5人でやらないと意味がない、というチームの前提
コムドットは小中学校の幼馴染5人組です。小学校から4人が一緒で、ひゅうがさんが中学から加わったと話されています。
まだ誰も抜けていないというのは、幼馴染で仕事を始めるとだんだんうまくいかなくなるあるあるを考えると珍しいことです。けんすうさんはその理由を聞きたいと切り出します。
やまとさんはまず、誰か一人でも辞めると言ったら自分も辞めるつもりだと話します。5人でやらないと意味がない、という感覚が全員にあるといいます。
5人でやらないと意味がないなという。それは全員が自覚してることだと思うんですけど、足し算じゃなくて掛け算になるんで、グループ活動って。一人でも欠けるんだったらいらないし、そもそも自分一人だったらこうなってないって全員が超強く思ってるんで。
どれだけ個人で活動しても給料は平等だといいます。システム的にも気持ち的にも、矢印が常にチームへ向くようになっているそうです。
喧嘩が起きない「5人」という構造
けんすうさんは、誰かが頑張っていないと感じる瞬間はないのかと聞きます。やまとさんは「全然ある」と答え、実際に「同じ給料もらって大丈夫?」と言うこともあると話します。
一方で、それが喧嘩にはならないといいます。理由は5人という人数にあると考えられています。
1対1で何か言い合ってることがあったとしても、3人が見てるじゃないですか。3人が仲裁に入るというか、揉め事から遠ざける役割に絶対誰かがなるんで、そうなると喧嘩にならないし、その目的は死ぬまで一緒にいることなんで。結婚してるみたいな状態で、ある意味。
喧嘩をしても意味がなく、最後まで添い遂げるための解決をするだけだといいます。全員がその感覚を共有していると考えられます。
やまとさんはメンバーの人間性を強くリスペクトしていて、自分が一番子供っぽいと感じているとも話しました。
多数決をしない意思決定と「捨てられる意見」
田中渓さんは、5人は奇数だから多数決を取れば必ず割れるのでは、と問いかけます。やまとさんの答えは、そもそも多数決で決めない、というものでした。
5人って奇数だから、仮に多数決を取ったら絶対どっちか割れると思うんですけど、3対2ぐらいまで際どい決断になることはあるんですか?
多数決では決めません。意見が割れたときは説得し合い、全員が納得した方に行くか、折衷案を取ります。捨てられる意見を作らず、どちらに寄っても誰かが納得している状態にします。
意思決定の中心にはやまとさんがいます。会社の戦略は自分が立て、半分決めた状態でメンバーの元に持っていくといいます。
その背景には、バスケ部のキャプテン、修学旅行の班長、学祭の団長と、昔からリーダーを務めてきた積み重ねがあります。「お前リーダーやるよね」という感覚が全員にあるそうです。
僕が持ってきたものに対してはみんなある程度信頼してくれてるんで、やる前提で「ここもうちょっとこうした方がいいんじゃない?」とか「これファンの気持ち考えてなくない?」っていうことをみんなが意見としてくれて、それを僕が肉付けして、最終みんなの意見まとめたのこれでってやるっていう感じで。
リーダーは優劣ではなく「役割」という発想
やまとさんは、自分がリーダーであることを優劣ではなく役割だと捉えています。その考えを補強したのが、ラランドの西田さんの話でした。
ネタを書く側と書かない側で議論する番組で、書かない側の西田さんが放ったのがこの言葉だといいます。
その西田さんが「お前は自我がない、俺に自我がないことを感謝してくれ」って言ったんですよ。だって自分が書いたネタを100%でできるって、俺に自我があったらできないぞってことじゃないですか。これがすごい芯を食い過ぎてるなと思って。
やまとさんは、もし5人全員が自分のような性格だったらチームは破綻すると話します。聞く役割、黙る役割、最後に意見を言う役割など、それぞれの特性で成り立っているといいます。
メンバーにとっての損は自分の損だと言い切ります。給料が平等で、同じ会社、同じチームだからこその感覚です。
不幸せなお金持ちに足りないもの
話は、一人だけが人気になって解散する恐怖はないのか、という話題に移ります。やまとさんは「全くない」と即答します。
音楽をやっている知人がヒット曲で大きな印税を得たときも、「別に俺だけお金持っててもしょうがなくない?」と平等でいいと答えたエピソードが紹介されました。バランスが崩れることが、みんなにとって一番の恐怖なのかもしれません。
