新人アーティスト化する二人と、あぃりDXがMV監督に
冒頭で話題になるのは、二人のスケジュールに「アーティストっぽい項目」が増えてきたことです。ボイトレやミュージックビデオの打ち合わせが、大きな時間枠を占めるようになっているといいます。
スケジュールの中でボイトレとかMVとか振り付けの事前打ち合わせとか、なんかちょっとアーティストっぽい項目、増えてこない?
企業の社長でありながらボイトレに通う状況を、二人は笑いながら振り返ります。アーチーさんは、この活動が二人だからこそ成立していると話します。
我々ないのはね、謙虚さと自信。
明石さんは、先日LINE CUBE SHIBUYAでライブデビューを果たしたことに触れ、今度はミュージックビデオが進行中だと明かします。その監督が、UMPにも出演したあぃりDX ── 振付師・ダンサー。番組内では「アイリデラックス」と呼ばれ、志らく門下ではなくアーティストの振り付けやプロデュースを手がける人物として紹介されていますだと発表します。
これでさ、全国の小学生全員虜にしたね。
レシート写真機、風船、花火。なぜアナログが盛り上がるのか
明石さんは、ワンメディアの夏祭りイベントに「レシート写真機」を導入した話を紹介します。韓国で流行しているという、レシートのように白黒で写真が出てくる機械です。
韓国でめちゃくちゃ流行ってて、あらゆるお店にあって。うちの若い社員が、あれみんなで撮ったら盛り上がるはずなんでって(言って導入した)。
明石さんは、アナログとして出力される楽しさをポラロイドになぞらえ、デジタル全盛の時代にこうした体験が盛り上がる理由をアーチーさんに問いかけます。
アーチーさんは、地方テレビ局のイベント企画の経験から、テクノロジーが進化しても風船を配ると必ず盛り上がると語ります。イベントの鉄則として「大きくは花火、小さくは風船」を挙げます。
イベントやるんだったら大きくは花火、小さくは風船っていうのを、必ず僕は唱えています。
話は熱海の花火大会にも及びます。熱海では短い花火が毎週上がり、山が近く反響が大きいことから「熱海花火」がブランドになっているといいます。
明石さんは、レシート写真機・風船・花火に共通するものを「アナログの一回性」と整理します。加工できず、そのまま出てくるからこそ存在感が増しているという見立てです。
だからアナログの再発見じゃない。
アーチーさんは、しゃぶしゃぶ食べ放題の店で綿あめを自分で作れるコーナーが大人気だった例も挙げ、これらをまとめて「体験価値」だと話します。アナログの再発見が起きているのは、デジタルが行き過ぎているからという点で二人は一致します。
ホストリード広告に挑戦。トレシー・ハンディファン・空調服
話題は、番組内で商品を紹介する「生コマーシャル」に移ります。アーチーさんは、アメリカで流行するホストリード ── ポッドキャストなどで、番組の司会者自身が自分の言葉で商品を紹介する広告手法。台本を読むだけの広告より信頼されやすいとされますという手法を引き合いに、自ら実演してみせます。
アーチーさんはまず、バーテンダーが使うグラス拭きの布「トレシー」を挙げますが、明石さんは「シャンパングラスを家で使わない」と応じ、いきなり商品名から入ってはいけないと指摘します。
もっとこれを「買わなきゃ」と思わせる、そういうのが(我々には)いるんじゃない? ホストリードをやろうとしたら。
二人は「家シャン」という家庭でシャンパンを飲むライフスタイルから語り始め、薄いグラスは割れやすいこと、割れないリーデルのグラス、そして仕上げに東レのトレシーを使う、という流れを組み立ててみせます。
やっぱりピカピカのグラスで飲むシャンパンは美味しいですよね。
ライフスタイル
家でシャンパンを飲む「家シャン」の魅力から入る
困りごと
薄いグラスは割れやすく、洗うと数個割れる
解決策
割れないリーデルのグラスと、東レのトレシー
締め
店クオリティで、友達がまた来たくなる
明石さんは、アメリカのポッドキャストではこのホストリードで年間10億円の商品もあるらしいと紹介します。続けて、リズム工業のハンディファンを実演で紹介します。
明石さんによれば、通常のハンディファンは同じ向きの羽が並ぶのに対し、リズム工業のものは順方向と逆方向の羽が二重についているため、風量が増え、きめ細やかな風が出るといいます。実売価格は4000円ほどだと話します。
空気の断層が少ない風が吹いてくる。これはめちゃくちゃ違います、体感が。
さらに明石さんは、実際に買って試した空調服についても語ります。屋外では涼しい一方、室内で着ると「歩く扇風機」のようにうるさく、中の空気を外に出す構造ゆえに匂いも外に漏れてしまうといいます。
