前回の振り返りと今回のテーマ
前回は、バネ付きの補助箸を使っているお子さんが、どうやってそこを卒業していくかという話でした。
発達の段階をレベルゼロから五まで教わり、まずはレベル二の「指を広げる」遊びを考えたところまで進んでいました。
今回は次のステップとして、指を「三本」と「二本」に分けていく話に入ります。
指は「動かす3本」と「土台の2本」に分かれる
けんさんによると、五本の指の発達は、親指側の三本と小指側の二本に分かれていくといいます。
まず大事なのが土台にあたる小指側の二本、つまり薬指と小指です。ここをギュッと握って固定できることが重要だと話されています。
ここをギュッと握れるっていうのが結構大事。ここに握力を持ってグッてこう固定する、小指側を。そうすると体でお尻とか腰みたいな感じになるので、両手が使えるよって意味で、親指側の三本の指がうまく動くよっていうので、いかにここをギュッとするかが大切です。
キーワードは「大きく握る」こと。細かいものをつまむのではなく、指全体で大きく握る、握り続けるという動きが小指と薬指を使うそうです。
道具を細かく動かす側。土台が安定すると自由に動かせる
ギュッと握って固定する側。ここが強いと3本が動きやすくなる
綱引き・ぶら下がり・雑巾絞りで土台を鍛える
では日頃どんな遊びがよいのか。タムさんは「綱引き」や「登り棒」「ジャングルジム」を挙げます。けんさんはどれも良いと応じました。
綱引きとかめっちゃいい。ぶら下がるとかもすごく大事。
けんさんは、お猿さんが尻尾で捕まるイメージを引き合いに出します。尻尾を巻きつけて固定する感覚が、薬指と小指でグッと握る感覚に近いといいます。
先生につかまり続ける遊びや、鉄棒にぶら下がる動きも、この二本の指を固定する練習になります。
三、四歳ぐらいに、なんかにぶら下がるとかが、むしろ(お絵かきや)箸とかに繋がってる。スプーンの道具を使うとかに。なんで体はよくわかってるって感じで。
昔でいえば枝を持つ、弓を引くといった動作にもつながる話です。道具を使うには指の発達が欠かせないと考えられます。
さらにけんさんがおすすめするのが雑巾絞りです。お風呂場で、水をいっぱい絞れた方が勝ち、というゲームにする方法を紹介しています。
大きめのタオルを絞ってみたり、小さいものから練習したりと、レベルに合わせて調整できます。重いバケツを持って砂場に水を流す遊びも良いそうです。
共通するのは、指の形をグッと固定し続けることです。グーでも、第一関節だけ引っ掛ける形でも、開き具合はどうでもよく、その形を保つことが大切だと話されています。
絞る、持つ、ぶら下がる、しがみつく。なんかそんな感じがこの土台側の固定になってきます。ここがしっかりしないとやっぱ親指、人差し指、中指が動かないから、いかにここを固定していくかは大事。
消しゴムやヘアゴムを使った支援の裏技
遊びだけでは難しい場合には、道具で補助するという考え方もあります。
鉛筆を三本の指で持つとき、薬指と小指に力を入れる感覚が向くように、そこに消しゴムや乾電池を握らせてあげる方法です。
握るものがある方が力が入りやすく、親指くらいの太さのものをかませると、手の中でグッと安定した感覚が生まれるそうです。
親指ぐらいのなんか太さのものを持たしてかましてあげると、グッと腰とお尻に力が入る感覚。そうすると体がどっしりして動くみたいなことが手の中でも起きる。
もうひとつが、髪の毛を結ぶヘアゴムを使う裏技です。玉が二個ついた髪飾りのようなゴムを鉛筆に巻きつけ、その玉を薬指と小指のところに持たせます。
ネットで「鉛筆持ちやすい髪ゴム」などと調べると、こうした補助の例が出てくるとのことです。今回のテーマはお箸ですが、鉛筆にも応用できる考え方だと話されています。
遊びが生活動作につながる、その言語化の価値
けんさんは、子どもにとっては「遊んでいたら生活に必要なことができちゃった」という体験が大切だと語ります。
水を運ぶためにバケツを持っていた、先生にしがみついて遊んでいた。それだけで箸や鉛筆が上手になるのは理想的だといいます。
ただ、保護者から見ると「遊んでいるだけでいいんですか」「うちの子、箸の練習をしたいんですけど」と感じられることもあります。
そこで、こうした言語化されたサイエンス的な知識で説明できると、大人も納得しやすくなります。保育園や学童の先生が、家庭でのちょっとした練習を提案する後押しにもなります。
お風呂入った時になんかタオル持ってって、ちょっとなんか十回雑巾絞りしてから出てきてみてください、みたいなことをやると、親子の関係性も良くなる。嫌だったらやらなくていいんだけど、そういうとこ説明できると保護者も味方にできる。
今回は土台の話でした。残るレベル四とレベル五は、次回以降に二つに分けて説明していく予定です。
まとめ
お箸や鉛筆の上達には、動かす三本の指だけでなく、土台となる薬指と小指をしっかり固定できることが欠かせません。綱引きやぶら下がり、雑巾絞りといった握る遊びが、その土台を育てていきます。
- 指は「動かす3本(親指・人差し指・中指)」と「土台の2本(薬指・小指)」に分かれる
- 土台の二本をギュッと握り固定できると、動かす三本が上手に使える
- 綱引き、ぶら下がり、雑巾絞り、重いものを運ぶ遊びで小指と薬指を鍛えられる
- 消しゴムや乾電池、鉛筆に巻いた髪ゴムなどで持ち方を補助する裏技がある
- 遊びが生活動作につながる仕組みを言語化すると、保護者も味方にできる
