の話だと受け流しました。
子供は「ミルクっぽい匂い」がする?
テツトさんが「大人になってから匂いが気になるようになったのか」とつぶやくと、ツバサさんは「子供なんてみんな臭い」と言い出します。テツトさんは初耳で、「急に攻撃し始めた」と驚きます。
ツバサさんは最近、千葉都市モノレールで、先生に引率された小学1〜2年生くらいの子供20人ほどに取り囲まれたそうです。そのとき、久しぶりに子供の匂いを嗅いだと感じたといいます。
なんかミルクっぽい匂いすんだよね。
大学時代に学童保育のアルバイトをしたときも同じ匂いを感じていたそうで、子供1人ではあまり感じないが、集団になるとわかるといいます。ただしツバサさんは、少し嫌な感じはあっても問題にはしていないと強調します。
何かそれを問題化しようとか、Xでつぶやこうとか、他人に共感を得ようとか、そんなの一切思わない。
テツトさんも、匂いは普段から気になっていたものの、話題として外に出したのは今回が初めてだと答えます。ツバサさんは改めて、そっとしておくか、鼻に綿を詰める、空間用のファブリーズでバリアを張るといった自衛策を勧めました。
言い方を工夫しても、指摘は傷つける
テツトさんが知りたかったのは、匂いを言うか言わないか、言うならどう言うかでした。ツバサさんは「言い方は無理でしょ」と即答します。
ツバサさんは、テツトさん自身も後輩に「タバコ変えました?」と言われて、言葉通りに受け取らずに気を回したではないかと指摘します。遠回しに言っても、言われた側はいろいろ考えてしまうという理屈です。
テツトさんの説明によると、実は後輩の発言を当時は指摘だと思っていなかったそうです。涼しくなって汗の匂いの話を考えていたときに、「もしかしたら」と後からつながったのだといいます。
テツトさんは、海外ではお風呂に3日ほど入らないのが当たり前の地域もあり、香水を強めにつける文化が育っていると話し、匂う側が香水を使うのも手だと提案します。ツバサさんは、香水を勧めること自体が「臭い」と言っているのと同じだと返しました。
(香水を)その人が歩く道(に)置いとく。
いや、拾わねえだろ。拾ってかけねえだろ。届けるだろ。
「自分は臭いかもしれない」という前提で生きる
2人は、匂う本人がたいてい自覚していない点で一致します。ツバサさんは、加齢臭について世間がああだこうだ言うのは、どうにもならないのだから言いたいだけではないか、と批判的です。
テツトさんは、相手が強い武器を持っているなら、こちらも対策を配備するしかない、と核兵器にたとえます。ツバサさんは、向こうは攻撃しているつもりも、核を持っている自覚もないと返します。
そこからツバサさんが導いたのが、自分の体は臭いという前提で動くという考え方です。自分の匂いは自分ではわからない以上、そう考えて行動するのが大事だといいます。
ツバサさんはさらに、P&Gや花王のような生活用品の企業が「臭いという自覚を持とう」というCMを流し、匂いのエチケットが大人のマナーとして広まる未来もありうると予想します。テツトさんは、ファブリーズなどで企業はすでにそれをやってきたのではと応じ、ただし広告ではそこまでストレートに言えないと付け加えました。
テツトさんは、みんなが自分も臭いかもしれないと自覚する思想を広げることが一番の解決策かもしれないと評価します。一方ツバサさんは、自分を臭い人間だと思いながら生きるのは最初はきつく、自己否定感にもつながると懸念します。
そもそも自覚のない人には届かない、という課題に対し、ツバサさんは「みんながそう思っているから自分も思う」と思わせるしかないと話します。企業のプロモーションで「みんなそう思っている」と広めれば、行動が変わっていくのではという考えです。
企業の発信
生活用品の企業が「臭いという自覚を持とう」とCMなどで広める
思い込み
一人ひとりが「みんなそう思っているんだ」と受け取る
行動の変化
匂いのエチケットが大人のマナーとして根付き、おじさんも自覚を持つ
匂いが気になるのは鼻がいいから?
