初めてのリアル収録はすがけん邸から
厚利少売ラジオは、普段はオンラインで収録しているビジネス対談型のポッドキャストです。この回は初めて、川原卓巳さんがすがけんさんの自宅を訪ねてリアルで収録し、映像付きで配信されました。
以前にも書籍の出版記念イベントで公開収録はしていましたが、そのときは100〜200人の観客がいて、二人とも緊張したといいます。今回は二人だけで、いつものゆるい空気のまま収録が進みます。
ただ、あの時(出版記念イベント)はもうオーディエンスが100人とか200人いたから。
熱い眼差し。ね、いい意味ですよ、いい意味なんだけど、やっぱちょっと緊張しましたよね。
すがけんさんの自宅は吹き抜けのあるアートのような空間で、川原さんは「LAで撮影している場所のよう」と驚きます。家に招くと、毎回「本当に住んでいるのか」と聞かれるそうです。
番組開始から半年、本はどこまで届いたか
この回のテーマは「厚利少売を唱え続けた半年間を振り返る」です。厚利少売ラジオは2024年9月にスタートし、書籍『厚利少売』の発売日である10月10日の約1か月前から配信されてきました。
川原さんは収録当日、羽田空港の書店に『厚利少売』が置かれているのを見つけたと報告します。すがけんさんは、狭い空港の書店でこの本を選ぶのは相当なセンスだと喜びました。
羽田空港とかああいうところってね、新幹線乗り場とかもそうだけど、狭いじゃないですか、本屋。あの中で選ぶってね、相当なセンスですよ。
9月から数えて収録時点の2月でちょうど半年です。川原さんは振り返りの前に、改めて厚利少売とは何かを、すがけんさんに説明してもらうことにします。
厚利少売とは何か、なぜ今必要なのか
すがけんさんは、経営者にアドバイスをする仕事を40歳から始め、48歳の収録時点で8年ほど続けています。契約は1時間30万円で週1時間、月4時間の1年契約で、年間1440万円という形です。
アドバイス先の中には、売上は大きくても薄利多売で利益率が5%ほどの会社もあれば、利益率20〜30%を確保している会社もあります。すがけんさんは、働く人や経営者の給料の原資が大きい後者を優良企業だと考えています。
厚利少売が必要だと考える背景として、すがけんさんはスターバックスの価格を例に挙げます。日本で500円ほどのトールサイズが、香港やパリでは1000円ほどになるといいます。
だから僕らって日本にいると500円で買えるものが、世界に行くと1000円かかってるんですよ。だからおおよそ2倍高いんですね。
すがけんさんによれば、今の日本は物価の面で「鎖国」のような状態です。世界から人は来るようになっても、日本人は生活費が倍かかるため世界に出にくくなっています。
物価の差
日本で500円のものが、海外では1000円ほどかかる
世界に出られない
生活費が倍かかり、日本人が海外に行きにくくなる
値段を上げる
世界水準に合わせ、売るものの価格を倍にする
給料を上げる
利益率が上がり、働く人や経営者の給料も上がる
そこで、薄い利益をたくさん売るのではなく、厚い利益を、少なくてもいいから本当に欲しい人に売る。人口が減っていく日本で利益率を高め、給料も上げていこうというのが、厚利少売 ── 「厚い利益で少なく売る」という意味の言葉。薄利多売の反対を表し、すがけんさんの著書のタイトルにもなっていますのコンセプトです。
川原さんは、厚利少売をいきなり実践しようとしても、何から取り組めばよいかで困る人が多いはずだと話します。本だけでは伝えきれない内容を会話で届ける場として、本の発売1か月前にこのポッドキャストを始めたという経緯です。
真面目な人ほど薄利多売になる?
