指の分化と「出川さん式」の数え方
前回までは、五本の指のうち小指側の二本を土台として握る力に注目してきました。今回は反対の三本、親指・人差し指・中指を育てる遊びがテーマです。
その導入として、けんさんは指で数を数えるときの数え方の話を持ち出します。
たむちゃんってこう、指で一二三四五って数える時ってどうやって数える?小指から行く?
タムさんは人差し指から数えると答えます。一方でけんさんが注目したのは、親指から数えるやり方でした。
出川さんとか親指から数える。親指一、人差し指二、中指三。で、この中指三の時がやっぱ一番、手の分化が進んで発達してる状態かなって思う。
薬指と小指は同時に動いてしまいやすく、分けて動かすのが難しい指だとけんさんは話します。だからこそ、親指から数えるやり方は土台側を固定する練習になると考えられます。
三本でつまむ遊びを考える難しさ
ここからタムさんが、親指・人差し指・中指の三本を使って「つまむ・細かい作業をする」遊びを考えていきます。
けんさんは、この三本の動きは繊細で、強く握りつぶしてはいけない点がポイントだと補足します。
もう繊細な動きだからさ。むしろ握りつぶしちゃダメなわけですよ。
ところが、いざ考えるとタムさんはなかなか案が出ません。思い浮かぶのはおはじきや小豆といった、ありきたりなものばかりでした。
なんかおはじきとか小豆とかしかちょっと出てこなくて。
何をつまむと面白いか。大人はふだん考えないことだからこそ、この問いは意外と難しいのだとけんさんは話します。
ニッチな発想が子どもに刺さる
タムさんが最初に出したのは、硬めの布や紙にしわを作る遊びでした。
ただ、しわを作るだけでは何が面白いのか分かりません。けんさんは、そこにテーマやストーリーがあると子どもが燃えると指摘します。
ストーリーに子供たちってやっぱこう、燃えるから。それが誰かを倒すとか、お姫様の何かになるとか。
そこから生まれたのが、人の顔が描かれた紙をつまんで、だんだんおじいちゃん・おばあちゃんにしていく遊びです。
一見ニッチですが、けんさんはむしろありきたりでない方が刺さる子がいると評価します。福笑いのように顔を作る発想にもつながる案でした。
そういうニッチな方が意外とこの子にはめっちゃ刺さるってのがあるから。ありきたりじゃない方が。
つまむ・ねじる・引っ張るの遊びが次々に
ここからは、けんさんから具体的な遊びのアイデアが次々に出てきます。まずはタッパーの発想です。
タッパとか、ちょっとソフティーなタッパに、切れ目を十字に入れて中から布を引っ張り出すとか。早く十枚引っ張り出したら勝ちとか。
さらに、少し「悪いことをしている感」が子どもを引きつけるという視点も出ました。長いチャックを買ってきて開ける遊びなどです。
紙を丸めて長い棒を作り、遠くの壁に貼った紙を棒でめくる遊びも紹介されます。どこに星や動物が隠れているかを探す仕掛けで、耳かきのような操作にもつながると話します。
時計の針をつまんで回すタイムアタック、粘土でお米を作る遊び、テントウムシやダンゴムシをつまむことも「つまむ・ねじる」の練習になります。
ご飯、お茶碗一杯何粒でしょうみたいなクイズやって。じゃあみんなで作ってみようみたいな。
これらは生活の中の動作を楽しく変える発想で、遊びの目的と、鍛えたい動きが自然に結びついています。
洗濯バサミで「質」と「量」の難易度をつける
つまむ遊びの代表格として挙がったのが洗濯バサミです。紙皿やエプロンに、いろいろな洗濯バサミをつけていきます。
ここでけんさんは、遊びの目的と実際の動きを分けて説明します。子どもにとっての目的は「ライオン作り」や「先生にいっぱいつける玉入れ方式」ですが、やっていることはつまんで離す動作の繰り返しです。
目的はライオン作りだよとか、やってることはつまんで離す、つまんで離すっていうつまみ続ける、離すみたいな。
さらに、洗濯バサミは難易度の調整もしやすいと話します。硬いもの・大きいものと変えることで、動作の質と量に段差をつけられます。
つける回数を増やす。一個から十個へと数を伸ばしていく
洗濯バサミの形状や硬さを変える。柔らかい一回と硬い一回では質が違う
作業療法士と保育士のコラボレーション
タムさんは今回を通して、生活の中の動作をアレンジして楽しくする発想が考えやすいと気づいたと話します。
けんさんは、その背景に作業療法士と保育士の役割の掛け合わせがあると説明します。作業療法士は神経や運動の仕組みを理解し、なぜその遊びが箸につながるのかを説明できる存在です。
日常にあるものがなんで箸につながるのかっていうのは作業療法士が説明して。その背景にある遊びを保育士さんが考えるみたいのが、なんかもっといける。
今回の指の話も、もともとは作業療法士の先生から習ったものだそうです。それぞれの専門性が組み合わさることで、力が二倍三倍になるとけんさんは語ります。
理学療法士や言語聴覚士も含め、多職種が連携できる世の中が子どもにとって素敵だと締めくくられました。
最後に、投稿してくれた学童の先生ミカさんへ向けて、今できることを環境調整で支えながら、体の土台を育てる遊びを並行して行うことがすすめられました。
今できることを環境調整してやるっていうのもすごい素敵だし、体の土台として発達させていく遊びをしていくっていうのが、アンドでできるといいなって思いますね。
まとめ
お箸の練習シリーズ第3弾は、親指・人差し指・中指の三本を育てる「つまむ・ねじる」遊びの回でした。身近な素材を使い、目的と動きを結びつけた遊びのアイデアが多く出ました。次回はレベル5として、土台を作りながら三本を使う遊びを考える予定です。
- 親指から数える「出川さん式」は、土台側を固定して指の分化を促す練習になる。
- つまむ遊びは、テーマやストーリーがあると子どもが夢中になりやすい。
- 洗濯バサミなどは、回数(量)と硬さ・形状(質)で難易度を調整できる。
- 日常動作を遊びに変える発想は、生活の中にヒントが多く見つけやすい。
- 作業療法士が仕組みを説明し、保育士が遊びを考える連携が子どもの支援を広げる。