ツバサさんは、匂いにそこまで問題意識を持つ人は少数派ではないかと疑問を呈します。テツトさんは、日々気にする人は自分の感覚が多数派だと思いがちで、どちらが多数派かはわからないと答えます。
ツバサさんの見立ては、匂いが気になる人は普通の人より鼻がいい、というものです。臭いと感じたら「自分は鼻がいいんだ」と思えば、自己肯定感につながるのではと提案します。
こんな臭いのに周りみんな気づいてなくて、俺だけが気づいてて。あ、やっぱ俺鼻いい。ごめんね、俺鼻いいからさみたいな。
ツバサさんは、才能を持つ人は気づくことも多く、それは誇っていいとまで言い、匂いの判定員やソムリエを天職候補に挙げます。ところがテツトさんは、自分はワインの匂いを区別できる自信はないと言います。
テツトさんによれば、自分は繊細な匂いを嗅ぎ分けられるのではなく、汗臭さや加齢臭のように許容できない匂いに強く反応しているだけだそうです。ツバサさんは、許容の閾値が普通の人より過敏なのだろうとまとめました。
鼻がいいから匂いに気づく。才能として誇ってよい
嗅ぎ分ける力ではなく、許容できない匂いへの反応が敏感なだけ
金木犀と昼の空気、匂いは記憶を呼び起こす
テツトさんは嫌な匂いだけでなく、いい匂いもとても好きだといいます。特に金木犀が好きで、ツバサさんを「金木犀探しに行かない?」と誘いますが、ツバサさんは「匂ったな」くらいだと素っ気なく返します。
テツトさんは、嗅覚は五感の中で最も記憶と直結しているという話を紹介します。ある匂いを嗅いだとき、小学生のころの場面を思い出す、といったことが起きやすいそうです。
匂いでめちゃくちゃフラッシュバックするもん。子供の頃の記憶とか。
最近テツトさんは、いつもは夜に走るところを昼間に走ったそうです。そのときの匂いが部活をしていたころと同じで、懐かしさを感じたといいます。何の匂いかはわからないものの、天気のいい日中の空気の匂いで、夜とは違うそうです。
カリブの海賊と聞いて「塩素の匂い」が出る人
ツバサさんは、自分はテツトさんほど匂いを感じないと言いつつ、彼女とのやりとりを例に挙げます。東京ディズニーランドの「カリブの海賊」が面白いという話になったとき、彼女が最初に口にしたのが塩素の匂いだったそうです。
(普通の会話で)匂いのことが一発目に出るって俺の発想ではないなと思って。
ツバサさんなら、入り口近くのレストラン「ブルーバイユー」に行ってみたい、最初に少し落ちるのが怖い、といった話題が先に浮かぶといいます。テツトさんは、ツバサさんの彼女は匂いに敏感な側かもしれないと推測しました。
女性が匂いに敏感なのは「ハブられる」から?
テツトさんは、匂いが気になる人は女性に多いのではないかと考えています。理由として、女性には自分が臭わないという絶対的な自信があり、お風呂をキャンセルしても臭くないのでは、と根拠の薄い推測を口にします。
ツバサさんは個人的な考えとして、女性が匂いに注意深いのは、小学生のころ臭い女子が集団から外されやすいからではないかと話します。男子は汗臭い子や家の匂いをまとった子がいても、仲間外れにはしなかったという対比です。
「あの子臭くない?」と言われ、匂いをちゃんとしないと仲間外れにされかねない
汗臭い子や家の匂いをまとった子がいても、ハブりはしない
そこからツバサさんは、25年ぶりくらいに小学校の同級生の女子を思い出し、笑いが止まらなくなります。小学2〜3年生のころ、本人のいない場所で「お風呂嫌いらしいよ」と噂されていた子がいたそうです。
ツバサさん自身はピンときていなかったものの、身なりは少しボサボサしていたといいます。ただその子にも当時友達はいて、ツバサさんは、臭くてもハブられるとは限らないのかもしれないと自説を修正しました。
ツバサさんは、体臭を本気で変えるのは大変で、香水をかけるだけでなく食生活や生活習慣から見直す話になると言います。テツトさんは、ワキガ ── 腋の下のアポクリン汗腺からの分泌物が原因で起こる強い体臭。体質は遺伝の影響が大きいとされ、治療には制汗剤のほか手術などの選択肢がありますのように遺伝的な体質で生まれた場合はしょうがない、と応じました。
AIにはない「匂い」が次のブームになる
ここでツバサさんが話題を転じ、近い将来「匂いブーム」が来ると予想します。理由の一つは、AIには匂いがないことです。
ツバサさんは、ものが流行るには五感を使った新鮮な感覚が大事だと話します。例に挙げたのが、手で握ってプニプニした感触を楽しむスクイーズの一種「メロジョイ」で、TikTokなどで爆発的に流行っているそうです。