すがけんさんは、本ではわからない「声」や「人格」を伝えることに番組の意味があると話します。厚利少売で成功している人たちは、実際にはこんなにゆるい人たちだということを知ってほしいというのです。
逆に言うと、真面目な人は永遠に薄利多売のわけですよ。そう、だってみんなと同じだから。
すがけんさんは、真面目な人はみんなと同じでゆとりもないと続けます。ほんわかした人たちが厚利少売を実践しているというパーソナリティを、週1回、1時間ほどのおしゃべりで伝えたいと考えています。
時給30万円なのにスーツを着ない理由
川原さんは、画面に映るすがけんさんのリラックスした座り方に改めて笑います。すがけんさんも、1時間30万円をもらっているのに「なぜスーツを着ないのか」とよく聞かれるそうです。
まあ毎回言ってるのは、えーだって僕スーツ着たら緊張しちゃうし、緊張したら困るのあなたですよねなんです。
だってお客さんは別に僕にスーツ着せたいわけでもなく、僕が緊張してほしいわけでもなくて、僕のアドバイスとか僕の活動にお金を払ってるから。
川原さんは「スーツを着たぐらいでパフォーマンスが落ちるな」とツッコみます。それでもすがけんさんは、瞬発力でアイデアを出す仕事は緊張していては成り立たないと主張します。
すがけんさんは、自分の緩さを会議室全体に行き渡らせ、全員が本音を言えるようにする責任があると考えています。初回のミーティングでは、まずトップを笑わせるところから始めるそうです。
僕の仕事はやっぱり一番最初のミーティングはトップを笑かしまくって、わぁこれこの1年で一番面白かったわ、楽しかったわ、ありがとうっていうところから始めないと、やっぱ本音で始まらないですよね。
すがけんさんによれば、1兆円規模の会社の強面の社長を笑わせるのは「まあまあ大変」です。スーツで行けば一旦真面目にやろうと思えるものの、普段着のまま行けば引くに引けず、ゆるくいくしかないといいます。
ふざけるために真剣に働く、という心構え
川原さんは、自分も普段は冗談をたくさん言いたいタイプだと話します。ただし仕事で信頼や成果がなければ、ふざけることは許されなくなります。
だからふざけてたいからめちゃくちゃ仕事を真剣にやるっていうのはやってる気がする。
すがけんさんも同意し、一緒に仕事をして成功していれば顧客は笑うはずだと話します。顧客が難しい顔をしているのは、言い訳や対策の会議が続いてアイデアが出ていない状態だからです。
川原さんはこの関係を、何層にも重なった「ミルフィーユ」のようだとまとめます。下の図は、川原さんが整理したその重なりです。
スーツを着ない
すがけんさん自身がリラックスできる状態にする
場の余裕
心に余裕が生まれ、笑いが起き、本当のことが話せる
成果の出る会話
本音の議論から、成果につながる会議になる
一方で、時給30万円の仕事なら、スーツを着たり4〜5人で訪問したりしたほうが「価値を出している感じ」がして楽です。担当をつけたり二重チェックをしたりするのも同じです。
すがけんさんは、そうした楽なやり方の費用はすべて顧客が負担するだけで、全員が損をすると指摘します。川原さんも、本質的な価値から遠い行為を日本中でやっているから国力が下がっていると話します。
僕が一人でやってること、5人でやってたら、それは皆さん給料5分の1。当たり前。
さらに抽象化すると、二人は「人と同じことをやってはいけない」とタトゥーに刻むほど信じているといいます。同じことをすれば、より優秀な人、より安くやる人、より大人数でやる人が必ずいるからです。
こんまりさんはなぜ川原さんのおふざけを許すのか
話題は、川原さんのふざけたプロフィール写真へ移ります。川原さんはXのアイコンにもその写真を使っており、真面目な印象の妻、こんまり(近藤麻理恵)さんの隣でこれだけふざけるのはリスクでしかない、と自ら笑います。
川原さんとこんまりさんは夫婦であり、12年ほどのビジネスパートナーでもあります。川原さんは、こんまりさんがふざける自分を許容している理由をこう説明します。
(自分もふざけたいということ)はない。でもそばにそういう人がいることは人生をときめかせるということは知ってる。
45日間で8キロ痩せた際、ふんどし姿でビフォーアフターを公開したときも、こんまりさんからは何も言われなかったそうです。投稿で止められたものは1つもなかったといいます。
すがけんさんは、川原さんについて「ふざけているけど下品ではない」と評します。川原さんは、それを墓に書いてほしい言葉だと喜びました。
例えばじゃあ下ネタもそうだろうし、少し踏み込んだ内容もそうだけど、全てに品格を持つっていうことはめちゃくちゃ決めていて。
