深夜11時の電話から始まった任命
川崎ひでとさんは、9月18日にデジタル大臣政務官と内閣府大臣政務官の任務を終え、退官したと報告しています。
デジタル大臣政務官の退官・交代式は9月24日に予定されており、その様子は改めて伝えるかもしれないと話されています。
任命のきっかけは、昨年10月の深夜にかかってきた1本の電話でした。ちょうど最終電車で帰ろうとしていた夜11時ごろ、官房副長官 ── 内閣官房長官を補佐する役職。政務・事務それぞれに置かれ、政府内の調整の要を担いますから直接連絡が入ったといいます。
川崎英俊さん、デジタル大臣政務官よろしくお願いしますっていうね、渋い声でかかってきた。
翌日、川崎さんは官邸で総理から直々に任命を受けました。デジタル大臣政務官は任命の際にトップバッターで呼ばれるため、一番最初に総理の前へ進んだと振り返っています。
任命の直後には選挙などもあり、非常に慌ただしいスタートだったと話されています。それでも11か月の任期をきちんと務めることができたと自負しています。
AI関連二法案の成立で苦労したこと
川崎さんが任期中の大きな出来事として挙げたのが、デジタル関連二法案の成立です。AIのためのデータ利活用法と、個人情報保護法 ── 個人情報の適正な取り扱いを定めた法律。この回では、AI関連の法整備とあわせて改正されたことが語られていますの改正に関わりました。
これらの法案をめぐっては、野党や一部のマスコミから反発があり、内容が曲解された受け取られ方をされたといいます。その誤解を丁寧に紐解いていくことに苦労したと語っています。
法案が成立した後も、野党議員からの質問で責められる場面があったと振り返っています。それでも、国のAIの発展のために法律を通せたことは大きかったと話されています。
スタートアップ採用と内製化のバランス
川崎さんは、国会以外での活動のほうがむしろ多かったと話しています。その一つが、便利なサービスやシステムを生み出すスタートアップと政府の関わり方をめぐる取り組みでした。
政府がスタートアップの製品を積極的に採用すれば、その会社の成長のきっかけになる一方で、スタートアップは経営基盤が不安定だという課題があります。
もし採用した会社が倒産すれば、そのサービスの維持や継続が問題になります。それならば政府側で内製化したほうがよい、という考え方も成り立ちます。
川崎さんは、採用と内製化のバランスをどう図るかを検討する会議体を立ち上げたと語っています。
新しいサービスを取り入れ、企業の成長のきっかけになる。ただし経営基盤が不安定で、倒産時のサービス維持が課題
サービスの維持・継続の面で安定する。倒産リスクを避けられる一方、外部の新しい発想を取り込みにくい
フロンティアAIに備えるYATA Shield
サイバーセキュリティの分野では、最先端のAIがもたらす脅威への対応に取り組みました。川崎さんは、フロンティアAIモデル ── 現時点で最も高性能な最先端のAIモデルを指す言葉。従来のセキュリティの前提を揺るがすほどの能力を持つとされますがサイバーセキュリティの概念を大きく覆すほどの脅威になってしまったと述べています。
そうした脅威に日本としてどう立ち向かうかという課題に対し、プロジェクト「YATA Shield」の立ち上げに関わったと語っています。
あわせて、デジタル人材のあり方についても有識者と議論を重ね、今後の方向性を検討する会の立ち上げにこぎつけたことも、大きな出来事だったと振り返っています。
名刺・エアコン・通信、デジタル庁の足元を変えた業務改革
川崎さんは、デジタル庁内部の業務改革にも取り組みました。手を付けたことは挙げればきりがないと話しています。
例えば名刺です。それまでは大きな紙に自分で印刷し、一枚ずつ剥がす作業をしていましたが、これを印刷会社へ発注できるようにしました。
空調の運用も見直しました。夏の暑い時期でもエアコンが夜6時15分で切れてしまい、その後は暑い中で仕事をしなければならない状況を、職員からの声を受けて改善したといいます。
さらに、通信インフラの増強にも取り組みました。データ通信が輻輳 ── 通信やアクセスが一時に集中して混み合い、うまくつながらなくなる状態。川崎さんは通信が突然落ちる例として説明していますして突然落ちることがないよう、デジタル庁のネットワークを強くしたと語っています。
川崎さんは、足元の環境を整えることが、結局は仕事の質に直結するという考えのもとで、こうした改革を進めたと受け取れます。
- 名刺を外部の印刷会社に発注できるようにした
- 夜6時15分で切れていたエアコンの運用を改善した
- 通信インフラを増強し、輻輳による通信断を防いだ
職員とのコミュニケーションで得た気づき
川崎さんは、デジタル庁の職員と頻繁にコミュニケーションを取ったことも重視しています。総務大臣政務官のときは職員と十分に交流できなかった反省があったと話しています。
今回はその反省をふまえ、職員と多くのコミュニケーションを取ろうと心がけ、実行できたと振り返っています。昼食をともにしたり、飲みに行ったり、時にはバーベキューをしたりしたといいます。
デジタル庁の職員は半分が民間出身であるため、役所にはない刺激を受けたと語っています。川崎さん自身も民間企業の出身で、民間の常識に懐かしさを覚えたといいます。
あ、そうだよな、これが民間の常識だよな。だからやっぱりちょっと役所はこういうのはちょっとまずいよなっていうような、新たな気づき。
後任のデジタル大臣政務官は塩崎彰久さんです。川崎さんは、塩崎さんにも自分と同じように、あるいはそれ以上に職員とコミュニケーションを取ってほしいと話しています。
党に戻ってからのデジタル・AI政策
川崎さんは、この1年でさまざまな経験をさせてもらい、政治家として一つ成長できたのではないかと語っています。
次は党に戻ることになりますが、党に戻ってもデジタル政策、AI政策、サイバーセキュリティの分野で、党の側から国を支えられるよう提言を行っていきたいと話しています。
最後に川崎さんは、9月18日をもって政務官の任を終えたことを改めて報告し、今日も一日張り切っていこうと締めくくりました。
まとめ
深夜の一本の電話から始まった11か月のデジタル大臣政務官としての任期を、川崎ひでとさんが振り返りました。法整備という国会の舞台から、名刺やエアコンといった足元の環境改善まで、幅広い仕事に取り組んだことが語られています。
- 9月18日にデジタル大臣政務官・内閣府大臣政務官を退官し、後任は塩崎彰久さん
- AIのためのデータ利活用法と個人情報保護法改正を、誤解や反発と向き合いながら成立させた
- フロンティアAIの脅威に備えるプロジェクト「YATA Shield」の立ち上げに関わった
- 名刺の外部発注化、エアコン運用の改善、通信インフラ増強など、デジタル庁の足元の業務改革を進めた
- 職員との頻繁なコミュニケーションを心がけ、民間出身が半数の現場から新たな気づきを得た