触り心地がいいでメロジョイが流行ってるし、その視覚体験がすごいで、そういうARとかVRが流行ってるわけじゃないですか。
触覚、視覚と来たなら、次は嗅覚の分野で何か新しいものが出るのでは、というのがツバサさんの読みです。匂い付き消しゴムのように以前からある例も思い出しつつ、匂いの分野にはまだ伸びしろがあると見ています。
| 感覚 | 流行の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 触覚 | メロジョイ(スクイーズ) | 触り心地の面白さ |
| 視覚 | AR・VR | 視覚体験のすごさ |
| 嗅覚 | これから? | 新しいものが出る余地 |
見えないのに共感できる、匂い体験の価値
テツトさんは、匂いはインターネットで転送できず、五感の中でも難易度の高い分野だと指摘します。そのうえで、ディズニーランドのように匂いが出てくる場所の体験には関連がありそうだと話します。
ツバサさんも、「プーさんのハニーハント」で蜂蜜の匂いがするようなものはテンションが上がると同意し、その場所に行かないと嗅げない匂いがあれば話題になると考えます。匂い体験の魅力として挙げたのは、目に見えず触れないのに、人と共感できることでした。
テツトさんは、例えば秋の「エモい展」に入ると金木犀の香りがして、それぞれが思い出を呼び起こすような展示を思い描きます。ツバサさんは、誰が最初に覇権を取るかで稼ぎが決まると話し、身近な題材で展示を手がけて収益を上げている会社の話にも広がりました。
テツトさんは、その会社のやり方に「やられた」と感じている広告会社やイベンターは多いはずだと見ています。ツバサさんは、自分は一消費者なのでビジネス面にはあまり興味がないと返しました。
「2005年の渋谷の匂い」は売れるか
テツトさんは、匂いで覚えられたブランドとして、ショッピングモールなどに入るアパレル店「AZUL BY MOUSSY」を挙げます。店内の独自の匂いがとても良く、テツトさんは「アズールバイマウジー 匂い 香水」と検索して、似ていると噂の香水を今も使っているそうです。
テツトさんの整理では、匂いで覚えられる、匂いで想起する、匂いで幸せな気分になる、といった体験が匂いブームの中身です。ツバサさんは、その匂いで何が得られるのかというストーリー作りが流行の分かれ目だと応じます。
いい匂いとか臭い匂いとかっていう話でもないんだよ。なんか。流行りそうな匂いって。
ツバサさんが流行りそうだと考えるのは、「何この匂い」という新体験の匂いか、「これってあの匂いじゃん」とピンポイントで気づく匂いです。テツトさんは例として「2005年ぐらいの渋谷の匂い」を挙げ、10歳ほど年上のギャル男やギャルサー世代に刺さりそうだと話します。
ツバサさんは、Z世代にとってはそれが嗅いだことのない新しい匂いになり、別の楽しみ方ができると付け加えました。
音楽や小説と匂いを「セット売り」する
テツトさんは、音楽を匂いと一緒に売る、小説を特定の匂いを嗅ぎながら読むと作者の世界観に入りやすくなる、といったセット売りを想像します。ツバサさんは、本なら匂いのついた紙を付録として挟み込めば手軽にできそうだと応じます。
テツトさんによれば、読書がブームになっている韓国では、太宰治の『人間失格』を読むときに聴くプレイリストが作られていて、流行っているそうです。ながら行動の多いZ世代向けの、聴覚と小説のセット売りだといいます。
ああ、それがありなら匂いも、匂いのセット売りもありだな。
ツバサさんは、何かにプラスアルファで匂いをつけるアイデアに可能性を見て、この回の雑談は締めくくられます。番組では匂いについての感想をお便りフォームで募集しています。
まとめ
他人の体臭をどう伝えるかという悩みは、指摘される側の痛みを知るツバサさんによって「言わずに自衛する」「自分も臭いかもしれないと考える」という方向へ整理されました。そこから話は匂いと記憶、五感と流行へと広がり、匂いが次のエンタメになるという予想で着地しています。
- ツバサさんは車の匂いを指摘された経験から、匂いの指摘はどんな言い方でも傷つけると考えている
- 他人を変えるより、鼻をつまむ・香りでバリアを張るなどの自衛と、「自分も臭いかもしれない」という前提が大事だという話になった
- テツトさんは自分の鼻が敏感なのは嗅ぎ分ける力ではなく、許容できない匂いへの反応だと分析している
- 匂いは記憶を呼び起こし、見えないのに人と共感できるため、新体験や「あの匂い」を軸にしたブームが来るかもしれない
- 音楽や小説と匂いを組み合わせるセット売りにも可能性があると2人は見ている