川原さんのいじりには、人を貶めたりマウンティングしたりする意図がなく、裏がないといいます。大切にしている点を言い当てられた川原さんは、すがけんさんの指摘を「これは払うわ」と時給30万円の仕事になぞらえて笑いました。
こんまりさんが結婚を決めた、ギリギリの夜
すがけんさんは、こんまりさんが「それはやめようよ」と言った場面を聞きたがります。川原さんは、自分がなぜこんまりさんと結婚できたのかに着地する話として、2012年ごろの出来事を語り始めました。
当時、交際していたこんまりさんが、会社員で営業職だった川原さんのために、広島のトップ経営者を紹介する食事会を開いてくれました。普段はそうした社交的なことをしないこんまりさんが、川原さんのために用意した会だったといいます。
火鍋の店で紹興酒を甕で頼むほど盛り上がり、飲みすぎた川原さんはその社長と喧嘩になってしまいます。その場は丸く収まったものの怒りが残り、帰りのタクシー運転手にその怒りをぶつけてしまったそうです。
マリエさんはその僕を見ても、あ、なんていうの、僕のこと見限らずに嫌じゃなかったっていうので結婚できたって言ってて。
こんまりさんは「ギリギリだった」と話していたそうで、川原さん自身も反省し、それ以降は酔いつぶれるほど飲むことはなくなったといいます。一番恥ずかしい姿を見せたことで、その後の関係では隠し事がなくなったと振り返ります。
それより手前のしょうもないことをさ、コソコソする理由がもうなくなっちゃうもんね、それ見られちゃったら。ああ、それはでもいい関係ですね。
お悩み相談と用語解説、半年の番組の手応え
話を番組の振り返りに戻すと、厚利少売ラジオは収録時点までに35回配信されていました。厚利少売の原理原則から、人気コーナーのお悩み相談まで扱ってきました。
すがけんさんは、お悩み相談が届くだけで嬉しいと話します。回答後に、相談者から「やりました」と報告が届くこともあるそうです。
だって別にあのお教えてないですよね。今度は始まりますよとか教えてないにも関わらずちゃんと聞いてて、あの時の一塾農家のものですみたいな感じで連絡くれるんですよ。
川原さんは、厚利少売に取り組む人に寄り添い、悩みを解決し、変化を作るという番組当初の目的が叶った半年だったと感じています。
川原さんが個人的に好きなのは、最近は休んでいる用語解説のコーナーです。初回の「マーケティング」の解説では、すがけんさんが10分ほど話した末に「使わないほうがいい」で締めくくりました。
いや、マーケティングなんてね、聞く人にとって、あの、タマムシ色にもういかようにも変わっちゃうような言葉なんて使わなくていいんですよっていうところから始まって。
二人によれば、難しい用語は知っても使う必要がなく、相手が使ってきたら気をつけるサインでもあるといいます。
20分から1時間へ、長尺配信に変えた狙い
番組は当初、20分ほどの回を週2回更新する形で始まりましたが、最近は1時間程度の長尺配信に変わっています。厚利少売的に考える人たちが、日頃の会話やニュースをどう捉えるのかを知ってほしいという狙いです。
20分ほどの回をテンポよく出し、週2回更新を目指していた
1時間程度の長尺で、日常の会話から厚利少売の価値観を感じてもらう
すがけんさんは、事業者は1日に何十回も小さな意思決定をしていると話します。メールの文章、文字の大きさ、色味まで、普通は適当に決めてしまうものです。
でもこの厚利少売で考える人たちは、その一個一個の判断をなんかどうやってんの?みたいなのもちょっと垣間見えるじゃないですか。
みんなが気にしないところを大事にし、みんなが気にするスーツのようなところは気にしない。その判断の違いが会話ににじむのが面白いのかもしれない、とすがけんさんは話します。
川原さんによると、Spotifyなどのデータでは、50分ほどの回でも最後まで聞く人の割合が「異常に高い」そうです。業界水準からすると驚かれるほどの数字だといいます。
JAPAN PODCAST AWARDS一次審査通過の驚き
半年間で特に大きかった出来事として、川原さんはJAPAN PODCAST AWARDS 2025の一次審査通過を挙げます。すがけんさんは、膨大な数のポッドキャストから20番組ほどに選ばれたことに驚きを語ります。
なんとその中で1次審査で何万分の何万なのか、何10万なのか、何千なのかわかんないですよ。もう20個に選ばれちゃう。もう芸能人だらけですよ。
選ばれた番組には、芸能人の番組や、コテンラジオ、ハイパー企業ラジオなどが並んでいたといいます。何百回も続く長寿番組が多い中で、半年しか配信していない厚利少売ラジオが選ばれた点が驚きだと川原さんは話します。
川原さんは手前味噌としつつ、面白さでは負けていないと語ります。すがけんさんは、今の形は二人が好きでやっていて、実は真面目に会議をして決めた形だと明かしました。