ここからやまとさんは、不幸せなお金持ちの話へと展開します。
お金だけで集まった会では変なお金の使い方になってしまう。本質はお金の有無ではなく人間関係であり、同じ金銭感覚で遊べる友達がいるかどうかだといいます。
コムドットの5人は役員報酬で給料が平等なので、その感覚がずっと変わりません。今欲しいものは体育館だと話し、車や時計への猛烈な欲求はもうなくなってきたそうです。次の社員旅行やみんなでのバスケに意識が向いていると話します。
同窓会が居酒屋から動かない問題
田中渓さんは、金銭感覚を保ちながら人間関係を育てる難しさを、自身の同窓会の例で語ります。
最近同窓会が増えたものの、店のレベルや金額を上げてはいけない空気があるといいます。誰が辛いかわからないため、客単価3000円の居酒屋から抜け出せないそうです。
誰も悪くないんですけど、みんないい会社で働いてるし。でもどういう家庭環境かもわかんないしってなって。いまだにまだ飲み放題の薄いサワーとか飲んだりしてて、誰もハッピーじゃないのに、いつも居酒屋が選ばれてる現状。
「4000円以上きつい」とも言いづらいし、逆に「1万円ぐらいにしようよ」と言い出すのも良くない。誰も言い出せない状況が続きます。
その点、格差が出ないようにしていることがコムドットのうまくいく秘訣だと考えられます。ただしやまとさんは、外のコミュニティに出れば「稼いでるでしょ」と言われる難しさもあると付け加えました。
誰も責任を追及しないチーム
田中渓さんは、外的要因でトラブルが起きたとき、誰が責任を負うのかと踏み込みます。みんなで決めたことでも、言い出した個人に矢が飛んでくる場合があるからです。
やまとさんの答えは、誰も責任を負わない、というものでした。
戦略がうまくいかなくて責められたことなんて一回もないですし、もうその話をするぐらいだったら次どうするかの話をした方が建設的なんで。誰かを責めるみたいなのってないかな。
チームに良くない流れがあり、原因がはっきりしている場合は解決のための話し合いをするといいます。ただし「話しても意味がない」ことには時間を使わないそうです。
やまとさん自身も、ダメなところを注意してもらえる感覚があると話します。立場上、他では誰も注意してくれないからこそ、注意してもらえることをありがたく感じているようです。
崩れるとしたら「結婚」
けんすうさんは、もしバランスが崩れるとしたらどんな要因かと聞きます。やまとさんは「結婚じゃないですかね」と答えました。
今は365日働けばいいだけで、優先順位を決めなくていい簡単さがあるといいます。そこに結婚や子育てが加わると、微調整が必要になります。
時間、使える時間にばらつきが出てきた中で、どう命を燃やしていくかっていうのはすごい一個のテーマになってくると思うんですけど。「まだおもろいっしょ」みたいな、「いけるっしょ」みたいな感じですね。
結婚相手は全員でチェックしたいといいます。彼女に対しても「もっといい女の子いるよ」と言い合う関係だそうです。
理由は、会社に問題のある人が入ってくる可能性を排除する必要があるからです。相手の配偶者がビジネスに口を出したり、予定を勝手に押さえたりして苦しむ先輩を見てきたと話します。
YouTuber同士のコラボなど、意見が割れそうな場面での決め方はシンプルだといいます。
「一人でも反対するんだったらやめるんだけど」っていう提案で提案することは結構あります。一人でも嫌だって思うんだったらっていう言い方をすれば、嫌だって言いやすいというか。
面白い髪型は3日で飽きる、というロジック
個人の仕事も全体のブランディングのため、いったんすべてやまとさんを経由する設計になっています。誰がどの仕事をしているかを把握し、コムドットというブランドを守っているといいます。
けんすうさんが「アフロにしたい」と言われたらどうするかと崩壊パターンを探ると、やまとさんはロジカルに返しました。
これも結論を言うと無しで。面白い髪型って3日しか面白くないんですよ。
その根拠が「笑ったら即坊主の旅」という企画の経験です。5回笑ったら坊主になるという企画は跳ねたものの、坊主にした後にフォロワーが激減したといいます。
伸びかけの坊主はただの短髪になり、損した時間の方が圧倒的に長かった。そこから、髪型で奇抜なことをするのはやめたそうです。すべての動画に目的とロジックがあり、ロジックにできないことはやらないといいます。