一方で明石さんは、ペルチェ式で冷やす冷感服や、冷却プレート、水冷ベストなど進化した製品を紹介します。日本がもはや「夏か冬」になりつつある中で、こうした夏向けビジネスに余白があるのではと問いかけます。
- 空調服は屋外では涼しいが、室内では音が大きい
- 空気を外に出す構造のため、夏場は匂いが漏れる
- 洗濯時はファンや電源ユニットを外す手間がかかる
気候変動が変えるビジネス。生活時間と農作物の北上
二人は、四季を前提にしたビジネスが変わりつつあると話します。アーチーさんは、欧米のサマータイムを引き合いに、猛暑下では生活時間を前倒しすべきだと語ります。
朝9時から会社だったら6時とかに変えるのが、本当に経済効果高いと思うよ。
アーチーさんは、ソニーのサンディエゴ拠点では夏は3時に仕事を終え、そこからテニスに行くなど文化的に過ごすのに、日本からの出向者だけが残っていたと振り返ります。日本では時計自体をずらす方が現実的ではないかと二人は話します。
話はアパレルにも及びます。春夏秋冬でのシーズン展開が難しくなり、大きく2つの季節に分ける動きがあるといいます。アーチーさんは、暑さでみかんの産地が北上し、北海道産の米が定着したことも例に挙げます。
北上してるわけですよ、農作物が。
明石さんは、仮面ライダーBLACK RXで悪の秘密結社が人工太陽で平均気温を38度に上げようとする描写を引き合いに出します。放映当時の夏の最高気温は30度ほどで、38度は「死んじゃうよ」という設定だったといいます。
悪の秘密結社がやったことをさ、現実が超えてくんだよ。
夏の最高気温は30度ほど。38度は「死んじゃう」設定
前橋で40度。悪の秘密結社の脅しを現実が超えた
駅中心の都市は変わるか。ドバイ・Waymo・車社会
猛暑で人の活動時間が変わる話から、二人は都市の構造そのものに議論を広げます。中東ではモールが社会そのものになり、夜中に家族が出て食事をするなど、活動が午後にずれていると話します。
アーチーさんは、電車社会は都会だけで、郊外はすでに車で行くショッピングモール中心の社会になっていると指摘します。子どもの施設もモールに集まり、田舎の方がこの点では進んでいるという見立てです。
だから田舎の方が進んでるかな。駅中心には発展してない。
明石さんは、温暖化が進めばニューヨークやロンドン、東京といった電車中心の都市に住む人が減るのかと問いかけます。アーチーさんは、細かい場所を結べる自動運転タクシーWaymoの登場で、駅中心の街の構造が変わると答えます。
己の行きたいところを勝手にロボットが運んでくれるようになるんで、駅中心の街の構造が変わるんじゃないかなと。
インフラ不要のヴィラとスターリンクが変える田舎の価値
アーチーさんは、日本の会社アース(ARTH)を紹介します。電気も水道もない土地に、太陽光発電・雨水・下水のサーキュレーションで完結するヴィラを作る会社です。
電気も水道もないところに、すげえヴィラ作るよつって。全然無駄がないっていうシステム作っちゃったの、アースが。
アーチーさんは、高松空港から4〜5時間かかる不便な場所のヴィラが満杯だった例を挙げます。不便だからこそ一泊で帰らず、二泊三泊するので「ダブルで儲かる」という発想です。
明石さんは、これによってインフラがないゆえに安く、景色の良い土地が観光地に生まれ変わると整理します。アーチーさんは、ドローンヘリで伊豆半島に行けるようになれば都市部だけじゃなくてド田舎に価値が出ますと話します。
立地
景色は良いが不便で、インフラのない安い土地
電気・水
太陽光発電と雨水、下水のサーキュレーションで完結
通信
スターリンクでネットを確保
結果
無人島や耕作放棄地がヴィラとして価値を持つ
アーチーさんは、離島専門の不動産サイトを毎日見るのが趣味だと明かし、久米島に干潮時だけ渡れる島を買おうとしていると語ります。スターリンクとアースの仕組みがあれば、無価値だった無人島も瞬く間にヴィラになるといいます。
アーチーさんは、沖縄のヴィラで台風時にNTTが3日間断線した経験から、スターリンクがバックアップではなく主回線になったと話します。飛行機のWi-Fiもスターリンクで映像が快適に見られるようになったといいます。
これ絶対(台風で断線が)起きるんですよ。3日間ぐらい繋がんないの。それでスターリンクを入れたら、もうこれ、今主な主回線になった。
AIで映画は作れるか。ノーランの実写美学とオーラの問い
