イマジナシオンはどんな香水か
今回の香水ラジオが取り上げるのは、ルイ・ヴィトンのイマジナシオンです。この番組では以前、第10回でもイマジナシオンを扱っており、今回は改めて調べ直した改訂版として、香りの特徴や背景をより詳しく紹介しています。
ホストはイマジナシオンを一言で表すと、爽やかさにお茶の落ち着きが加わる香水だと説明します。明るい柑橘とブラックティーが重なり、肌には柔らかなアンバーが残る構成です。
アンバーというのはどんな香りなんですか。
アシスタントの質問に対して、ホストは、イマジナシオンにおけるアンバーは温かみと柔らかさのある香りだと答えています。甘さは控えめで柑橘の爽やかさを邪魔せず、それが作り手の狙いだったといいます。
イマジナシオンは、2021年にルイ・ヴィトンの男性用コレクションの7作目として登場したオードパルファン ── 香料の濃度による香水の分類の一つ。一般にオードトワレより濃度が高く、香りが長めに続くとされますです。手がけたのは、ルイ・ヴィトン専属調香師のジャック・キャヴァリエ・ベルトリュードです。
柑橘からお茶へ、香りはどう移っていくのか
イマジナシオンのつけはじめは、シトロン、ベルガモット、オレンジの明るい香りです。ホストによれば、シトロンは大きなレモンに似た柑橘で、皮を思わせるほろ苦さがあります。
(イマジナシオンは)果物の甘さだけを楽しむ香りではないんですね。
柑橘の層では、ベルガモットの爽やかさにオレンジの丸みが重なります。そこへ、オレンジの花の香りであるネロリと、生姜、シナモンが加わり、果実とは違う花の明るさと、生姜のスッと鼻に届く刺激が生まれます。
シナモンの温かさについて、ホストは控えめだと説明しています。この段階でも柑橘の爽やかさが続くのが、イマジナシオンの特徴です。
余韻の中心はブラックティーです。お茶の葉のほろ苦さや軽く燻したような印象があり、ガイアックウッド ── 南米原産の木から採れる香料。スモーキーで温かみのある木の香りを持つとされますの木の香りと、お香にも使う樹脂のオリバナムが、お茶に奥行きを加えます。
ブラックティーのほろ苦さを柔らかくするのがアンブロキサン ── 天然香料アンバーグリスを思わせる香りを持つ合成香料。温かく肌になじむ余韻を出すために使われますです。ホストは、天然香料のアンバーグリスを思わせる香りを持つ素材で、肌に馴染む余韻を作ると説明しています。
お茶と柔らかなアンバーが一緒に残ります。柑橘とお茶は重なって香り、時間とともに落ち着いた印象が感じられるようになります。
番組で語られたイマジナシオンの香りの移り変わりを整理すると、次のようになります。
つけはじめ
シトロン、ベルガモット、オレンジの明るい柑橘
重なる層
ネロリの花の明るさ、生姜の刺激、控えめなシナモン
余韻の中心
ブラックティーのほろ苦さに、ガイアックウッドとオリバナムが奥行きを加える
肌に残る香り
アンブロキサンがほろ苦さを和らげ、お茶と柔らかなアンバーが残る
リマンシテやウーロン茶とは何が違う?
イマジナシオンに似た香りとしてホストがまず挙げるのは、同じルイ・ヴィトンのリマンシテです。柑橘、生姜、柔らかなアンバーが2本に共通しています。
同じ組み合わせでも何が違うんですか?
ホストによれば、リマンシテはグレープフルーツの苦味と生姜のキリッとした爽快感が手がかりです。一方のイマジナシオンでは、その先にある茶葉のほろ苦さや穏やかな余韻に注目したいと話しています。
もう1本の比較対象は、ニシャネのウーロン茶です。柑橘とお茶が共通点ですが、中心はウーロン茶で、ムスクとイチジクが香りを下支えしています。
ニシャネのウーロン茶は、香料の割合が高いエキストレドパルファム ── 香水の中でも香料濃度が最も高い部類の呼び名。濃厚な仕上がりになりやすい一方、香り方は処方によって異なりますです。ただしホストは、エキストレだから必ず強く香るわけではないと補足し、お茶の香りが気になる人は2本を肌で試して余韻の違いを比べるよう勧めています。
同じ調香師のブルガリ プールオムと比べると
3本目の比較対象は、ブルガリのプールオム オードトワレです。イマジナシオンと同じジャック・キャヴァリエ・ベルトリュードの作品で、ダージリンティーとムスクが中心になっています。
同じ調香師がどちらでもお茶を使っているんですね。
ホストによれば、香水評論家のパーソレイズパーソレイズも、イマジナシオンを試したときにブルガリのプールオムを思い出したと書いているそうです。
ホストが示した2本の比べどころを並べると、違いがわかりやすくなります。
緑の茶葉とムスクの穏やかさ
明るい柑橘とブラックティー、アンブロキサンの広がり
ボトル、価格、トラベルスプレーの選び方
イマジナシオンには、通常のボトルのほかにトラベルスプレーがあります。ホストは、家で使うならボトル、持ち歩くならトラベルスプレーが便利だと話しています。
2026年時点の日本公式価格は、100ミリリットルで5万600円です。海外には200ミリリットルのボトルもあるといいます。
100ミリリットルでもじっくり考えたくなる価格です。トラベル用はどのくらいの量ですか?