寝癖NG・同じ服を着ない逆張り戦略
コムドットには「同じ服を着ない」というルールもあります。これも逆張りの発想から生まれたものです。
くすぶっていた頃、諸先輩方は寝癖やパジャマのようなラフな格好で動画に出ていて、それがダサいと感じていたといいます。かっこよく出ればサボっているように見えず、逆に張れると考えました。
そんなダサい先輩に憧れねえって、マジでかっこよく動画出ようぜって言って、寝癖で出るの禁止にしたんですよ。かっこよく出てたらサボってるように見えるじゃないですか。だから僕らの存在で逆に張らせようっていうことになって。
お金をかけてかっこいい服を着ることで、YouTubeとして異質な存在になったといいます。「YouTuberなのにかっこよくない?」という反応が、新たな支持を得るきっかけになりました。
田中渓さんは、これがメンズ美容を整える流れにつながった面もあると指摘します。やまとさんは、水準を上げる側に行く戦略の正しさを、大企業がCSRをやることに例えました。
田中渓さんは、先輩がやっていないこと、できないことをリストアップし、そこを取りに行く戦略だと整理します。やまとさんは、それは本を読めば載っている法則であり、事例を自分たちに落とし込んだだけだと話しました。
外部資本ゼロという最強さと「毎日夢が叶う」感覚
田中渓さんは、けんすうさんの質問が会社買収時のデューデリジェンスに似ていると指摘します。利益相反、ガバナンス、外部からの役員など、チームの穴を探る質問をぶつけてきたわけです。
その上で、外部資本や外部からの圧力に動じる必要がない最強さがあると話します。ステークホルダーに外部の人が一人もいないため、嫌ならやめればいい、という自由があるからです。
田中渓さんは、このIPを500億、1000億で売ってくれと言われたらどうかと聞きます。やまとさんの答えは即答のノーでした。
一兆もらってもどうでもいいですね。これはもうプライスレスだと。プライスレスなものを作ったし、それを健全に運営できて、しかもそれがみんなに求めてもらえてる、この状況が今もう夢が叶ってる状態なので。
お金への執着はこの数年でなくなったといいます。いくら持っていても、使うときに楽しくないと意味がなく、どう使うかにセンスが出るからです。
仮に100億使えるとしても、バスケットコートやファンが来られるコーヒーショップ、社員とのラスベガス旅行など、体験や思い出にお金を使う話になると語ります。『DIE WITH ZERO』の発想を引き、減っていく体力を全力で体験に変えていく意識で会社を運営していると話しました。
やまとの意外な短所
最後にけんすうさんは、やまとさんの悪いところを聞きます。会社の面接のような質問だと田中渓さんが笑います。
やまとさんが挙げた短所は、前日に立てた翌日の予定通りにできたことが7年間で一度もない、というものでした。次の日になると「こっちをやろう」と変えてしまうそうです。
前日に明日の予定みたいなのを決めるんですけど、それ通りにできたこと7年間一回もないですね。予定遂行能力は圧倒的に低いですけど、社員にフォローしてもらってます。
けんすうさんは、この活動が自分をいい人間にしてくれていると話すやまとさんに、環境を作る力の高さを感じたといいます。どう環境を変えれば続くかを構築する力があるという見立てです。
やまとさん自身も、変えることに抵抗がないと認めます。会社のこともどんどん変えて新しくしていくため、それは会社にとって良いことかもしれないと話しました。
結局、弱点らしい弱点は出てこないまま、次回に弱点の話をすることになりました。
まとめ
コムドットが5人で続く理由は、給料の平等、多数決をしない意思決定、リーダーを優劣ではなく役割と捉える発想など、喧嘩を起こさせない構造にあると話されています。外部資本を持たない自由と、毎日夢が叶っているという感覚が、そのチームを支えているようです。
- 誰か一人でも辞めるなら意味がない。5人だからこそ喧嘩は3人が仲裁して起きにくい
- 多数決はせず説得し合い、捨てられる意見を作らない。折衷案でも誰かが納得している状態にする
- 給料は完全平等で、矢印が常にチームへ向く。メンバーの損は自分の損という感覚
- 不幸せなお金持ちに足りないのは、同じ金銭感覚で一緒に使える友達
- 髪型も服装もすべてロジックがあり、外部資本ゼロの自由の中で今の生活を売らないと言い切る