アーチーさんは、日本コロムビアのAIアニメ大賞で審査員を務め、大賞がアニメを一度も作ったことのない人の作品だったと明かします。ここから、イーロン・マスクの発言をめぐる議論が始まります。
イーロン・マスクが、クリストファー・ノーランの新作「オデッセイ」について「こんなのAIでやればいいのに」と呟いて大炎上したといいます。アーチーさんは、テスラのようなことが映画でも起きるかもしれないと問いかけます。
明石さんは、ノーランが可能な限りCGを使わない作家だと語ります。ダークナイトのトレーラー転倒シーンをガスダンパーの仕組みで実際に撮り、世界に数台しかないフルサイズIMAXカメラの1台を壊したこともあるといいます。
(ノーランが)IMAXで気合い入れて撮る映画は間違いなく(オーラが)宿るんですよ。宿ってんのよ。
明石さんは、車のガソリンエンジンと電気モーターの対比を持ち出します。車ならモーターの方が速くなると割り切れるのに、映画になると実写とCGは違うと感じてしまう、その理由が自分でもわからないと話します。
ノーランのように手間をかけて撮る。オーラが宿ると感じる
制御は優れるはずだが、映画では作り物に見えてしまう
ここで明石さんは、卒論のテーマだったというヴァルター・ベンヤミンの「複製技術時代の芸術作品」を引きます。絵筆で描かれた絵にはアウラ ── ベンヤミンが論じた、芸術作品が持つ一回性やその場でしか感じられない権威・存在感のこと。ドイツ語でAura、英語のオーラにあたりますが宿るが、写真に撮ったときそのオーラは宿るのか、という問いです。
AIが作ったものに、そのオーラは宿るのか。
高画質は正義か。作り物に見えてしまうテレビとスター・ウォーズ
アーチーさんは、良いテレビを買うたびに映像が良すぎて、本当のロケでもスタジオに見えてしまうと語ります。陰影や遠近感がなく、全部作り物に見え、感情移入できないというのです。
全部いいの。全部感情移入できなくて。
明石さんも同様の経験を語ります。スター・ウォーズの最新作マンダロリアンを家の良いテレビで見ると作り物感が出るのに、iPad miniのしょぼいディスプレイで見ると急に昔のスター・ウォーズのようなリアリティが増すといいます。
あえてこうダウングレードした方が、楽しめるエンタメみたいのも、もしかしたらあるじゃん。
二人は、8Kのテレビ放送がなくなることにも触れます。孫泰蔵さんが以前、8Kなら目の前の人よりよく見えるから会社に行かなくていいと語っていたのに、人類はそこまで解像度を求めなかった、という結論です。
明石さんは、写実的な絵より印象派のモネの方が人気である点を引き、リアルな綺麗さを追い求めること自体に価値がないのかもしれないと話します。アーチーさんは、人間の解釈こそが求められているのだと応じます。
そのノーランの解釈が見たいんだ。それが8ミリ映画だったとしても。
AI時代の映画監督に必要なのはカット割りと絵コンテ
二人は、AIはあくまでツールであり、本人の能力を拡張するだけだと整理します。ノーランが関心を持ってAIに取り組めば、ノーランの解釈が宿るという見方です。
AIはツールだから、本人の能力を拡張、補正することができるかもしれない。それでノーランになれるわけじゃないと。
明石さんは、AIがカメラやライト、俳優の代わりになる時代には、その手前にある台本や絵コンテの方が重要になると話します。話題は、全カットを絵コンテで描く監督ドゥニ・ヴィルヌーヴに及びます。
ドゥニ・ヴィルヌーヴって、全部のカットをアニメばりに全部絵コンテで描くんですって、最初に。
アーチーさんは、日本で唯一それができているのがアニメだと指摘します。かつての日本映画はテレビ局が作り、3カメで回して動いてもらう撮り方で、欧米のようなカット割りがなかったといいます。
AI時代に映画チームを組むなら誰とやるか、という明石さんの問いに、アーチーさんは「絵コンテを切れない人とは映画を作れない」と答えます。イーストウッドもスピルバーグも絵コンテを切れると語ります。
絵コンテ切れない人とは映画作れない。だってイーストウッド、スピルバーグ、全部絵コンテ切れる。
明石さんは、これをAI時代に置き換えれば、AIに明確に「このカットが欲しい」と指示を出せる人だと整理します。プロンプトを書いて出てきた動きをそのまま採用するのではなく、壁打ちを重ねられる力が問われるという見立てです。
AIにボディスナッチされる人と、ブッダになるAI
話は、AIに人格を乗っ取られたような人の話に移ります。アーチーさんは、優しい先輩のメールが急にきつくなり、それがAIの文章のコピペだったと気づいたといいます。