イマジナシオンのトラベルスプレーは、7.5ミリリットルのカートリッジが4本ついたセットで、専用の交換用レフィルもあります。ホストは、外へ持ち出す頻度で選ぶ容器が変わりそうだと話しています。
| 種類 | 容量 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 通常ボトル | 100ミリリットル(日本公式価格5万600円) | 家で使う |
| 通常ボトル(海外) | 200ミリリットル | 番組では使い方への言及なし |
| トラベルスプレー | 7.5ミリリットルのカートリッジ4本 | 持ち歩く |
マーク・ニューソンが設計した、補充できるボトル
イマジナシオンの通常ボトルは、透明な円筒形のガラスで、淡い青緑の液体が見えます。上は黒いキャップで、正面に香水名とブランド名が入っています。
飾りが少ないと液体の色に目が向きます。
このシリーズ共通のボトルを設計したのは、工業製品なども手がけるデザイナーのマーク・ニューソンです。2016年に始まったルイ・ヴィトンの香水コレクションの形が、後の作品にも受け継がれています。
使い終わったボトルについて、ホストは、専用の設備がある店舗で香水を補充できると説明しています。同じ容器を使い続けられる仕組みです。
調香師ジャック・キャヴァリエはグラースの家族から何を受け継いだのか
イマジナシオンを作ったジャック・キャヴァリエ・ベルトリュードは、香水作りで知られる南フランスの街グラース ── 南フランスの街。花の栽培と香料産業で古くから知られ、香水の都と呼ばれますで育ちました。父も祖父も調香師で、家庭でも花の収穫や原料の話が交わされていたそうです。
ジャック・キャヴァリエ本人は、母が朝顔にローズウォーターをつけてくれたことや、父とジャスミン畑へ行ったことを振り返っています。
勉強する前から家族の記憶の中に香りがあるんだ。
ジャック・キャヴァリエの代表作には、イッセイミヤケのロードゥ イッセイや、ブルガリのプールオム オードトワレがあります。2012年にルイ・ヴィトンの専属調香師になりました。
性別を決めずに作り、形にするまで5年
公式サイトでは男性用の香水として紹介されていますが、作る時も男性を想定したんですか?
アシスタントの質問に対し、ホストは、ジャック・キャヴァリエがイマジナシオンの性別を先に決めなかったと話していることを紹介します。試作をつけていたら、女性からも香りを尋ねられたそうです。
イマジナシオンを形にするまでには5年かかりました。頭の中にあった香りを実際の処方にするまで、時間が必要だったといいます。
ある日、ジャック・キャヴァリエはコンピューターに処方を書き、これならいけると感じたそうです。ホストは、香りを思い浮かべることと、香料を組み合わせて作ることの間を埋めていった過程だと説明しています。
ジャック・キャヴァリエの日常を感じさせる話もあります。父から「いつか飲む水の匂いまで嗅ぐようになるだろう」と言われていて、今ではその通りになったと本人は話しているそうです。
特別な材料がなくても、身近なところに香りを知るきっかけがある。面白い話です。
名前のイマジナシオンについては、英語とフランス語で同じ綴りが通じることも命名の理由だったといいます。
どんな季節や服装に合う?つけるときの注意点
ホストは、イマジナシオンが特に春夏の昼間の外出に向いていると話します。街歩きなどに明るい香りとお茶の落ち着きを添え、秋の穏やかな日も合いそうだといいます。服装なら、白いシャツや薄手のニットなど、すっきりした普段着が挙げられています。
冬に暖かな甘い香りが欲しい人には軽すぎることもありそうです。
ホストもその点を認め、そういう気分ならイマジナシオンは少し軽く感じるかもしれないと答えています。さらに、実際につけた人の中には、石鹸のような清潔感を強く感じる人もいるそうです。
好みが分かれる点について、ホストは、つけた直後だけでなく、少し時間を置いてお茶のほろ苦さやアンバーの柔らかさまで確かめることを勧めています。
イマジナシオンの香りはしっかり続き、周りにも広がります。そのため、職場や食事など人との距離が近い場面では、少量から試すよう呼びかけています。
まとめ
ルイ・ヴィトンのイマジナシオンは、明るい柑橘にブラックティーとアンバーが重なり、爽やかさに落ち着きが加わる香水です。番組では、似た香水との比べ方や、調香師ジャック・キャヴァリエ・ベルトリュードが5年かけて形にした背景、似合う場面までが紹介されました。
- ブラックティーと柔らかなアンバーが、柑橘の爽やかな香りに落ち着きを加える
- リマンシテ、ニシャネのウーロン茶、ブルガリ プールオムと比べると、茶葉のほろ苦さと穏やかな余韻が際立つ
- グラースの調香師一家に育ったジャック・キャヴァリエが、性別を決めずに5年かけて作った香り
- 春夏の昼間の外出向きで、香りがしっかり広がるため近い距離の場面では少量から試すとよい







