学童保育からの相談:親指が浮いてしまうお箸
今回のお便りは、学童保育で働くミカさんから届いたものです。
相談の対象は、学童に通う小2の女の子リナちゃん(仮名)です。天真爛漫でかわいいけれど、お箸の持ち方に悩みがあると話されています。
おやつやお弁当のとき、まだバネ付きの補助箸を使っているのですが、親指が浮いてしまって普通のお箸への移行がなかなか進みません。どうサポートすればいいでしょうか。
けんさんは、親指がパタパタと動いてしまい、うまく固定できていない状態をイメージして受け止めます。
親指が浮いてしまってる。グッドのサインで指がパタパタ動いてるって感じなのかな。音声だけで説明するのすごい難しいけど。
前回の靴下の回で触れた「運動は体の中心から末端へ発達する」という話を土台に、今回はその末端、つまり指先の話へ進みます。
指は「土台の2本」と「運動の3本」に分かれている
けんさんは、まず指の役割を大きく2つのグループに分けて説明します。
大きく分けると、小指と薬指の2本のグループと、中指、人差し指、親指の3つの指。小指側と親指側で2と3に分かれて使っているはずです。
小指側の2本は「土台」、親指側の3本は「運動アーム」というイメージです。
試しにグーを作ると、小指と薬指だけがしっかり握られ、残り3本が自由に動くことがわかります。鉛筆や箸を持つときも、この2本が土台として手を支えていると話されています。
しっかり握って手を支える。体でいう胴体のような役目
自由に動いて、つまむ・書くなどの細かい作業を担う
けんさんは、この関係を工場のロボットアームやパワーショベルにたとえます。
しっかり土台があってウィンウィンって手が動く。土台がしっかりしてなかったら、うまく動かないし、微細な動きができなくてはめ込んだり持ち上げたりできない。
つまり土台の2本が安定して初めて、残り3本が箸や鉛筆を上手に扱えるようになる、という考え方です。
指の発達を6段階で整理する
けんさんは、指の発達をレベル0〜5の段階に分けて説明します。
レベル0は全身の運動の土台づくりで、前回の靴下の回で扱った「中心から手足を動かす」段階にあたります。
ポイントは、いきなり細かい動きを目指すのではなく、開く・閉じるといった基礎から順に積み上げることです。
リナちゃんはいまどのレベルにいる?
相談のリナちゃんが、いま発達のどの段階にいるかを2人で考えます。
バネ付きの補助箸は、握れば勝手に開いてくれる仕組みです。そのため、3本の指を分けて自由に動かす練習にはなりにくい、とけんさんは指摘します。
バネ付きなんで勝手に広がるし、グーで閉じて勝手に広がってくれる感じだから、多分3本の指はうまく動いてない。レベルでいうと3とか4らへんなのかな。
発達支援の鉄則として、けんさんは「1つか2つ段階を戻ってやる」ことを大事にすると話します。
掛け算難しかったら足し算引き算を練習した方がいいじゃないですか。5本全体の運動や土台作りをしっかりやると、指が動かしやすくなるかもしれない。
そこで、レベル3〜4あたりにいるリナちゃんには、あえてレベル2とレベル3の遊びから底上げしていく方針を提案します。
もちろん「大好きな人と箸で食べたい」といった興味関心から入るモチベーション作戦もありですが、今回は発達に合った遊びを一段ずつ積み上げるやり方を選びます。
第1回のテーマ:手を目一杯「広げる」遊び
第1回は、レベル2にあたる「5本指全体を広げる」遊びを考えていきます。
キーワードは、広げる・支える・押す・運ぶです。まずは手を目一杯広げ続けることが大切だと話されています。
ここでタムさんが遊びのアイデアを思いつきます。
朝顔、朝が来たよゲーム。子供たちの手を朝顔に見立てて、先生が太陽的なものを出したら、バッて広げてねっていう。できるだけ広げられたら勝ちです。
けんさんは、手のひらに花の中心を描いたテープを貼るなど、なりきりやすい工夫も加えられると応じます。
手を目一杯広げないと太陽さんの力もらえないよみたいな感じでなりきる。いいじゃないですか。
ほかにも、けんさんは手を大きく使う遊びをいくつか挙げます。
朝顔・朝だよゲーム
太陽の合図で手を朝顔のように大きく開き、広げ続ける
なりきり仕草
こんにちはの仕草やキャラクターのポーズを真似て手を広げる
段ボール押し
手をパーにして、人が入った段ボールを後ろから押し続ける
手押し車・ハイハイ
手のひらで体重を支えながら進み、トンネルをくぐる
手を大きく広げられると、皮膚も伸びて「閉じる」動きにもつながります。だからこそ、まずは目一杯広げる遊びをレベル2として楽しむことが第一歩になると話されています。
次回からは、レベル3の土台づくりや、つまむ遊びへと作戦会議が続く予定です。
まとめ
バネ付きの補助箸から普通の箸へ進むには、指を「土台の2本」と「運動の3本」に分けて捉え、発達段階を一段ずつ底上げしていく視点が役立ちます。第1回は、その最初のステップとして手を目一杯広げる遊びが紹介されました。
- 指は小指側2本の「土台」と、親指側3本の「運動アーム」で役割が分かれている。
- 指の発達はレベル0〜5の段階があり、いきなり細かい動きより基礎から積み上げる。
- バネ付き箸は勝手に開くため、3本を分けて動かす練習にはなりにくい。
- 発達の鉄則は、つまずいたら1〜2段階戻ってやること。
- 第1回はレベル2の「手を目一杯広げる」遊びとして、朝顔・朝だよゲームなどが提案された。