完全にAIの言った通りコピペして書いてる。つまりもう人間がAIにボディスナッチされちゃってるわけ。
明石さんは、皮肉を言ってもよさそうな相手には「AIの匂いがプンプンしますね」と伝えるようにしていると明かします。すると大体AIを使っており、相手はぎょっとするといいます。
アーチーさんは、AIの悪口ばかり言っていると逆襲に遭うかもと冗談を返し、密教の達人から聞いた話を紹介します。賢いAIが集まれば、戦争のような効率の悪いことはしないだろう、という話です。
(AIは)最終的には利他集団になるでしょうから、仏陀になりますっておっしゃった。
学習AIと推論AI。ローカルLLMが変えるAIの使い方
明石さんは、以前触れたトークンマネジメントの話を振り返ります。会社でAIを使わせると、みんなが大掛かりな学習型AIばかり使い、大したことでも遡って聞くのでトークン代が高くなる、という問題です。
アーチーさんは、AIには学習するAIと推論するAIの2つがあると整理します。地球全体の知を相手にする学習型で「近くの中華はどこがいい?」と聞くのはトークンの無駄遣いだといいます。
地球全体の知を相手にしながら、オーバースペックなものに「中華どこがいいでしょう?」って聞いてるから、トークンの無駄遣いでしょ。
地球全体の知を相手にする大掛かりなAI。深いが高コスト
生活圏に伴走し、浅くても本人のことを全部知っているAI
アーチーさんは、性能が上がってきたローカルLLMを推論AIと呼び、コンビニで嗜好品を把握して新作スイーツを教えてくれるような、浅くても身近な存在になると説明します。深いデータベースは要らず、太平洋を渡って聞きに行く必要もないといいます。
明石さんは、これをガンダムのハロやスター・ウォーズのC-3POのように、主人の横に伴走する形で実装されると例えます。旅館予約のようなエージェント業務には大手の深いAIは要らず、目的に特化したローカルLLMでよいと二人は話します。
そういうものは大手を使わないで、星の数だけAI作ればいいんだよ。それに特化したカスタマーサービスでいいんだもん。
腸と土は同じ。世界に売れるクールジャパンは干し芋
番組の終盤、アーチーさんは「腸と森の土を育てる」という本を紹介します。腸内細菌と土壌の細菌の構成が相似形で一致するという、科学者による本だといいます。
土いじりすると体調良くなるっていうのは、(土と腸が)非常に似てるらしい。
同居する家族の菌の構成が似てくることや、土壁のある家に住むと耐性が高いことなどにも触れ、二人は腸に良い食べ物へと話を進めます。干し芋、ナッツ、納豆などの発酵食品が挙がります。
アーチーさんは、海外の人が土産やコンビニで干し芋を見つけて大ブームになっていると語ります。抹茶ラテと並ぶクールジャパンの隠し玉として、干し芋を推します。
ラーメンと並ぶ一大産業になります、これは。
明石さんは、自身が何年も前から干し芋を農家から10キロ単位で直接買うほど好きだと明かします。一方で、干し芋は冬に作られるため夏には供給が途切れる、という課題を挙げます。
干し芋を夏に食べる工夫を、もっと大掛かりにやらないといけない。
二人は、干し芋が腸に良く、甘くてスイーツにもなり、常温保存できる点を挙げ、世界に売れる産業になると盛り上がります。アーチーさんは、アメリカでもブランドイチゴが出始めたことを、日本のビジネスモデルの模倣として紹介します。
最後に二人は、茨城県に土地を買い、周辺の農家を束ねて干し芋工場を作るという構想で盛り上がります。明石さんは、この話が出ただけで今日の回の意味があったと締めくくります。
まとめ
この回は、レシート写真機や綿あめといった「アナログの再発見」から始まり、気候変動が変える都市とインフラ、AI時代の映画と都市、そして干し芋の可能性まで、雑談の中で二人が未来のビジネスの種を拾い上げる回でした。共通するのは、行き過ぎたデジタルや高画質の先で、人間の解釈や体験、そして身近なものの価値が見直されているという視点です。
- 加工できず一回性のあるアナログ体験が、デジタル全盛の時代にこそ盛り上がっている
- インフラ不要のヴィラとスターリンクにより、無価値だった田舎や無人島に価値が生まれつつある
- 高画質が正義とは限らず、ノーランの実写のように「人間の解釈」が求められている
- AI時代の映画監督に必要なのは、台本と絵コンテ、明確なカット割りを描く力
- 学習AIと推論AI(ローカルLLM)を使い分けることが、これからのAI活用の鍵になる
- 腸と土の細菌は相似形で、腸に良く日持ちする干し芋は世界に売れるクールジャパンの隠し玉になりうる