すがけんさんがコトラーアワード審査員になった不思議
すがけんさんは人生で2つのサプライズがあると話し、1つはリスナーの投票で一次審査を通過したことだといいます。芸能人でも太いパイプがあるわけでもなく、お金を積んだわけでもない中での選出でした。
もう1つは、フィリップ・コトラー ── アメリカの経営学者で、「近代マーケティングの父」と呼ばれる人物。マーケティングの教科書的な著作で世界的に知られていますさんが主催するコトラーアワードの審査員に選ばれたことです。すがけんさんは日本人で3人しかいない審査員の1人だといいます。
これが広告出稿したこともないのに、広告主じゃないのに、なぜかコトラーさんがこいつだって選んでくれてることは。
すがけんさんは、理由を聞いたら「やっぱり違いました」となりそうで、今も聞けずにいると笑います。川原さんは、まだ親しくなる前にプロフィールでその肩書きを見て驚いたそうです。
ZOOM初対面から続く「延長戦」と、厚利少売という結論
二人の出会いは、Xでのやりとりをきっかけにした初めてのZOOMでした。予定の1時間が3時間に延び、お互いに後ろの会議をずらすほど盛り上がったといいます。
延長延長延長延長戦なのよ。これずっと僕らからすると。
川原さんは、二人は歩んできた道が違うのに、世界の見え方や大事にしていることが異常に似ていたと振り返ります。すがけんさんも、海外を飛び回る川原さんと、国内中心の自分が同じ結論にたどり着いた点を面白がります。
すがけんさんによると、書籍は当初『高く売る技術』という企画でした。2年ほど練るうちに、円安、世界との差、人口減少や高齢化を実感する時代になり、その中で必然的に出てきた言葉が厚利少売だったといいます。
すがけんさん自身は、20代からディズニーやラグジュアリーブランドの仕事をしてきたため、厚利少売は水や空気のように当たり前のものでした。大学を出ていない自分は、人と同じでは勝てないと考えてきたといいます。
リングの中で戦って1位を決める。最高じゃなくて、リングの中に誰もいないところを作って、なんならリングごと作って、一人で立って、あれ、誰もいないってことは僕が1位ってことですかね、イエーイみたいなことをやり続けてきて今に至るから。
そんな当たり前の考え方に、川原さんがずっと燃え続けていることで、すがけんさんは厚利少売が必要なのは今なのだと感じるようになったといいます。川原さんも、この半年を通して、世の中に最も伝えるべき一点が厚利少売だと確信したと語りました。
リスナーにも半年を振り返ってほしい
すがけんさんは、二人が振り返ったように、リスナーにも厚利少売と過ごした半年を振り返ってほしいと呼びかけます。お悩み相談だけでなく、気軽な感想や近況報告も読みたいそうです。
どこどこに住むなんて人はこんなことやってるんだ、こうやって変わったんだとか、今こんな気持ちなんだ。
JAPAN PODCAST AWARDS 2025の結果は3月16日に何らかの形で出ると聞いているとして、川原さんはリスナーと一緒に楽しみに待ちたいと話しました。
エンディングでは、それぞれの書籍が紹介されます。すがけんさんは『厚利少売』を、川原さんは発売2日で重版がかかった新刊『人生は、捨て。 自由に生きるための47の秘訣』を案内しました。
お便りフォームでの相談や感想、SpotifyやApple Podcastsでの評価、SNSでのハッシュタグ「#厚利少売」での投稿も呼びかけられました。
リアル収録の感想として、すがけんさんはZOOMの1秒遅れがない分、掛け合いが増えて繋がっている感じがしたと話します。二人は今後、ゲストを招いたリアル収録への期待も口にしました。
ZOOMみたいな配信アプリだとやっぱ1秒遅れるからきっちり1秒ぐらい遅れるんで、なんか差し込みが難しいんですよね。
まとめ
番組開始から半年を迎えた厚利少売ラジオは、初のリアル収録で、厚利少売の考え方と二人の働き方、番組の手応えを振り返りました。ゆるい会話の奥には、人と同じことをせず、本質的な価値で勝負するという一貫した信念があります。
- 厚利少売は、厚い利益を本当に欲しい人に少なく売り、利益率と給料を上げていく考え方
- 日本と海外の物価差が約2倍に開いたことが、厚利少売の必要性を高めている
- すがけんさんは、緊張せず場を和ませることが成果を出すための前提だと考えている
- 番組は長尺配信へ転換し、完走率の高さとJAPAN PODCAST AWARDS 2025一次審査通過という手応えを得た
- 二人はリスナーに、お悩み相談だけでなく半年の振り返りや近況報告のお便りも求めている





